2015年1月31日土曜日

1/30 勉強会:非上場の子会社株式の評価損の損金算入について 他

1.ヤフーに続きIDCF事件控訴審でも国勝訴

■まとめ
・ヤフー事件と一体と言えるIDCF事件の控訴審も国が勝訴(115日)
 →IDCF側が最高裁へ上告することが予想される

IDCF事件とは
1、ソフトバンクの100%子会社(当時)のIDCS社の営業部門を分割し、IDCS社の100%子会社のIDCF社を設立
2、分割直後にIDCS社はIDCF社株式の全部をヤフーに売却
3、2の行為により1の分割は税制非適格分割となる
  →IDCF社に資産調整勘定が発生
4、ヤフーがIDCS社を合併
  →当該合併は「みなし共同事業要件」を満たすとして、IDCS社の欠損金を引き継ぐ形となっていた

IDCF事件の問題点
IDCS社がIDCF社株式を売却した行為が意図的な「適格外し」
 →IDCS社の青色欠損金をヤフーに引き継がせ、IDCF社ではのれんを認識しその償却費を計上する


2.執筆・公演等の所得は雑所得に該当と判断

■概要
 大学の准教授が執筆・公演の所得を事業所得として申告
⇒雑所得に該当すると判断された事例

■准教授の所得
 ・大学の非常勤講師による所得
 ・上記に関する講演、執筆による所得 ※ここが争点

■事業所得として認められなかった理由
 ・執筆活動に関して営業や取材をしていたと主張
  ⇒裏付けとなる証拠や記録が一切残っていない

 ・専門分野と、その他趣味の執筆活動をしていたと主張
  ⇒書面やデータが一切残っていない
  ⇒これらの内容の執筆による収入金額がない

 …「事業」と言える程の規模や様態でないため
  「事業所得」としては認めることが出来ない

■結果
 ・当初申告の事業所得の必要経費(交通費200万、図書費200万円等)が雑所得の必要経費となるため、他の各所得から控除が出来なくなる


3.税効果適用指針、273月末までの最終化は困難

(1)現状、繰延税金資産の回収可能性(税負担の減額効果があるかどうか)に関する具体的な会計基準なし
⇒企業会計基準委員会が公開草案を作成中
(従来は、監査上の実務指針に基づいて判断)

(2)従来の指針:画一的な取扱い⇒新基準:ある程度柔軟な取扱い
Ex.金額的に重要な繰越欠損金がある場合
従来:翌期に見積もりできる課税所得の範囲内でしか回収可能性が認められない。
⇒新基準:状況次第で、より長期に渡って見積もった課税所得の範囲内で回収可能性が認められる。

(3)H273月期から早期適用を望む声あり
⇒時間的に厳しく実現は困難


4.必要経費該当性の判断で当局の理由記載に不備

■事例
原処分庁が必要経費算入を否認した件で、原処分庁が提示した必要経費に該当するか否かの判断理由に審判所は不備があったと指摘した
⇒不備による一部課税処分の取り消しが行われた

■事案
雑所得に係る旅費等の経費について一部必要経費不算入とした。

原処分庁:
必要経費不算入とした更正の理由として、書面上で、一部の金額は業務上の必要性が明らかに区分できない。
また必要経費ではなく家事関連費に該当と記載
⇒ざっくりと指摘した

審判所:
金額のみの指摘だけでは不十分。
「いつ、だれに、どのような内容で支払ったか」など、必要経費に該当するか該当しないかの内容が特定できないと指摘
⇒指摘する以上、細かいところまで特定して指摘すべき

■今後
必要経費の該当性の判断については、より具体的な理由の提示が求められる可能性があり


5.ベンチャーファンドへの出資に税理士も

・金融審議会「投資運用等に関するワーキング・グループ」が1/19開催
⇒プロ向けファンドの新制度について報告案がまとまった

【内容】
・プロ向けファンドが悪用され、投資家が被害に合うケースが散見
⇒ファンドに投資できる個人投資家を限定することに

・投資できる個人投資家
(1)金融資産1億円以上保有している者
(2)(1)以外では、一定条件のもと、
 -上場会社の役員・元役員 等
 -上場会社の上位50位程度の株主 等
 -経営革新等支援機関として認定されている公認会計士・弁護士・司法書士・行政書士・税理士等
 -会社役員・コンサル等として、会社設立・新規事業の立上げ等の実務に1年程度携わった者


6.出国時課税制度 補足

<制度概要>
評価額1億円以上の有価証券等を有する者が出国する場合、出国時に譲渡があったものとして課税する制度

■対象者
転勤で1年以上国外勤務となる者も含まれる

■更正の請求
国外転出後5年以内に帰国した場合には更正の請求をすることで課税を取り消すことができる

■納税猶予制度あり
担保を供し、納税管理人の届出をすれば最大10年納税が猶予される

■対象となる金融資産
上場株式だけでなく、非上場株式・新株予約権なども対象となる

■適用開始
平成2771日以後の国外転出より適用


7.事業税:外形標準課税の拡充

H27.4.1以後に開始する事業年度から、段階的に『付加価値割&資本割』の税率が引き上げられ、『所得割』の税率が引き下げられる。
これにより、外形標準課税が拡充される。
 (所得が発生している法人の税負担が減り、所得が発生していない法人の税負担が増える)

■税率の変更 ※標準税率
H26年度[現行]
  所得割:3.8% 5.5% 7.2%、付加価値割:0.48%、資本割:0.2%
H27年度[改正後1]
  所得割:3.1% 4.6% 6.0%、付加価値割:0.72%、資本割:0.3%
H28年度[改正後2]
  所得割:2.5% 3.7% 4.8%、付加価値割:0.96%、資本割:0.4%

■負担軽減措置(経過措置)
・付加価値額が30億円以下の法人に適用される。
・『旧税率により計算した事業税』と『新税率により計算した事業税』の差額(負担増加分)1/2が税額控除される。

■超過税率について
・各自治体の条例改正により、税率が今後明らかになる。


8.66号(DTAの回収可能性の判断指針)の見直し

・分類3と分類4に「将来の業績予測等を考慮する定め」を記載した点が大きく変わった
・過去の課税所得や繰越欠損金という期末時点の事象だけではなく将来もみて判断することとなった。

分類3(5年)の変更点
・5年超期間での回収について合理的に説明できれば認められることとなった
・5年以内のより短い期間となることもある(従来は5年固定)

分類4の変更点
・従来は「繰越欠損金の存在」というストック要件が重視されすぎていた
・重要な欠損金があっても将来解消が合理的に説明できれば、分類2や3があり得ることとなった
・重要な繰越欠損金が「過去3年以内か当期に発生したかどうか」で判断することとなった。


9.新興国の非上場株式の評価時の留意点

新興国企業であり、非上場の会社の株式を評価する際に問題になりやすい事項は以下の通り

1.評価段階以前に問題となりやすい事項とその対応例
 ・財務諸表の信頼性が低い   
⇒評価に先だって財務DDを実施
 ・資本市場のデータ入手が困難
⇒先進国のデータで代替
 ・経営陣が参画継続か否かで企業価値に影響を与える
⇒インセンティブプランによる経営陣の引き留めなど
   ※例として、経営陣が行政とのパイプが広いなど

2.評価段階で問題となりやすい事項とその対応例
(1) 倍率法(類似会社比準法など)
 ・比較対象と出来る企業が見つからないことが多い
⇒対象企業の国以外の同業種の企業を利用
(2) DCF
 ・所在国の予測が困難な事象(カントリーリスク)をどのように企業価値に反映させるかが難しい
⇒様々なカントリーリスクの推定方法はあるが、確立された手法は無い
⇒推定したカントリーリスクが、所在国の情報などの定性的な情報と整合性しているかを検討する
 ・急成長中の新興国ではターミナルバリューが大きくなりやすい
⇒現在の成長率がどの期間続くのか中長期的な視点で判断し、成長率を決定


10.「平成27年度税制改正大綱」のポイント

■法人税
 ・実効税率の引き下げ
 ・事業税外形標準課税の強化
 ・繰越欠損金の控除制限の強化
 ・配当課税の強化
 ・試験研究費の税額控除制度の見直し
 ・特定資産の買換え特例の縮減(限度額80%⇒70or75%)

■消費税
 ・引き上げ時期の変更
 ・電子商取引の課税方式の変更

■国際課税
 ・外国子会社からの配当の益金不算入制度の見直し
 ・外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)の見直し 等


11.固定資産の減損における資産のグル―ピングと事業セグメントの関係

⇒目的・意義が異なるので区分の方法も常に同じにはならないが重要な関連性がある。

・連結F/Sの固定資産の減損における資産グループは、どんなに大きくても事業セグメントよりも大きくなることはないと考えられる

・事業セグメントの変更や見直しを行った場合、固定資産の減損における資産グルーピング変更につながる可能性がある。


12.非上場の子会社株式の評価損の損金算入について

(1)評価損の損金算入
・原則×
・例外○

(2)例外について(a.かつb.
a.発行法人の資産状態が著しく悪化
・法的整理が開始
・@純資産が株価の50%以上下回る
b.株価が著しく低下
・@純資産が株価の50%以上下回るかつ将来の回復が見込まれない

3)実務
a.評価のポイント(企業支配株式等の価額)
・特定株主により20%以上保有されている場合で、企業支配が目的と認められる場合
⇒通常の評価+企業支配に係る対価の額を加算して判定

(事例)
@純資産が4万の非上場株式を支配目的で60%を@5万で取得
当期末は@純資産2万(50%以上下落しているが。。。)
⇒通常の評価(@2万)+企業支配に係る対価の額(@1万=購入時時価@5万-購入時純資産@4万)
=@3万(@5万と較べて50%以上下落していない)
損金算入×


13.青色申告承認取消の条件

税務調査の過程で、「青色申告承認取消」をちらつかせ、交渉を有利に進めようとする調査官がいたら…
青色申告承認取り消しの条件を、事務運営指針でしっかり確認しておきましょう!

「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
tm

1.帳簿書類を提示しない場合
⇒帳簿書類が存在しない場合、存在しても税務職員に提示しない場合

2.税務署長の指示に従わない場合
⇒帳簿書類の備え付けについて、指示に従わないと青色申告取消になる旨を説明の上、なお説得に応じない場合

3.隠蔽・仮装の程度が大きい場合
⇒隠蔽または仮装した所得金額が更正後の金額の50%超かつ500万円以上
⇒隠蔽または仮想した所得金額が当初欠損金額の50%超かつ500万円以上

4.2期連続無申告、あるいは期限後申告







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  



2015年1月23日金曜日

1/23 勉強会:結婚子育て贈与、暦年贈与等と併用OK 他

1.適用時期から見る平成27年度税制改正大綱

1、ジュニアNISA 平成28年分より適用開始
  平成2811日より口座開設の受付
  非課税枠最大400万円(80万円×5年)

2、出国時課税制度 平成2771日より施行
  財産債務明細書の見直しは、平成28年1月1日以後の提出分より適用

3、住宅取得等資金贈与 適用期限:平成31630日まで延長
  非課税枠が平成271月以降、短い期間で増減するので贈与のタイミングには注意が必要

4、結婚・子育て資金の一括贈与
  平成2741日から平成31331日までの拠出分が対象
  親・祖父母から子・孫へ結婚等の資金として1,000万円までの贈与を非課税とする
  金融機関で口座を開設し、子・孫が50歳になった時点の口座残高について贈与税が課税される

5、教育資金の一括贈与 適用期限:平成31331日まで延長
  非課税となる資金の使途に通学定期代、留学渡航費が追加された

6、法人税実効税率の引下げ、税効果会計
  平成2741日以後開始事業年度から適用開始
  平成27年度の法人税実効税率は32.11
  ※通常国会で年度内に改正案が成立し、平成27331日までに公布されることが見込まれている
  ※3月決算法人の実効税率は要注意

7、電子書籍への課税
  国境を越えた役務提供に対する消費税の課税見直し
  国境を越えて行う電子商取引に消費税を課税される
  平成27101日から施行される予定

8、海外芸能人・スポーツ選手への課税方法の見直し
  海外から日本に来る芸能人、スポーツ選手等への消費税の課税方法の見直し
  平成2841日以後から適用開始
  今まで:芸能人等が申告・納税義務者
  これから:役務提供を受けた国内の事業者が申告・納税義務者


2.地方法人税創設で税効果の取り扱いを改正

・連結納税制度を適用した場合の地方法人税に係る税効果の考え方

⇒法人税と同様の取り扱い
つまり、繰延税金資産の回収可能性は、連結納税主体を一体として判断

・連結納税会社における個別財務諸表上の取り扱い

⇒連結納税会社ごとに計算


3.住宅取得資金、契約時の贈与に要注意

平成27年税制改正で、住宅取得等資金の贈与の特例に改正が入った。
■改正内容
 ・金額の増加
 ・契約時期により非課税限度額が異なる段階性の設定

■ケース① 消費税の引き上げがなかった場合
(契約時期)                (非課税額)
平成271月~平成2712月  1,000万円(1,500万円)
平成281月~平成299月    700万円(1,200万円)
平成2910月~平成309月   500万円(1,000万円)
平成3010月~平成316月   300万円( 800万円)

■ケース② 消費税が10%に引き上げられた場合
(契約時期)                (非課税額)
平成2810月~平成299月  2,500万円(3,000万円)
平成2910月~平成309月  1,000万円(1,500万円)
平成3010月~平成316月    700万円(1,200万円)

 ※()は「良質な住宅」の場合に適用される金額

■留意点
住宅取得等資金の贈与の適用を受けるためには、贈与を受けた翌年315日までに住宅の引渡しを受ける必要があり


4.毎期のれんの減損テストは削除等せず

(論点)
 修正国際基準(日本版IFRS)の公開草案の検討結果について

(前提)
 企業会計基準委員会はIFRSの強制適用に見据えて、修正国際基準(日本版IFRS)を策定している。
(国際会計基準(IFRS)をそのまま採用すると、日本企業の実態にそぐわない可能性があるため)

(検討結果)
(1)削除・修正項目(日本版IFRS において、IFRSの規程から削除・修正する項目)
⇒公開草案通り
(2)IFRSに存在する規定を削除・修正すべきとの意見があった
「のれんの減損テスト実施」、「耐用年数を確定できない無形資産の非償却」
⇒当初の公開草案通り、IFRSに存在する規程を削除・修正しない方向で検討

(削除・修正項目)
(1)のれんの非償却
 IFRS:のれんは償却しない⇔日本版IFRS:のれんは毎期償却する。
(2)ノンリサイクリング
 IFRS:その他包括利益を当期純利益に組替調整しない⇔日本版IFRS:その他包括利益を当期純利益に組替調整する。

(削除・修正しない項目)
(1)のれんの減損テスト実施
 IFRS、日本版IFRS:のれん減損テストは毎期実施する。
(2)耐用年数を確定できない無形資産の非償却
 IFRS、日本版IFRS:耐用年数を確定できない無形資産は償却しない。


5.H27年度税制改正による期限が到来した租税特別措置について、縮減・廃止が決まった項目は?

H273月末で適用期限が切れる措置法のうち、
(1)延長されるもの
・中小法人等の軽減税率(800万円以下の所得⇒15)・・・H293月末まで延長

(2)縮減・廃止されるもの(主なもの)
・太陽光発電の即時償却・・・廃止
・医療機器等の特別償却 
医療安全機器の特別償却(16%の特別償却)・・・廃止
※高額医療機器の特別償却(500万円以上、12%の特別償却)1年延長
・特定資産の買換えの特例・・・縮減
  ※先週の勉強会の記事(9号買換え)を参照
・船舶の特別償却・・・縮減
・生産等設備投資促進税制・・・廃止

そのほか12措置について縮減、廃止される。


6.結婚子育て贈与、暦年贈与等と併用OK

・平成27年度改正で、
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が創設予定

【内容】
・贈与者:親・祖父母
・受贈者:子・孫(20歳~50歳)
・贈与者が信託銀行等に受贈者名義の口座を開設し、資金を拠出
 ※2年以上に分けて、複数回拠出してもOK
・受贈者1人ごとに1,000万円(結婚費用は300万円)まで贈与税非課税
1,000万円非課税:出産費用、不妊治療費、子の医療費・保育費 等
300万円非課税 :挙式費用、新居の住居費、引越費用 等
・「受贈者が50歳に達した時」「贈与者が死亡した時」の口座残高に課税される
・年間110万円非課税、相続時精算課税制度、住宅取得資金非課税、教育資金非課税との併用可能


7.所得税:国民年金の2年前納と確定申告について

■国民年金の2年前納
平成264月より2年分の前納が認められるようになった。
前納期間中に就職する場合、厚生年金と重複する期間が出るため調整が必要となる。

■確定申告等との関係
前提:274月に2年分前納したとする

<ケース1>
2710月に就職(10月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる18か月分は支払保険料から控除して年末調整

<ケース2>
パート先で年末調整をした後、281月に就職(281月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる15か月分は支払保険料から控除して確定申告

<ケース3>
確定申告で全額控除した後、284月に就職(284月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる12か月分は控除過大のため修正申告が必要


8.消費税:フリーレント期間を含む賃料の按分計上と消費税の適用税率

フリーレントのある賃貸借契約について、会計上費用を平準化して計上している場合には消費税の税率に注意が必要。
平準化によりフリーレント期間に計上されることになる費用に適用される税率は、本来その賃料が帰属する月の税率に拠る。

)
H24.1.1-H24.12.31の賃貸借契約
・フリーレント3ヶ月、税抜賃料4万円/月(総額36万円)
・賃料は賃貸借期間に平準化して計上する。
13月の仕訳は、
    賃料  30,000  / 未払費用 32,400
  8%→仮払CT 2,400  /
となる。
税率改正前の期間の費用として計上するが、適用される税率は本来の費用の帰属期間である4月以降の8%とする。


9.改正企業結合会計基準等の適用(3月決算の場合、2015/4から適用)

Q1:株式交換(契約日:H27.2.23、効力発生日:H27.4.1)は旧基準と改正基準のいずれを適用するか?

 ⇒効力発生日が4/1以降なので改正基準を適用する


Q2:上記についてアドバイザーに報酬20Mを払っている。
   どう処理したら良いか?

 旧基準:取得原価に入れていた
 改正後:単体-子会社株式の取得原価
        連結-発生年度の費用


Q3:大型企業買収を行い臨時・巨額のアドバイザリー費用が発生する
   特別損失にできるか?

 ⇒不可
  前向きな費用だから&旧基準ではのれんに含まれ販管費だったから


10退職金に係る事務手続

 ・詳細別紙参照
 1.対象となる税金
  (1)生存退職金 ⇒ 所得税、住民税
  (2)死亡退職金 ⇒ 相続税

 2.従業員退職金と役員退職金
  (1)従業員退職金
     ⇒労働契約、就業規則
  (2)役員退職金
     ⇒株主総会or定款

 3.事務手続
  (1)退職所得の受給に関する申告書を退職者から受け取る
  (2)特別徴収(給与所得者)異動届出書を役場に提出する
  (3)特別徴収した住民税を支払う
  (4)源泉所得税を支払う
    ⇒役員に退職金を支給した場合、退職所得の源泉徴収票等を提出する必要がある


11.税務調査手続きのルール

・平成23年税制改正で、国税通則法が改正され、税務調査の手続きが明確化されることになった。

・税務調査の適正な手続きは、国税通則法の他、下記で確認することが出来る。

①国税通則法第7章の2⇒法律
②手続通達(国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達)⇒行政機関の内部文章、職員はこれに則って判断する。
③事務運営指針(調査手続きの実施に当っての基本的な考え方等について)⇒通達をより具体的にした、担当者用のルール
④税務調査手続きに関するFAQ(職員用、一般納税者向け、税理士向け)







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


2015年1月17日土曜日

1/16 勉強会:使える補助金・助成金vol.15「特定就職困難者雇用開発助成金」 他

1.法人税率引下げと課税ベース拡大、平成27年度の重要改正を読み解く

■実効税率
 ・現行の実効税率(標準課税ベース) 34.62
  (東京都の場合 35.64%)
 ・平成27年度            32.11%(▲2.51%)
 ・平成28年度            31.33%(▲3.29%)

■繰越欠損金の控除限度割合
 ・現行の控除限度割合        所得の80
 ・平成27年度、平成28年度    所得の65
 ・平成29年度以降         所得の50
 ※大企業の場合
 ※中小企業は全額控除可

■繰越欠損金の繰越期間
 ・現行の繰越期間       9年間
 ・平成27年度以降      10年間
 ※帳簿書類の保存要件、欠損金に係る更正の請求等の期間も10年に延長

■受取配当金の益金不算入
 ・株式持分比率が5%以下のもの
  現行       50%が益金不算入
  平成27年度以降 20%が益金不算入

■外形標準課税
 ・付加価値割、資本割について、税率の見直し(増税)


2.業務委託契約に通謀虚偽表示を認めず

■裁決概要
・内国・外国法人間の業務委託契約に基づく支払手数料が(内国法人の)代表取締役への給与に該当するか否かが争われた。

■原処分庁の主張
・業務委託契約における当事者の真の合意内容は、外国法人=使用者、(内国法人の)代表取締役=労働者とする雇用契約であり、内国法人と外国法人とが虚偽の意思表示をしたものであることから、通謀虚偽表示(民法94条)により無効である。

■審判所の判断
・契約自由の原則に照らし()、業務委託契約に虚偽表示を認めず、支払手数料は内国法人に帰属と判断。
・雇用契約を締結する意思があったというだけでは、業務委託契約が虚偽表示によるものとの理由にならない。

※契約を当事者の自由にまかせ,国家はこれに干渉してはならないとする近代法の原則


3.3万円以上の領収書もスキャナ保存が可

3万円以上の契約書、領収書のスキャナ保存が可能となる
 ※今までは3万円未満は可能だった

■スキャナ保存は一定の要件のもとで可能
 ・税務署長の承認が必要
 ・契約書や領収書、納品書や見積書、注文書等が対象
  (決算書類等は不可)
 ・定期的なスキャナ保存等の社内規程の整備
 ・電子署名

■適用開始時期
 平成27930日以降の承認分から適用


4.繰延税金資産の回収可能性、例示区分の原案が明らかに

(論点)
 企業会計基準委員会が作成中の「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」の原案が明らかになった。
⇒監査上の実務指針「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」
(通称、66)における取扱い
(業績等一定の要件に基づいて会社を5つに分類し、それぞれ回収可能性の判定をする)を大枠で踏襲(ただし、一部変更あり)

(66号からの主な変更点)
(1)例示区分4号⇒
 ()要件が「重要な税務上の繰越欠損金の存在」から「重要な税務上の欠損金の計上」へ、
 ()将来の課税所得の見積りに関し、5年超に渡り継続して計上することを合理的に説明できる場合、例示区分2号に該当するものとして取扱い可、また、概ね3年~5年程度課税所得を計上することを合理的に説明できる場合、例示区分3号に該当するものとして取扱い可

(2) 例示区分3号⇒
 5年を超えて差異が解消されるものについても、回収可能であることを合理的に説明できる場合、回収可能性ありと判断可

(3) 例示区分2号⇒
 スケジューリング不能な将来減算一時差異について、将来的に損金算入の見込みが高く、かつ、損金算入時点において課税所得が損金算入額を上回る可能性が高いと合理的に説明できる場合、回収可能性ありと判断可


5.9号買換え、課税繰り延べ割合を一部縮減

9号買換えとは
(1)10年超所有した土地や建物を譲渡
(2)新たに土地や建物、機械装置等を事業用として購入
(3)(1)の資産の譲渡につき譲渡益が発生した場合には、譲渡益の80%相当額が繰り延べられる (新たに取得した土地や建物を譲渡したときまで)

H27年税制改正
(1)      適用期限:H29331日まで延長
(2)      買換資産の範囲:機械装置が適用除外
(3)      繰り延べ割合の縮減:
地方⇒大都市等への買替え :75%へ引き下げ
地方⇒東京23区への買替え:70%へ引き下げ
上記以外:現行通り80

※大都市等とは
 東京都(武蔵野市、八王子市)、神奈川県(横浜市、川崎市等)
 埼玉県(川口市、川越市等)、千葉県(千葉市等)
※地方とは
 東京23区及び上記「大都市等」以外の地域


6.美術品も100万円未満なら減価償却資産

【改正内容】H27.1.1以後開始事業年度取得分に適用
(改正前)美術年鑑等に登載されている製作者の作品は減価償却資産に該当しない
 ⇒廃止

(改正前)取得価額が120万円(絵画は号2万円)未満であれば減価償却資産
 ⇒1100万円未満であれば減価償却資産
 ⇒100万円以上でも「時の経過による価値減少が明らかなもの」は減価償却資産
 例)会館ロビーなどの不特定多数が利用する場所の装飾品

【経過措置】
H26.12.31以前購入でも、適用初年度から減価償却資産として処理すれば適用可能


7.法人税:一般社団法人等が介在する場合の完全支配関係の判定について

■一般社団法人が介在するケース
 A株式会社
   ↓基金100
 B一般社団法人(資本なし)
   ↓株式100
 C株式会社

Q この場合、AC間で完全支配関係は成立するか?

A 完全支配関係は成立しない
⇒「完全支配関係」は株式または出資の全部を直接または間接に保有する関係をいう。
一般社団法人は株式(出資)を発行しないため、AB間に完全支配関係はない。したがってAC間にも間接的な完全支配関係は成立しない。

(注)一般社団法人の基金は「債務」として認識される


8.有形固定資産の測定・評価

日本基準:取得原価主義
 ※減損は取得原価の切り下げ
IFRS  :原価モデルもしくは再評価モデルの選択適用

原価モデル:日本の取得原価主義とほぼ同じ
再評価モデル:都度、公正価値で測定する
 ⇒再評価モデルは運用上のコスト問題などの課題が多い
 ⇒欧州でもほとんどの企業が原価モデル


9.景品表示法における課徴金について

1.課徴金の対象となる基準
 ・表示内容に対して、合理的に裏付ける根拠を示せない場合
 ・相当の注意を怠ったと認められる場合
2.課徴金額
 ⇒ 対象商品等の売上高の3%
3.課徴金の免税点
 ⇒ 対象商品等の売上高5,000万未満(課徴金で150万円)は課徴金は課されない。


10.時価発行新株予約権信託の概要

1.時価発行新株予約権のデメリット
 (1) 貢献度をキャピタルゲインに反映することが困難
 (2) 新株予約権付与のタイミングにより行使価額に差異
 ⇒ 付与された従業員等の間に不公平が生じる

2.スキームの相違
 (1) 時価発行新株予約権
 ⇒ 新株予約権発行会社が直接、従業員に新株予約権を交付
 (2) 時価発行新株予約権信託
 ⇒ 委託者が信託受託社に金銭を信託
  ⇒ 新株予約権発行会社は信託受託者に新株予約券を交付
 ⇒ 要件を満たした際に、従業員等(受益者)に、信託受託者より新株予約権を交付

3.時価発行新株予約権信託のメリット
 (1) 新株予約権の付与を貢献度に合わせて調整できる
 (2) 発行時の時価で付与できるため、付与のタイミングによる不公平を解消できる。

4.時価発行新株予約権のデメリット
 ⇒ スキームが複雑なため、留意すべき事項が多くなる。


11.意外と知らない 減損会計における資産のグルーピングの勘所

 ■グルーピングの範囲
  (最小)独立したCFを生み出す最小の単位
  (最大)報告セグメント

 ■グルーピングを見直す機会
  →よほどドラスティックな変化がない限り、一度決めたグルーピング方法を毎期継続適用
   ・事業再編成時
   ・経営者交替時
   ・その他(主要な資産の処分、セグメンテーションの方法の変更など)

 ■減損損失の各構成資産への配分
  →時価による方法と、簿価による方法
  →翌期以降の減価償却計算への影響も考慮して決定するとよい
  ※簿価に基づく比例配分と結果が大きく変わらないこと、という条件で償却資産に優先的に配分する方法も考えられる


12.平成2610月以後開始する事業年度に適用する法定実効税率

 ■平成26年の地方税法制の改正
  ・法人住民税の一部の国税化(地方法人税の創設)
   -各事業年度の所得に対する法人税の額×4.4
  ・地方法人特別税の規模を縮小し法人事業税に復元する措置
   -道府県民税:5.0%から3.2%(制限税率6.0%から4.2%)
   -市町村民税:12.3%から9.7%(制限税率14.7%から12.1%)
   -地方法人特別税の規模を1/3縮小し、法人事業税に復元

 ■法定実効税率への影響
  →ほとんどなし
   ・東京都の場合
    -外形標準課税法人  35.6390…%→35.6427…%(結局四捨五入すればミゴロシのまま)
    -上記以外の普通法人 37.1131…%→37.1139…%(同37.11%のまま)


13.賃借建物の修繕に関する問題

倉庫として借りている建物の屋根の一部が破損し、雨漏りが発生する。
賃貸人に修繕を要求したが拒否された。

Q 修繕工事が終わるまで賃料の支払を止めることは可能か?

A 特約がある場合を除き、民法によれば賃貸人は修繕をする義務がある。
  しかし支払を拒むことは出来ないと解される。 


14.M&Aにおける無形資産の取り扱いについて

(1)M&Aにおける無形資産の処理(概要)
 a.取得原価の算定(=無形資産の取得原価は超過収益力も含めた会社全体の買収価額に含まれる)
 b.取得原価の配分

(2)取得原価の配分
 取得原価を識別可能な資産・負債に配分(パーチェス・プライス・アロケーションPPA
 ⇒取得原価と純資産の差額(=広義の「のれん」)が、無形資産への取得原価の配分や狭義の「のれん」の原資となる

POINT
・取得原価と純資産の差額(=広義の「のれん」)が無形固定資産に紐づく可能性が高いからといって、必ずしもPPAにより配分されるとは限らない
・対象は特許権や商標権といった法的に権利化されたものに限らず、ブランド等も含まれ、対象範囲は広い
⇒何に配分するか⇒識別可能な資産の判断・評価が重要
・評価については、株価算定の様に①マーケットアプローチ、②インカムアプローチ、③コストアプローチに基づく

4)取得原価の配分のタイミング
 実務的にはM&A完了後であるが、ディール中にやることも有用
(理由)
・取得原価の配分が多くなれば、のれん(狭義の「のれん」)が少なくなる=今後の償却が減る
(のれんと無形固定資産の償却年数は異なる前提)

※狭義の「のれん」=最終的にBS計上ののれん


15.使える補助金・助成金vol.15「特定就職困難者雇用開発助成金」

・(対象者)
事業主

・(要件)
高年齢者、障害者、母子家庭の母等を、ハローワーク等の紹介で(1年間)継続雇用すること

・(受給内容)
高年齢者、母子家庭の母 :90万円
障害者:135万円
重度障害者:240万円

※短時間労働者の場合は減額
※大企業の場合は減額
※支給は半年で半分ずつ

・(手続き)
支給対象期末から2ヶ月以内「支給申請」をハローワークに提出








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供