1.IBM判決の影響を強く受ける中小企業
・IBMが利用したスキームは、平成22年度改正により実行不可
・IBM事件の高裁判決で示された新解釈が、中小同族法人の税務調査を大きく変える可能性あり
⇒正当な理由や事業目的があっても、法人税法132条の適用がありうる
⇒高裁判決が132条の解釈の一般論として判示されているのでそれを前提にタックスプランニングをする必要がある
2.改正企業会計基準第1号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準」等について
・H26年3月に単体開示の簡素化に係る財務諸表等規則等の改正があった
⇒それに伴い、個別財務諸表における開示の要否を明確にするため、H27年3月企業会計基準等の改正を公表
(主な改正項目と改正内容)
(1)決議後消却手続を完了していない自己株式が貸借対照表日にあり、その帳簿価額又は株式数に重要性がある場合の個別財務諸表における注記
⇒注記の箇所をBSから株主資本等変動計算書(SS)へ
⇒個別SSの注記事項として自己株式の種類及び株主数に関する事項を記載していない場合には注記不要
(2)個別財務諸表における無償で取得した自己株式の数に重要性がある場合の注記
⇒個別SSの注記事項として自己株式の種類及び株主数に関する事項を記載していない場合には注記不要
3.自己株式の取得が予定された株式
・自己株式の取得が予定された株式は受取配当金の益金不算入規定が適用されない
…「予定された」とは?
…事実認定次第
(例)完全子会社を目指していたが、株式の取得が予定通り進まなかった
そこで取得した株式を買い取ってもらった
⇒「予定された」に該当しない
4.消費税の内外判定基準
・消費税の課税取引となる国内判定に該当するか否かを判定する基準のこと
・原則は「譲渡」や「貸付」時における資産の所在場所で内外判定する
⇒27年度改正で「電気通信利用役務」に関してだけ改正が入り、内外判定が「役務の提供を受ける者の所在地」に変更された
5.繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(以下、適用指針)案の全容
■適用指針の策定の背景
DTAの回収可能性について定めた「監査委員会報告第66号」(以下、66号)について、
(1)税制改正(繰越欠損金の繰越期間延長)に対応していない、
(2)形式的な適用がなされている
などの指摘があったため
■適用指針の内容
(1)66号の会社分類自体に変更なし
(2)分類2、3、4は内容の変更あり
たとえば、分類2
スケジューリング不能差異も将来、いずれかの時点で回収できることを合理的に説明できれば、DTAの計上可。
(66号では、スケジューリング不能差異は、一律にDTAの計上不可。)
■適用時期
3月決算を前提とすると、連単ともに平成29年3月期より適用(ただし、平成28年3月より早期適用可)
■適用初年度の取扱い
(1)適用年度の期首時点において適用指針に基づいて算定したDTA・DTLと前期末のDTA・DTLの差額を適用初年度の期首利益剰余金残高に加減
(2)会計方針の変更による影響額を注記
会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取扱う
(会計処理を定めた66号の内容を変更するものであるため)
■適用前(公表日後~適用するまでの決算期末において)
未適用の会計基準等に関する注記として、適用による影響を注記
6.出資持分の相続税評価で通達の形式適用を否定する判決
■事例
・非上場会社の出資持分の相続税評価額算定
・持分50%以下であるため、形式適用により配当還元方式を採用
・裁判所は形式適用を否定し、純資産価額方式が適用された
・同族株主に該当するか否か
■通達における判定
通達では、同族株主以外の株主が取得した株式は「配当還元方式」を採用
A氏・・・D社50%超保有、C社6%保有
D社・・・F社32%保有、C社28%保有
F社・・・C社29%保有
C社がF社株を取得する場合の算定方法は?
<判定>
D社 50%超>50% ∴D社はA社の同族関係者
C社 A社6%+D社28%=34%≧30% ∴C社はA社、D社の同族株主
F社29%≦30%or50%
∴C社はF社の同族株主及び同族関係者でない
F社 D社32%<50% ∴F社はA氏、D社の同族関係者でない
D社32%≧30% ∴F社はA氏、D社の同族株主
この時点ではC社はF社の同族株主でないため、通達における「配当還元方式」により株価算定
■否定後の判定
F社のD社保有32%を除いた68%について、各出資会社が総会を欠席していた。
⇒F社はD社に実質的に支払いされていたと認定
∴D社32%<50%であるが、A氏とD社の「同族関係者」に認定された
否定判決後のF社の判定
A社0%+D社32%+C社0%=32%>30% ∴C社も同族株主に該当
従って、同族株主以外の株主が取得した場合に該当しないため、原則的な方法である純資産価額方式が適用された
7.海外支店取引でも国内法人に消費税
・平成27年10月1日以後、国外事業者から受ける広告配信等が課税対象に。
・海外支店が国外事業者から受ける広告配信等も同様。
例)
・本店:東京
・支店:ニューヨーク
・ニューヨーク支店の広告配信を、現地業者に依頼した
→現地業者に消費税課税が発生
→東京本店が代理で納税しなければならない(リバースチャージ方式)
8.法人税:接待飲食費まとめ
∇交際費の損金算入限度
・中小法人 年800万または接待飲食費×50%
・接待飲食費×50%
∇接待飲食費ポイント
○・・接待飲食費になる ×・・接待飲食費にならない
■自社開催パーティー
・宴会場等の会場使用料…○
・音響照明費用、司会者費用…○
・送迎費、宿泊費…×
・コンパニオン費用…×
・生演奏等の余興費用…×
■政治家のパーティー券購入費用
・飲食パーティーで出席者との懇親を目的とする場合…○
・実質的な政治献金である場合・・・×(寄付金)
■ゴルフプレーなど
・プレー中の食事代…×
・終了後の食事会費用…×
・解散後の飲食費用…○
■その他(社内飲食費との関係)
・100%親法人役員等に対する接待飲食費…○
・得意先人数1名に対し接待側人数が複数…○
9.【消費税 個人】相続と消費税の納税義務の判定
相続人(子)が被相続人(親)の事業を承継することになった場合の(子)の消費税の納税義務の判定は、下記のとおり。
[1]相続があった年の判定
(子)の単独の基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、(親)の基準期間の課税売上高が1000万円超であれば、
[←合算せず判定]
・相続があった日から年末までの期間について(子)は課税事業者となる。[←1年全部ではない]
[2]相続があった年の翌年、翌々年
(子)の単独の基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、(親)の基準期間の課税売上高と合算して1000万円超であれば、
[←合算して判定]
・その年について(子)は課税事業者となる。
[3]複数の相続人(子)が相続した場合
相続財産の分割が確定するまでは、複数の(子)が共同で事業を承継したものとして判定する。
・(親)の基準期間の課税売上高に法定相続分の割合を乗じて計算した金額を使って、[1][2]の判定を行う。
10.工事進行基準の監査上の留意事項
「工事契約に関する会計基準」が幅広い業種で適用され、適用に関する不正事案が散見されている
過去の不正事例
・工事契約を意図的に設定することによる工事損益率の調整
・工事収益総額が確定していない場合の、工事収益の不適切な見積もり
・実現可能性の低い原価低減活動を反映した原価見積もり
・原価の付け替え
・架空原価
・作業時間の操作
11.海外出向から帰国した人の年末調整のポイント、海外出向する人の年末調整のポイント
・海外出向から帰国した人の年末調整のポイント
年の途中で帰国した社員に関して、一般の社員と同様に年末調整を行うが、帰国初年度については数点留意点がある
・海外出向する人の年末調整のポイント
年度の途中で海外出向する人について、非居住者となる場合は出国時点で年末調整を行う。
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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