2014年5月30日金曜日

5/30 勉強会:上半期の新規上場企業数は27社 他

1.架空の業務委託契約による売買価額の分散を認めず

(請求人の不動産購入行為に事実の仮装なし)
【事例】
A社が土地付き建物を、総額222Mで購入
180Mは売主に、42Mは仲介業者へ支払(契約を別締結)
180Mを土地・建物の取得価額に按分 + 42Mを建物の取得価額に参入
42Mは土地・建物の取得価額に按分すべきだったとして修正申告

180M42Mに契約を分けたのは、仮装隠蔽行為に該当するか?
※上記③の経理をしたことは、仕入税額控除を過大計上する意図があったのでは?

【審判所判断】
・仮装隠蔽行為に該当せず(重加算税の対象外)
・契約を分けたのは、売主側の都合(A社は主導していない)

・『隠蔽』
 →課税標準等の基礎となる事実を隠蔽し、又は故意に脱漏したこと
・『仮装』
 →所得、財産、取引上の名義等に関し、故意に事実を歪曲したこと


2.ヤフー判決で組織再編実務の常識が崩壊

■まとめ
・法人税法132条の2の適用
 「事業上の目的」「事業上の理由」ではなく「組織再編全体として見た場合、組織再編税制の趣旨・目的に明らかに反している」とき

・今後は、事業上の目的・理由だけでなく、税負担減少効果が組織再編税制の趣旨・目的に沿っているかという視点が求められる

≪専門用語:マージン課税≫
・消費税の課税をインボイス方式にした場合、個人、免税事業者はインボイスを発行できないので、それらからの仕入について、仕入税額控除が出来ないという問題が生じる
・この問題の解消のため、収入-原価=利益(マージン)をもとに消費税を計算する制度のこと
・ヨーロッパの一部では導入済み。主に中古取引などが対象となる


3.先端設備リースの会計処理、変更点は?

■リース手法を活用した先端設備等導入促進補償制度推進事業
平成26年度中にリース会社が、先端設備等のリース取引を契約し、リース期間終了後から1年以内にリース物件を売却した際の損失の1/2を補填
※各種条件あり
※リース会社は事前に一定の補償料を支払う

■リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借り手の会計処理(案)
・ファイナンスリースかどうかの判断
→他のリース取引同様に判断

・再リースに係るリース期間を解約不能のリース期間またはリース料総額に含めるか否か
→他のリース取引同様に判断

・リース取引開始日後にリース取引の契約内容が変更された場合
→ファイナンス・リース取引かオペレーティング・リース取引かの判定を再度行う


4.裁判事例から学ぶ法人事業税・資本割の留意点

■株式交換を行い子会社株式を取得した場合、外形標準課税の軽減措置が受けられる

外形標準課税軽減額=資本金×子会社株式の簿価/総資産の簿価

子会社株式の簿価についての定めが曖昧
⇒法人税法上の簿価 : 株式交換直前の簿価
会計上の簿価 : 株式交換後の簿価

・裁判所の決定
⇒法人税法上の簿価
※外形標準は地方税であるが、法人税法を適用することが妥当との判断(高裁で審理中)


5.消費税確定申告の留意点 264月決算法人

<適用税率を誤りやすいケース>
①計上もれの売上を決算整理で計上する場合
263月までの売上は5%264月の売上は8

②売上等の締日が月末でない場合
⇒たとえば20日締めの場合、3/213/31分は5%4/14/20分は8%

③経過措置の対象取引がある場合
⇒経過措置対象取引は5%(EX259月契約工事が4月に完工した場合)

④売上に係る対価の返還があった場合
263月までの売上に係る返還は5%264月分の返還は8%


6.上半期の新規上場企業数は27

■上場企業数の前年同期比
前年同期20社に対し、7社増

■主幹事証券の推移
・2013年度
野村証券 8
みずほ証券 4
大和証券 3
SMBC日興証券 2
SBI証券 2
三菱UFJ証券 1

・2014年度
野村証券 9社(占有率40%33%
みずほ証券 4
大和証券 4
SMBC日興証券 4
三菱UFJ証券 3
その他中堅 3

中堅証券(いちよし、東海東京、東洋)が主幹事を努める会社が0社⇒3社と増加
また、メガバンク系証券(みずほ、日興、三菱)が7社⇒11社(35%40%)と増加

■騰落率
公開価格>初値 となった会社

2013年 0/20社(年間を通しても1社)
2014年 5/19社(528日現在)

2013年はIPO=騰がるであったが、2014年は冷静な銘柄の選別が行われている印象。


7.消費税:H26.3期決算向け改正チェック  事業者免税点制度

基準期間における課税売上高による判定で免税事業者となる場合でも、特定期間()における課税売上高または給与等の金額が1,000万円を超える場合には、課税事業者となる。
()原則として、前事業年度開始の日から6ヶ月の期間

■前事業年度が『短期事業年度』に該当する場合には、前々事業年度を用いて判定する特例がある。
⇒前事業年度が8ヶ月未満の場合には、特例による判定方法の確認をする必要がある。
設立や決算期変更があった場合は特に複雑。
(参考)


8.IPOビフォーアフター

・今年のIPOはすでに19
・引き続き活況
「上場後、明らかに応募者の質・量が上がった」


9.リニア革命

2027年品川―名古屋間開業
2045年名古屋-大阪間開業
・時速500キロで、品川-名古屋間は40分、大阪までは67分になる。
・東海道新幹線が大阪に伸びたときは「ストロー減少」で大阪が衰退
※「いざとなったら日帰り出張できる」ということで大阪の会社が東京に本社移転。

・リニアの駅は、「11駅」
→駅があっても人が降りてくれるわけではない。
→長野県飯田市は、観光資源開発を目指す(ヘリコプターによる山岳観光など)

・名古屋-大阪間は京都ルートにするか奈良ルートにするかで両市が火花




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2014年5月23日金曜日

5/23 勉強会:資産除去債務に係る税効果(ポイント) 他

1.同族会社の行為計算否認で貸倒損失の損金算入認めず

【事例】
※会社A,B,Cは関係会社
AB 会計業務を営業譲渡
BC 会計業務を営業譲渡(①と同時)
Bは、Aに対する貸付金について、『全額回収不可能』として貸倒損失を計上

【審判所判断】
・実質的には、ACへと営業譲渡されている
Bを経由したのは、BAに対する貸付金を消滅させることが目的
ABは同族会社・同じ代表者であったことから行われた行為
⇒同族会社の行為計算否認を適用


2.特定役員への就任を132条の2で否認することは可能か

・ヤフーの社長IDCFの副社長に就任
 →買収、合併のスキームに従って行った行為
 →副社長就任後、特定資本関係が生じるまでの期間が短い
 →合併をしないとしても副社長になったか?が重要

・税金を意図的に減らすという意図よりも法令解釈の基本を踏まえて裁判所は対応した

・結論
 副社長に就任することにより、みなし共同事業要件を形式的には充足したが、欠損金の引き継ぎを認めると、組織再編税制の趣旨・目的に反することが明らか。
 従って、副社長就任は、132条の2にいう 「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当する。


3.相続株式の評価額を巡る判決に基づく更生の請求は可能か?

「税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決」により、当初申告の税額が過大となった場合
 →更生の請求期限経過後でも、更生の請求可能(国税通則法2321号)

■下記、事案では「国税通則法2321号」が適用できるのか?
(裁判A)
・当初相続税評価額1,083/株で申告
→申告後、被相続人が生前に642/株で関係会社に譲渡することを約束していたことが判明
→相続人はその約束に基づき譲渡した
→相続人は、差額441円(1,083-642)の損害賠償を求める訴訟
→訴えは棄却された

(裁判B)
・相続人は642円で更生の請求を行ったが、税務署が認めなかった。
→処分取り消しの訴訟を提起

■結論
更生の請求は認められない。(納税者は控訴中)

■理由
今回の裁判は不法行為に基づく損害賠償請求権等であり、本件株式の帰属自体ではないため。
=税額等の計算の基礎となった事実の存否、効力等が直接審理の対象とされていない


4.合併当事者以外の欠損金等の引継ぎ制限

Q
  ・A社はB社と合併
 ・B社は欠損金のあるC社と合併していた(A社との合併2年以内)
 ・含み損のあるC社を合併したB社を合併するA社は、当該含み損である欠損金を引き継げるか。

A
  ・B社がC社から引き継いだ資産は特定資産に該当
 ・特定資産は損金算入不可(B社とC社の合併がA社とB社の合併の時から3年以内の為)


5.業績好調に伴う決算賞与の支給

・期末に決算賞与を支給する
・一定の要件を満たす場合に損金算入が可能
 (税金の減額、会社負担分を減らすために賞与を支給する。)

■決算賞与の損金算入の要件
・期末までに支給額を個別に通知
・未払で処理
・決算日後1ヶ月以内に支給(賞与通知書などの証明書類を保管する必要あり)

■注意点
・支給に伴うキャッシュへのインパクトが大きい
・翌期以降の決算賞与支給につき業績を見極める必要あり
・給与規則等で支給日在籍要件が決められている場合は全額否認されるリスクあり


6.限定付適正意見なら内部統制監査は免除されず

◆改正案の内容
通常国会に提出されている「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」では、一定の新規上場企業(資本金100億円以上または負債総額1,000億円以上の企業は対象外)については、3年間に限って内部統制報告書に対する公認会計士監査を免除するなどの見直しが盛り込まれている。
一方で、該当企業の財務諸表監査において「限定付適正意見」が付された場合には、内部統制報告書の監査の免除は受けられないことが明らかとなった。

◆内部統制監査の免除を受けた場合
①財務局の証券監査官が財務諸表と内部統制報告書のレビューを毎年行う。
②上場の事前相談の際に、財務局の証券監査官から、上場予定企業に対し、「公認会計士による内部統制報告書の監査を受けないことを選択する場合には、企業が自ら全責任を持って内部統制報告書の適切性を確保しなければならない」ことについての理解を確かめる。

◆過去の限定付適正意見で上場した事例
200712月にマザーズに上場した、スタートトゥデイにおいて限定付適正意見(棚卸立会未実施)が付されたケースがあったが、ここ数年ではその1社のみである。


7.【所得拡大税制】263月期が赤字の場合の上乗せ控除について

■給与等支給増加割合の改正
適用要件が5%以上⇒2%以上(2641日以後終了事業年度から適用)に改正された。

■上乗せ控除制度
263月期に旧要件(5%以上増加)は満たさないが新要件(2%以上増加)を満たしている場合
263月期では控除できないが、273月期に2事業年度分の控除ができる。

(例)263月期の増加割合が3%⇒旧要件×、新要件○
273月期に263月期分もあわせて控除できる。

<今回の本題>
263月期が赤字の場合の留意点
①旧要件(5%以上)を満たしている場合
⇒控除限度額が法人税額の20%(中小は40%)とされているため、赤字の場合は控除額ゼロ。翌年への繰越もなし。

☆所得拡大税制では「繰越控除(控除限度額を超える金額を翌期で控除する制度)は認められていない。
よって旧要件を満たしていて赤字の場合、打ち切りで終わり。

②旧要件×、新要件○の場合(上乗せ特例ありのケース)
273月期で2事業年度分控除可(273月期の法人税額をもとに限度額を計算)

263月期の控除限度超過額を繰り越して控除をするわけではなく、
まったく別の規定を適用しているため、263月期の所得には影響されない。


8.消費税:賃貸物件の用途変更

消費税上、居住用建物の家賃は非課税取引、それ以外の建物の家賃は課税取引とされる。
居住用として、非課税取引扱いをするには、契約により居住用である旨の定めが必要。
課税取引とする場合には、特に定めは不要。
賃借人が居住用に用途変更する場合には、契約の巻直しが必要となる。


9.追加取得による子会社化

・子会社の取得が複数回の取引で行われた場合
・支配を獲得するに至った個々の取引すべてについて、企業結合日の時価で取得原価とし、差額は損益とする。
 ※企業結合日の時価で含み損益を認識する


10.ソフトウェアの「賞味期限」

()最近多発している情報流出の経路
  ①事故
  ②内部からの故意
  ③外部からの攻撃(ウィルス等)

()外部から攻撃されるのは大企業に限られない
→従業員数251500人の中堅企業が最も狙われている

()対策:セキュリティ更新プログラムの適用
Windows XP サポート終了済み
Windows 7  20201月サポート終了予定
Windows 8  20231月サポート終了予定
※購入前にサポート期間(ソフトの賞味期限)を確認すること


11.H263月期 有報作成上の留意点

1.退職給付会計基準等の改正
 ①未認識項目の処理方法の見直し
  ⇒未認識項目をその他の包括利益累計額で認識
 ②開示の拡充
 ③退職給付債務及び勤務費用の計算方法の見直し
  ⇒退職給付見込額の算定方法につき、現行は原則期間定額基準
  ⇒改正後は期間定額基準と給付算定式基準のいずれかを選択適用

 ・適用時期
  ①②⇒H2541日以後開始年度末より
  ③ ⇒H2641日以後開始年度期首から
 ・いずれもH2541日以後開始年度期首から早期適用可能
 ・遡及適用しない

2.S/Sの様式の改正
 ・前連結会計年度に数値がなくてもバーを記載

3.連結F/S等の改正
 ・特別目的会社の取扱い、子会社等の範囲の見直しに係る取扱い等を改正
 ・H2541日以後開始年度期首から原則適用

4.税効果に関する注記
 ・復興税前倒し廃止によりDTADTLが修正されたときは、その旨及び修正額の記載を注記



12.資産除去債務に係る税効果(ポイント)

・資産除去債務に係る将来減算一時差異と除去費用に係る将来加算一時差異は相殺しない
(理由)
・解消スケジュールがことなるため
・将来減算一時差異について繰延税金資産を計上するが、無条件に計上するわけではなく回収可能と認められる部分についてのみ計上する。

(参考)
資産除去債務
会計上:負債に該当
税務上:負債に該当しない
⇒将来減算一時差異(繰延税金資産)

除去費用
会計上:資産に該当
税務上:資産に該当しない
⇒将来加算一時差異(繰延税金負債)


13.営業秘密の不正利用

■不正競争防止法
 ⇒営業秘密(顧客リスト・特殊な技術等)を不当に使用されたときに、裁判で営業活動の差し止めを求めることが出来るかどうか?

■裁判で認められた事例
 ・営業活動の差し止め
 ・損害賠償請求
 ・顧客情報のコピー等の差し止め 等

■不正競争防止法に抵触する例
Xさんが前職A社で使用していた顧客リストを退職時に持ちだす
 Xさんが転職先のB社でA社の顧客リストを使用して営業する

②東芝の業務提携先メーカーの元技術者が、ライバルの韓国企業へ技術流出


14.アリババの正体

【大株主の構成】
ソフトバンク:34.4% → ただし4.4%部分の議決権行使は契約で止められている
ヤフー(米国):22.6% → ピーク時は40%を保有 半分は買い戻された

上場後、ソフトバンクの影響力を減らすことを目論む?

【収益力】
売上はイーベイの3倍、楽天10倍以上
なぜ強いのか? → 中国の人口が多いこと、中国が「不便なこと」

①【小売】
・中国内陸部には先進的な小売店が少ない
・偽物も多い

②【金融】
・中国の銀行金利は普通預金が0.35%、定期預金3%
インフレ率が3.5%なので、実質的にマイナス金利。
金利が自由化されていない。

・アリババのサービス「余額宝」は、1元から可能な金融商品。
アリババ上で簡単に換金、決済可能。

ピーク時の金利は7%(現在は5%




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2014年5月19日月曜日

5/16 勉強会:【接待飲食費Q&A】ポイント 他

1.グリーン投資減税制度から除外された設備は?

【主な除外設備】(H26.4.1以後に取得する場合、対象とならないもの)
LED照明
・ガス冷房装置
・高断熱窓設備 等
(合計12設備)
⇒除外されたものは、「生産性向上設備投資促進税制」で税制優遇を受けられる可能性あり

※グリーン投資減税制度と比較して、要件は厳しくなるが、
 -中小企業でなくても税額控除ができる
 -28.3.31まで即時償却制度が使える(グリーンの場合は、27.3.31まで)
など、メリットもある


2.裁判所による法人税法132条の2の解釈

132条と132条の2の租税回避の判断基準は異なる

132
・経済合理性や事業目的の有無によって判断すべき
・「租税回避以外に正当な理由、事業目的が存在しないと認められる場合」に限って租税回避となる

132条の2
・その創設の趣旨・目的を踏まえて判断すべき
・「税負担の減少効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的または個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるもの」は租税回避に当たる

■参考
・法人税法132条:同族会社等の行為又は計算の否認
・法人税法132条の2:組織再編成に係る行為又は計算の否認


3.四半期の企業結合に係る会計処理決定へ

(企業結合に係る暫定的処理について)
企業結合の際の取得原価を配分する作業が、決算前に完了しなかった場合
→決算においては、その時点で入手可能な情報を元に暫定的に会計処理を行う。
→翌期に確定後、取得原価の配分額の見直しを反映させる

■四半期会計基準での取扱い
従来:明示されていない
改正後:
・企業結合日の属する四半期会計期間に遡って会計処理を行う。
・確定した旨を注記
・1株当たり情報を遡及

→平成2741日以後開始事業年度の期首以後に実施される企業結合から適用
(平成2641日以後、早期適用も可)


4.接待飲食費、ゴルフ等の飲食費は対象外

・国税庁の接待交際費に関するFAQ
◇飲食費の対象(損金算入)
例①自社従業員が得意先を接待するための飲食代
②飲食のためのテーブルチャージ
③飲食のための会場費
④得意先との業務遂行のための弁当代
⑤飲食店での飲食物を持ち帰るための費用

◇飲食費の対象外(損金不算入、交際費に該当)
例①ゴルフ等に伴う飲食代
②接待の為に得意先を送迎するための送迎費用


5.消費税転嫁対策調査、税込価格”据え置き”に照準

公取委は転嫁対策調査に税率引上げ後も価格を据え置いている企業をターゲット

◇税込み価格”据え置き”は買いたたきの可能性大
・税込み価格を据え置くと売上高が税率上昇分減少
 →売上減少分を納入者に負担させる可能性大
 →買いたたきの可能性大
※買いたたきと判断された場合重大な違反があれば『勧告・公表』がなされる


6.決算期変更による節税案

①決算期直前に突発的な収入が生じた場合に有効。
②決算期変更により翌期へ繰越した収入について、1年かけて税金対策を検討する猶予がうまれる。

()
3月決算法人において3月半ばに突発的な収入が生じた。
・決算期を2月決算へ変更し、一時的に臨時収入分の納税負担を回避することが可能となる。

・翌期へ繰越された臨時収入分につき、事業年度を通じて税金対策を検討する猶予が可能となる。 主に費用項目を増額し課税所得を少なくする。

<手続>
・定款変更に伴う株主総会の特別決議が必要
 (議事録の作成必須、登記は不要)
 ⇒書面上、2月末日までの日付を記載すること

・税務署等へ事業年度変更に伴う異動届出書の提出が必要
 ⇒申告書の提出期限(4月末)までに提出すること

<変更への意思決定>
・遅くとも決算日の半月前までに決定する必要あり
 ⇒変更後の納期限日を考慮すること



7.不適切な会計・経理を公表した会社が過去最多(東京商工リサーチの調査結果より)

2013年度(20134月~20143月)に「不適切な会計・経理」で過年度決算に影響が出た、あるいは今後影響が出る可能性を開示した上場企業は38社だった。
2012年度(27社)と比べ1.4倍増で、2007年度に調査を開始以来、最多を記録した。

◆発生当事者 「会社」が13社でトップ
1・会社 13
2・子会社・関係会社 12
3・役員 8
4・従業員 5

役員による不正が2012年度の2社に比して大幅に増加している。

◆業種別 運輸・情報通信業が9社で最多
1・運輸・情報通信業 9
2・サービス業 7
3・製造業 卸売業 各6
4・小売業 5

◆市場別推移 ジャスダック13社でトップ
1・ジャスダック 13
2・東証1部 10
3・東証2部 東証マザーズ 地方上場 各5

◆増加の要因について
役員による不正が増加していることからも、業績低迷による会社ぐるみの不正が増加している。
一方で監査法人の監査の厳格化、証券取引等監視委員会の検査の活発化したことも大きい。


8.【接待飲食費Q&A】ポイント

■改正内容
中小法人以外の法人について「接待飲食費」の50%相当額につき、損金算入が認められることになった(中小法人は年800万との有利判定)

■接待飲食費に該当しないもの(抜粋)
 ゴルフ・観劇・旅行等の催事の一環として行われる飲食
⇒催事に吸収される行為のため非接待飲食費
(注)旅行解散後に一部の取引先を誘って飲食した場合は接待交際費となる。

■接待飲食費に該当するもの(抜粋)
・親会社の役員等の接待のための飲食費
・自社から出向している者が、出向先の役員等として参加する場合の飲食費
(注)自社の懇親会に、出向中の役員等が自社の役員等として参加する場合は、社内飲食費となり非接待飲食費。

■帳簿記載事項
・年月日
・相手方の名称&その関係
・飲食店名
・その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項


9.消費税:みなし仕入率改定 9/30迄の提出で旧みなし仕入率

H27.4.1以後に開始する課税期間から、金融保険業、不動産業のみなし仕入率が下がる。
H26.9.30迄に簡易課税選択届出書を提出すれば、強制継続適用期間(2)は旧みなし仕入率が適用される。

例①
3月決算法人がH26.8.1に提出
H28.3月期、H29.3月期が旧みなし仕入率

例②
3月決算法人がH26.3.1に提出し、H27.3月期より簡易課税
H28.3月期は旧みなし仕入率、H29.3月期は新みなし仕入率

例③
3月決算法人がH25.3.1に提出し、H26.3月期より簡易課税
H28.3月期、H29.3月期ともに新みなし仕入率適用(特例適用なし)


10.加速型自社株買い(ASR

・予め契約した金融機関から、一度に大量の自社株を取得する手法
・日本ではまだ事例なし

スキーム
A社が自己株式100万株の取得を計画
B証券がA社株式を貸株で調達
A社はB証券から100万株を10億円で取得
B証券は6ヶ月間で市場からA社株式を12億円で取得(その後、貸株返済)
A社はB証券に差額2億円を支払(現金かA社株式で決済)
⇒処理にルールがなく企業会計基準の新規テーマ候補になっている。


11.固定資産〈減損損失を計上しないための施策〉

()減損損失
  投資額の回収可能性を評価し、業績悪化等により回収が見込めなくなった時点で減損

()減損しないための施策
・営業活動の改善
・使用範囲、使用方法の変更(異なる用途への転用)
 →転用は「減損の兆候」
 →ただし、明らかに評価を増加させる転用は減損の兆候にあたらない
・経営環境の改善
 →経営環境の悪化は「減損の兆候」
・将来キャッシュフローの改善
 →減損の兆候が識別されても、
  将来C/Fの総額が帳簿価格を下回らなければ減損不要


12.買主による対象会社の情報収集

買主が独自に入手できる情報は以下の通り。
・法定開示書類→有報等
・取引所関係資料→適時開示資料等
・任意開示資料→会社パンフ等
・官公署や業界団体公表資料→会社登記簿等
・株主等の利害関係者として閲覧可能な資料→株主総会議事録等
・民間調査会社→帝国データバンク等の調査報告書
・その他→新聞雑誌ネット上の記事


13.社外取締役の探し方

議決権行使助言会社であるISS社(Institutional Shareholder Services Inc.)は下記の場合、独立性が無いと判断されるとしている
・会社の大株主である組織で勤務経験あり
・会社のメインバンクや主要な借入先で勤務経験あり
・会社の主幹事証券で勤務経験あり
・主要な取引先である組織において勤務経験あり
・会社の監査法人において勤務経験あり
・コンサルティングや顧問契約など重要な取引関係が現在ある、もしくは過去にあった
・親戚が会社に勤務している

⇒従来からのメインバンク、取引先、監査法人、法律事務所からの受け入れは会社法改正案の要件は○
しかしISSの基準は満たさないため、ISSが反対を推奨する場合には選任されない可能性がある。

⇒対して日本版スチュワードシップ・コード(金融庁)は「機関投資家が議決権行使助言会社のサービスを利用する場合でも、機械的に依拠せずに投資先企業の状況や対話の内容等を踏まえて自らの責任と判断で行使すべきであり、仮に議決権行使助言会社のサービスを利用している場合は、行使結果の公表に合わせ、利用している旨及びどのように活用したかについても公表するべき」としている。

具体的にどう探すか
⇒人材紹介会社の利用、コンサルタントによる紹介、日本取締役協会データベース


14.役員給与の税務

■利益連動給与
 業績連動型の報酬。要件を満たせば損金算入OK
  ・算定方法が客観的な数値であり、具体的
    ※例 経常利益の5% …×
         1億円を上限  …◯
  ・利益が確定した一ヶ月以内に支払われるor支払われる見込み
  ・損金経理をしている
  ・非同族会社である

■経済的利益
 定期同額給与=定期給与+一定の経済的利益
 所得税の給与計算において非課税とされるものは経済的利益としない
 
 ・生命保険料(年払いでも定期同額給与に含む)
   ※3ヶ月以内の改定が必要なのは定期給与のみ

■使用人兼務役員
 法制上はあくまでも役員

 ・使用人賞与
   ※同族会社の場合、株式所有割合に注意


15アプリ提供業者の消費税納税

【アップストアでアプリを提供した場合】
・取引形態=国別に代理店と取引
・「海外取引の証拠」=代理店との取引記録
→海外売上分は輸出免税

【グーグルプレイでアプリを提供した場合】
・取引形態=個人と直接取引
・「海外取引の証拠」=グーグルから提供される「国別売上高データ」のみ
→海外売上の証拠「なし」となり、輸出免税なし

※輸出取引の証明には、販売先の氏名・住所が必要
→グーグルは個人情報保護のため情報提供を拒否

国税が、今になって過去数年分さかのぼって消費税を徴収開始。
(ガンホーが応じてしまったため他社にも広がっている)





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