1.粉飾企業の非常勤監査役への損害賠償請求は認められるか?
【事例】
・ニイウスコー社で、有価証券報告書に虚偽記載あり
→粉飾を知らずに株式購入した株主が、取得価額=損失であるとして、
代取・非常勤監査役に損害賠償請求
【判決】
・代取に対して、損害賠償が認められた
・非常勤監査役に対しては損害賠償は認められなかった
【理由】
→非常勤監査役は、相当な注意を用いても知ることが出来なかった
・監査役会が定めた職務分担内容が、監査役としての善管注意義務に照らして相当
(常勤監査役が日々の社内会議に出席、非常勤監査役が常勤から監査状況について報
告をうける)
・監査役は、自己の職務を善管注意義務に従って遂行していた
2.前代表者への貸付金、貸倒損失と認める
・前代表取締役に対する約4億円の貸付金について、会社が貸倒損失処理
・課税庁側はこれを認めず
・裁判所の判断
①前代表取締役の資産・収入状況に照らすと回収可能性はないと認定できる
②よって、貸付金は貸倒損失として損金計上できる
※前代表取締役の退職後の収入は年金21万円/月
→貸付金の総額に比してとても少ない
※前代表取締役が保有していた株式を子供(現代表取締役)に贈与
→貸付金の回収の観点からは有用ではないが、
円滑は経営権の譲渡を実現するためにはやむを得ない
3.中国子会社への送金額を寄付金と判断
■前提
・内国法人A社は中国にある子会社B社へ資金を送金
…仕入に係る値増し分として仕入計上
・課税庁はこれを貸付金と認定
…A社とB社で金銭消費貸借契約書を締結していたため
・課税庁は送金を仕入と処理したことは事実の仮装隠ぺいにあたるとして
法人税の更正と重加算税を賦課
■論点
①A社とB社の取引は、仕入なのか貸付金なのかそれ以外なのか
②具体的根拠や更正通知書に理由付記がないにも関わらず重加算税は賦課できるか
■審判所の判断
・論点①について
A社が送金した金銭はB社の為替差損、諸経費の増加、訴訟費用、赤字補てんのた
めに使用されている
…A社からB社への金銭の贈与→贈与に相当の理由があるとは認められない→寄付
金に該当すると判断
・論点②について
重加算税を付加決定する場合に理由付記すべきとする法律根拠がないので
更正通知書に理由付記がないだけでその処分が違法とは言えないと判断
※論点②について補足
平成25年1月以降は申請に対する拒否処分及び不利益処分について、理由付記が
実施されている(国税通則法74条の14第1項)
4.SO駆け込み買戻しに要注意
■平成26年度改正(平成26年4月1日以後の譲渡から適用)
・非適格SOを発行会社へ譲渡した場合の所得区分が「譲渡所得」から「給与所得」へ改正
株式等の譲渡所得=申告分離課税15%、 給与所得=総合課税で税率は累進
※税制適格SOではそもそもSOの譲渡が禁止されているため対象外
■注意事項
改正前(=平成26年3月31日以前)に発行会社へ売却したとしても、「申告分離課税」を否認する動きがみられる
国税局の文書回答事例でも、節税目的の譲渡の場合、給与所得課税を行う可能性が示唆されている。
※(参考)税制適格SOとなる要件(一部抜粋)
・付与対象者
会社又は子会社の取締役、執行役または使用人等であること。但し、大株主と大株主の特別利害関係者は除く。
・年間の権利行使価額の限度額
年間の権利行使価額の合計額が1,200万円を超えないこと
・譲渡の禁止
当該新株予約権については譲渡をしてはならないこととされていること
5.給与所得控除をめぐる課税強化の真相
■平成26年税制改正大綱内容
1,200万円超→230万円(平成28年)
1,000万円超→220万円(平成29年分~)
■給与所得控除の経緯
大正2年 『勤労控除』創設
昭和22年 控除限度額が設定
昭和28年 『給与所得控除』に名称変更
昭和49年 最低控除保証額設定設定→控除限度額廃止
平成24年 給与所得控除に上限設定
※上限設定の背景
一人オーナ課税導入→消費者に厳しい課税を行う
平成26年 税制改正大綱に給与所得控除上限引き下げ
※役員給与に係る給与所得控除減案は保留
6.日本版ESOP会計処理が正式決定
そもそもESOP(Employee Stock Ownership Plan)とは、
「自社株を利用した退職金制度」のようなイメージ
~流れ~
①企業がESOPという信託を設立し、企業自身が継続的に現金or自社株を出資
②退職時に従業員に対し、ESOPから給付
※従業員持株会との違い
従業員持株会→自社株購入のための資金は従業員自身が負担 いつでも株の現金化が出来る
ESOP→自社株購入のための資金は会社が負担 退職時に限ってのみ、受け取り可能
一方、日本ではESOPを信託の機能を利用して従業員持株会を補助する目的(株の値下がり損失の補てん等)で設立することが多く、
本来のESOPとは異なるため、「日本版」ESOPと呼ばれている。
ESOP→退職金制度
日本版ESOP→持ち株会の延長
会計処理の概要
・個別財務諸表における総額法の適用
信託の資産・負債はそれぞれ総額で拠出企業の個別F/Sに計上される。信託が保有する株式は「自己株式」として表示。
・自己株式処分差額の認識時点
信託による企業の株式の取得が、企業による自己株式の処分により行われる場合、企業は信託からの対価の払込期日に自己株式の処分を認識する。
・連結上の処理
信託に関しては連結対象か否かの検討を要しない。
・従来から導入している企業の取扱い
注記を条件に従来の処理の継続適用も可能
・適用時期
平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用
7.消費税:税率改正にかかる工事進行基準Q&A
■売上にかかる消費税額について
Q1 25年11月に契約した工期1年の工事を工事進行基準により経理する場合、
適用する税率はどうなるか?
A1 25年11月~26年3月31日までの期間に対応する部分⇒5%
26年4月1日以後の期間に対応する部分⇒8%
■通知義務について
<通知義務>
※受注者が工事進行基準を採用した場合、発注者側は下記の処理をしなければならな
い。
H26.3.31までの期間に対応する部分⇒5%課税仕入
H26.4.1以降の期間に対応する部分⇒8%課税仕入
⇒引渡しをうけた時に全額を8%課税仕入として処理するのはNG。通知がないと
発注者側では工事進行基準適用工事であることが分からないため受注者に通知義務が課せ
られている。
Q2 長期大規模工事の受注により工事進行基準で経理した受注者は、発注者にその旨
を通知する義務があるが、工事進行基準を任意適用する場合にも通知は必要か?
A2 工事進行基準により経理した場合、強制・任意を問わず受注者から発注者への通知が必要
8.【税務】国外財産調書制度 導入スタート
H25.12.31時点で国外財産の価額の合計額が5,000万円を超える居住者(非永住者を除く)は、3/17迄に提出し開ければならない。
■提出義務者の範囲について留意点
・日本国籍を持たない居住者でも、過去10年以内に日本に居住していた期間が5年を超える者は提出義務が有る。
・確定申告の有無とは関係なく、サラリーマンでも財産価額の基準に該当すれば提出義務が有る。
■対象資産の範囲について留意点
・自宅で保管している外国有価証券は、対象になる。
・外国の金融機関(現地支店)で保管されている国内有価証券は、対象になる。
9.Googleの「2万円PC」とは?
・名前は、「Chromebook」
・Google開発のOSを載せたPC
・米国でのシェアは2012年0.2% → 2013年9.6%と急成長
・MicrosoftはChromebookのネガティブCMを流しているが効果なし?
・基本的にはすべてWEB上で作業する「ネットコンピューター」
→ドキュメント作成は「グーグルドキュメント」 メールは「Gmail」 その他クラ
ウドサービスを使う
→ビジネス目的でなければこれで十分?
・電源ONから起動まで10-15秒。
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