2012年5月26日土曜日

5/25 勉強会:資本性借入金(DDS デッドデッドスワップ)の活用ポイント ほか


1.(税務)国外資産の評価方法

・国外に所在する家屋
→原則 : 売買実例価額鑑定評価額等を参酌して評価
・取引相場のない外国法人の株式
  →純資産価額方式
  ※類似業績比準方式は適用できない
 
2.(税務)共通用課税仕入れの合理的な基準による区分

→国税庁HPより参考事例
Q: 課税製品、非課税製品に使われる包装紙、カタログの印刷費、
広告費の区分は?
A: 原則、共通対応。
ただし、例えば包装紙であれば、課税、非課税製品にかかる使用枚数が
確定していれば、課のみ非のみに区分可能。(合理的な基準による区分として)

3.(会計)退職給付債務のB/S計上について

  
改正前→未認識数理計算上の差異および未認識過去勤務費用はB/S計上しない

改正後→連結財務諸表において、その他の包括利益累計額で認識する
  
適用時期→H25年4月1日開始の事業年度から適用

4.(会社法)組織再編時の従業員意見の開示について

株式会社が組織再編等をする場合に、従業員の意見を開示するという案があった
反対意見が多く、不採用が濃厚


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5.(税務)定期同額給与 業績悪化前における業績悪化改定事由の適用は限定的

・国税庁の『役員給与に関するQ&A』において、
業績が著しく悪化しそうなとき(実際にはまだ悪化していない)に業績悪化改定事由を適用できる旨の記述がある。

・ただし業績悪化前に適用できるのは、業績悪化が《客観的に》不可避な場合に限定される。

ex) 主要取引先が不渡りを出したため、売上規模の縮小が不可避である。
主力製品に瑕疵が見つかり、リコール費用の発生が不可避である。  等々..

単なる将来の見込等において業績悪化が予想されたとしても、該当しない。

 
6.(税務)判例研究:ゴルフ会員権の譲渡所得計算について

■事案の概要
①ゴルフ場が倒産し、所有していたゴルフ会員権が無償償却された。
②再建後、旧会員に新ゴルフ会員権が交付された。

<争点>
新ゴルフ会員権を譲渡した場合、旧ゴルフ会員権の取得価額は取得費となるか?

■主張
<納税者>新ゴルフ会員権と旧ゴルフ会員権は実質同一のものであるから取得費となる
<税務当局>会社更生法適用に伴い、旧ゴルフ会員権は消滅している。
よって新ゴルフ会員権とは完全に別物であり、取得費とならない。

■東京地裁の判断
ゴルフ会員権は通常「プレー権」と「株主権」で構成されている。「株主権」については、
会社更生法の適用により消滅しているため新・旧での同一性は認められない。
但し、「プレー権」については引続き施設利用ができるため新・旧で同一性があると認められる。

⇒譲渡所得の計算上、「新プレー権」の譲渡については「旧プレー権」の取得価額を
取得費とできる。

なお、本事案は現在、東京高裁に係属中。


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7.(開示)業績予想の修正

・業績予想の開示方法が、多様で柔軟になった
・あらたな類型の予測値等について業績予想の修正の開示は必要か?
⇒開示は必要
⇒乖離が「投資者の投資判断に重要な影響を与える可能性がある場合」には適時開示する

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8.(金融)資本性借入金(DDS デッドデッドスワップ)の活用ポイント


DES(デット・エクイティ・スワップ)ではなく、
DDS(デット・デット・スワップ)というものがある。

⇒ 金融機関の自己査定上、借入金(負債)ではなく、資本としてみなせる
⇒ 取引先企業の自己資本の充実が図られ、金融機関の自己査定上有利となり、与信費用の減少という効果が期待される。

DDSをするための条件

①借入金の返済条件を長期にする(例:5年超)
②借入金の金利発生を原資がある場合に限定する
(ただし支払時は通常金利よりも高い)
返済順位が劣後

9.(会社法)株主総会検査役の選任

①総会検査役の選任方法 → 主に弁護士
・会社又は総株主の1/100以上を有する株主は、
総会の招集手続や決議方法等の調査を行いたい場合、
総会前に裁判所に選任を請求できる。

②目的
・第三者をおくことにより、
後日決議取消し等の訴えがあった場合の証拠を用意
・違法な総会運営の抑制

③総会検査役の役割
・違法行為があっても阻止することはない。
・会社、株主から見解を問われても回答する義務はない。
→あくまでも「監視カメラ」的な役割(抑止力)


10.(開示)投資不動産の時価評価

①決算にあたって企業が投資不動産を保有している場合は時価評価注記する必要がある。
②時価評価は不動産鑑定士に依頼する。
昨年と大きく状況が変わっていなければ、社内で補正した金額で評価してもよい


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2012年5月19日土曜日

5/18 勉強会:交際費5,000円基準 参加人数の水増しは見破られる? ほか

  

1.(税務)消費税の免税点制度について

上半期で、課税売上高が1,000万円を超える場合
翌期は課税事業者となる

上記の判定は、
① 個人事業者=平成24年1月1日~
② 3月決算法人=平成24年4月1日~
 
2.(税務)売上計上漏れに重加算税はかかるか

① 経理担当者の事務処理のミス
    →重加算税 : 課されない
意図的に売上計上しなかったと認められる場合
    →重加算税 : 課される

※ 事務処理のミス
    ・ 請求書あり
    ・ 仕訳なし、元帳記載なし

3.(会社法)会社法改正案について


・「社外取締役の選任義務の当否」「社外取締役の要件見直しの当否」
「会計監査人の選解任等に関する議案等および報酬等の決定権のついて」等

※ 早ければ8月に法律案要綱案のとりまとめ、秋の臨時国会で提出

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4.(税務)交際費の5,000円基準について、調査で否認された事例
 
・5,000円以下の飲食費を交際費から除く制度に関して、
税務調査で否認される事例が多く確認されている。
接待等参加人数を水増しすることで、一人あたりの金額を減らす手法が目立つ。
・接待等を行った担当者が、仮装した書類を経理部門に提出していたケース
会社は仮装を把握せず)でも、会社として重加算の対象となり得る。

※ 飲食店のレシートには、人数が書いてあるケースが多い
※ 領収書の場合、お店のグレードと比較して人数当り金額が安ければ反面調査も

5.(税務)安定器の交換込みのLED取替費用も基本的に修繕費に該当

LEDの取り替えに際して安定器の交換を行った場合には、
電球交換のみに比して大規模な作業になるものの、修繕費として認められる。
(質疑応答事例)

6.(税務)「がん保険」の損金算入額について

支払保険料の損金算入について、通達により、

「保険期間」の
前半期間 ⇒ 50%は損金算入 50%は資産計上
後半期間 ⇒ 全額損金算入 + 前半に計上した資産の一部を取崩し

※終身保険の場合、「保険期間」は加入時年齢から105歳までの期間

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7.(国際)監査の価格競争(英国)

・今までで最も厳しい状況
25%~40%引き下げ
・被監査会社が監査に対してメリットを感じておらず、報酬を引き下げる方向に視点が移っている
監査の付加価値が希薄化
⇒監査業務のコモディティ化
⇒独立性に反しない範囲で、監査そのものの付加価値を高める努力が必要



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2012年5月12日土曜日

5/11 勉強会:決算短信の業績予想開示 見直しのポイント ほか

  
1.(会計)退職給付信託の注記
  
【現行】
退職給付信託の金額を記載

【改正予定】
年金資産の合計額に対する割合が重要な場合のみ
退職給付信託割合または金額を付記

2.(開示)個別財務諸表での包括利益表示

公開草案第47号によると、個別財務諸表には適用しないだけでなく
任意適用も認めない

3.(会計)リース投資資産勘定を追加

・貸借対照表に「リース投資資産」勘定を追加
・平成24年4月1日以後に開始する事業年度から適用

4.(開示)独立役員に関する情報開示、5月より拡充

⇒施行日から1ヶ月は旧様式での提出が可能

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5.(税務)24年3月期確定申告 受配益金不算入、簡便法の留意点
 
・3月決算法人の24年3月期申告における簡便法の基準年度は、
『23年3月期 及び 24年3月期』である

⇒ 簡便法を採用する場合でも、24年3月期の原則法の計算が必要

6.(税務/消費税)一括比例配分方式の2年継続適用

確定申告で一括比例配分方式を採用すると、2年間の縛りが発生する

・課税期間の特例の適用(1ヶ月)を受けているケースで、
当該1ヶ月の課税期間について一括比例配分方式を採用したケース
⇒2年継続適用の縛りを受ける

・課税期間が1年の法人が、年11回中間申告の一回目の中間申告に際し、
仮決算に拠る中間申告で一括比例配分方式を採用したケース
⇒2年継続適用の縛りを受けない


7.(税務 / 相続税)連帯納付義務の解除要件改正について

■連帯納付義務の解除要件

①相続の申告期限後5年を経過しても連帯納付義務者に通知がなかった場合
②納税義務者が納税猶予または延納を受けた場合には

連帯納付義務が解除されることとなった

■適用時期
平成24年4月1日以後の申告期限にかかる相続税から適用
※4月1日前に納税猶予や延納を受けている場合にも適用あり

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8.(会計)IFRS適用上の論点 共通支配下の企業の結合

IFRS3号(企業結合)から共通支配下の結合は除かれている
・基準の開発が求められている分野
・最上位の親会社の連結には影響なし
・「簿価会計」、「取得法」のいずれかを会計方針と選択し、継続適用する
日本では連結簿価での処理が基本IFRSでは時価でも選べる可能性あり


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. (経理実務)シェアードサービスとアウトソーシングは二者択一なのか

それぞれの特徴を理解した上でバランスよく使い分けることが重要

・シェアードサービス:
  
複数の企業・組織で実施している同種の業務を
集約してサービスを提供する仕組み
⇒業務の効率化と知識・能力を蓄積させる経営手法
  
・アウトソーシング:
  
特定の会社の業務や集約した業務をグループ外の企業に外部委託
⇒コスト削減やサービス品質の向上を目的とする経営手法




10. (開示)決算短信における業績予想開示の見直し

①今までの業績予想開示
・指標→売上高、経常利益、当期純利益、1株当たり当期純利益及び配当
・対象期間→半期、通期


②見直しポイント
開示を行わなくてもOK
→理由の開示がいらない/事前相談いらない
開示する場合
「自由記載形式」と「表形式」から選択


③見直しの経緯
・四半期毎にタイムリーな実績情報が開示されているので、それで十分。
・実務負担軽減


11. 過去の誤謬の訂正について

過去の誤謬(計算ミスや適用会計処理のミス)があった場合には、
次のいずれかの方法で処理する

重要性が高い誤謬の場合
正しい処理をした場合の本来あるべき残高を期首のBSに反映させて注記する

重要性が低い誤謬の場合
当期の営業外損益に計上する


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2012年5月9日水曜日

【会計】「年金積立不足、14年3月期から負債に計上」のニュースについて



日経新聞、5月9日朝刊に、
「年金積立不足、14年3月期から負債に計上」というニュースが報じられました。

これについて、会計の視点から内容を整理してみたいと思います。

会計基準がどう変わるのか?

【前提】
企業の貸借対照表には、企業が負担する予定の債務(退職給付債務)と、そのために積み立てている資産(年金資産)がそのまま載っているのではなく、
両社の差額である「退職給付引当金」が負債として計上されています。

※ つまり、総額ではなく、相殺後の純額が載っているイメージです

退職給付債務は金利や給与水準等によって、年金資産は運用益によって、年々増加していくのが通常であり、
上記、「退職給付引当金」を計算する際には、一定の増加率を加味して、現在引き当てるべき金額を計算しています。

ただし、予め計算した「一定の増加率」どおり金利や運用益が動くとは限らず、
当初想定していた引当金に過不足(数理計算上の差異)が生じることがあります。

【会計基準の変更】

これまで
・上記の過不足が生じた場合、数期間に分けて財務諸表に反映していく

今後
・上記の過不足を、分かった時点で即座に財務諸表に反映する

※ 「いずれ」計上していたものを、「今すぐ」計上するだけ、とも言えます。
※ なお、改正に伴って「退職給付引当金」は「退職給付に係わる負債」に名称が変更される予定です。

なぜ変わるのか?

IFRSでは、②の処理を原則としているため

BSへの影響は?

年金積立が不足している多くの企業で、負債( 退職給付に係わる負債 )が一気に増加する
⇒ 自己資本比率低下

PL(当期純利益)への影響は?

なし

引当金の相手勘定は、その他包括利益として処理。
当期純利益への影響は、今まで通り数期間に分けて反映されていく。

いつから変わる?

2011年4月1日以後開始される事業年度の期末から
⇒ つまり、2012年3月期決算から変更になります