2013年11月29日金曜日

11/29 勉強会:(消費税) 3月中に4月分家賃を支払った場合の処理方法(3月決算法人) 他

1.簡便法による中古資産の耐用年数

【中古資産の耐用年数の計算方法】

①見積法 … 使用可能期間を見積り算出
↓見積り困難な場合は、
②簡便法 … (法定耐用年数 - 経過年数) + 経過年数 × 20%

【簡便法の注意点】
・中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額が、
中古資産の再取得価額の50%相当額を超える場合は、適用不可能
⇒法定耐用年数を使用


2.投資用マンションはPEに当たらず

■非居住者が受け取る不動産賃貸料
 ・前提…貸主:非居住者、不動産:日本国内に所在
 ・原則…借主が源泉徴収後の賃貸料を貸主に支払う
       借主は源泉徴収税額は国に納付
        貸主は確定申告によって所得税額を精算する
  ・例外…PEを有している貸主が税務署から「源泉徴収の免除証明書」の交付を受けている場合
       借主は賃貸料の全額を貸主に支払う(源泉徴収不要)
       貸主は確定申告によって所得税を国に納付する

■投資用不動産はPEにならない
 ・海外転勤するサラリーマンが所有していた投資用不動産をPEとして源泉徴収の免除証明書の交付を申請した場合、却下されるケースが発生
 ・投資用不動産には事業活動の拠点とは言えないなどが却下の理由
 ・海外転勤を機に自宅を賃貸に出した場合も免除申請が却下される可能性がある

■留意事項
 ・賃貸不動産を借りている場合、持ち主が非居住者だったら源泉徴収するのをわすれないこと
  持ち主が売買によって変更した場合は特に注意(契約書などで確認する)


3.上場株式の市場外取引、売却価格に潜む税務リスク

■裁判事例
原告が保有する上場株式(A株)を原告が実質的に支配するX社へ市場外取引で売却
X社はA株を担保として金融機関より借入
借入金から原告へA株の取得代金を支払い
原告はそれによって、個人の借入金返済、相続税の納付を行った
※A株の売却益は譲渡所得として申告した

■問題点は?
証券取引所の終値をはるかに超える価格で取引された。

■裁判所は税務当局の判断を支持
取引所価格と売却単価の差額は、譲渡対価とはいえず原告の一時所得に該当する。(=譲渡所得ではない) 


4.親会社株主帰属の当期純利益を区分表示 

■連結財務諸表規則等の改正(2741日以後開始事業年度適用開始)
【表示関する取扱いの改正】
   『少数株主損益調整前当期純利益』→『当期純利益』
但し親会社株主に係る成果を内訳表示する
   『少数株主持分』→『非支配株主持分』
名称変更するため規定の整備がされる

【会計処理の改正】
   取得関連費用のうち外部アドバイザーに支払った費用は取得原価に含めていたが即時費用化し、『主要な取得関連費用の内容及び金額』にて注記
※【表示に関する取扱いの改正】以外は2641日以後開始事業年度から早期適用可能


5.基礎から学ぶ消費税の転嫁阻害表示と総額表示

■転嫁阻害表示に該当するもの
・「消費税相当分、商品増量します」
・事業者間での取引に「消費税還元セール」と表示

■転嫁阻害表示に該当しないもの
・「3%還元セール」
・「4/1以降お値段そのまま」

■増税後、商品の値札が「旧税率」と「新税率」が混在する場合
 →「値札に記載」+「消費者が目につきやすい場所への表示」が必要


6.消費税: 3月中に4月分家賃を支払った場合の処理方法(3月決算法人)

前提⇒家賃(税抜) 100,000円 支払 108,000
■原則
【当期】
家賃         102,858    /現金108,000
仮払消費税 5,142
【翌期】 仕訳なし

■処理1(仮払処理)
【当期】
家賃 100,000 /現金 108,000
仮払金 8,000
【翌期】
仮払消費税 8,000/仮払金 8,000

■処理2(仕入対価の返還処理)
【当期】
家賃        102,858 / 現金 108,000
仮払消費税 5,142
【翌期】
家賃        100,000  / 家賃       102,858
仮払消費税 8,000 / 仮払消費税 5,142


7.企業結合における取得関連費用

・外部アドバイザーに対するDD等の報酬が該当
・改正前の企業結合基準:一部は取得原価に含める
・国際会計基準:取得関連費用は、企業結合とは別の取引と考えられている。取得関連費用は発生した事業年度の費用として処理
・改正後の企業結合基準:取得関連費用は発生した事業年度の費用として処理
 ※主要な取得関連費用の内容及び金額は注記により開示する


8.テクニカル上場

・上場会社が組織再編等で上場廃止となった場合、再度の上場を通常よりも簡易な審査を実施することで速やかな上場を可能とする制度。
①非上場会社と合併し解散する場合
②株式移転等のM&Aにより非上場会社の完全子会社となる場合など

「上場会社としての実績が非上場会社に引き継がれたものと評価する」
・新規上場基準は用いずに、「上場廃止基準に定める流動性基準への適合状況」を確認することで審査される
・市場区分は引き継がれるが、銘柄コードは新たに設定される


9.東証から上場会社へ通知(平成257)

『MBO等に関する適時開示情報の充実等について』
①MBOのプロセス
・MBO(公開買付)により新経営陣が対象会社を100%支配することが目的
・少数株主の保有株式を強制的に取得(スクイーズアウト)
②新経営陣と少数株主は利益相反の関係
・新経営陣は安く買いたい ⇔ 少数株主は高く売りたい
⇒取得価格の決定を裁判所に求める事案が増加
③少数株主の利益保護の観点
・東証は今までも算定書の取得、提出を求めていた
⇒更に、今後は提出範囲や算定書の記載事項を明確化


10.未公開企業のストック・オプションについて

■ストック・オプションの評価方法
  ・公開企業…公正な評価方法(本源的価値と時間的価値)
  ・未公開企業…公正な評価方法もしくは本源的価値

■本源的価値
  ・「自社の株式の評価額」と「権利行使価格」との差額

■自社株式の評価方法
  ・開示を条件に、最も良い方法を採用して良い
  ・評価方法の継続性は求められていない
  →注記の記載が必要


11.ユーグレナが公募増資75億円

・うち43億円を設備投資に
⇒これまではミドリムシを使った健康食品、化粧品原料
⇒今後、ジェット燃料市場に参入
・「世界の飢餓を減らしたい」というのが起業の出発点
⇒バイオ燃料ブームで穀物が燃料用になる中、世界で食糧不足が起きている現状の打破なるか

12.減税なくして成長なし?自動車業界が負担減を要求

・自動車取得税は、消費税が10%になった時点で廃止される予定。
・自動車業界は、8%になった時点で相応に自動車取得税を減らす等の措置を要望


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2013年11月22日金曜日

11/22 勉強会:オリジナルQ&A 生産性向上設備投資促進税制 他

1.オリジナルQA 生産性向上設備投資促進税制

■オリジナルQA 生産性向上設備投資促進税制
【制度の概要】
・適用対象設備へ投資した場合、即時償却or税額控除(最大5%)を受けられる制度

【適用対象設備】
Aパターン:先端設備
 ⇒旧モデルと比べて年平均1%以上生産性を向上させる『最新モデル』
Bパターン:生産ラインやオペレーションの刷新・改善に資する設備
 ⇒設備投資計画上の投資収益率が15%(中小企業は5%)以上である設備

【制度の詳細】
Aパターンについて
・設備が『最新モデル』かどうかは、「工業会」がメーカーに示す
Bパターンについて
・投資収益率の計算方法
⇒(投資後3年分の営業利益の増加額+投資後3年分の減価償却費の増加額)/投資額
3年平均で15%以上かどうかを判定
・作成した設備投資計画は、会計士・税理士がチェックし「確認書」を経済産業局へ提出
⇒計画上の要件を満たしていれば、「実績」は問われない
⇒計画を満たせなくても、税務調査で「不正に税額特例を受けた」との指摘もうけない


2.相続により取得した不動産に係る譲渡所得税と相続税の二重課税問題

■譲渡所得
 ・売却額 - 取得価額 = 売却益
 ・売却益に税率をかけて納付税額を求める

■売却した資産が相続により取得したものの場合
 ・取得価額は相続人が取得した時点の価額を引き継ぐ
 ・本来は、相続の時点で値上がり益の精算(所得税を課税)をしたかったが担税力(税金を負担するためのお金)がない場合が多いためあきらめた経緯がある
 ・そのため相続人が売却をしたときに、被相続人が負担すべきだった値上がり益部分についても相続人が負担することとなっている

■二重課税問題
 ・相続税…ただで資産をもらったラッキーに対する課税
 ・所得税…値上がり益等に対する課税

■平成22年最高最判決との相違
 ・平成22年最高裁判決
  生命保険契約に基づき死亡保険と年金払保障特約年金を相続により取得した場合
  年金払保障特約年金については、年金受給権部分が相続税と所得税の二重課税になっていたことを認めた判決
 ・不動産を相続により取得した場合に平成22年最高裁判決を適用できない理由
  その不動産に対して課せられた相続税の課税対象となる経済的価値と所得税の課税対象となる経済的価値が同一でないため
  ※生命保険契約の年金受給権については相続税、所得税について同一の経済的価値に課税されているため二重課税と判断された


3.自社開発・自社利用のソフトウェア

■税務上の処理は?
一定の場合を除き、無形固定資産として資産計上

■資産計上の対象となる費用
・製作等に要した原材料費、労務費及び経費の額
・製作したソフトウェアを事業の用に共するために直接要した費用

■耐用年数及び減価償却方法
研究開発目的=3年、定額法
その他の目的=5年、定額法


4.無償取得の新株予約権に概算取得費なし

【前提】
X社が取得条項付の新株予約権を従業員Aに発行
X社が組織再編により上場廃止となったためAから新株予約権を取得

【結論】この場合のAの譲渡所得は以下の通り
・取得費ゼロ
・無償で付与された新株予約権のため概算取得費の適用もない
・上記より譲渡所得の金額はX社の新株予約権の買取価格


5.非嫡出子の相続における違憲判断で民法改正へ

・非嫡出子の相続分を、嫡出子の1/2とする規程を削除し同等とする民法改正案決定
⇒平成2594日の最高裁違憲判断を受けたもの
・平成2595日以後確定する相続税から適用


6.所得税:不動産の貸付と事業規模について

■不動産の貸付
⇒規模により「事業的規模」とそれ以外に分かれる。
事業的規模のメリット
・事業専従者の給与控除が認められる
・青色申告特別控除(65万円)が受けられる

■事業的規模とは?
一般に510室基準を満たせば事業的規模とされる。
ただし、これに満たない場合であっても、
①営利性
②継続性
③独立性
④社会的地位
などを総合判断し、客観的に事業と認められる場合は事業的規模とされる。


7.法人税:大企業の交際費課税の見直し

平成26年度税制改正にて、大企業にも交際費の損金算入の特例を設けることが盛り込まれる可能性がある。
・中小法人の800万円以下の交際費の特例がH26.3.31までの時限立法であることから延長議論がされるが、それに併せて本件も議論される可能性がある。
・前年の税制改正の附則に、交際費の適用範囲の拡大についての検討をすること、と定められている。
 これは法律で行政機関(内閣)に検討義務を課した形になっており、検討しないと法律違反になるという規定。


8.CFOが注意すべき従業員の不正(ACFE調査)

①購買関連
 :個人用のものを発注。架空の仕入先の口座を設定
②企業のクレジットカード
 :業務用ではなく、個人的な買い物や旅行に使用
③給与
 :架空の従業員で口座を作る。残業の過大申請。
④売上及び売上債権
 :報奨金を多くするため過大の売上計上
⑤情報システム及び重要データ
 :重要なデータを盗む。企業情報を外部に流す


9.ヤマダ電気 赤字転落

20139月中間決算 23億円の営業赤字
(売上は前期比11%増 8,900億)
・店舗独自にネット通販事業への価格対応を許可
→ 粗利を圧迫
・今後は住宅リフォーム業を強化する予定

■白モノ家電に明日はあるか
・メーカー
→生産技術が難しく、利益を上げやすい
(テレビ、スマホは部品さえあれば組み立ては容易だが、洗濯機はそうはいかない)
・家電量販店
→据付作業が必要な洗濯機、冷蔵庫、エアコンは店舗購入者がほとんど
・今後はスマホとの連携をいかに強化していくか
→外出先から空調操作、冷蔵庫の在庫を把握してレシピ提案



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2013年11月18日月曜日

11/15 勉強会:【法人税】売上・売上原価にかかる税務の論点 他

1消費税:2月決算法人にかかる短期前払費用


☆設例:2月決算法人がH25.1.11月~12月分の費用(本体月額100、年1,200)の支払
いをする場合
※支払額⇒100×1.05×3100×1.08×91,287で請求されているものとする

■処理方法1⇒全額5%課税仕入として処理する方法
 仕入      1,200 /現金 1,287
 仮払消費税 60
 差額           27←税額控除できない

■処理方法2⇒決算期末までの分のみ税額控除する方法
 仕入        1,200  /現金 1,287
 仮払消費税 10
 仮払金        77←翌期に税額控除

■処理方法3⇒税率改正前(3月末)までの分のみ税額控除する方法
 仕入        1,200  /現金 1,287
 仮払消費税 15
 仮払金        72←翌期に税額控除


2.【法人税】売上・売上原価にかかる税務の論点


①売上の計上基準
■棚卸資産の売上計上基準
⇒引渡基準(出荷基準、検収基準等)

■請負による収益計上基準
⇒・物の引渡しを伴う場合は「引き渡した日」
  ・物の引渡しを伴わない場合は「役務提供完了日」

②締日後の売上の計上要否
⇒おおむね10日以内の一定の日については、計上しないことも認められる。

③原価の見積計上の要否
⇒必要。
  既に収益計上がされている売上に対応する原価は見積計上を行う。
役務提供が完了した原価で金額未確定のもの(A)だけではなく、
役務提供が完了していない原価(B)も見積計上する。
 ※消費税上見積による仕入税額控除は(A)については認められているが、B)については認められていないため、法人税とのズレがある。


3.復興税廃止、税効果への影響は?(開示では、重要性により省略も)


・復興法人税法の前倒しでの廃止が決定される見通し
・税効果会計では、改正税率が決算日までに公布され、将来の適用税率が確定してい
る場合、改正後の税率を適用する
・影響は、3月決算であれば、H26.4.1-H27.3.312.37%35.64%38.01%との差)
・税率変更によるDTAorDTLの修正額は注記事項とされている。
PLでは法人税等調整額で処理


5.関連当事者の開示を行う為の要点


関連当事者との取引を集計するだけではダメ。
まず、関連当事者の存在を把握すること。
 ⇒金融庁の有報レビューにおいて、関連当事者の網羅的な把握を求めている


6.M&A法務入門「入札」


①入札によるM&A
→売主が買主を選定できる

②嫌われがちな買主候補
・対象事業や資産の一部のみ購入
・現金ではなく自社株式等の現物支払
・分割支払
・詳細な表明保証を要求
・補償額に上限を付さない又は高額
・取引実行の前提条件が多い

③MA用語「VDR(バーチャル・データ・ルーム)
・オンラインで情報開示するときに用いられる仮想データルーム



7.民間投資活性化のための税制改正大綱


①生産性向上設備投資促進税制の創設
  ⇒最大で即時償却又は5%の税額控除

②中小企業投資促進税制の改正
  ⇒現行30%の即時償却→全額即時償却、特定中小企業者等→10%

③研究開発税制の延長・拡充
  ⇒増加型の控除割合限度5%30%

④ベンチャー投資等の促進税制の創設
  ⇒出資金額の80%を損金算入、毎期洗い替え

⑤所得拡大促進税制の延長・改正
  ⇒適用要件現行5%2%もしくは3%


8.PV争奪戦


・月間PV(各社自己申告が中心)
Yahoo! 614PV Ameba 244PV、楽天45PVなど
PVは「見られたページ数」なので、ページの移り変わりが多いサイトは有利
・より重要なのは「閲覧者数(UU)」、「閲覧者の質」
・技術進歩で、成果のあがるサイトやページをシステムが自動で探すようになりつつある。






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2013年11月12日火曜日

11/8 勉強会:非上場関係会社の株式評価、債権評価の論点 他

1基礎から学ぶ消費税の転嫁拒否


・適用対象ケース
 ①大規模小売事業者が、継続して商品・サービスを買う場合
 ②大規模小売事業者以外が、資本金等の額が3億円以下である事業者等から、継続して商品・サービスを買う場合
 
 ※大規模小売事業者
 ⇒売上高が100億以上である or 一定以上の店舗面積を有する

・禁止される転嫁拒否等の行為
 -減額、買い叩き
 -商品の強制購入等
 -本体価格での交渉拒否
 -報復行為
 ⇒H25101日~H29331日が対象期間

・罰則
 -直接の罰則はなし
 -公正取引委員会等から立入検査などあり、指導等を受けることになる
 ⇒転嫁拒否分の消費税の支払い等

 ⇒悪質な場合は、会社名の公表あり


2.特定資産の買換特例を巡る税賠訴訟で税理士が一部敗訴


・個人の確定申告において、買換資産を取得期限までに取得できなかった
 →修正申告が必要だったが、その提出を税理士Aが怠った
 →過少申告加算税に相当する90万円の賠償命令が税理士Aに出された

・法人の確定申告において、買換資産を取得期限までに取得できなかった(申請期限
の延長を一度している)
 →税理士Aは会社代表に対して、再延長が認められない可能性が高いことを会社代
表に説明している
 →会社代表は、税理士Aを解任した
 →税務署の指導で、会社代表は修正申告を提出した
 →税理士Aには説明義務違反が認められないことから会社代表からの損害賠償請求
は退けられた

※税理士Aは同一人物で、個人と会社代表も同一人物である

・まとめ
 税務上の優遇措置を受ける場合は、要件を充足しなかった場合に必要になる処理やその影響などを事前に説明しておく必要がある


3.IFRSの任意適用の要件が大幅に緩和


■従来のIFRS任意適用可能な会社
①上場していること
②有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに
係る記載を行っていること
③指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、当
該基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成できる体制を整備していること
④国際的な財務活動または事業活動を行っていること
→①~④すべての要件を満たす必要があった

■改定後のIFRS任意適用可能な会社
上記の②③のみ満たせばよい。


5.法人が解散した場合の事業年度・課税期間


■法人が解散した場合の法人税に係る事業年度と消費税に係る課税期間は一致する
■解散する法人が、連結子法人か否かにより事業年度及び課税期間が相違する

【法人税】事業年度
◇連結子法人の場合(連結納税を前提)
連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間(連結法人として単体申告)
・残余財産確定の日の翌日において、連結納税の承認を取り消されたとみなされる

◇連結子法人以外
・事業年度の開始の日から解散の日までの期間
・解散の日の翌日からその事業年度終了の日まで


【消費税】課税期間
◇連結子法人
・連結事業年度開始の日から残余財産の確定の日までの期間

◇連結子法人以外
・事業年度の開始の日から解散の日までの期間

・解散の日の翌日からその事業年度終了の日まで


6.今年度の投資も対象、税軽減は来年度に


・新設の投資減税(生産性向上設備投資促進税制、ベンチャー投資促進税制、事業再編促進税制)適用時期は最短で平成261月下旬見込み

・今年度中の投資も対象となるが、法人税軽減は来年度から



7.実地調査が大幅減!通則法の改正が影響


・所得税、消費税の実地調査件数、前事務年度から大幅減少
 国税通則法改正による調査1件に要する日数の増加や、調査担当者数の減少が原因

・対応策として、文書や電話、来社依頼による面接などの調査を活用


8.国外財産調書制度


 ■概要
居住者が平成251231日時点で、その価額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には「国外財産調書」を平成26317日までに提出しなければならない。
平成24年度税制改正で創設された。

■罰則等
・不提出・虚偽記載⇒1年以下の懲役または50万円以下の罰金
・不提出の場合、国外財産に関する申告漏れがあった際、過少申告加算税等が5%重課
 ※提出している場合、過少申告加算税等が5%軽減される。

■提出義務
各年の1231日時点で円換算額が5,000万を超えるときはその都度提出が必要


9.【所得税】個人向け国債と現金プレゼント


個人向け国債の購入時に、現金やギフトカードのプレゼントする証券会社等がある。
(例)1億円の国債購入で現金50万円等。

これにより受け取った現金等の所得区分は?
雑所得とされる(一時所得ではない)

■理由
一時所得とされるためには、下記の要件を満たす必要がある。
  営利を目的とする継続定期行為から生じる所得以外の一時の所得であること
  労務その他役務または資産の譲渡の対価たる性質を有しないこと

現金等のプレゼントと購入という行為が密接に関わっていることから②に抵触し、一時所得にはならない


10.日本版IFRS 初度適用時は遡及適用が必要


IFRS開始残高として日本基準における残高を用いる
 ⇒遡及適用したいためコスト面で優位だが、財務数値が相当程度異なるため☓
IFRS1号における遡及適用の免除規定の追加を検討する
 ⇒こちら採用


11.非上場関係会社の株式評価、債権評価の論点

 ①非上場関係会社の株式評価(時価を把握することが極めて困難と認められる株式評価)
  ・原則:次の場合は減損処理する
      →資産等を時価評価し、株式の実質価額が取得価額に比べて50%以上低下
       かつ、回復可能性がなし
  ・例外:減損処理不要
      →実行可能で合理的な事業計画に基づき5年以内に概ね取得価額まで回復できる

 ②非上場関係会社の債権評価
  ・非上場関係会社への純債権額(債権△債務)<実質純資産
   →引当金計上不要
  ・非上場関係会社への純債権額>実質純資産が債務超過

   →引当金計上必要(債務超過が臨時的であり、短期間に解消可能の場合は不要)


12.M&Aにおける「のれん」に関するモニタリング

(モニタリング:計画や目標の進捗状況を随時チェックすること)

<ポイント>
「のれん」の償却負担や減損処理が
将来の損益にどのような影響を与えるかを定期的にモニタリング

<M&A前にモニタリング準備>
・シナジー効果の予測、事業計画の作成
・のれんの金額と会計処理の確認

<M&A後に定期的にモニタリング>
・具体的な数値や行動目標
・担当者が責任を持つような体制
・M&A前の事業計画を適宜ブラッシュアップ
・投資回収が進んでいるか、減損の可能性等の検討

<日本基準とIFRSの違いを抑える>
()償却有無
・日本基準⇒「20年以内の期間で償却」が一般的
・IFRS⇒非償却
()減損テストの頻度
・日本基準⇒減損の兆候がある場合
・IFRS⇒毎年


13.税制改正大綱のポイントと実務上の留意点


<生産性向上設備投資促進税制>

・事務用器具備品や福利厚生施設等の生産性の向上に寄与しないものは対象外
・対象は青色申告法人とされているため、大法人でも適用可能
・中小企業投資促進税制に当てはまる場合はそちらの方が有利

<中小企業投資促進税制>
・今まで特定中小企業者等のみだったが中小企業者等も対象に

<試験研究費の税額控除>
・増加型について、改正後は5%超の増加が適用要件となる

<ベンチャー投資促進税制>
・有価証券の評価損のように回収可能性の要件はない
・ファンドの存続期間終了まで毎期洗い替えを行う

 (新規投資・売却分を考慮した保有残高ベースに調整が必要)


14.書評:「マッキンゼー 世界の経済・政治・軍事を動かす巨大コンサルティング・
ファームの秘密」


・マッキンゼーの助言を受けて成功した企業もあれば、失敗した企業もある
(失敗例)エンロン、スイス航空、GM破綻
・なぜ企業はコンサルタントを雇うのか
→「社内の説得のため」

トップのメッセージを伝えるために、第三者の権威を借りる





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