2018年5月12日土曜日

5/11 勉強会:有価証券報告書の作成上の留意点、仮想通貨の期末評価について 他

1.有価証券報告書作成上の留意点(H30年3月期提出用)

■経営者による財政状態、経営成績及びCFの状況の分析
・「業績等の概要」、「生産、受注及び販売の状況」を「財政状態、経営成績及びCFの状況の分析」に統合し、
「経営者による財政状態、経営成績及びCFの状況」の分析の記載を求める
⇒経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容を具体的に、かつ分かり易く記載することを求める

■新株予約権等の状況
・「新株予約権等の状況」、「ライツプランの内容」、「SO制度の内容」を「新株予約権等の状況」に統合




2.留保金課税の適用の有無は客観的に判断

■裁判:特定同族会社の留保金課税の適用をめぐり納税者側が敗訴(東京地裁、2018年1月)
・原告法人:パチンコ店経営の有限会社(親法人による100%支配/親法人は代表とその親族合計3名で支配)
・修正申告にを行った際に課税当局から特定同族会社の留保金課税制度適用による更正処分等を受けた
⇒修正申告の内容:消費税減額、法人税増額(原価の過大計上を修正)
・審査請求を行ったものの、国税不服審判所が課税当局を支持したことから原告は留保金課税の取り消しを求める訴訟を提起

■原告の主張⇒留保金課税の適用は違法であると主張
・事業年度の時点では増加所得の認識は不可能
・修正による増加所得が「留保した金額」に該当するとはいえない

■地裁の判断
・修正により増加した所得が留保した金額に当たるか否か:客観的に判断すべき
⇒以下のような項目を考慮する余地はなく、機械的に判断すべき
・増加した所得金額に相当する現金預金は同族会社が現実に保有しているかどうか
・所得金額が増加した経緯
・発生を認識できる状況だったかどうか




3.先代以外の株主のみの贈与等に承継税制

■新事業承継税制
・株式を贈与等する者の中に先代経営者がいない場合、新事業承継税制は適用されない
・ただし先代経営者から贈与等が行われた後に、先代経営者以外の株主のみから後継者への贈与等が行われた場合は、新事業承継税制を適用できる

■具体例
・父親が先代経営者で後継者は3人(長男、長女、次男)
・まず長男と長女が父親から株式の贈与を受ける
⇒第一種経営承継贈与が適用可
・その後、長男と次男が父親以外の株主(例えば母親)から株式の贈与を受ける
⇒第二種経営承継贈与が適用可
※先代経営者でない母親からの贈与が先に行われた場合は、新事業承継税制の適用不可




4.収支内訳書の虚偽記載と「特段の行動」

【重加算税とは】
・不正行為による罰金のような行政処分(最大で55%の税率による課税)

【国税不服審判所の異なる裁決】
・H24年5月裁決 ⇒ 適当に減額した収支内訳書+過少に所得申告=重加算税
・H27年7月裁決 ⇒ 根拠のない金額を記載した収支内訳書+過少に所得申告=重加算税とならず
収支内訳書の虚偽記載を「特段の行動」と評価できないという理由から
「特段の行動」とは・・
・当初から所得を過少に申告する事を意図し、その意図を外部からも伺い得る行為、行動の事

【H29年9月裁決事例】
(1)十数年という長期にわたって過少申告を行っていた
(2)所得金額を調整するといった周到な準備を行っていた
⇒「特段の行動」の認定についての明確な言及はしていない・・




5.タックスヘイブン対策税制関連のQ&Aについて

・タックスヘイブン対策税制は、平成29年度税制改正において、その制度の基本構造を含め大幅に変更された。
・改正による新制度は、原則として外国関係会社の平成30年4月以後に開始する事業年度に係る課税対象金額等について適用される。
・重要な改正点について国税庁よりQ&Aが公表された。

■主な改正点
・トリガー税率での判断廃止(租税負担割合20%での判断)
→改正前は、外国子会社の租税負担割合が20%以上であれば、実体がない場合でも、合算課税の対象から除外されており、たとえ実体があっても20%未満であれば合算課税の対象とされていた。(アンダーインクルージョンの問題)

・経済活動基準による判断
以下の基準により、経済活動の有無を判断する。
1事業基準(主たる事業が株式の保有、IPの提供等でないこと)
2実体基準(本店所在地国で事務所を有していること)
3管理支配基準(本店所在地国で)
4所在地国基準(主として所在地国で事業を行っていること)

・受動的所得(利子、配当、使用料等)しか得ていない、ペーパーカンパニー、キャッシュボックス、ブラックリストカンパニー等に該当する場合は、合算課税の対象となる。(租税負担割合が30%未満の足切基準あり)





6.電子申告の義務化についてよくある質問(国税庁)

【対象税目関係】
Q 電子申告の義務化は、どの税目が対象となるか
A  (1)法人税及び地方法人税(地方税の法人住民税及び法人事業税も義務化)
   (2)消費税及び地方消費税

【対象法人関係】
Q 電子申告の義務化の対象法人は
A (1)法人税及び地方法人税の場合
  内国法人のうち
  ⇒事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
  ⇒相互会社、投資法人及び特定目的会社
  (2)消費税及び地方消費税の場合
  ⇒(1)に掲げる法人に加え、国及び地方公共団体
※内国法人には公共法人(消費税及び地方消費税のみ)・公共法人等・共同組合等を含む。人格のない社団等及び外国法人は資本金の額又は出資金の額の有無にかかわらず電子申告の義務化対象法人に含まれない。





7.東京高裁 役員退職金の過大判定で国が逆転勝訴

■経緯
<東京地裁>
死亡退職した役員に支給した退職給与のうち過大な金額として損金不算入となる部分を巡り争われた事件について,国側が算定した平均功績倍率を1.5倍した倍率を基に算定した金額までを相当な額として損金算入を認めていた
⇒判決文ではその“1.5倍”という数値の具体的な算定根拠までは示されておらず国が控訴していた

■今回
<国側の主張>
当事者間における主張ではないにもかかわらず,「平均功績倍率×1.5」という基準を唐突に挙げ,その算定根拠といった理由は示していない。
1.5倍という数値が独り歩きし,今後,「平均功績倍率×1.5」の数値を基に役員退職給与を支給するということになりかねない

<納税者の主張>
そもそも平均功績倍率は法令で定めたものではなく,数学的根拠のない倍半基準を比準法人の選定に利用することなどに鑑みれば,平均値を参考に一定の基準を設けることは法解釈として許容される。

※倍半基準
役員給与や役員退職金についてその適正額算定の際に参考とされる納税者の同業類似法人を抽出する基準の
1つ。納税者の売上金額等の2倍以下0.5倍以上の範囲の法人を抽出する。

<東京高裁>
国側の主張を認め地裁判決を退けた





8.仮想通貨 評価損は原則損金不算入

■仮想通貨の期末処理
「活発な市場」が存在するか否かに応じて処理する。

「活発な市場」とは、継続的に価格情報が提供される仮想通貨取引所等において、
十分な数量及び頻度で取引が行われているところ

(1)活発な市場が存在する仮想通貨
・市場価格をBS価額とする
・簿価との差額は当期の損益として処理
(2)活発な市場が存在しない仮想通貨
・取得価額をBS価額とする
ただし処分見込価額が取得価額を下回る場合は、処分見込価額をBS価額とする
・取得価額との差額は当期の損失として処理

■評価損益について
税務上、資産の評価替えに伴う評価損益は、原則益金算入及び損金算入はできない。
ただし物損等・法的整理の事実など特別な事業がある場合、評価損は損金算入可能。

仮想通貨の場合、
著しい下落は物損等の事実に該当しない ⇒ 評価損は損金不算入
法的整理の事実に該当 ⇒ 評価損は損金算入が認められる可能性あり



9.分配可能額を超えた配当金

・アルメディオ(東証2部上場)は2017年3月期の期末配当に関する社内調査委員会、第三者委員会の設置を公表
・2017年6月の総会で2.5円/株の配当を決議&実行
 ⇒分配可能額を超えていた
 ⇒自己株式の減算の漏れ
・分配可能額不足は既に回復できているので、株主には返還を求めない




10.仮想通貨の期末評価について

■評価額
(1)活発な市場が存在する:市場価格に基づく価格
(2)活発な市場が存在しない:取得価額のまま
※処分見込額<取得価額の場合は処分見込額
■補足
活発な市場の判断基準
⇒継続的に価格情報が提供される程度に取引所において十分な数量および頻度で取引が行われる
※通貨毎の実態で判断
⇒合理的な範囲で入手できる価格情報が取引所毎に著しく異なる場や、売手と買手の希望価格に大きな差がある場合は
活発な市場とはいえない




11.有価証券報告書の作成上の留意点(平成30年3月期)

■平成30年3月31日以後に終了する事業年度に係る有報について項目改正
(1)「業績等の概要」および「生産、受注及び販売の状況」を「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に統合
 その上で「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の記載を求める
・経営者視点による経営成績等に関する分析を具体的に、かつ、わかりやすく記載
・資本の流動性に係る情報についても記載する
(例:重要な資本的支出の予定およびその資金調達減等)

(2)「新株予約権等の状況」、「ライツプランの内容」および「SO制度の内容」を「新株予約権等の状況」に統合
・新株予約権証券に関する記載をする

(3)大株主の状況
・発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式の割合を記載する
 ※事業報告と統一
・議決権行使日現在の「大株主の状況」について記載
 ※難しい場合は、当事業年度末現在について記載

(4)税効果会計関連
・BS表示について、繰延税金資産=投資その他の資産、繰延税金負債=固定負債へ
・注記が追加(評価性引当額の内訳に関する情報、税務上の繰欠に関する情報)
※平成30年4月1日以後開始する事業年度の期首より適用




12.決算確定業務完了前における財務諸表の修正

会計監査で発見された誤謬の取扱

・修正の要否だけでなく、財務報告に係る内部統制への影響も検討する必要がある

・誤謬が内部統制の不備にあたるか、内部統制で防止/発見できなかったのか観点から検討
 ⇒提出後に会社が予定していた内部統制で防止/発見できる状況であったのかの検討が必要
 ⇒決算確定作業と同時に会計監査が行われることも増えてきている。

・内部統制監査上、開示すべき重要な不備に該当するか金額的・質的重要性の観点から判断する。
 ⇒加えて、誤謬を生じさせるに至った背景や内部統制上の問題点も含めて判断する



13.中小企業向け特例の所得制限

■概要
2019年4月1日以後開始事業年度から、中小企業向けの租税特別措置について、
以下の条件を満たす場合は適用しない(適用除外事業者)。

■条件
当該事業年度開始の日前3年以内に終了した、
各事業年度の"所得金額の平均金額が15億円を超える法人"
※設立後、3年を経過していない法人のうち、合併等で設立された場合は、
 被合併法人等の所得金額等を合併法人等の基準年度の所得金額に加算する措置手当あり

■対象となる特別措置
以下の中小企業の優遇措置のうち(5)~(13)が該当。

・中小法人等(法人税法上)に適用される特例優遇措置
(1)特定同族会社の特別税率(留保金課税)
(2)欠損金の控除限度額
(3)欠損金の繰戻しによる還付制度
(4)交際費等の損金不算入制度における定額控除限度額
(5)軽減税率の特例
(6)貸倒引当金の法定繰入率の選択

・中小企業者(租税特別措置法上)に適用される特例優遇措置
(7)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
(8)中小企業経営強化税制
(9)中小企業投資促進税制
(10)商業・サービス業・農林水産業活性化税制
(11)中小企業技術基盤強化税制(グリーン投資減税)
(12)環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)
(13)所得拡大促進税制






14.仮想通貨の会計処理

■概要
2019年4月1日以後開始事業年度から、中小企業向けの租税特別措置について、
以下の条件を満たす場合は適用しない(適用除外事業者)。

■条件
当該事業年度開始の日前3年以内に終了した、
各事業年度の"所得金額の平均金額が15億円を超える法人"
※設立後、3年を経過していない法人のうち、合併等で設立された場合は、
 被合併法人等の所得金額等を合併法人等の基準年度の所得金額に加算する措置手当あり

■対象となる特別措置
以下の中小企業の優遇措置のうち(5)~(13)が該当。

・中小法人等(法人税法上)に適用される特例優遇措置
(1)特定同族会社の特別税率(留保金課税)
(2)欠損金の控除限度額
(3)欠損金の繰戻しによる還付制度
(4)交際費等の損金不算入制度における定額控除限度額
(5)軽減税率の特例
(6)貸倒引当金の法定繰入率の選択

・中小企業者(租税特別措置法上)に適用される特例優遇措置
(7)少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
(8)中小企業経営強化税制
(9)中小企業投資促進税制
(10)商業・サービス業・農林水産業活性化税制
(11)中小企業技術基盤強化税制(グリーン投資減税)
(12)環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)
(13)所得拡大促進税制



15.法人税特別措置の実務ポイント(所得拡大・情報連携投資等の促進など)

■概要
平成30年度税制改正では、企業の人材や設備への投資を促進させるために、賃上げ・投資促進税制、事業承継税制の拡充等が公布された。

■所得拡大促進税制の改正(賃上げ・投資促進税制)
(1)大企業
・設備投資要件(国内設備投資額≧減価償却費の総額×90%)等を新たに加え、控除額・控除限度額が拡充された上に、人材投資を行った企業はさらに控除額を上乗せできる。

(2)中小企業
・賃上げ等の要件が見直され、控除額・控除限度額が拡充された上に、人材投資もしくは経営力向上が認められた企業については、控除額を上乗せできる。

■生産性向上特別措置法、改正産業競争力強化法関連の政策税制(投資減税措置)
(1)情報連携投資等促進税制の創設
・特定ソフトウェアを新設または増設する場合、当該特定ソフトウェアと、共に取得される機械装置・器具備品を事業の用に供したときは、特別償却(30%)と税額控除(3%、賃上げを伴う場合は5%)との選択適用が認められる。

(2)生産性関連の減税措置の適用要件の見直し
・適用年度の所得金額>前年度の所得金額のとき、下記のいずれかを満たさない限り、減税措置を受けられない。→賃上げ要件 :継続雇用者給与等支給額>継続雇用者比較給与等支給額
   設備投資要件:国内設備投資額>減価償却費の総額×10%
・対象措置は「研究開発税制」「情報連携投資等促進税制」「地域未来投資促進税制」の3つ

(3)特別事業再編を行う法人の株式対価TOBと株主の課税繰延
・改正産業競争力強化法の特別事業再編計画の認定を受けた法人が株式を対価とするTOB(株式公開買付)を行った場合、被買収会社の株主に対する株式譲渡損益課税の繰延措置が受けられる。







16.ESG投資が世界的に拡大の流れで、世界の残高は16年末時点で23兆ドル(約2500兆円)


・日本の上場企業の株主優待制度でも、相当額を公益法人などに寄付する社会貢献型を選べる企業が126社。前年比約2割増で、5年前に比べると7割増。


・メニコン:絶滅が危惧されるトキの保護基金への寄付。
・日本ペイントホールディングス:卓球台を全国の幼稚園・保育園に贈る(同社は卓球の実業団チームも保有)。
・バンダイナムコホールディングス:東日本大震災で被災した子供への寄付プログラムを選べる。株主からの寄付と同額を会社側が拠出し、合計1000万円以上にして寄付。



17.危険なIPO銘柄を見極めるポイント

1.大型株のIPOではないか
大型株のIPOは、危険というよりも、競合他社との比較ですでにある程度株価が読めるため、小型株のように大化けはしない傾向

2.オールドエコノミーの会社でないか
オールドエコノミー(※)の会社である事の多い1-2部は公募割れの実績も高い傾向
(※)昔からのビジネスモデル

3.大株主がベンチャーキャピタルばかり
公募価格から1.5倍でロックアップが解除される条項もあり、初値が高いといきなり大株主の売りがでる可能性あり

4.再上場会社でないか
過去の株価、同業他社との比較など株価算定がやりやすいため、大化けする可能性は少ない

5.赤字上場でないか?下方修正リスクは?
上場時人気化する銘柄も多いが、その後株価は下落する株が多い





















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2018年5月2日水曜日

4/27 勉強会:収益認識会計基準と法人税法上の取扱い 他

1.非上場株式等の公正価値評価の方法

IFRS任意適用日本企業はどのように非上場株式の公正価値を測定しているか?

⇒非上場株式はほとんどが観察可能でないインプットに基づいて公正価値の測定を行わざるを得ないため、
公正価値のヒエラルキー上は、基本的に「レベル3」に分類される。
⇒評価技法はDCF法、マルチプル法、純資産法など
⇒観察可能でないインプットとは割引率、非流動性ディスカウント、支配プレミアム、資本コスト、永久成長率など



2.自己資本比率低下で/継続企業の前提の注記~平成29年12月期決算では5社

■タイトルに関する注意点(ブログではカットしてください)
・タイトルが「自己資本比率低下でGC注記に至る」と読めるが、あくまで監査報告書の強調事項が付された会社のうち1社にそういった表現があったのみで、自己資本比率低下によりただちにGC注記に至るわけではないし、GC注記の要件でもない。
・非常に読みにくいタイトルになっている点注意してください。

■2017年12月期決算でGC注記が記載された上場会社(5社)
・UMNファーマ(監査法人:トーマツ)
⇒継続的な営業損失の発生及び営業CFのマイナス
・アンジェス(同:トーマツ)
⇒継続的な営業損失の発生及び営業CFのマイナス
・アプリックス(同:ハイビスカス)
⇒6期連続で売上高の著しい減少、営業損失及び営業CFのマイナス
・小僧寿し(同:至誠清新)
⇒43期以降、継続して売上高減少及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上
・倉本製作所(同:アヴァンティア)
⇒4期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことにより、自己資本比率が8.3%に低下
⇒取引金融機関によって期限の利益の確保が短期にとどまっている状況



3.期限内に計画の提出なければ事業承継税制特例を適用できず

■事業承継税制
中小企業で後継者が経営者から非上場株式を贈与または相続により取得した場合、後継者が納付すべき贈与税、相続税の納税が猶予される制度。
さらに、一定要件を満たしつつ後継者が死亡した場合には、納税が猶予されていた贈与税、相続税は免除される。

■特例措置(平成30年度税制改正)
(1)後継者が取得したすべての株式が納税猶予の対象に
⇔これまでは発行済議決権株式の2/3までが対象
(2)相続税、贈与税ともに全額が納税猶予の対象に
⇔これまでは贈与税は全額対象、相続税は80%までが対象
(3)最大3人までの後継者への承継が対象に
⇔これまでは代表者となる後継者1人に限定
(4)承継後5年平均の雇用者数が承継前の8割を下回っても猶予の継続が可能に
⇔これまでは8割を下回った場合には、納税猶予は打ち切り
(5)後継者が廃業、売却した際はその時点の株価で税額を再計算できる
⇔これまでは承継時の株価を基に税額を計算

■適用期間
・平成30年1月1日~平成39年12月31日までに取得する財産に係る贈与税又は相続税が対象
⇒10年間の期間限定措置

■適用方法
・平成30年4月1日~平成35年3月31日までに特例承継計画を都道府県に提出すること
⇒計画を提出しても必ず事業承継を行う必要はないので、可能性があれば提出しておくべき



4.住宅の消費税非課税について

■非課税の範囲
居住用家屋の貸付で貸付期間が1ヶ月以上のもの。1ヶ月以内は課税
事務所や店舗、旅館などの施設の貸付はそもそも住宅としての貸付ではない

■施設の貸付
駐車場などの付属設備は、「住宅に付属又は一体」となって貸付られる=住宅家賃と同じとして非課税
但し、家賃と別契約で利用料等をもらう場合は「設備の貸付」なので課税
⇒住宅の貸付となる部分とそれ以外の部分の区分が必要

■集合住宅の家賃、共益費などの課非判定
・集合住宅に入居している者のみを対象にしている場合
⇒「住宅に付属又は一体」となった貸付けなので非課税(外部からの利用も可能であれば課税)
例:住宅内でのジムなどのアスレチック施設、パーティルームなどの娯楽施設
・倉庫や家具などの付属設備の使用料の取扱
⇒入居者自身の選択ができない場合は非課税(選択が可能であれば課税)
・家賃とは別に請求する上記と同様な各種の料金
⇒個別に判断するが、住宅家賃と区分している、していないで課非判定が分かれる



5.収益認識会計基準と法人税法上の取扱い

・平成33年4月1日以後開始事業年度から「収益認識会計基準」が強制適用。
・適用対象は、上場会社や会社法の大会社等の約1万社数千社
・平成30年度税制改正では、収益認識を明確化するため法人税法22条の2が新設。
・改正される見込みの法基通においても、原則として収益認識に関する会計基準の考え方が取り込まれ予定
・課税の公平の観点から会計基準とは異なる取り扱いもある。

■法人税法上の基本原則
・法人税法22条の2について
1項
→資産の譲渡等に係る収益の額は、原則として「その資産の販売等に係る目的物の引渡し又は役務の提供の日」の属する事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入されることが明記。
→原則として、「引渡基準」が採用されていることが明示されている。

2項
→資産の譲渡等に係る収益の額について「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って当該資産の販売等に係る契約の効力が生ずる日」等の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合には、第1項の規定にかかわらず、当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入することとしている。
→「権利確定主義」を法制化するものと解釈される可能性があり、選択適用の規定ではないため、会計上で収益計上した場合には、税務上も益金として取り扱う必要が出てくる。




6.国税庁、データ形式柔軟化で雛形提供

■勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化(平成31年4月実施予定)
1.売掛金(未収入金)や買掛金(未払金)など記載量が多くなる勘定科目を対象
(1)期末現在高が50万以上or上位100件の記載(100件超の場合、上限を100件とする)
(2)相手先単位での記載or支店、事業所別の記載
⇒法人が記載方法について選択可能
2.貸付金及び受取利息の内訳書⇒「貸付理由」欄の削除
3.借入金及び支払利子の内訳書⇒「借入理由」欄の削除
4.仮払金/仮受金の内訳書⇒取引の内容の欄の自由記載化
5.雑益、雑損失等の内訳書⇒固定資産売却益(損)の記載不要化

■データ形式の柔軟化
国税庁から勘定科目コード及び標準フォームを提供

■電子申告義務化摘要届出書の提出期限 ※法人の設立日等により異なるので注意。
既存の資本金1億円超の法人
⇒平成32年4月1日以後最初に開始する事業年度の開始の日以後1月以内
施行後・・・
増資により資本金1億円超となった場合
⇒1億円超となった日から1月以内
資本金1億円超の会社を設立した場合
⇒設立の日から2月以内




7.仮想通貨の不正送信被害に係る補償金の取扱い

■タックスアンサー回答
仮想通貨交換業者から日本円による補償金の支払いを受けた場合、補償金の額は
非課税となる損害賠償金に該当せず、雑所得として課税の対象となる。

■課税関係
補償金>仮想通貨の取得価額⇒上回る部分が課税対象、原則として雑所得
補償金<仮想通貨の取得価額⇒下回る部分の金額の損失を他の雑所得と通算可

■その他関連論点
流出してしまったことに対する慰謝料として補償金を受ける場合には「心身または
資産に加えられた損害につき支払を受ける見舞金」として非課税とされる可能性がある




8.収益認識会計基準対応 法基通の方向性を確認、消費税は泣き別れが不可避に

収益認識会計基準の創設を踏まえた税務上の対応は以下の通り。
・法人税法22条の2が創設 ※22条は法人税法の基本となる条文
・基本は会計を容認する。
⇒ただし返品や回収不能の可能性がある場合は収益の計上額に反映させない。
・値引き・割戻等は通達にて対応予定。
・消費税は従前からの取扱いを変えない。
⇒会計・法人税との間で乖離が発生し、システム対応が必要となる。
・中小企業は適用されない。

■創設された法人税法第22条の2
(1)収益計上時期
・原則:目的物の引渡し又は役務提供の日
・原則の引渡し日に近接する日に収益計上した場合、益金算入を認める
・申告調整にて益金計上することも可能
(2)収益の計上額
・原則:引渡し時の価額又は役務提供に対する対価の価額で計上する
・引渡し時の価額又は役務提供に対する対価の額に
返品や回収不能の可能性がある場合はその影響を織り込むことはできない




9.スマホアプリの収益認識

・「収益の認識に関する会計基準」では、
 履行義務を充足した時、または充足するにつれて収益を認識することが求められている
・企業は識別された履行義務が
 ①一定の期間にわたり充足されるものか
 ②一時点で充足されるものか
 を判断する必要がある。
・スマホアプリ(主にゲーム)内課金に関する収益認識について
 1.ユーザーが課金してゲーム内通貨を購入した時点
 2.通貨でアイテムを購入した時点
 3.アイテムの使用状況に応じて
 のいずれになるかが論点となっている。
 ⇒まずは①か②で判断する。
 ⇒「各社が、自社が提供するゲームの実態を反映した適切な方法で」とされている。




10.近時の定時株主総会の傾向

CGコードの制定等を背景に、株主との建設的な対話の場として、株主総会の活用を図る取り組みが進展
(1)集中度合が引き続き減少傾向(集中日は6/29で31.0%)
(2)招集通知を早期発送する傾向(3週間以上前が26.6%)
(3)早期ウェブ開示が増加傾向(前年は85.2%)
(4)英文招集通知作成会社でウェブ開示は増加傾向(前者35.8%、後者34.5%)




11.資本連結から生じる一時差異の税効果

■連結FS固有の一時差異
・子会社の資産および負債の時価評価による評価差額に係る一時差異
⇒子会社の税率使用

・支配獲得時に生じる子会社に対する投資に係る一時差異
⇒通常は一時差異は生じないが、以下において生じるケースあり 
 ※ただし支配獲得時においてDTA/DTLは計上されない(税効果適用指針22~24項、105,106項)
(1)取得原価に含まれる取得関連費用に係る一時差異
 個別:取得原価に含める、連結:費用処理であるため
(2)段階取得に係る損益に関する一時差異

・支配獲得後に生じる子会社に対する投資に係る一時差異
(1)子会社の留保利益に係るもの
⇒配当金として受け取ることに解消されるものが対象
(2)為替換算調整勘定に係るもの
⇒売却の意思が明確な場合のみ

・のれんまたは負ののれんに係る一時差異
⇒子会社株式等の取得に伴い認識したものはDTA/DTLを計上しない

・のれんの償却額または負ののれんの利益計上額の取り扱い
⇒原則は計上しないが、売却の意思がある等、回収可能性がある場合のみ計上する



12.仮想通貨に関する法人税・所得税上の取扱い

■概要
制度上の取扱いは整備途中だが、比較すると、所得税法上の整備が進んでいる

■所得税
・所得⇒仮想通貨を「使用」した際に所得が生じる(含み損益は所得にならない)
(1)売却(=日本円に換金)した場合:仮想通貨の売却価額と取得価額の差額
(2)商品を購入した場合:商品の税込価額と支払った仮想通貨の取得価額の差額
(3)交換した場合:交換後の仮想通貨の時価と交換前の仮想通貨の取得価額の差額
(4)マイニングした場合:取得した仮想通貨の時価からマイニングに要した経費を控除した金額

・取得価額⇒原則として移動平均法、継続適用を前提として総平均法が認められる

・申告⇒雑所得

■法人税
・仮想通貨の期末評価
該当するかは定かではないが、税法上の「短期売買商品」「棚卸資産」に該当すれば評価対象

・売却損益の認識時点
金融商品に該当すれば約定日基準、棚卸資産に該当すれば税法上は引渡基準




13.実務対応報告36号を踏まえて考える有償ストック・オプションの法務・税務への影響

■有償SOの取扱
・有償SOは現金を対価として新株予約権を発行する取引
・実務対応報告では有償SOの付与を「金銭の対価および従業員等から受けるサービスの対価」として付与するものと整理
 ⇒労働等のサービスに対する対価のため費用計上することになった。

■所得税法上の取扱
・個人が新株予約権の時価により付与を受けた場合、有価証券の取得として取り扱う
 ⇒権利行使時に課税関係は生じず、株式を譲渡した時に課税される。
・「役務の提供その他の行為による対価」として付与された場合、権利行使時に給与所得として課税される
・有償SOは「役務の提供その他の行為による対価」として付与されるものではないとして、譲渡時に譲渡所得として課税されていた。
 ⇒実務対応報告は発行法人の取扱を定めたものであるため、ただちに所得税法上の取扱に影響を与えるものではないと考えられる

■法人税法上の取扱
・会計処理の如何にかかわらず、法人税計算上、損金に算入されない現行の実務は今後も維持されるべき。
 ⇒損金算入が認められる場合は、所得税法上、個人側で課税がある場合が前提である。





14.仮想通貨の会計処理

仮想通貨は、会計上の資産として扱い、仮想通貨として独自の会計処理が定められている。
※適用開始:2018年4月1日以後開始する事業年度の期首から

■会計処理方法
(1)期末における仮想通貨の評価
・活発な市場あり
⇒市場価額に基づく価額で評価
 帳簿価額との差額は当期の損益
・活発な市場なし
⇒取得原価で評価
⇒期末処分見込価額が取得原価を下回る場合は、期末処分見込価額をもって貸借対照表価額
 差額は当期の損失(戻入不可)

(2)仮想通貨の売却損益の認識時点
 売買の合意成立時点において認識(約定日基準)

(3)仮想通貨の売却損益の表示方法
・売却収入から売却原価を控除した純額を表示(表示科目の定めなし)
・仮想通貨交換業者は発生期間における企業活動の成果として、上記純額を表示

(4)仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨
・預かった仮想通貨は、その時の時価により資産計上
・同時に預託者に対する返還義務を負債計上(上記資産と同額計上)
・預託者から預かった仮想通貨と仮想通貨交換業者自身の保有仮想通貨は簿価分離する
・期末評価は(1)と同様の方法により評価
 期末評価からは損益を計上せず、負債は資産と同額とする



15.仮想通貨をめぐる監査実務のポイント


■概要
資金決済に関する法律「資金決済法」が平成28年6月3日に改正・公布された。この影響により、日本公認会計士協会から平成29年5月31日に「仮想通貨交換業者における利用者財産の分別管理に係る合意された手続業務に関する実務指針」、平成30年3月23日に「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針(公開草案)」が公表された。

■「仮想通貨交換業者における利用者財産の分別管理に係る合意された手続業務に関する実務指針」
・監査の対象
⇒事業者自身の財産と利用者の仮想通貨の分別管理の状況(ex.法令順守、内部統制の整備・運用状況)を監査。
・手続
⇒合意された手続(事前に依頼主と合意した手続のみを行う)。
・結果の報告
⇒事前に事業者と合意した手続とその結果を報告するのみ。保証業務ではないため、実施結果報告書に「保証業務ではない旨」が明瞭に記載される。
・想定利用者
⇒事業者と規制当局のみに限定。

■「仮想通貨交換業者の財務諸表監査に関する実務指針(公開草案)」
・監査の目的
⇒事業者の財務諸表が企業会計の基準に準拠して、実態を適正に表示しているかどうか。
・手続
⇒監査人が監査の基準に準拠して、職業専門家として判断した手続
・結果の報告
⇒財務諸表全体の適正性についての意見表明。
・想定利用者
⇒一般的な投資家





16.統合報告書の監査


・決算情報だけでなく、意思決定の仕組みや社会的な責任を守る活動についての情報をまとめて「統合報告書」を作り、投資家など外部への情報開示を充実させる企業が増加。⇒2017年に411社が発行。

・新日本監査法人
17年に統合報告書に関わる作業を担う「統合報告推進チーム」を立ち上げ。
人権や自然環境に関する専門家も抱えている。

・あずさ監査法人
キリンホールディングスやJR東日本などを担当。

・PwCあらた監査法人
17年にこうした業務を担当する「リスク・デジタル・アシュアランス部門」を新設。


17.就業規則、労使協定


就業規則
・従業員が常時10人以上いる会社に作成及び、労基への届出が義務
・周知方法は、社内の共有サーバーやメール配信など

労使協定
・会社と労働組合、または、労働者の過半数代表者との書面上締結
・労働者の過半数代表者は、管理監督者ではない従業員から選出
・例えば36協定を締結する場合、
1.過半数代表者を選出することを通知
2.期日を指定し立候補者を募る
3.立候補に対して、投票などで信任を問い、過半数の同意を得た立候補を適任者として決定
⇒従業員数が少ない場合は、話し合いや持ち回りでの互選でも可能




















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