2013年1月28日月曜日

1/25勉強会:年末調整後の扶養親族等の異動について ほか


1.共有持分に応じて概算・実額取得費OK


【事例】
・AがB、Cの共有持分のある土地を取得
 -B持分⇒相続により取得
 -C持分⇒売買により取得
・Aが土地を譲渡(譲渡所得の発生)
 譲渡所得=譲渡収入-取得費
 取得費はいくらか?

【結論】
①土地全体の譲渡収入×5%(概算取得費)
②以下の方法もOK
・旧B持分⇒土地全体の譲渡収入×旧B持分×5%(概算取得費)
・旧C持分⇒Cからの取得時に要した金額(実額取得費)

破産宣告無くても貸付金債権を零円評価

<前提&争点>
①相続人が被相続人から財産を相続した。
②相続財産の中に個人に対する貸付金があった。
③債務者は破産宣告をしていないが、弁済が難しかった。
④破産申告をしていないが、弁済見込みがないとして零円評価していいのか?

<課税当局の主張>
破産していないから、回収不可能とはいえない。

<審判所の主張>
①債務者の債務超過の状態が著しい。
②債務者の信用や才能を活用しても資金調達は難しい状況である。
③弁済見込みがないと判断し、評価額は零円とした。

<まとめ>
破産していなくても実質的に弁済見込みが無い場合は、
個人債権の評価をゼロとされる。

3.平成25年度税制大綱まとめ

■交際費(中小企業)
 ・800万円まで全額損金算入

■所得税
 ・課税所得4,000万円超の税率が45%
 ・住宅ローン減税は4年延長。減税の上限を最大20万円から40万円に引き上げ

■相続税
 ・相続財産6億円超に55%の最高税率
 ・基礎控除を4割減

■贈与税
 ・祖父母から孫への教育資金の一括贈与の非課税(上限1,500万円)

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年末調整後の扶養親族等の異動について


年末調整後、扶養親族等に異動があった場合には、
翌年1/31までに年末調整をやり直す必要がある。

<具体例>
・年末調整後に結婚して控除対象配偶者を有することとなった。
・子が結婚して扶養親族からはずれた。 など

異動があった場合には給与所得者から「扶養控除等(異動)届出書」を
提出してもらう。

■確定申告との関係
・還付の場合⇒再年調をせず確定申告で還付も可。
・納付(徴収)の場合⇒確定申告不可。必ず再年調をする。

【所得税】会社負担の通信費と所得税

・従業員の私物端末を業務で使用する場合に会社から支給される
通信料見合いの手当は、給与所得として源泉徴収の対象となる。

・立替経費として非課税扱いを受けるためには実費弁償である必要があるが、
 手当として定額が支給されているような場合には上記の取り扱いとなる。

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6.企業結合会計基準の改正案(H27.4.1以後開始事業年度から)

・少数株主持分を資本の範囲に含める
・少数株主取引:損益取引⇒資本取引
・少数株主持分⇒非支配株主持分
・当期純利益⇒親会社株主に帰属する当期純利益

・M&Aのアドバイザリーフィーは発生時に費用処理

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7.新株予約権の買入消却に係る損失の処理

・発行価額を上回る価額で新株予約権を買入消却する場合の税務上の処理

■税務上の処理
 新株予約権を発行価額を上回る価額で買入消却した場合
⇒新株予約権の帳簿価額と買入額との差額は発行法人において損金算入

<具体例>
新株予約権の発行価額が1億円で2億円で買入消却する場合

・発行時⇒新株予約権を負債計上
 現預金 1億円/新株予約権 1億円

・取得時⇒自己新株予約権は資産計上
 自己新株予約権 2億円/現預金 2億円

・消却時⇒資産計上の帳簿価額を損金算入、負債計上の帳簿価額は益金算入
 損金    2億円/自己新株予約権 2億円
 新株予約権 1億円/益金      1億円

■自己新株予約権を資産として扱うことによる矛盾
・新株予約権が権利行使された後に自己株式を取得した場合
⇒資本取引
・新株予約権を買入消却した場合
⇒損益取引

8.貸倒損失が認められる場合(法人税質疑応答事例の更新(2012年11月))

①「債務者との間に資本関係がない」、「債務者が相当期間債務超過」の場合

②「担保物があるが、処分されたとしても抵当権順位が低く、
 配当を受ける見込みが全くない」場合

③「保証人がいるが、保証人に生活保護を受けるものと同程度の収入しかなく、
 全額回収不能が明らか」の場合

④「1度でも注文があった顧客について継続販売を期待して
 顧客情報の管理をしており、取引日から1年以上債権回収出来ない」場合

9.ヘッジ会計

〇ヘッジ取引=
資産(または負債)の相場変動を相殺する、
資産(または負債)のキャッシュ・フローの変動を回避することで
相場変動等による損失リスクを減殺する目的の取引。

(例)高金利通貨(外貨)で運用した時に、為替変動がない、
もしくは円安になればいいが、円高になる恐れがある。
そこで、運用後にある一定の為替レートで円に戻す予約をすることで、
為替差損を被るリスクを回避できる(為替ヘッジ)

〇ヘッジ会計=
ヘッジの手段として用いられた取引とヘッジ対象との間の
会計上の損益認識時期のずれを調整する会計処理
通常、時価評価されているヘッジ手段に係る評価差額をヘッジ対象に係る損益が
認識されるまで繰り延べる方法(繰延ヘッジ)で処理。

〇金利スワップの特例処理=
想定元本、利息の受払条件、契約期間がヘッジ対象の資産または負債と
ほぼ同一である場合に、
金利スワップを時価評価せずに金銭の受払の純額を
当該資産(または負債)に係る利息に加減する処理

※ほぼ同一の実務上の解釈
(例)借入金額と金利スワップのの想定元本の差異が、どちらかの5%以内

(参考)
デリバティブ取引=
金融商品そのものではなく、
金融商品に関連する権利義務(売買の権利や交換の権利)を対象とする取引

10.<IFRS>決算時の外貨建のれんの換算

(1)2003年の改訂前は次のどちらかを選択
  ・過去の取引日レート
  ・決算日レート

(2)改訂後は「決算日レート」で換算
  ※日本でもコンバージェンス済み
  ・外貨建のれんの期末残高
   →決算時の為替相場により換算
  ・のれんの当期償却額
   →期中平均相場により換算(原則)

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2013年1月19日土曜日

1/18勉強会:平成24年分所得税確定申告のチェックポイント ほか


1.【相続税】評価差額に対する法人税等


■取引相場のない株式を純資産方式により評価する場合、
評価差額に対する法人税等に相当する金額を控除することはできるか?
 ①被相続人が有する取引相場のない株式の場合…できる
 ②評価会社が有する取引相場のない株式の場合…できない

■評価差額とは
 (相続税評価により算出した純資産の額 - 簿価評価により算出した純資産の
額) × 42%


平成24年分所得税確定申告のチェックポイント

■平成24年分所得税改正事項
・医療費控除
 ⇒医療費範囲の拡大(喀痰吸引等が追加)

・上場株式等に係る譲渡損失の損益通算等
 ⇒譲渡の範囲拡大(外国証券業者利用の譲渡が追加)
・認定長期優良住宅新築等特別税額控除
 ⇒税額控除限度額が50万へ引下げ(改正前は100万)
・特定居住用財産の買換の場合の長期譲渡所得課税の特例
 ⇒譲渡対価要件が1億5千万以下へと引下げ(改正前は2億までOK)
・グリーン投資設備の特別償却/特別控除
 ⇒24年7月1日以降取得の太陽光・風力利用機械等は初年度一括償却
・中小企業者が機械等を取得した場合の特別償却/特別控除
 ⇒対象資産に「工具、器具、備品」が追加
・特定事業用資産の買換えの場合の譲渡所得課税の特例
 ⇒買換対象資産の範囲が限定(面積300㎡以上)

■平成22年度改正のうち、平成24年適用開始分
・生命保険料控除
 ⇒対象拡大&計算方法変更
・減価償却資産の定率法
 ⇒200%定率法へ変更
・資本的支出をした場合の取得価額の特例
 ⇒「一の減価償却資産を取得」とすることが不可
・雇用促進税制
 ⇒基準雇用者数(前年からの増加数)×20万


3.自民党税調が始動、大綱は1月24日頃に決定

1月24日を目処に自民党税調が税制改正大綱を取りまとめる。
主な検討項目は以下の通り

・所得税の最高税率の見直し(40%⇒45%)
・相続税の最高税率の見直し(50%⇒55%)
・贈与税率の見直し(概ね5%~10%引き下げる)
・消費税軽減税率導入の検討(食品などの税率を低くする)

4.オプション取引の有効性判定の裁判は控訴審へ

<前提>
①法人税法上、為替相場が15%以上変動した場合は損金算入OK
②ただし、有効なオプション取引によって
  為替ヘッジがされている場合は損金算入NG
③何を持って有効とするか?
⇒デリバティブ比較法or基礎商品比較法にて判定する。

<争点>
今回のオプション取引がデリバティブ比較法で×、基礎商品比較法で○だったため
納税者がデリバティブ比較法を採用して損金算入したところ、税務署が否認した。

<結果>
・国側の敗訴(デリバティブ比較法で判定してOK)⇒控訴審を決定

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審査事例:【更正通知書の更正理由附記について】


■事案

請求人Aは、建物附属設備にかかる減価償却費を損金算入したところ
原処分庁より「架空資産にかかるもの」であるとして更正処分を受けた。
その際、更正通知書には「当該資産は架空資産であるため償却費の計上は
認められない」旨、附記されていた。

<請求人Aの主張>

更正通知書には「架空資産」と判断するに至った具体的な理由が附記される
べきであり、単に「架空資産である」旨が記載されているだけでは「更正の理由が附
記」されているとは言えず、処分は不当である。

<原処分庁の主張>

請求人の帳簿書類を調査したうえで架空資産として特定しており、
更正通知書に架空であることの理由を附記する理由はない。

■審判所の判断

「帳簿書類に基づく更正」を主張するためには、
より信憑力のある資料を明示して説明されなければならない。
本件では「架空資産」の認定に至った具体的な説明がなく、
「更正の理由」が附記されているとは認められない。
よって原処分庁の処分は認められない。

まとめ
⇒「更正通知書」に附記された「更正の理由」が不明瞭である場合には、
更正処分が取り消しとなることがある。


.【所得税】東京地裁 派遣麻酔医の得る収入は「給与所得」と判断

《事例》
・複数の病院と契約を結んで業務を行なっていた麻酔医が、
各病院から得た収入を『事業所得』として申告した。
・税務当局は『給与所得』であるとして処分を課した。
・東京地裁は税務当局の主張を認めた。

■事業所得とは、
  自らリスクをとって独立して反復して営まれる業務から生ずるもの。

■給与所得とは、
  自らリスクをとらず、使用者の指揮命令・空間的時間的拘束に服して
  提供した労務の対価。

■本件では、
 ・麻酔医の収入が定額だった。(リスク無し)
 ・麻酔業務の費用は病院が負担してた。(リスク無し)
 ・手術場所、時間は病院が管理していた。(使用者の拘束に服していた)

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7.子会社株式の減損処理

・前提:非上場の子会社株式

■原則:取得価額で評価
■例外:子会社の財政状態の悪化により
    実質価額が著しく低下した場合
   →減損処理を行う

①純資産価額に基づいて実質価額を算定し
 取得価額と比べて50%以上の低下がある場合に減損処理を検討

②事業計画の策定をし回復可能性があるかどうか検討
 →実質価額まで減損処理

<具体例>
子会社株式:取得価額10億円
      期末の実質価額2億円
      事業計画に基づいた価額6億円

→取得価額10億円の50%以上は回復するが
 100%の10億円まで回復しているわけでないので
 2億円まで減損処理を行う


8.最近の持株会社をめぐる動向 

(1)1997年「純粋持株会社」が解禁

(2)持株会社に移行した上場会社数が増加
  ・2002年 約40社(累積)
  ・2012年 約370社(累積)
  ※10年間で約10倍になった
(3)メリット
  ・戦略的意思決定のスピード向上
  ・経営責任の明確化
  ・グループ全体における資源の最適配分
  ・M&Aのしやすさ 等
(4)デメリット
  ・グループ一体感の喪失
  ・間接コスト増大 等
(5)持株会社解消の動きもある
  (例)王子製紙→持株会社へ移行
    日本製紙→持株会社を解消予定


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2013年1月15日火曜日

1/11勉強会:外れ馬券は経費とならず!! ほか


1.【専門用語】一時所得の経費


税法上の経費とは、
■一時所得
⇒「その収入を得るために支出した金額」と規定
⇒直接経費しか認められない

■不動産所得・事業所得・雑所得
⇒「必要経費」と規定
⇒間接経費も認められる



オーナールーム賃貸⇒自ら転借で課税仕入


<前提>
①不動産貸付業を営む個人事業者が飲食店舗付の30戸のマンションを建てた
②そのマンションごとY社に貸し出した。
③Y社に貸し出したマンションの1室を自らの居住用に再度借りた。

<争点&判決>
①Y社からの収入は全て所得となりうるか?(自分が転借している部分は収入ではな
いのでないか?)
⇒Y社からの収入は、マンションの1室をオーナーが使うかどうかに関わらず定額で
発生するため収入として認められる。

②マンションを建てた費用は消費税法上課税仕入となるか?
(自分が転借している部分は家事使用のため課税仕入ではないのではないか?)
⇒マンションを立てた当初はオーナーが住むかどうかは不明であり
あくまで貸付用に立てたものとして課税仕入として認められる。



3.外れ馬券は経費とならず!!

・競馬の払戻金は、一時所得に該当
・的中馬券に係る購入金額のみが経費になると採決された。
→はずれたレースの購入金額は費用とはできない。
■上記によるとこんなことが起こりうる!
・毎週競馬をするOさんの例
①勝ちレース=10万円/月の利益を得た。
②負けレース=10万円/月の損をした。
→年間実績①120万円、②▲120万円→年間収支±0万円
→課税は①の120万円に対してされる!!

※参考ニュースURL
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121229-00000525-san-soci



4.経済対策、日本再生法」で税制措置を打ち出す方針


■復活が検討される税制措置
・試験研究税制の特例(税額控除が10%上乗せ)
・資産の除却損、設備廃棄に係る欠損金の繰戻還付等
※繰戻し還付とは、前年度に利益を計上して法人税が発生したものの、今年度に経営
状態の悪化などにより損失を計上した場合に、
前年度に納付した法人税の還付を受けることができる制度である。
■実施予定時期
・平成25年度or平成26年度税制改正


5.事前確定届出給与の判定基準、複数回支給した場合の取扱い

■具体例1(今回の裁判の場合)
 ①事業年度 01年10月1日から02年9月30日
 ②取締役の職務執行期間 01年11月26日から02年11月26日
 ③1回目の賞与 01年12月11日 届出額500万円 支給額500万円
 ④2回目の賞与 02年7月10日 届出額500万円 支給額250万円
 ⑤損金不算入額 500万円+250万円=750万円
 ※③の賞与も損金とならない

■具体例2
 ①事業年度 01年4月1日から02年3月31日、02年4月1日から03年3月31日
 ②取締役の職務執行期間 01年6月26日から02年6月26日
 ③1回目の賞与 01年12月11日 届出額500万円 支給額500万円
 ④2回目の賞与 02年6月10日 届出額500万円 支給額250万円
 ⑤損金不算入額 03年3月期において250万円
 ※③の賞与は02年3月期の損金となる

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会計ニュースのキーワード:「非中小法人等」について


■中小法人と非中小法人の違い

・中小法人等
⇒期末資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下の法人等

・非中小法人等
⇒期末資本金の額又は出資金の額が1億円以下である普通法人のうち、
 資本金5億円以上の法人(大法人)と完全支配関係を有する法人

(例1)
親会社(資本金5億円以上)
 ↓100%
当社(資本金1億円以下)

(例2)
   親会社(資本金1億円以下)
  100%↓       ↓100%
     大法人A    大法人B
    50%↓      ↓50%
     当社(資本金1億円以下)

■中小法人等○、非中小法人等×の優遇措置

①年800万円までの所得に対する軽減税率
②留保金課税の適用除外
③貸倒引当金の繰入←非中小法人等は段階的に廃止
④交際費の定額控除限度額適用
⑤青色欠損金の繰戻し還付
⑥青色欠損金の繰越控除80%制限の適用除外



.【法人税】忘年会・新年会と交際費等


・取引先との忘年会等 ⇒ 交際費(飲食)の5,000円基準で損金算入できる。
・社内で行う忘年会等  ⇒ 福利厚生費として損金算入できる。《注》

《注》
”社内”で”概ね一律に供与”され、”通常要する費用”でない場合は、
福利厚生費ではなく給与又は交際費とされる。
例えば部署単位の忘年会は、”社内”で”概ね一律に供与”に該当しない。



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8.企業結合会計基準等の改正案


・少数株主持分を資本の範囲に含める
・少数株主取引の取り扱いは損益取引から資本取引へ
・表示の変更
 従来の当期純利益は「親会社株主に帰属する当期純利益」となる


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