2019年9月13日金曜日

9/6 勉強会:日本基準とIFRSの違い_引当金 他

1.海外子会社役員への株式報酬にニーズ

海外子会社の外国人役員に日本の親会社の株式報酬を付与したいというニーズがある。

■問題
・付与するには証券会社に常任代理人業務を引き受けてもらう必要があるが、手間やコンプラリスクがあるため、証券会社は引受けに消極的。
・企業側でも海外税制、証券規制、為替規制等について高額な調査費用がかかる。

■解決策
・ストック・アドミニストレーション※というサービスを提供する企業が日本に進出して来ている。
このサービスにより企業は低コストでの情報収集とリスク管理が可能。
※タックスヘイブンに信託を創って日本の親会社の株式をプールし、そこからグローバルに株式報酬を付与するスキーム。





2.経済合理性が認められた組織再編等スキームとは

■事例
・国内、海外合わせて9社あまりの組織再編(うち、国内法人5社を合併)
・同族会社である海外法人から対象会社(日本法人)が多額の借入(合計1361億円)
・当該借入は、対象会社以外の日本法人株式(他のグループ会社が保有)を買い受けるための資金
・海外法人に対する支払利息を損金算入
⇒株の買付資金として多額の借金したが、グループ内での株の売買にあてられ、最終的には合併
⇒支払利息の負担が、法人税額を不当に減らす行為として、行為計算否認。更正処分を受けた。
⇒ただし、違法な処分として訴えたところ、東京地裁では請求が認容された。

■経済合理性の説明
・一つ一つの行為が、組織再編の目的と整合しているか
・組織再編の目的(複数)を同時に達成しようとすることの合理性と原告から見た経済合理性を考慮
(例)本件組織再編では以下のような目的があった
(1) 日本における会社関係を1つの会社の傘下にまとめること
(2) 日本における当該事業の会社を1つの法人にまとめること
(3) 日本の資本構造に借入金を発生させること
(4) 米国税制の観点から柔軟性を有する日本の企業体を活用すること など、8つの目的が掲げられていた。





3.消費税率引上げ後の不正還付に強い懸念

■東京国税局長、美並氏のインタビュー
重点施策の1つとして調査事務を掲げた。
⇒消費税担当者の増員し、情報収集・分析、調査企画の量的な面での向上を図る。
⇒国際的な取引はCRS(共通報告基準)に基づく金融口座情報を有効活用することにより、海外取引や資産を的確に把握し、税務調査等を実施していく。
⇒シェアリングエコノミーなどの新分野の経済活動への対応は、お尋ね文書を送付するなど、取引内容を確認し、厳正な調査を実施する。





4.相続開始=地位の継承事実を知った時

・民法において、「相続人は相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、単純もしくは限定承認又は放棄しなければならない」と規定されている。

・再転相続においても、「相続の開始があったことを知った時」から起算される。
⇒具体的には、相続の承認または放棄をしないで死亡した者の相続人が当該死亡した者からの相続により、相続人としての地位を自己が継承した事実を知った時である。





5.収益認識基準、2021年4月1日から適用へ

■概要
収益認識会計基準の注記事項、表示の取扱いに関して、ASBJにて検討を行っており、2020年3月末までに公表する予定である。その前提で、これらの注記事項等の取扱いを盛り込んだ改正後の収益認識会計基準がいつ適用開始となるか。

■結論
注記事項等を定めた改正後の収益認識に関する会計基準は、2021年4月1日以後開始する事業年度等の期首から適用する方針。2020年4月1日以後開始する事業年度等の期首から早期適用可能。



6.裁決例 財産評価通達6項の適用による節税防止

■財産評価通達6項
評価通達の定めにより評価することが著しく不適当な場合に国税庁長官の
指示で評価する定め

■概要
・被相続人Aは銀行借入(8億円)により不動産Bを8.3億円で購入
・相続時における不動産Bの評価通達による評価額は2億円
・借入金8億円を債務控除して申告、納税0
⇒不動産Bの通達評価額(2億)と借入金(8億)の差額を利用した節税スキーム

国は不動産Bの評価が著しく低いとして<財産評価通達6項>のよる評価を求めて争った

■結果
東京地裁は<財産評価通達6項>の適用を認め、不動産Bの評価額を鑑定評価額の
7.5億円として国側の主張を認めた。




7.消費税:簡易課税制度届出の「特例」に属する期間

軽減税率制度適用に伴い、
特例として進行年度中の届出で簡易課税制度を適用することが可能となる。

■原則
適用を受けようとする課税期間の前課税期間の末日までに提出

■軽減税率に伴う特例
以下適用対象期間において簡易課税の届出を行ったとしても、
提出した事業年度より簡易課税制度が適用可能

適用対象期間:2019/10/1-2020/9/30を含む期間

■例
・3月決算法人
⇒2事業年度分において簡易課税が適用可能
・9月決算法人
⇒1事業年度のみ適用

■留意点
・1度提出してしまうと2年間は継続適用とする規定にかわりはない
・上記の特例を使用できるケースは、
業務上標準税率(10%)と軽減税率(8%)に区分することに「困難な事情」がある場合に限る



8.内部監査の高度化(信頼されるアドバイザー)

・金融庁が、「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」を公表。

・内部監査を4つの水準で評価。
第一段階:事務不備や規定違反等の発見を通じた営業店への牽制機能の発揮
第二段階:高リスク領域の業務プロセスに対する問題提起
第三段階:内外の環境変化等に対応した経営に資する保証を提供
第四段階:保証やそれに伴う課題解決にと止まらず、信頼されるアドバイザーとして、経営戦略に資する助言を提供

・大手金融機関は第二段階~第三段階に位置する企業が多いと評価。
⇒内部監査部門にマネー・ロンダリング、サイバーセキュリティといった高リスクの専門分野におけるチームを設置など

・地域金融機関においては人員削減が進展している中、経営陣の関与の度合いによって内部監査の水準に大きな差が生じていると指摘。


監査法人の「継続監査期間」の開示状況

・2018年公表の金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)報告では、「情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組み」の一例として、「監査人の継続監査期間」の開示が挙げられている。
⇒監査法人のローテーション制度が導入されていない中、継続監査期間は、監査人の独立性を判断する観点から重要な情報である。

・2020年3月期の有報から、「監査の状況」欄において、監査法人の「継続監査期間」の開示が求められる。
2019年3月期から早期適用可(83社)。
 (内訳)
1~5年 :16社(3社:IPO、13社:監査人の交代)
6~15年:29社
16年~ :38社
⇒監査法人交代後、15年以内の会社が多い。

・継続監査期間の記載方法は複数あり
⇒「○年間」が最も多い。特に決まりなし。



10.IPO後のテンバガー銘柄(※)

(※)株価が10倍に跳ね上がった銘柄

1.ZOZO
2007年初値100円、2018年4,875円、約49倍
2.カカクコム
2003年初値174円、2018年2,664円、約15倍
3.エン・ジャパン
2001年初値226円、2019年4,605円、約20倍

■2018年に新規上場したIPO銘柄は1年後どうなったか
・テンバガー銘柄はなし
1.ファイバーゲート(商業施設やマンション向けにWi-Fiを提供)
2018年3月初値1,194円、2019年5月4400円、3.7倍
2.ラスクル(WEBから印刷物を注文できる印刷通販サイト)
2018年5月初値1,645円、2019年3月5,340円、3.2倍

・初値から7割、8割下げている銘柄が多い。
・2018年1月~6月でIPOは36件であるが、30以上の銘柄はマイナス

※初値は調整後、その後の価格は高値



11.日本基準とIFRSの違い_引当金

■認識要件
日本基準:4要件をすべて満たす場合に認識する
IFRS:3要件をみたす場合に認識する
→IFRSの方が要件が少なく(範囲が狭い)、現在の債務か否か等で日本基準とIFRSで差が生じている
→設備等の大規模修繕等に備えて計上する修繕引当金について、日本基準では引当金の4要件を満たすため、引当金を計上するが、IFRSでは回避可能な債務(設備売却等で修繕不要となる)であるため、引当金を計上しない。
→有給休暇引当金はIFRSでは企業の債務と考えられるため引当金計上するが、日本基準では明確な規定がないことや実務慣行から引当金計上していない。


日本基準の4要件
・将来の特定の費用または損失であること
・その発生が当期以前の事象に起因すること
・発生の可能性が高いこと
・金額と合理的に見積もることができること
IFRSの3要件
・企業が過去の事象の結果として現在の債務(法的または推定的)を有している
・債務の決済のために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高い
・債務の金額について信頼性のある見積ができる




12.税率差額の別途請求でも区分記載への対応が必要

2019年10月1日をまたぐ取引に係る対価を施工日前に請求する場合に、10月1日以後の期間を含む全期間分の消費税額を税率8%で請求し、施工日以後に差額2%相当額を請求するケースがある。
10月1日以後に行われた課税仕入から区分記載請求書等の保存が仕入税額控除の要件となるため、注意が必要となる。

■区分記載請求書等保存方式は10月以後の課税仕入れから
・区分記載請求書等保存方式は、2019年10月1日以後に行われた課税仕入れから適用
・一つの請求書において旧税率と新税率が混在するときは、旧・新税率ごとに合計した税込対価の額が記載されたものでなければ、区分記載請求書等の要件を満たさない。

■税率差相当額を請求する場合の対応
・契約期間が2019年10月1日をまたぐことにより旧税率8%と新税率10%が混在する取引について、
①施工日前に全期間分の消費税額を8%で算出して請求し、②施工日以後に差額2%相当額を請求する場合
⇒差額請求の際に、既請求内容を踏まえた区分記載請求書等を交付する方法
⇒既請求内容のうち2019年10月1日以降分の請求金額が変わるということで、新税率10%に基づく2019年10月以降の期間に係る請求書(明細書等)を交付する方法
この場合、仕入側は、既請求書と新たに交付された請求書(明細書等)を合わせて保存することで仕入税額控除の要件を満たす。















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2019年9月2日月曜日

8/30 勉強会:ポイント還元制度 他

1.令和2年度税制改正の論点

■連結納税
・現時点では、開始、加入時の時価評価課税、欠損金の切捨て、グループ調整計算に関する議論は膠着状態。
■国際課税
・電子経済に対する新たな課税(デジタル課税)の国内法改正が実現する可能性は低い。
■租税特別措置法
・法人実効税率の引き下げが議論される可能性は低い。
■税務手続きの電子化
・個人住民税の特別徴収税額通知の電子化が検討されている。




2.収益の表示、従来どおり「売上高」も可

■収益認識会計基準
・2021年4月1日以後開始の事業年度から強制適用
(2018年1月1日以後開始する事業年度からも早期適用可)
・表示・注記は強制適用時期まで検討する、となっていた。

■表示方法
・明確化、統一化すべきとの意見があった
・が、これまでも実態に応じて適切な表示科目が用いられてきたので一定の科目に統一することのコンセンサスを得るのは難しい
・企業の実態に応じて決める方向に。






3.令和2年改正で消費税の申告期限延長も

 消費税の申告期限の延長が令和2年度税制改正議論の対象となる可能性がある。

■消費税には申告期限の延長制度はないため、業務負担や「働き方改革」に反するのではないかとの指摘が、消費税の申告延長論を後押ししている。
「業務負担」:消費税の申告を済ませた後、法人税の申告プロセスで新たな調整項目が見つかった場合には、消費税の修正申告、更生の請求を行わざるを得なない。
「働き方改革」:3月決算法人ではGWを返上して5月中に申告を行わなければならいとういう実態が生じている。




4.軽減税率制度

■飲用後、回収される空びんの取扱い
空びん回収時に飲食店に支払うびん代は飲食料品の対価ではない。
⇒飲食店から容器保証金を受領していない場合、びん代には標準税率が適用されるが
びん代を飲料の売上値引として処理することも認められている。
容器保証金は単なる預け金であり、課税の対象にはならない。

■製作物供給契約による飲食料品の販売
取引が製造販売or賃加工により適用税率が異なる。
製造販売⇒飲食料品の譲渡として軽減税率の対象
賃加工⇒役務の提供として標準税率の対象





5.税金費用、損益計上から変更へ

■論点
「その他の包括利益に対する課税」に関しては、
連結納税加入時にその他有価証券が税務上時価評価された場合などにおいて、
所得等に対する法人税、住民税及び事業税等が課される場合があるが、
当該税金費用について、その他の包括利益から控除して表示することが適切ではないか。

■考え方
税金費用は税金の発生源泉となる取引等に起因して生じるものであり、
当該取引等の処理と整合させ、所得を課税標準として課される税金については、
損益、その他の包括利益及び資本の各区分に計上すべき

■結論
現行の損益に計上する取扱いから、
当事業年度の所得等に対する税金費用を、
当期純利益、その他の包括利益及び株主資本項目に区分して計上する取扱いに改正する方向




6.Google広告が仕入税額控除の対象に

■請求業務の住所が変更に
Google広告の請求業務に係る拠点が海外⇒国内に変更(2019年4月より)
※Google広告は事業者向け電気通信利用役務の提供に該当

■変更前
リバースチャージの対象
※ただし、課税売上割合95%以上の場合は経過措置により当面適用なし
⇒結果的に不課税仕入れで処理

■変更後
取引相手が国内事業者のため通常の国内取引に該当
⇒課税仕入れで処理





7.消費税:電気通信利用役務の提供に再確認

■ポイント
「事業者向け」か「消費者向け」か正確に把握することが重要
・事業者向け
インターネット上での広告の配信やゲームをはじめとするアプリケーションソフトを、
インターネット上のWEBサイトで販売する場所を提供するサービスなど
主にFacebook広告など

・消費者向け
事業者向け取引以外のものが該当
⇒国外事業者からの請求書に消費税が課されているか確認
⇒相手側が日本において登録をうけている事業者か否か確認

■フロー
(1)事業者向けか消費者向けかの判断を行う
(2)事業者向けの場合
・課税売上割合が95%以上⇒課税対象外
・課税売上割合が95%未満⇒リバースチャージ方式の適用
(3)消費者向けの場合
・登録国外事業者である⇒課税対象
・登録国外事業者でない⇒課税対象外




8.一体的開示と表示方法の変更

・金融庁と法務省で、有価証券報告書と事業報告等の一体的開示を行いやすくする環境整備について議論。
・その一環として、表示科目の名称の共通化の考えを示した。
・ヒーハイスト精工は、従来、
計算書類では「原材料及び貯蔵品」
有報では、「原材料」「貯蔵品」を区分掲記していたが、
上記の動きを受け、有報でも「原材料及び貯蔵品」とした。




企業会計基準第30号「時価等に関する会計基準」等の概要

・企業会計基準委員会(ASBJ)は、7/4、上記基準を公表。

■概要
・時価算定に関する詳細な規程なし。
⇒IFRS、US-GAAPとの整合性、国内外のF/Sの比較可能性を高める。
・基本的にはIFRS13号「公正価値」を踏襲している。
⇒金融商品・トレーディング目的の棚卸資産が対象。
・時価の定義
⇒売却価額(購入価額ではない)
・時価の算定
①レベル1のインプット⇒企業が入手できる活発な市場の資産・負債の相場価格(例:株価)
②レベル2のインプット⇒資産・負債について直接又は間接的に観察可能なインプット(例:金利)
③レベル3のインプット⇒資産・負債について観察できないインプット(例:ボラティリティ)

・「時価を把握することが極めて困難と認められる」の文言削除
⇒上記の有価証券・デリバティブ取引であっても、入手できる最良のインプットに基づいて時価を算定。
⇒一方で、市場価格のない株式等については、何らかの方法で算定したとしても、それを時価とはいわない。

・投資信託
⇒時価会計基準公表後、1年をかけて検討を行う。

・開示
⇒時価のレベルごとの残高、評価技法、インプットの説明を注記。

・適用時期
⇒2021/4/1以後開始する事業年度(早期適用は、2020/4/1以後開始する事業年度)。




10.香港デモ長期化、8月の新規上場1社どまり

・6月に始まった香港の「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする大規模デモは80日以上続いているが、収束の兆しが見えない。
・香港は18年の新規株式公開(IPO)が世界1位だった。
・それが8月は27日時点でわずか1社であり、約6年ぶりの低水準になる可能性がある。
・6月以降、不動産開発の易商紅木やビール最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社などが大型上場を取りやめた。
・8月中にも上場するとの観測があった中国電子商取引大手、アリババ集団は秋以降に仕切り直す方向。




11.IFRSと日本基準の相違点_ヘッジ会計

■ヘッジ会計モデル
IFRS:ヘッジ関係(公正価値ヘッジ、キャッシュフローヘッジ、在外持分に対するヘッジ)に対するヘッジあり
日本基準:相場変動を相殺またはキャッシュフローを固定するヘッジあり
→特別な処理として金利スワップの特例処理(時価評価しない)、為替予約の振当処理(ヘッジ対象を固定)あり

■非金融商品に関するヘッジ
IFRS:非金融商品に関してもヘッジ対象に指定できる。
日本基準:外貨による予定取引の為替リスク以外に、非金融商品に関するリスクをヘッジ対象にできない。

■外貨建債権債務に関するヘッジ
IFRS:外貨建債権債務もヘッジ適用可能。
日本基準:外貨建債権債務は振当処理を除き、ヘッジ対象とできない



12.ポイント還元制度

■概要
消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)にて代金を支払った場合、購入額の最大5%のポイントが付与される制度

■仕組み
①政府がクレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者を募集し選定
②店を経営している中小企業は、キャッシュレス決済事業者に登録を行い、キャッシュレス端末などのキャッシュレス手段を提供してもらう
③消費者が対象の店舗でキャッシュレスで支払いをすると、クレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者などが、いったん消費者にポイントを付与し、その負担分を後から国が補助

■期間
現状、制度実施期間は増税後9ヶ月間(2019年10月1日~2020年6月30日)。

■還元率
5% ⇒ 中小企業や個人が経営する小売、飲食、宿泊など
2% ⇒ コンビニ、外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーン
還元なし ⇒ 上記以外の店舗、大手スーパー、百貨店など

■還元対象金額
実際に支払う税込金額に対して還元

















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8/23 勉強会:完全子会社の合併による繰越欠損金の引継ぎ 他

1.地裁判決で問われる個別否認規定の意義

・東京地裁は,自動車部品の製造・販売を行う会社(原告)と国との間で, 法人税法132条の2 (組織再編成に係る行為又は計算の否認)の適用の是非を巡り争われた事件について,原告の請求を棄却。
・通常想定されない組織再編成の手順や方法に基づくもの・不自然なものであること等に加えて,未処理欠損金の引継ぎによる税負担の減少以外に合併を行うことの合理的な理由となる事業目的等もないため,組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したもので,未処理欠損金の引継ぎ規定の趣旨や目的を逸脱する態様であると認定。

⇒「法人の行為・計算が不自然」「租税回避以外に合理的な理由となる事業目的等が存在しない場合」の要件について懸念の意見がある。






2.純資産価額方式を適用する場合における決算日

■相続税評価(純資産価額方式)

■いつの資産負債をベースに算定するか
・直前期末日の【税務上の資産負債】
・税務上の資産負債差額から法人税等相当額(左記差額の37%)を差し引いた額=相続税評価上の純資産価額

■留意点
・直前期末の資産負債による計算が認められない場合の純資産価額の計算
⇒直前期末から課税時期までに資産負債に著しい増減があるケース:課税時期の資産負債により計算
(仮決算を組むのが原則)
・直後決算の数値によることも事実上一定の条件で可能
⇒課税時期が直後期末に非常に近く、課税時期から直後期末までに著しく増減しないと認められる場合




3.商品売買仲介めぐり仕入税額控除認めず

■香港移住の個人事業主が、海外事業者から委託により国内事業者から買い付けたとする本件取引が課税仕入れに該当するか否かが問題となった税務訴訟。

【判決】
個人事業者と国内事業者との間に売買契約はなく、納税者が売買契約の当事者とは認められない。
⇒国内事業者と海外事業者との間で売買契約等を締結している。
⇒発注する商品の内容や数量の決定に関与しているのは海外事業者であり、商品代金の決定に個人事業主の意思の介在はなくそ実質は立替払いである。



4.軽減税率QA改訂で一体資産の取扱いの疑問を解消

■一体資産と一括譲渡
・一体資産
食品と食品以外の資産があらかじめ一体となっている資産。全体が軽減税率。
・一括譲渡
課税関係の異なる2以上の資産を同一の者に同時に譲渡すること。それぞれの税率適用。

■軽減税率の該当有無
Ex)ファストフード
・ハンバーガー、ドリンク450円、おもちゃ50円の場合
⇒450円軽減税率、50円標準税率
・セット価格500円(単品ハンバーガー300円、ドリンク250円)、おもちゃ0円
⇒全体の500円に軽減税率。ただし、レシートに0円の表示が必要。

他にも販売促進を目的に非売品のおもちゃをつけたペットボトル飲料等おもちゃを非売品(0円)にすることで、全体を軽減税率の対象にできる。




5.改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処
理に関する当面の取扱い」の概要


■概要
2018年に公表された実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」の改正において、2006年から2018年の間に新規に公表又は改正されたIFRSまたは米国会計基準を対象に修正項目として追加する項目の有無について検討を行った。
一方でIFRS第16号、ASC842のリースについて検討の対象から除かれていた。

■論点
実務対応報告第18号にリースの修正項目を追加するか

■結論
リースは実務対応報告第18号においては新たな修正項目の追加は行わないこととした。




6.部分完成基準と課税売上げ

■部分完成基準
建設工事等について次の(1)(2)のような事実がある場合、
<完成した部分の引渡しを行った日>に収益計上を行う
(1)一の契約により同種の建設工事等を多量に請け負ったような場合で
その引渡し量にしたがって工事代金を収入する旨の特約等があるとき
(2)その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引渡した都度
その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約等があるとき

■注意点
部分完成基準は<強制適用>であり、選択適用はできない

■消費税率
経過措置がない場合、9/30までの引渡し分は8%、10/1以降引渡し分は10%の
税率が適用される




7.消費税:自社ポイントの利用

自社でのみ利用可能なポイントを付与して、そのポイントに応じた代金が減額される場合
⇒消費税法上の「値引き」に該当する。
・値引きされる額を税率ごとに合理的に区分して処理する必要あり
・会計上「販売促進費」として処理した場合、
消費税の申告計算においては、売上返還等へ振替処理をする

■「販売促進費」として処理した場合、なぜ課税仕入れとして処理できないか
自社ポイントが使用されたとしても、
販売店は顧客からの販売促進等に伴う役務提供を受けていないため、課税仕入れとならない

■売上返還等として処理しなかった場合
申告税額を誤る可能性あり




8.連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取り扱い

・子会社が国際財務報告基準または米国会計基準に準拠して作成された場合、連結の際、一部(※)を除いて修正不要。

※のれんの償却、退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理、研究開発費の支出時費用処理等。

・今回、IFRS第16号「リース」について、この「一部」に該当するかどうかが検討され、該当しない(つまり、修正なしで連結する)こととなった。




出荷基準の代替的取扱い

・従来、日本では収益を認識するにあたって出荷基準が用いられてきた。
・新収益基準では、資産に対する支配を顧客に移転することにより、履行義務が充足されるときに収益を認識する。
・比較可能性を損なわない範囲で、代替的取扱いが認められている。

※.出荷基準
⇒出荷時に収益を認識しても、支配が他に移転される時(検収時等)と比べ、金額的な重要性は乏しいと想定されるため、比較可能性を損なわないと考えられている。




10.「公正なM&Aの指針の在り方に関する指針」の概要

■経産省は本年6/28に「公正なM&Aの在り方に関する指針」を策定
⇒これまでのMBOに加えて、支配株主による従属会社の買収も対象に追加
■本指針の対象取引
・MBO及び支配株主による従属会社の買収
※対象会社が上場会社である場合に限定
■M&Aにおいて尊重されるべき原則
(1)企業価値の向上
(2)公正な手続きを通じた一般株主利益の確保
※一般株主が本来享受すべき利益を買収者が享受しているのではないかという懸念を払拭する
■実務上の具体的対応
・独立した特別委員会の設置が望ましい
⇒対象会社・一般株主の利益を図る立場から、当該M&Aの是非、取引条件の妥当性、手続きの公正性について検討・判断
 「外部専門家の専門的助言等、マーケット・チェック、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件、強圧性排除」の必要性・実施方法等を検討




11.2019年6月総会の特徴

■株主からの質問(増加率が高かったもの)
(1)リストラ・人事・労務(前年度+5ポイント)
⇒男性社員の育児休暇、パイトテロ対策、外国人労働者の取扱いについて

(2)環境問題・CSR(前年度+4.2ポイント)
⇒コーポレートガバナンスコード改訂により、非財務情報に関心

■株主提案権の行使
政策保有株式の売却、資本コストの開示、株主還元強化策といった、資本効率を問うものが多かった



12.完全子会社の合併による繰越欠損金の引継ぎ

■完全子会社の繰越欠損金の引継ぎ
・適格合併が行われた場合、一定の場合を除き、被合併法人が有していた合併事業年度前10年以内に生じた繰越欠損金は、合併法人の各事業年度に生じたものとして引き継ぐことができる。
■引継ぎが認められない場合
・グループ内で行われる適格合併については、合併事業年度開始の日において、支配関係が生じてから5年を経過していない場合で、共同事業を行う合併としての一定の要件を満たさない場合には、支配関係が生じた事業年度の前に生じた繰越欠損金の引き継ぎは認められない。
■組織再編に係る行為または計算の否認
・適格合併の要件や繰越欠損金の引継要件を満たしていても、これを容認した場合には、合併法人等の法人税額の負担を不当に減少させる結果となると認められるような租税回避行為がある時は、法人税額等を税務署長の判断により計算ができるとする規定が置かれている。




13.初めて連結決算に携わる際の勉強法

① 全体像を理解し、各論は形から
・まずは、連結決算全体の流れを理解する。
・仕訳は形から覚え、細かい論点を理解するのはその次。
② 連結精算表を作ってみる
・連結会計システムを導入している場合は、連結精算表をExcelで作成してみることで理解が深まる。
・連結BSと連結PLのつながり(利益剰余金)を理解しておくことが重要。
③ 会計基準等を読む
・基準には、連結財務諸表作成に関しての用語の定義から連結の範囲、連結決算日の考え方、作成の手続きについて網羅的に記載されている。
・結論の背景を読むことで、理解が深まる。
・実務指針を読むことで具体的な処理内容を確認する。
 初学者である場合、ある程度全体を理解してから読むことをお勧め。




14.ウーバー上場以来の最安値

・5月10日のニューヨーク証券取引所に上場以来、最安値を記録
・初日終値41.57ドル⇒32.92ドル
・新規事業(ウーバーエアなど)の開拓に取り組んでいるが、アナリストや投資家は同社の事業モデルの収益性に懸念あり
・四半期決算の発表後に同社が新規雇用の凍結を決めたとの報道もあり

・当2Qの純損失は△52憶4000万ドル(当1Qは△10億1000万ドル)
・今年実施したIPOの関連費用39億ドルが含まれる

・一方、ウーバーと競合するリフトは四半期決算で市場の予測を上回る収益を計上
・同社はウーバーと違って本業の配車サービスに特化し、市場も北米に限定している




15.IFRS適用会社は予定も含め225社に

東証は2018年4月から2019年3月期決算の会社(3,639社)を対象にIFRS適用状況等を分析
→IFRS適用済(198社)、適用決定(16社)、適用予定(11社)の会社数は225社(時価合計220兆円)となった。
→社数割合は6%程度であるが、東証の時価総額(605兆円)に占める割合は36%となっていた
→IFRS適用を検討している会社は189社あり、検討事項として、「マニュアル・指針の整備」を上げている会社が最も多かった
→上記は「会計基準の選択に関する基本的な考え方」を分析し、各上場企業のIFRS適用状況の周知を図るために公表している。



16.請求書方式の変更

■区分記載請求書等保存方式(2019年10月1日から2023年9月30日まで)
現行の請求書等への記載事項に加え、下記2点を追加
①軽減税率の対象品目である旨
②税率ごとに区分して合計した税込対価の額

※帳簿への記載事項としては、「軽減税率の対象品目である旨」の記載が新たに必要
※「軽減税率の対象品目である旨」「税率ごとに区分して合計した税込対価の額」の記載がない請求書等を交付された場合
⇒その取引の事実に基づき追記し、保存することで、仕入税額控除を行うことが可能

■適格請求書等保存?式(インボイス制度)(2023年10月1日から)
・仕入税額控除の要件
⇒「適格請求書」等の保存
・適格請求書
⇒発行は適格請求書発行事業者に限られる
⇒2023年10月1日から適格請求書発行事業者となるためには、「適格請求書発行事業者の登録申請書」(2021年10月1日から申請が可能)を提出し、登録を受ける必要がある。
 登録は課税事業者が対象。免税事業者が登録を受けるためには課税事業者を選択する必要がある。













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