2014年10月19日日曜日

10/17 勉強会:法人税:接待飲食費の範囲 他

1.取得費加算特例の説明は相続税申告業務の対象外

■まとめ
・相続人と相続税に関する業務委任契約をした税理士の業務範囲は相続に関することのみ

・相続人が相続により取得した財産につき、その後一定期間内に譲渡した場合に利用することができる取得費加算特例についての説明義務はない
 …所得税に関することなので、相続人は自己の責任において申告納付を行う必要がある(または別途契約を締結する)

・取得費加算の特例
 相続により取得した財産を相続後3年以内に譲渡した場合、譲渡対価から控除することができる取得費にその財産にかかる部分の相続税を加算することができる制度
 …取得費が大きくなるので譲渡所得を圧縮することができる


2.債権流動化の会計処理で企業側逆転勝訴

■債権流動化における劣後受益権の収益配当金の会計処理
・納税者の会計処理
⇒住宅ローン債権の流動化取引(信託譲渡)により、信託銀行より優先受益権と劣後受益権を受領
⇒優先受益権は売却、劣後受益権のみ保有
⇒劣後受益権の収益配当金について、償却原価法(※参照)により元本相当額は収益に計上しなかった
※「受取利息」に相当する「A:買入金銭債権利息額」と「元本の回収」に相当する「B:買入金銭債権償還額」とに区分し、Aを収益計上、Bは収益計上しない会計処理
※金融商品会計に関する実務指針105項適用

・税務当局の主張=配当金全額を収益計上すべき

■裁判結果
・東京地裁=税務当局が勝訴
・高裁=納税者が逆転勝訴
105項の会計処理にて計上したことが、取引の経済的実態からみて合理的である場合には、105項を類推適用した場合と同様の会計処理をすることは法人税法上も正当なものとして是認すべき


3.敷金つき賃貸アパートの贈与

⇒敷金分の精算があるかどうかで計算が異なる
■事例
 父親所有のアパートを息子に贈与
  アパート:取引価格 1,000万円
        相続税評価額 500万円
        敷金 200万円

■贈与税の計算
①敷金分の精算を行う場合(200万円の現金を渡す場合)
 …相続税評価額で計算する

・贈与税額
 500万円+(現金贈与200万円-敷金200万円)-基礎控除110万=390万円
 390万円×税率20%-控除額25万円=53万円

②敷金分の精算を行わない場合
 …土地や建物の場合、負担付き贈与に該当し取引価格で計算する

・贈与税額
 1,000万円-敷金200万円-基礎控除110万円=690万円
 690万円×税率40%-控除額125万円=151万円
※父親も敷金200万円分の譲渡所得を贈与時に認識する

⇒課税価格(390万円、690万円)が大きく異なってくる
⇒課税価格が多額になると、税率も高くなるため注意


4.改正消費税法の経過措置政令を読み解く

H27.10.1(施行日)から消費税10%へ改正された場合の経過措置
⇒基本的に、消費税8%へ改正されたときと同様
⇒指定日は、H27.4.1

【留意事項】
①リサイクル料金(新たに規定)
・施行日前に代金領収、施行日後に廃家電を引渡し ⇒ 8%

②灯油の供給(新たに規定)
H27.10.31までに料金確定 ⇒ 8%
※電気料金等と同様

③有料老人ホームへの終身入居契約
H25.10.1H27.3.31までに契約、入居期間中の介護サービス費用を全額一時金払い、事業者から一時金の額の変更を求めることができる定めがない、実施日前に入居
 ⇒ 8%

④予約販売(定期購読 ※雑誌は除く)の書籍
8%改正時の指定日(H25.10.1)前に予約、8%改正時の施行日(H26.4.1)前に代金領収
 ⇒ 5%

10%改正時の指定日前に予約、10%改正時の施行日前に代金領収
 ⇒ 8%


5.在外子会社の会計処理の見直しは2項目

実務対応報告第18号「連結財務諸表における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の見直しに着手 

【見直し内容】
今回見直しが行われるのは、以下2項目
①国会計基準のASU2014-02(非公開会社におけるのれんの会計処理)を適用する場合への対応の明示。
 米国会計基準では、原則としてのれんは償却しないが、新設されたASU2014-02号によると、非公開会社についてはのれんを償却することもできる。
 そこで、実務対応報告第18号では、ASU2014-02号を適用する初年度の期首に存在するのれんについて、連結上の残存償却年数を継続するか、又はASU2014-02号に基づいて在外子会社において採用している償却年数を連結上でも用いるかは、企業の個々の状況に応じて判断する旨を示す方向。

②「少数株主損益の会計処理」を修正項目から削除
 平成25913日公表の改正企業結合会計基準等において、IFRS及び米国会計基準と同様の取扱いが定められ、修正項目として列挙する必要がなくなったため、削除する予定

【適用及び経過措置】
 平成2741日以後開始する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用される予定
(ただし、早期適用可)
また、経過的な取扱いは定めない方向


6.納税猶予判定で当局の損益計算を認めず

■事例
納税者が事業につき著しい損失を受けたことに伴い、納税猶予を受けるための4号事実要件に該当するか否か

()納税猶予を受けるための4号事実とは、著しい損失を受けた場合に猶予対象期間の損益計算額が、対象期間の利益金額の2分の1を超えて損失が生じた場合。

■主張
原処分庁は対象期間の損益計算の算定にあたり、現実的に支出を伴う仕入や外注費等のみで算定した。
⇒算定の結果、利益金額の2分の1を超えないため、4号事実に該当せず、納税猶予は認めない主張

■論点
支出を伴わない期首期末の棚卸高や減価償却費は、損益計算に含めずに算定してよいか 

■結論
審判所の判断は、納税猶予の算定にあたっても、
一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に照らして計算する指摘
⇒棚卸高は売上原価、減価償却費は費用に含めて損益計算した結果、利益金額の2分の1を超えるため、4号事実に該当する。
 
 その他の納税猶予要件(納付困難等)もすべて満たしていたため、原処分庁の猶予不許可処分を取り消した


7.IPOの状況(20141016日時点)

①初値騰落率
「初値>公開価格」の企業数:28/38
最高:342.1% ㈱イグニス(スマホ向けネイティブアプリ開発)
最低:-20.4% ㈱リボミック(創薬系)
平均:76.5%

PER(対公開価格)
最高:2976.47 ㈱リアルワールド(クラウドサービス運営) 
最低:-113.64 ㈱リボミック

PBR(対公開価格)
最高:68.74  ㈱リボミック
最低:0.27 ポバール興業㈱(製造業)

④本社所在地の分布
東京都:31/44社 70.5% 
(平成25年通期 31/54社 57.4%

今期は一層東京都への一極集中が進んでいる。


8.法人税判例 移転価格税制

■概要
自動車メーカーH社はブラジルの子会社Aとの間で行った国外関連取引につき、移転価格税制に基づき一定額を加算調整して申告したが、当局により加算不足を指摘され更正処分を受けた。
なお、A社は関税等が優遇されるマナウス自由貿易地域内に所在する。

■争点
⇒「独立企業間価格」算定の際のサンプル会社抽出について
(独立企業間価格が低すぎるのではないか?)

H社⇒マナウス自由貿易地域内の会社を基に算定
当局⇒ブラジル国内の自動車企業8社で算定

■判決(東京地裁)
自由貿易地域内で税恩典利益を受けている場合には、比較対象はその地域内にある会社でなければ比較可能性を有しないとして当局の主張を退けた。


9.法人税:接待飲食費の範囲

■接待飲食費に含むもの
•得意先等を接待した[飲食費]
•テーブルチャージ
•飲食のための会場代
•得意先等への差し入れ[弁当代]
•飲食した飲食店等で提供の[お土産代]

■接待飲食費に含まれないもの
•送迎費
•パーティに伴う宿泊費

■出向者の取り扱い(社内飲食費の判断)
•自社からグループ会社に出向している者を接待する為の飲食費は、その出向者が出向先の立場で参加している場合には社内飲食費に該当せず、接待飲食費として取り扱うことができる。


10.連結納税適用時の税効果

・地方法人税の創設⇒DTAの回収可能性に注意
法人住民税(地方税)⇒個社ごとに会社区分を分類
地方法人税(国税) ⇒親子一体で会社区分を分類

個社と連結とで会社区分が異なる場合、DTAの金額が変更になる
⇒法人住民税の一部(法人税割の4.4%相当額)が地方法人税に組み替えられる
 従来、法人住民税(個社ごとに会社区分を分類)であったものが、地方法人税(親子一体で会社区分を分類)になるので、DTAが変わる可能性あり
⇒ただし、影響は軽微。
 ※よって注記も不要


11.連結財務諸表に関する会計①~作成過程等に着目しグループ経営に活かす施策

(復習)連結財務諸表の作成手順
・投資と資本の相殺消去
・債権と債務の相殺消去
・連結会社相互間の取引高の消去
・未実現損益の消去

(経営管理上のポイント)
・留意事項
 -未実現損益の消去もれ
 -のれんの減損もれ(単体では子会社株式の評価)
・施策 → 内部統制の充実
 -子から親への報告体制の充実、吸い上げ機能の強化
 -子の経営企画機能の充実


12.DDの最終契約書について

契約締結から取引実行までに発生する事象に対応する為、規定を定める必要がある。

・買主 
⇒価値評価に誤りや不正確な点があった場合、代金を減額調整できるようにしたい等

・売主 
⇒代金の分割払いや、事後的な減額調整は避けたい等


13.未だ経営破たんしていないが、リスクの高い会社のデューデリジェンスのポイント

①過去のキャッシュ・フローを作成し、資金面から経営実態を把握する。
⇒例えば棚卸資産がどれくらい積みあがって、営業キャッシュ・フローに影響を及ぼしているか

②稼働率を高く維持してきたことにより、工場の生産コスト(人件費・外注費含む)も含めて、実質的に固定費になっている
⇒受注には季節変動があり、ピークに合わせて人員を確保しているため、固定費が増大

③長年に渡り特定顧客からの受注に依存し、新規営業が弱い
⇒特定業界の特定商品の生産ノウハウのみ、マーケティング力の欠陥

④商品開発、生産技術開発力も弱い。
⇒創業者が十分な経営資源(不動産含む)を残した結果、後継者がリスクにチャレンジする機会がなく、イノベーション力が落ちる。


14.債務超過会社の合併を会社分割により解消する場合の株主の税務

1. 事例解説
 X社と甲氏でそれぞれ70%30%の株式を保有する債務超過の会社であるY社からY1社を会社分割(新設)し、Y1社をX社が100%支配、Y社を甲氏が100%保有する。

2. スキーム
 ①Y社を按分型会社分割(※1)し、Y1社を新設
   X社 Y1株式70%取得 ⇒ Y株式70%Y1株式70%保有
   甲氏 Y1株式30%取得 ⇒ Y株式30%Y1株式30%保有
 ②X社がY株式70%を甲氏に譲渡、甲氏がX社にY1株式30%を譲渡

(※1)分割前の株式数の割合に応じて、分割後の株式が交付される会社分割

3. Y1株式の取得原価の算出
 分割前Y株式の取得原価×移転割合(※2

(※2)移転割合=分割前の移転資産・負債の帳簿価額÷分割前の純資産の帳簿価額
(※) 分子>分母となる場合の移転割合は1とする。

4. Y1社の株主(X社)の課税関係
①分割後のY社もY1社も債務超過となるように資産・負債を配分
⇒ 移転割合の分子がマイナス
⇒ 分子のマイナスはゼロとみなす
⇒ Y1株式の取得原価はゼロ 
⇒ Y株式の取得原価は変動なし
⇒ Y株式の取得原価が譲渡損となる。

Y1社は資産超過となるように資産・負債を配分
⇒ 移転割合の分子(プラス)>分母(マイナス)のため、移転割合は1
⇒ Y1株式の取得原価は分割前のY社株式の取得原価
⇒ Y社株式の取得原価はゼロ
⇒ 譲渡しても、損益は生じない。

5. 結論
移転資産・負債の内容によって、株主に大きな影響を与えるため、留意が必要


15.使える補助金・助成金vol.3 補助金の探し方

①「補助金総覧」を読む
※毎年8月に発行
※補助金の名称、金額等が収録されている
※募集時期、詳しい内容は記載されておらず、別途調べる必要あり

②中小企業基盤整備機構のサイトをチェック
※情報が遅い場合あり 募集期間切れのケースも


③各官庁、地方公共団体のサイトを頻繁にチェック








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2014年10月10日金曜日

10/10 勉強会:減価償却方法の統一 他

1.診療報酬の会計処理を巡り税理士が一部敗訴した事件

■まとめ
・保険診療の窓口収入の理論値と実際に乖離があった場合、申告業務の委託を受けた税理士が確認すること

 ①理論値を使うことに問題はない
 ②委託者に理論値と実際の窓口収入に乖離があること、理論値と実際のどちらを使うかで税金計算が異なることを通知する
  →どうするのか委託者の意向を確認する
 ③乖離している原因を究明する

・税金計算を間違えたことを理由にして、委託者と税理士の間に債務不履行が成立するわけではない


2.教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置に関するQA

■制度おさらい
・直系尊属から教育資金のために資金を一括贈与した場合の非課税枠
・最大1,500万円まで非課税
 ※うち、学校以外に支払う場合の非課税枠は500万円まで
・受け取る側は30歳未満まで

■制度適用時の流れ
①贈与時
・金融機関に「教育資金専用口座」を開設
・「教育資金非課税申告書」を金融機関へ提出

30歳になるまで
・随時教育機関へ支払った領収書を金融機関へ提出
・領収書に基づいて口座から払い出し(立替精算のようなもの)

30歳になった時
・口座残額を精算⇒残額は贈与税の対象

Q&A(文科省)抜粋
①部活動の費用は非課税の対象
 ※個人で専門店で購入した「グローブ」「バット」は対象外

500万円の非課税枠に含まれるもの
 学習塾や習い事の月謝、自動車学校、各種資格試験の受験料等

③学校への寄付金は非課税の対象外

④金融機関への提出書類
 領収書以外にも、振込完了画面や口座引落しの事実が解る書類でも可
 基本は原本の提出となるが、場合によってコピー可


3.投資家要件厳格化など、プロ向けファンドを見直しへ

■プロ向けファンドの仕組みを悪用し投資家に被害を与えるケースがある
金融庁は販売可能な投資家を見直す政令案を5月に公表
→新たなファンドの組成が困難などの反対意見を受け、改正が先送り
→今年末までに一定の報告書をまとめる予定

■プロ向けファンド、現行制度の問題点
49名以内であれば投資の素人にも販売可能
・販売時の書面交付義務なし
・説明義務などの行為規制が課せられていない
・販売業者は行政処分の対象になっていない


4.士業の必要経費をめぐる問題で国税不服審判所が注目判断

【所得税】事業所得の必要経費
1)売上原価
2)販管費
  -業務に直接関係がある
  -業務の遂行上通常必要である
⇒業務に『直接』関係があることが必須要件か??

【事例①】(高裁判決確定/上告不受理)
・弁護士が弁護士会の役員として支出した懇親会費用
 ⇒必要経費に該当

【事例②】(審判所判断)
・司法書士がが支出したロータリークラブの会費
 ⇒必要経費に該当しない

【ポイント】
・①、②とも業務に『直接』関係は認められない
・①は、弁護士会は強制入会制度となっており、その役員が懇親会費用を負担するという義務的な実情あり
・②は、ロータリークラブへの入会は任意であり、司法書士としての義務と直接関係しない
・今後も、『業務との直接関係』が必要経費の要件
・ただし、個別事案ごとに例外判断はあり得る


5.家電リサイクル法料金も経過措置対象に

消費税が10%に引き上げされる(予定)ことに伴い8%引き上げ時と同様に、10%へ引上げの際も経過措置取引がある。

税率 :10(国税7.8%、地方税2.2)
施工日:H27101(予定)
指定日:H27 41

8%引き上げ時の主な経過措置取引
旅客運賃(定期代)、電気料金、工事の請負等、予約販売に係る書籍等、資産の貸付け、役務提供など
  ⇒10%引き上げ時も経過措置の対象となる。
     (指定日までに契約等していることなど)

・リサイクル料金の経過措置(10%引き上げ時の新たな経過措置)
 ()
H27.9.29にリサイクル料を領収し、
H27.10.1以降に廃家電を引渡し ∴8%適用


6.所得税改革、給与所得控除もターゲット

 政府税制調査会が個人所得課税の全体の見直しを行う方針をたてた
 主な見直しとなる論点
  ・配偶者控除
  ・給与所得控除
  ・公的年金等の控除

 年金については、H26年度税制改正大綱の検討事項。
 配偶者控除等の控除見直しは、H28年度税制改正の課題。


7.税恩典利益異なれば比較可能性なし

(事例)
 大手自動車会社(以下、A)が新興国に所在する子会社等(以下、B)と行った取引
の対価が独立企業間取引価格に満たないとして、移転価格税制の適用を受けた。

(A社の主張)
 これに対し、A社は「B社は自由貿易地域内にあり、税恩典を受けていたにも関わらず、税務当局が独立企業間取引価格を算定する際、比較対象法人として同地域以外で事業活動を行う法人を選定した上、税恩典利益相当分の差異調整を行わなかった」ことを問題視

(裁判所の判断)
裁判所は、「同様に、税恩典利益を享受している法人を比較対象法人として選定しない限り、B社の比較対象として不適切である」と判断し、A社の主張を受け入れ、課税処分を取消

本事例のように比較対象法人のデータが少ない新興国等では比較対象法人の選定が困難になる可能性あり


8.企業結合の暫定的会計処理で四半期財規

企業結合に係る四半期会計基準の改正を踏まえた四半期連結財規等が平成26930日に公布・施行

(改正内容)
①企業結合に係る暫定的な会計処理が確定した場合、その確定した四半期会計期間等において、その旨の注記が必要

②暫定的な会計処理が確定したことに伴い、四半期財務諸表等に含まれる 比較情報において取得原価の配分額の重要な見直しを反映させている場合、その見直しの内容及び金額の注記が必要

(適用時期)
 平成2741日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合から適用(早期適用可)


9.IPOの状況(~20149月末時点)

①上場承認数
42社(前年同期比10社増)

②主幹事証券推移(括弧内は前年同期)
野村証券 16社(15社)
大和証券 11社(5社)
SMBC日興証券 4社(2社)
みずほ証券 4社(4社)
SBI証券 4社(2社)

大和証券が大幅層

③監査法人推移
トーマツ 19社(18社)
あずさ 14社(6社)
新日本 8社(3社)

トーマツは微減 あずさが大幅増

④市場推移
東証1・2部 11社(9社)
マザーズ  22社(14社)
ジャスダック 8社(8社)

マザーズが大幅増


10.所得税:相続税取得費加算の特例改正について

■相続税の取得費加算(現行)
相続で取得した資産を一定期間内に譲渡した場合、相続税の一部を取得費(譲渡原価)に加算することができる特例。
土地を譲渡した場合には、「当該土地以外の土地にかかる相続税」についても取得費に加算できる。

■改正
上記の「当該土地以外の土地にかかる相続税」が「当該土地にかかる相続税」に改正される。
平成2711日以後の相続で取得した土地について適用となる。

■事例
①相続人甲の取得した資産(課税価格) 4億円
(内訳:A土地1億、B土地2億、土地以外1億)
②相続税額 2億円
A土地を3億で譲渡
A土地の取得価額は不明

<改正前>
(1)取得費 3億×5%(概算経費)=0.15
(2)取得費加算 相続税2億円×3億※/4億=1.5
   ※A土地1+B土地2億=3
(3)計1.65

<改正後>
(1)取得費 3億×5%(概算経費)=0.15
(2)取得費加算 相続税2億円×1億※/4億=0.5
   ※A土地1
(3)計0.65


11.所得税:ロータリークラブの会費等は必要経費に算入できないとした事例 (審判所)

 ■経緯
・司法書士業を営むAは、ロータリークラブの入会金&会費を事業所得の必要経費に算入して所得税の確定申告を行った。
・税務署は入会金&会費の必要経費への算入を認めず、所得税の更正処分を行った。
Aはこれを不服として国税不服審判所に審査請求をした。

■審判所の判断
・税務署の主張を認めた。
・必要経費に算入される支出は、
 ①業務と関連があるほか、
 ②業務と直接関係があり、
 ③業務上不可欠なもの
 に限られる、というのが審判所の判断理由。

※③は厳しいような・・・払った方がいいかもしれない程度の支出はダメなの??


12.減価償却方法の統一

・固定資産のDep方法を定率法から定額法に変更している事例が増加

・親会社及び子会社が採用する会計方針は原則として統一する必要がある。
 ※ただし、固定資産のDep方法は事務処理の経済性等を考慮し、必ずしも統一を要しない(監査実務指針第56号)。

・事業セグメントごとに償却方法を統一することが望ましい
 ※実務上の取り扱いとして事業場単位でのDep方法の選択も認められている。
(事例)第一工業製薬
  四日市事業所:定率法、滋賀事業所:定額法

・法人税法も事業所ごとにDep方法を選定することが出来る(法令51条①)


13.新設分割・吸収分割と株式譲渡

 事例①
  ・A社がB社に一部事業を新設分割
  ・同日にB社の株式をC社に売却

  問題:取引実行日においてC社はB社の設立登記の完了を確認出来ないままB社株式を取得することになる。B社設立未了又は設立瑕疵のリスクがある

  解決:B社を事前に設立しておけばリスク回避できる。
     但し、設立から時間が経過しているとB社を調査するコストが発生する。


14.借入金をヘッジ対象とした金利スワップのヘッジ会計

①金利スワップ取引後にヘッジ会計の適用
⇒ 以下の要件を満たせば、ヘッジ会計の適用は可能

(1) ヘッジ対象とヘッジの有効性の評価方法が文書化
(2) リスクの管理方針に従っている。
※ただし、ヘッジ会計適用までの、ヘッジ手段の時価変動は損益計上

②特例処理を適用していたが、一部繰り上げ返済した場合の取り扱い
⇒ 特例処理の適用を続けることは出来ないが、繰延ヘッジの適用は可能
※特例処理を継続できない理由 ⇒ 特例処理適用の要件(6要件)を満たさなくなるため
※繰延ヘッジは適用できる理由 ⇒ 上記①の理由と同様


15.株式譲渡と株券交付の要否

・株式譲渡時に株券が発行されていない場合、株券を交付してもらう必要があるか。

①定款に株券発行すると記載
 ⇒ 株券を発行してもらう必要がある。
  ※株券発行会社でも、非公開会社ならば、株主の請求があるまで発行する義務はなし
       ⇒ 請求し、株券を発行、交付してもらう必要がある。

②定款に株券発行しないと記載
 ⇒ 株券を発行してもらう必要なし

③株券発行の記載が定款にない
⇒ 株券発行会社と同様の取り扱いになる。


16.公開草案「未実現損失に係る繰延税金資産の認識」の解説

(論点)
・IAS12号「法人所得税」の適用の明確化

(負債性金融商品の未実現損失に係る税効果)
IFRS…負債性金融商品※を公正価値で評価。
公正価値の下落部分について税法の取得原価評価と異なることから、税効果を認識
→ 繰延税金資産を計上
ただし、現状のIAS12号だと、見解や実務に多様性がある
当該、多様性のある論点に対処するため強制的なガイダンスにおいて論点を明確化
⇒当該負債性金融商品の未実現損失に係る税効果の整理を契機に一般的な繰延税金資
産の認識に対しても明確化が図られる

※負債性金融商品:資産側に計上される社債、国債など


17.グローバル税務業務の特徴と問題

■間接税(日本:消費税、欧州VAT、米国SUT等)の特徴
①国によって制度が大きく変わる
例)イギリスのVATは生活必需品は無税、その他は原則20
②改正頻度が高い
例)インドでは毎年税率変更、ブラジルは種類が多い
③複雑なせいどへの対応が求められる
例)EUの三角取引では立場(仲介者、売手、買手)により課税関係・申告国が決定

⇒簡素化規程で申告義務が免除となるが、EU加盟国によって適用条件が異なる

■間接税の具体的な問題
①プロフェッショナルファームへの委託定数料増加
②システム改修費用の増加
例)システム設定の変更、システム間プログラムの変更
③不適切な税率適用による過大/過少申告
例)適切な税率が分からない場合に最も高い税率を採用する等
④税務を担当する部員の業務量の増大
例)改正内容のキャッチアップ、対応


18.使える補助金・助成金vol.2 補助金と助成金の違い

【助成金】
・(受給時期)後払い
・(要件)条件を満たせばもらえる
・(金額)数十万~100万円
・(募集時期)通年

【補助金】
・(受給時期)後払い
・(要件)高倍率 優秀な提案のみ採用
・(金額)数百万~数億円
・(募集時期)年1

※受給後も資料の整理、会計検査院の検査など

《オマケ》経営革新等支援機関の支援を受けた会社のメリット

1.専門家が事業計画策定を支援
2.創業補助金制度
 (前回の勉強会で取り上げました)
3.経営改善設備を取得した場合の特別償却又は税額の特別控除
 設備投資に当って、30%特別償却もしくは7%税額控除
4.融資が有利になる
・保証料率引下げ
(信用保証協会:保証料率▲0.2%)

・日本公庫、商工中金:基準利率から最大▲0.6








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