2014年8月22日金曜日

8/22 勉強会:売上高は総額か純額か 他

1.売上高は総額か純額か

マザーズ上場のラクーン社は「会計方針の変更に伴う業績予想(売上高のみ)の修正に関するお知らせ」を公表し、EC事業に係る売上高の表示方法について、総額表示から純額表示に変更した結果、売上高が約5分の1に減少することになった(利益は変わらず)。

◆情報の整理
・経営者は総額表示により売上高を大きく見せたい
・日本基準においては総額・純額の選定のための明確な基準がない(そもそも収益認識に関する基準が無い)。
IFRSでは代理人取引であれば純額表示と明記されている。

◆判断の分岐点は
・仕入及び販売に関して通常負担すべきさまざまなリスク(瑕疵担保、在庫リスクや信用リスクなど)を負っているか?
・価格決定権があるか?
・顧客に対し役務提供の履行義務を直接的に負っているか?
等の点を勘案し、決定。

◆今後
IFRSや修正国際基準の適用会社が増加するにつれ、
総額⇒純額
に変更する企業が増加すると考えられる。
また同業他社との比較可能性の観点から、投資家から純額表示への変更を求められるケースもありうる。


2.マンション管理組合の収益事業

マンション管理組合⇒法人税法上「人格のない社団」に該当
人格のない社団⇒収益事業のみ課税対象

<マンション管理組合の収益事業>
①駐車場の居住者以外への貸付
②屋上のアンテナ設置料収入
※アンテナ設置料収入については申告漏れが多いので注意
 注意喚起のため国税庁HPに質疑応答事例が追加された。
⇒法人税率255%(所得800万以下は15%)で課税
なお、課税売上が1000万以上の場合には消費税の課税事業者になる。

<参考>
駐車上の貸付について
①空き駐車上について居住者・外部者問わず貸し付ける場合⇒居住者分も含めて全額収益事業収入
②空き駐車上について居住者を優先して貸し付ける場合⇒外部者部分のみ収益事業収入
③一時的に建設業者に貸し付ける場合⇒収益事業収入にならない。


3.所得税:店頭バイナリーオプションと所得税

・店頭バイナリーオプションによる所得は店頭FXによる所得と同様に『先物取引に係る雑所得等の特例』の対象され、申告分離課税が適用される。

FXの所得と通算して引ききれない損失があれば、確定申告により3年間繰り越せる。


4.改正企業結合基準の適用

20163月期から適用 早期適用可能
・適用初年度の処理について、選択肢あり
 ①:すべて遡及した場合の適用初年度期首時点の
   累積的影響額を資本剰余金、利益剰余金に加減
 ②:遡及せず、適用初年度の期首から将来に渡って新基準を適用

⇒早期適用した事例では①はなし。


5.混めば混むほど早くなる? 開発者は現役東大生

・アクセスが増えるほど、サーバーに負荷がかかり、コンテンツ配信が遅くなるのが常識。

・これを解決する技術を開発したのが、現役東大生がメンバーの会社、ミストテクノロジーズ。

・サーバーではなく、同じコンテンツを視聴している最も近いPCからコンテンツを引き出す仕組み。
 →コンテンツ配信業者は、使った分に応じてミストに利用料を払うため、サーバ投資額の変動費化が可能に。

・ミスト経営陣は、将来は会社を売却する予定。
 →上場、資金調達して自分たちで事業を進めるより、大手企業に任せた方が技術の発展・浸透が早いと思っている。






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2014年8月21日木曜日

8/15 勉強会:社外取締役を選任予定でも「相当でない理由」を説明する必要があるか? 他

1.保証債務履行のための土地譲渡と認めず

【事例】
A社(業績悪く国税滞納中)が土地を所有
 ⇒債権者からの取立てを免れるため、土地の名義をB氏へ変更(登記上はA社のまま)
 ⇒国から土地が差押に
 ⇒B氏は土地を売却し、売却代金でA社が延滞していた国税を納付

【争点】
B氏が土地売却した際の譲渡益について、所得税法642項の規定は適用できるか?

所得税法642項・・・経営が傾いた会社に対して保証人が私財を売却して保証債務を履行した場合、その売却益のうち会社に求償できない部分は譲渡所得がないものとできる
B氏は、土地が差押えられた時点で、強制的に債務保証させられたものと同等と主張

【審判所判断】
・適用できない(通常通り譲渡所得がかかる)
A社が登記上正しい名義人であって、B氏の土地所有権は虚偽の権利である
・そもそも、国とB氏の関係において、B氏に債務履行義務があるわけではなく、保証人としての立場でもない


2.検証・IBM事件

■まとめ
132条は同族会社等に関する包括的な租税回避防止規定
 適用対象を「同族会社等」に限定しているだけで 「個別的な事象に対する租税回避防止規定」ではない

・今後は、課税逃れのテックニックの中身について検討することが必要
 経済的合理性(行為の理由、目的)がしっかりしていても結果として租税回避になっている行為は問題とすべき

IBM事件における税法の解釈と適用は、「社会通念」「常識」「正義」「公平」などが非常に重要になる

・過去の社会通念と今のそれは、違って当然。

・規定が制定されたときには考えられなかった行為が増えているが、規定の適用における「制度の目的」と「社会通念」に照らして行為の問題点を判断すればよい。


3.ベンチャー投資税制、未だ認定ファンドゼロ

※ベンチャー投資促進税制とは
会社が経産省認定のファンドを経由してベンチャー企業へ投資した場合に投資額の80%を損金算入することが認められる優遇措置

経産省が定めた認定要件が厳しいため、ファンドが税制適用の認定をうけられない。

原因として
・無限責任組合員による株式上場やM&Aの実務経験が乏しいこと
・実務経験はあるが上場やM&Aを成功させた確率が低いこと

投資者の投資促進に支障をきたす可能性があるため、ファンドへの認定要件のハードルを下げることも検討している。


4.社外取締役を選任予定でも「相当でない理由」を説明する必要があるか?

会社法の改正により、社外取締役がいない上場企業は、株主総会で社外取締役を置くことができない理由を説明する必要がある。

選任が予定されている場合はどうするか?
⇒選任予定がある場合は株主総会での承認が必要となるため、その際に「相当でない理由」を説明しなくてもよいと思われがちであるが、社外取締役がいるかいないかは事業年度の末日で判断することとなる。

従って選任予定の有無にかかわらず、社外取締役が事業年度にいない場合には「相当でない理由」を説明しなければならない

※補足
「相当でない理由」とは、社外取締役を置かない理由のほか、置くことによって会社にマイナス影響を及ぼす恐れがあるといった事情説明をする必要がある
適任者が見当たらないといった説明は×


5.株式譲渡と配偶者控除

≪事例≫
奥さんが昨年株で損をして確定申告。
今年は株で益が出て確定申告。
配偶者控除は大丈夫か?

①口座
・特定口座…通年の取引で源泉税を計算
・一般口座…都度の取引で源泉税を計算
※特定口座の場合は確定申告しなくても良い

②損益通算
・株の損失は、三年間損を繰り延べられる
※確定申告をしないと繰り延べできない
※翌期に益と相殺したい時も確定申告必要

→損益通算で損益をぶつけたとしても、配偶者控除の計算時は昨年の損は考慮しない
→今年の益が基礎控除の38万円を超えてしまうと配偶者控除に影響あり


6.IPO関連

アジア上場③
台湾証券取引所(TWSE

◆市場の構成
・台湾証券取引所・・・日本でいう東証1部・2
・台湾証券取引所グレタイ売買市場ト・・・日本でいうジャスダック・マザーズ

◆主な特徴
・電子部品、半導体関連企業の比率が高い
・個人株主比率が高い
・上場コストが低い
・外国からの投資比率が高い

◆上場に関する形式基準
・直近3事業年度分の財務諸表
・取締役会は5名以上の取締役で構成
・台湾会計基準、USGAAPIFRSが認められている
・台湾公認会計士による監査報告書への署名

◆上場している日本企業
SUMCO
ファミリーマート
セコム
ヨドコウ


7.財務デューデリジェンスに必要なスキル

()財務リスク分析力
※継続性のチェックが重要
)・営業損失、営業C/Fが継続していないか
   ・含み損の大きい資産を抱えていないか
   ・仕入先から不利な条件への変更要求がないか
   ・キーパーソンの退職はないか
   ・特定の部門、人物に重要な権限の集中がないか等

()その他
・ヒアリング技術
(ヒアリング対象者のタイプによって聞き方を工夫)
・無形資産の洗い出し
・コミットメントチェック


8.電子記録債権とは

2008年に電子記録債権法により制度化
・手形、売掛債権等に並ぶ新たな金銭債権
・電子債権記録機関が電子データにより管理
 (債権者及び債務者の名前、支払額、支払期日等)
・紛失や盗難リスクがない
・手形の作成、交付、保管コストがかからない

※手形債権の代替として機能することが想定
 ⇒ 会計処理は、手形債権に準じて取り扱う
※普及状況(20146)
 ⇒ 月末残高 約1,5兆円/月間件数 約5万件


9.組織再編等の株式買取請求制度の改正ポイント

・株式買取請求に係る撤回制限の実効化
 (現行)株主は会社に買取or市場で売却を選択可
 (改正)対象となった振替株式について、買取口座への振替申請を強制
・株式買取請求の効力発生時点の統一
 (現行)代金支払いの時まで、反対株主は株主としての権利を主張できる
 (改正)組織再編等の効力発生日に統一(代金支払いよりも早い段階)
・買取価格決定前の支払制度の創設
 (現行)裁判所が決定した価格により支払い
 (改正)会社自らが公正な価格と認める額を裁判所の価格決定前に支払うことができる
・簡易組織再編、略式組織再編等における株式買取請求
 (現行)簡易組織再編の要件を満たす場合、すべての反対株主に株式買取請求権が認められる
 (改正)簡易組織再編等に反対の株主に対しては株式買取請求権を付与しない

■組織再編の差止請求の改正ポイント
 (現行)略式再編以外の組織再編については、株主に差し止め請求権は付与されていない
 (改正)簡易再編の要件を満たす場合を除く組織再編の場合でも差止請求が認められる


10.詐害的な会社分割等の債権者保護の改正ポイント

 詐害的な会社分割等が行われた場合、残存債権者がどのように保護されるか?

  改正前:承継会社に詐害行為取消訴訟が出来る    →間接的な保護
  改正後:承継会社に債権の履行請求が出来る       →直接的な保護


11.キャッシュ・アウトの改正ポイント

 キャッシュ・アウト・・・現金を対価とする少数株主の締出し
 
 キャッシュ・アウトの手法
  現行会社法:主に全部取得条項付種類株式の取得が用いられている
        →常に株主総会決議が必要であり手間
  改正会社法:特別支配株主が他の株主に対して株式を売渡すよう請求することでCO可能
        →取締役会決議等で出来るようになった
        →法令違反等の場合は取得の差し止め請求が出来る等の株主保護がある


12.ライツ・オファリングによる新株予約権取得者の会計

①ライツ・オファリングとは
・基準日における全ての株主に対して、保有株式数に応じて無償で新株予約権を割り当てる
・割当てた新株予約権を金融商品取引所に上場する
※過去にも無償割当のケースはあるが、譲渡制限が設けられるなど上場を伴わないものでライツ・オファリングとは異なる

②ライツ・オファリングの種類
(コミットメント型)・・・欧州メイン
・証券会社が全て買取
(ノンコミットメント型)・・・日本メイン
・買い取り契約はなく、期限が過ぎれば失効する

③メリット
(取得者)
・割当を受けた株主は払込
⇒新株取得のみならず、市場で売却可能(希薄化による不利益を補填)
(発行者)
・希薄化効果による不利益を補填する機会を与えられる。
・売却されることで、市場を通じて資金調達が可能
⇒資金調達の目標達成。

④会社処理
(取得時)
・既存株主 
  仕訳なし
・市場で有償取得
  新株予約権        ×××  現預金                 ×××
  売買目的有価証券    ×××
orその他有価証券)

(期末時)※予約権時価<取得価額
・その他有価証券として保有
  その他有価証券評価差額金 ×××  新株予約権    ×××
  繰延税金資産             ×××
or
  投資有価証券評価損     ×××  新株予約権     ×××
・売買目的有価証券として保有
  有価証券評価損        ×××   新株予約権      ×××
(行使時)
  A社株式           ×××   新株予約権        ×××
                                                現預金                ×××
(株式売却時)
  現預金             ×××  A社株式                     ×××
                                               有価証券売却損益 ×××
(新株予約権売却時)
  現預金             ×××  新株予約権          ×××
                                              有価証券売却損益  ×××
(新株予約権失効時)
  新株予約権失効損     ×××  新株予約権       ×××


13.混迷のスカイマーク 苦境脱出のスターフライヤー

・スカイマークは、第一四半期決算で「継続企業の前提に関する注記」が加わった

・スターフライヤーは、第一四半期決算で「継続企業の前提に関する重要事象等」が外れた

・スカイマークは秋口の需要減シーズンに備えてリストラとキャッシュ確保(部品、機材を売却、今後は自社所有からリースの割合を増やす)に急ぐ

・スターフライヤーは前期からリストラを進め、かつ18%株主のANAとの共同運行で収益回復

・大手の後ろ盾がなく回復が遅れるスカイマーク
 ANAの助けを得て回復基調のスターフライヤー

・規制緩和によって生み出された「独立系」エアラインは結局うまくいかなかったのか…






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2014年8月10日日曜日

8/8 勉強会:改正会社法で創設の監査等委員会設置会社とは? 他

1.改正会社法で創設の監査等委員会設置会社とは?

H27.4 or 5月施行予定の改正会社法により、監査等委員会設置会社が創設された。

【現行】
・監査役設置会社(多数の上場企業が採用)
・委員会設置会社(少数の上場企業が採用)

【改正後】
・監査役設置会社
・指名委員会等設置会社(旧委員会設置会社/名称変更となる)
・監査等委員会設置会社

■創設理由
・従前の監査役設置会社は、社外監査役がいるものの、監査役は取締役会のメンバーでないため社外視点を反映させることに限界あり
・従前の委員会設置会社は、人事権を持つ指名委員会の設置が義務であり、企業側の抵抗が強かった
・中間的制度として創設された

■監査等委員会設置会社の概要
・監査等委員会が取締役会とは別途に置かれる
・取締役に対する監督を行う
・株主総会において取締役の選解任及び報酬等について意見を述べられる
・メンバー(監査等委員)は、3名以上の取締役でなければならず、過半数は社外取締役
・監査等委員は取締役会にも取締役として参加する
・監査役は置くことができない


2.平成26年度における法人税関係の改正について

■復興特別法人税の前倒し廃止
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より

■復興特別所得税額の法人税額からの控除
 ・復興特別法人税は廃止されたが、復興特別所得税は廃止されていないため、預金利子等から源泉徴収された復興特別所得税を通常の所得税とみなして所得税額控除制度の適用を受けることができるようにした
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より

■寄付金の損金不算入
 ・特定公益増進法人の範囲に次の法人が追加された
  ①地方独立行政法人で、博物館、美術館、動物園等の設置・管理業務を行っている法人
  ②幼保連携型認定こども園を設置する学校法人
 ・適用:平成2641日以後に支出する寄付金より

■所得拡大税制関係
 ・適用期限が平成30331日まで2年延長された
 ・要件の見直しが行われた
  給与等支給増加率「5%」以上
  ①平成2741日前に開始する事業年度:2%以上
  ②平成2741日から平成28331日までの間に開始する事業年度:3%以上
  ③①及び②以外の事業年度:5
 ・適用:平成2641日以後終了事業年度より(経過措置あり)


3.アンテナ設置料収入の申告漏れに注意

マンションの管理組合がアンテナ設置に伴う貸付けを行った場合、
以下理由により法人税等が課される。

   組合が団体として目的を達成するための組織であることが明確である
⇒人格のない社団等に該当する
   組合が当事者となって貸付契約を行っているため、貸付による収入は組合に帰属される
   貸付契約=収益事業を行う貸付業である

∴人格のない社団等で収益事業を行う組合と判断
 ⇒法人税の納税義務の対象となるため課税される。


4.所在不明株主に係る株式

数年所在不明の株主がいて、未払配当金を計上しているケース

①未払配当金に係る処理
 配当に係る源泉税は、配当の支払いがあったとみなして納付

②所在不明株式の自己株取得
 ⇒以下2つの要件を満たせば売買して良い規程がある
  ・株主と連絡が5年以上取れていない
  ・株主が5年間配当を受け取っていない

 ≪仕訳≫
   資本金等 ××× / 未払金 ×××
   利益積立金 ×× / 預り金 ××× ※源泉


5.IFRS適用企業の子会社吸収合併でASBJが見解

◆論点の概要
IFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表上において「適正な帳簿価額」として引き継ぐ場合には、日本基準とIFRSで会計処理に差異がある項目について、そのままの残高で引き継ぐことになる。

例えば、企業結合で取得したのれんや耐用年数を確定できない無形資産については、非償却のベースでの残高で引き継ぐことになる。

よって、以下の点で問題となる。

・企業結合における資産・負債の認識や測定値が日本基準とは異なる可能性があることから、整合的でない。

・子会社化した後に当該会社を吸収合併した場合には、子会社化した時点の企業結合に関する会計処理及びその後の会計処理はIFRSに準拠して行われるため、子会社化することなく吸収合併し日本基準により会計処理する場合とは金額が異なる可能性がある。

◆結論
親会社が子会社を吸収合併する際、IFRSにおける連結上の帳簿価額を個別財務諸表において「適正な帳簿価額」として引き継ぐことは適切でないとの見解。


6.交際費5,000円基準にかかる更正の請求など

■更正の請求
税額等の計算が国税に関する法律の規定にしたがっていなかったこと、または計算に誤りがあったことにより納付税額が過大だった場合、法定申告期限から5年以内であれば更正の請求ができる。

<ケース1>
接待飲食費に該当する交際費につき、50%を損金算入していなかった。
⇒計算に誤りがあった場合に該当し更正の請求ができる(FAQ掲載済)

<ケース2
15,000円以下の飲食費用につき、交際費から除外していなかった。
⇒計算に誤りがあった場合に該当し更正の請求ができる。

■ゴルフ関連(接待飲食費となるか)
①ゴルフコンペ終了後の打上げパーティー(表彰等)
⇒ゴルフプレーと不可分のため接待飲食費にならない

②ゴルフコンペ終了後、一部の参加者を誘って開催した打上げ
⇒ゴルフプレーとは別の催事となるため、接待飲食費になる。

③ゴルフコンペ終了後、一部の参加者を誘って開催した打上げに他の参加者も出席することになり全員参加となった場合
⇒ゴルフプレーとは別の催事となるため、接待飲食費になる(参加人数は判定に影響しない)


7.IFRS論点 中国及びインドネシアにおける土地に関する会計処理

・土地は国のもの。企業は保有できない
・土地の使用権を取得して工場等を建設している

(中国)
・土地は国が所有 国と使用契約締結(30年~50年)
・契約時に一括支払い
・土地使用権は無形資産計上&償却
IFRSだと前払リース料&取り崩し
PLインパクトは同じ

(インドネシア)
・土地を所有できるのは国かインドネシア人。法人は原則不可。
・土地使用権は最長30年、さらに20年延長できる
・僅かな支払で延長できる
・インドネシアの会計基準では使用権を計上し、非償却。
IFRSだと、有形固定資産とする方法、無形固定資産の取得として処理する方法、土地のリースとして処理する方法などの考え方が混在。実務混乱。


8.IFRS「投資企業:連結の例外の適用」

(投資企業の親会社により処理)
投資企業の親会社は、自身(親会社)が投資企業である場合を除き、投資企業である子会社を通じて支配している企業を含め支配している企業を全て連結する。
⇒親会社が投資企業でない場合は、原則全ての子会社を連結する。

(連結財務諸表の作成免除)
投資企業(親会社)が、子会社の全てを純損益を通じて公正価値で測定することを要求されている場合には、連結財務諸表を作成する必要はない。

IFRSにおいては、連結財務諸表の作成免除の要件の1つに最上位の親会社がIFRS準拠の連結財務諸表の作成が挙げられている。
このため、連結財務諸表を作成しない。

投資企業を親会社とする子会社は、形式的には要件を満たさないため、子会社が孫会社等含め連結財務諸表を作成しなければならないという課題がある。

⇒子会社においても、連結財務諸表作成負担を免除することについて、公開草案で解決を図ろうとしている


9.研究開発費に関する会計

 ・会計基準
日本基準→研究開発費はすべて発生時に費用処理(通常一般管理費に計上)
IFRS→研究は費用処理
開発は一定の要件を満たすものは資産計上
 
 ・研究開発費の管理を適切に行い経営管理に活かすことが重要


10.財務デューデリジェンスの基本

()初心者の陥りやすい過ち
  ①財務諸表監査と同様にとらえてしまう
   ・簿外事項の発見が大事
   ・事業や企業活動そのものの理解が大事
   ※内訳チェックだけでは発見しにくい
  ②思い込みで進めてしまう
   ・業績が良い会社→甘いDD
   ・業績が悪い会社→厳しいDD

()ポイント
・DD報告書の様式を活用(漏れ防止)
 (該当がなければ「該当なし」と記録する方式)
・DD実施前に、報告書ドラフトを準備
・エクセル資料は事前に入手・分析
・入手資料は原本1つにする工夫(コピーは極力作らない)
・体系的なファイリング
・報告書完成前でも、いつでも報告できるよう論点まとめ
 (完成しないと報告できないのはダメ)
・論点になる事項は対象会社に文章で意見を求める
・数値算定中(未確定)でも、論点の項目出し


11.連結納税制度の適用に係る対応

1.連結グループにおける繰延税金資産、繰延税金負債の計上手順
 ① 各社ごとに財務諸表上の一時差異に対して税効果を認識
 ② 繰延税金資産、負債を合計。連結固有の一時差異に対して発生源泉となる各社ごとに税効果を認識
 ③-1 法人税に係る部分;連結グループとして回収可能性を判断
 ③-2 住民税または事業税に係る部分:各社ごとに回収可能性を判断

2.繰延税金資産の回収可能性の考え方
 連結所得見積額に基づいて回収可能性を判断(例外あり)

3.例示区分の考え方
 連結財務諸表:連結グループの例示区分
 個別財務諸表:グループと各社のいずれか上位の例示区分
 (連結欠損金がある場合は連結グループの例示区分による)


12.「リキャップCB」が急増 株価への効果は乏しい

・リキャップCBとは…
転換社債型新株予約権付社債(CB)発行と、自己株取得を同時に行い、負債・資本比率を再構築(リキャピタライゼーション)すること。

・一旦株主資本が減るため、ROEが向上し、株価が上がると言われている

・株価が一定以上になればCBが行使され、株式に変わるため、元に戻る

・発行の意図がわかりづらく、発行会社には既存株主の問い合わせが多い






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2014年8月2日土曜日

8/1 勉強会:簡易課税制度における事業区分について 他

1.検証・IBM事件

■まとめ
・国際的租税回避について、現在の税法では対応できない部分がある
 →「同族会社の租税回避」なのか、「国際的租税回避」なのかをよく考える必要あり

・日本IBMが日本で得た利益をアメリカ親会社へ送金しているが、その送金過程で日本において課税されていないことが問題。
 10年間で約12千億円(配当金の金額と自己株取得代金の合計)

 ※132条が創設されたのは昭和40年(約50年前)(その原型は大正12年(約90年前))


2.事業承継活性化で中間報告書をとりまとめ

■まとめ
・中小企業の経営者の高齢化により、今後10年間で約5割超の経営者が平均引退年齢(約70歳)にさしかかる

・後継者不足により、親族外の第三者に承継、事業売却するケースが増加
 →今の事業承継税制ではカバーできない事象が予想されている

・今後の見直し
 ①親族外承継の対象化(改正前:先代経営者の親族のみ)
 ②雇用の8割以上を「5年間平均」で評価(改正前:「5年間毎年」)
 ③利子税の引下げ(2.1%→0.9%) など


3.新株発行めぐり株主の賠償請求を斥ける

アートネイチャー:代表取締役らに新株発行
株主:発行価額が著しく低廉では?→株主代表訴訟

株価算定:税理士法人が実施(時価純資産法)
└時価純資産法@900vsDCF法@4,544

裁判所:株式価値は公正な価額であると判断
→根拠:算定方法や結果に不合理な点はない。
 └①株価算定に時価純資産価額法を用いたこと
 └②土地について路線価に基づく簡易な方法により時価を評価したこと
 └③取引相場がわからない資産は簿価を評価額としたこと


4.簡易課税制度における事業区分について

事業区分のトラブルが多く発生しているので、
適用対象者の業種だけで判断せずに取引内容をしっかり把握する必要がある。

   卸売業と小売業においての区分方法
購入者が事業者であるか否か判断できない。
    領収書等の相手先が○○商店や業者など⇒事業者(1)
    相手先が明確に判断できない⇒事業者以外(2)

   飲食サービス業と宿泊業との関係
飲食代と宿泊代が明確に区分されている⇒飲食分(4)、宿泊分(5)  
飲食代込の宿泊料である⇒宿泊分と考え第5

   不動産業について
不動産を購入して譲渡した⇒第1種または第2
建築をして譲渡した⇒第3
不動産の仲介・賃貸⇒第5(H27.4.1以後は第6)


5.修正版IFRSは「修正国際基準」に名称決定

企業会計基準委員会(ASBJ)は724日、日本の修正版IFRSの公開草案を決定し、名称は「修正国際基準」に正式決定した。

以下、修正された主な会計基準は以下の通り。

   のれんの処理について
   企業結合で取得したのれんは、耐用年数にわたって、定額法その他の合理的な方法により、規則的に償却するようIFRS第3号「企業結合」の規定を修正等している。
また、関連会社又は共同支配企業に対する投資に係るのれんについても同様。

なお、のれんの耐用年数はその効果の及ぶ期間によるが、20年を超えてはならないとしている。

開示に関しては、のれんの償却方法及び耐用年数並びにのれんの償却額が含まれている。

包括利益計算書の表示科目等を開示するようにIFRS第3号の規定を修正等している。

   その他包括利益の処理について
その他の包括利益の会計処理については、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品への投資の公正価値の変動」、「純損益を通じて公正価値で測定する金融負債の発行者自身の信用リスクに起因する公正価値の変動」、「確定給付負債又は資産(純額)の再測定」に関して、ノンリサイクリングとしている規定を修正等し、リサイクリングするようにしている。

今後は日本基準、米国基準、IFRS、修正国際基準の4つの会計基準が並存することになる。


6.アジア上場②

シンガポール証券取引所(SGX

◆市場の構成
・メインボード・・・日本でいう東証1部・2
・カタリスト・・・日本でいうジャスダック・マザーズ

◆主な特徴
・外国企業の占める割合が非常に高い(2012年で40%)
・インドや中国等のアジア諸国への足がかりとするケースが多い

◆他のアジア市場に比しての優位性
・上場申請書類、開示書類を英語で作成するのみで良い
・会計監査人にシンガポールの会計事務所を必ずしも起用する必要が無い
・低い法人税率(17% その他軽減税率あり)
・リーガルコストが低い傾向にある

◆上場している日本企業
野村HD
村田製作所
MARUWA
ジークHD(カタリストへプライマリ上場した初の日本企業)


7.法人税:子会社が解散し残余財産の分配をした場合の処理

■前提
親会社A B株式の帳簿価額1,000
100
子会社B 資本金等の額1,200万 金銭で3,000万を分配

<親会社A
現金 3,000/みなし配当 1,800
      / B株式 1,000
      /資本金等の額 200

☆ポイント
①分配金銭のうち、子会社の資本金等の額を超える部分は配当とみなす
②譲渡損益は計上せず、資本金等の額の増加として処理

<子会社B
☆ポイント
確定申告書の提出期限は残余財産分配日の前日まで
(注)申告期限の延長をしている場合でも延長の適用なし


8.法人税:タックスヘイブン税制の事業基準をめぐる事案 (名古屋審判所)

自動車部品等の販売を行うXのシンガポール子会社Y(特定外国子会社等に該当)が、TH税制の適用除外規定の要件のうち[事業基準]満たしているかが争われた。

●規定
•適用除外規定(4つ全て満たす必要がある)1つである事業基準では、[主たる事業が株式の保有等一定の事業に該当しないこと]とされている。
•複数の事業がある場合の主たる事業は、収入金額又は所得金額の状況、使用人の数、固定施設の状況等の具体的・客観的な事業活動の内容を総合的に勘案して判定される。

●事実関係
Yは株式保有による配当収入とサービス業売上による収入を得ており、配当収入が売上の75%を占めていた。
•従業員は全員がサービス業に従事していた。
•全従業員がサービス業に従事している点を根拠に、XYの主たる事業はサービス業であるとして、YTH税制を適用せずに確定申告した。

●判断等
•税務当局は売上構成を重視し、Yの主たる事業は[株式の保有]であるとして、Xの申告漏れを主張した。
•審判所は税務当局の主張を指示した。
•株式保有は事業規模によって必要な従業員数が増減するものではないため、従業員数を主たる事業の判断基準とするのは合理的ではない。
というのが判断の理由。


9.修正国際基準(JMIS)公開草案

・のれんは20年以内で規則的の償却


10.スカイマーク 決算発表2時間遅れ

73115時発表のはずが、17時発表。
・「継続企業の前提に関する注記」で最後までもめた
LCCに押されて収益減
・エアバスに損害賠償

・助ける金融機関はあるか






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