2015年1月23日金曜日

1/23 勉強会:結婚子育て贈与、暦年贈与等と併用OK 他

1.適用時期から見る平成27年度税制改正大綱

1、ジュニアNISA 平成28年分より適用開始
  平成2811日より口座開設の受付
  非課税枠最大400万円(80万円×5年)

2、出国時課税制度 平成2771日より施行
  財産債務明細書の見直しは、平成28年1月1日以後の提出分より適用

3、住宅取得等資金贈与 適用期限:平成31630日まで延長
  非課税枠が平成271月以降、短い期間で増減するので贈与のタイミングには注意が必要

4、結婚・子育て資金の一括贈与
  平成2741日から平成31331日までの拠出分が対象
  親・祖父母から子・孫へ結婚等の資金として1,000万円までの贈与を非課税とする
  金融機関で口座を開設し、子・孫が50歳になった時点の口座残高について贈与税が課税される

5、教育資金の一括贈与 適用期限:平成31331日まで延長
  非課税となる資金の使途に通学定期代、留学渡航費が追加された

6、法人税実効税率の引下げ、税効果会計
  平成2741日以後開始事業年度から適用開始
  平成27年度の法人税実効税率は32.11
  ※通常国会で年度内に改正案が成立し、平成27331日までに公布されることが見込まれている
  ※3月決算法人の実効税率は要注意

7、電子書籍への課税
  国境を越えた役務提供に対する消費税の課税見直し
  国境を越えて行う電子商取引に消費税を課税される
  平成27101日から施行される予定

8、海外芸能人・スポーツ選手への課税方法の見直し
  海外から日本に来る芸能人、スポーツ選手等への消費税の課税方法の見直し
  平成2841日以後から適用開始
  今まで:芸能人等が申告・納税義務者
  これから:役務提供を受けた国内の事業者が申告・納税義務者


2.地方法人税創設で税効果の取り扱いを改正

・連結納税制度を適用した場合の地方法人税に係る税効果の考え方

⇒法人税と同様の取り扱い
つまり、繰延税金資産の回収可能性は、連結納税主体を一体として判断

・連結納税会社における個別財務諸表上の取り扱い

⇒連結納税会社ごとに計算


3.住宅取得資金、契約時の贈与に要注意

平成27年税制改正で、住宅取得等資金の贈与の特例に改正が入った。
■改正内容
 ・金額の増加
 ・契約時期により非課税限度額が異なる段階性の設定

■ケース① 消費税の引き上げがなかった場合
(契約時期)                (非課税額)
平成271月~平成2712月  1,000万円(1,500万円)
平成281月~平成299月    700万円(1,200万円)
平成2910月~平成309月   500万円(1,000万円)
平成3010月~平成316月   300万円( 800万円)

■ケース② 消費税が10%に引き上げられた場合
(契約時期)                (非課税額)
平成2810月~平成299月  2,500万円(3,000万円)
平成2910月~平成309月  1,000万円(1,500万円)
平成3010月~平成316月    700万円(1,200万円)

 ※()は「良質な住宅」の場合に適用される金額

■留意点
住宅取得等資金の贈与の適用を受けるためには、贈与を受けた翌年315日までに住宅の引渡しを受ける必要があり


4.毎期のれんの減損テストは削除等せず

(論点)
 修正国際基準(日本版IFRS)の公開草案の検討結果について

(前提)
 企業会計基準委員会はIFRSの強制適用に見据えて、修正国際基準(日本版IFRS)を策定している。
(国際会計基準(IFRS)をそのまま採用すると、日本企業の実態にそぐわない可能性があるため)

(検討結果)
(1)削除・修正項目(日本版IFRS において、IFRSの規程から削除・修正する項目)
⇒公開草案通り
(2)IFRSに存在する規定を削除・修正すべきとの意見があった
「のれんの減損テスト実施」、「耐用年数を確定できない無形資産の非償却」
⇒当初の公開草案通り、IFRSに存在する規程を削除・修正しない方向で検討

(削除・修正項目)
(1)のれんの非償却
 IFRS:のれんは償却しない⇔日本版IFRS:のれんは毎期償却する。
(2)ノンリサイクリング
 IFRS:その他包括利益を当期純利益に組替調整しない⇔日本版IFRS:その他包括利益を当期純利益に組替調整する。

(削除・修正しない項目)
(1)のれんの減損テスト実施
 IFRS、日本版IFRS:のれん減損テストは毎期実施する。
(2)耐用年数を確定できない無形資産の非償却
 IFRS、日本版IFRS:耐用年数を確定できない無形資産は償却しない。


5.H27年度税制改正による期限が到来した租税特別措置について、縮減・廃止が決まった項目は?

H273月末で適用期限が切れる措置法のうち、
(1)延長されるもの
・中小法人等の軽減税率(800万円以下の所得⇒15)・・・H293月末まで延長

(2)縮減・廃止されるもの(主なもの)
・太陽光発電の即時償却・・・廃止
・医療機器等の特別償却 
医療安全機器の特別償却(16%の特別償却)・・・廃止
※高額医療機器の特別償却(500万円以上、12%の特別償却)1年延長
・特定資産の買換えの特例・・・縮減
  ※先週の勉強会の記事(9号買換え)を参照
・船舶の特別償却・・・縮減
・生産等設備投資促進税制・・・廃止

そのほか12措置について縮減、廃止される。


6.結婚子育て贈与、暦年贈与等と併用OK

・平成27年度改正で、
「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」が創設予定

【内容】
・贈与者:親・祖父母
・受贈者:子・孫(20歳~50歳)
・贈与者が信託銀行等に受贈者名義の口座を開設し、資金を拠出
 ※2年以上に分けて、複数回拠出してもOK
・受贈者1人ごとに1,000万円(結婚費用は300万円)まで贈与税非課税
1,000万円非課税:出産費用、不妊治療費、子の医療費・保育費 等
300万円非課税 :挙式費用、新居の住居費、引越費用 等
・「受贈者が50歳に達した時」「贈与者が死亡した時」の口座残高に課税される
・年間110万円非課税、相続時精算課税制度、住宅取得資金非課税、教育資金非課税との併用可能


7.所得税:国民年金の2年前納と確定申告について

■国民年金の2年前納
平成264月より2年分の前納が認められるようになった。
前納期間中に就職する場合、厚生年金と重複する期間が出るため調整が必要となる。

■確定申告等との関係
前提:274月に2年分前納したとする

<ケース1>
2710月に就職(10月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる18か月分は支払保険料から控除して年末調整

<ケース2>
パート先で年末調整をした後、281月に就職(281月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる15か月分は支払保険料から控除して確定申告

<ケース3>
確定申告で全額控除した後、284月に就職(284月から厚生年金に切り替え)
⇒前納となる12か月分は控除過大のため修正申告が必要


8.消費税:フリーレント期間を含む賃料の按分計上と消費税の適用税率

フリーレントのある賃貸借契約について、会計上費用を平準化して計上している場合には消費税の税率に注意が必要。
平準化によりフリーレント期間に計上されることになる費用に適用される税率は、本来その賃料が帰属する月の税率に拠る。

)
H24.1.1-H24.12.31の賃貸借契約
・フリーレント3ヶ月、税抜賃料4万円/月(総額36万円)
・賃料は賃貸借期間に平準化して計上する。
13月の仕訳は、
    賃料  30,000  / 未払費用 32,400
  8%→仮払CT 2,400  /
となる。
税率改正前の期間の費用として計上するが、適用される税率は本来の費用の帰属期間である4月以降の8%とする。


9.改正企業結合会計基準等の適用(3月決算の場合、2015/4から適用)

Q1:株式交換(契約日:H27.2.23、効力発生日:H27.4.1)は旧基準と改正基準のいずれを適用するか?

 ⇒効力発生日が4/1以降なので改正基準を適用する


Q2:上記についてアドバイザーに報酬20Mを払っている。
   どう処理したら良いか?

 旧基準:取得原価に入れていた
 改正後:単体-子会社株式の取得原価
        連結-発生年度の費用


Q3:大型企業買収を行い臨時・巨額のアドバイザリー費用が発生する
   特別損失にできるか?

 ⇒不可
  前向きな費用だから&旧基準ではのれんに含まれ販管費だったから


10退職金に係る事務手続

 ・詳細別紙参照
 1.対象となる税金
  (1)生存退職金 ⇒ 所得税、住民税
  (2)死亡退職金 ⇒ 相続税

 2.従業員退職金と役員退職金
  (1)従業員退職金
     ⇒労働契約、就業規則
  (2)役員退職金
     ⇒株主総会or定款

 3.事務手続
  (1)退職所得の受給に関する申告書を退職者から受け取る
  (2)特別徴収(給与所得者)異動届出書を役場に提出する
  (3)特別徴収した住民税を支払う
  (4)源泉所得税を支払う
    ⇒役員に退職金を支給した場合、退職所得の源泉徴収票等を提出する必要がある


11.税務調査手続きのルール

・平成23年税制改正で、国税通則法が改正され、税務調査の手続きが明確化されることになった。

・税務調査の適正な手続きは、国税通則法の他、下記で確認することが出来る。

①国税通則法第7章の2⇒法律
②手続通達(国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達)⇒行政機関の内部文章、職員はこれに則って判断する。
③事務運営指針(調査手続きの実施に当っての基本的な考え方等について)⇒通達をより具体的にした、担当者用のルール
④税務調査手続きに関するFAQ(職員用、一般納税者向け、税理士向け)







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