1.有利発行事件確定なら再び課税拡大も
・グループ法人税制外しの事例で、132条の適用
⇒IBM事件判決を受けて?
・行為計算否認は
「租税回避以外に正当な理由等が存在しないと認められること」という通説から「行為または計算が純粋経済人として不合理、不自然なもの、すなわち経済的合理性を欠く」が適用要件へ。
2.役員給与税制改正Q&A(平成29年度税制改正)
・改正の適用開始日
利益連動給与の指標拡大など課税緩和となる改正=平成29年4月1日以降の付与決議等から
譲渡制限付株式報酬、新株予約権、退職給与に係る課税強化措置=平成29年10月1日以降の付与決議等から
(1)株式交付信託を利益連動給与の一つと位置付け、損金算入を認める。
⇒利益連動給与の指標に「株価」や「売上高」を加え、複数年度を対象とする指標を用いることが可能に
⇒ただし「売上高」のみを指標とした場合は、損金不算入、株価や利益との併用が必要
(2)複数年度を対象とする指標とは?
⇒例:「3事業年度後の利益」、「将来のある時点のROE」、「一定期間の利益の平均額」など
(3)税制大綱の注書き「損金経理要件の見直し」とは?
⇒「引当金」の計上を指す
利益連動給与の対象期間が複数年にわたる以上、これと整合して引当金の計上も認められる
(4)譲渡制限付株式報酬は利益連動給与に該当し得るか?
⇒利益連動給与に該当しない
(5)業績未達で"全て"没収の譲渡制限付株式は事前確定届出給与に該当するか?
⇒事前確定届出給与に該当する余地あり
業績により没収数が変動するものは事前確定届出給与に該当しえない
(6)税制非適格の新株予約権の損金算入
⇒従来=税制非適格であれば損金算入可
改正=「事前確定届出給与」or「利益連動給与」の損金算入要件を満たさない限り、損金不算入
(7)在任年数に応じて支給される退職給与の損金算入は可能か?
⇒従来通り損金算入できる(不相当に高額な場合を除く)
3.為替差損益の算定は総平均法が合理的
・預入が随時可能な(異なる為替相場での預け入れが混在している)外貨預金の為替差損益の算定
⇒「総平均法に準ずる方法」が最も合理的
・該当年度分の雑所得に加算すべき外貨預金の金額
⇒該当年度(1年間)中の為替取引で預金口座から払い出した時に生じた為替差損益の合計額
4.仮装経理(売上過大、原価過大)
(設例)
・前期において、売上過大300、原価過大200の計500の利益過大の粉飾経理
・過年度遡及会計基準の適用により、当期の期首利益剰余金を500減額処理した
⇒当期の申告調整はどうするか
(答)
・別表四は申告調整不要
・前期の減額更正をし、別表4で500の減算調整
・当期で別表5(1)の期首現在利益積立金額が相殺されて0となる
5.有償新株予約権の会計処理案、射程範囲は典型的な取引のみ
■有償新株予約権の会計処理に関する実務対応報告案
・現在、企業会計基準委員会が検討中
・実務対応報告案の内容は、下記の通り
有償新株予約権は、SO会計基準に定めるSOに該当すると整理
会計処理や開示は、SO会計基準を基本的に踏襲
SOの付与に伴って、企業が従業員等から提供を受けるサービスについて費用計上
※費用計上額=SOの公正な評価額-払込金額
■有償新株予約権の会計処理
・現状:実務上、適用指針第17号※を適用しているケースが多いと想定される。
※払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理
⇒現預金×××/新株予約権×××(費用処理しない)
・今後:実務対応報告を適用
⇒株式報酬費用×××/新株予約権×××(費用処理する)
※処理内容が大きく変更され、企業の実務や損益に大きな影響を与える為、経過的な取扱いあり
■実務対応報告における経過的な取扱い
・公表日より前に付与したものは、従来通り費用処理可
※以下の注記が要件
・有償新株予約権の概要及びその変動状況
・採用している会計処理の概要
■実務対応報告の対象範囲
・従業員等(役員も対象)に対して付与した権利確定条件付き有償新株予約権
※昨今、役員向けのインセンティブ・プランとして開発されているスキーム(ex.時価発行新株予約権信託)は対象外
6.平成28年分所得税確定申告のチェックポイント
・無記名公社債の利子等の帰属
-H28.3.31以前:元本の所有者が利子等の支払いを受けたとみなす
-H28.4.1以降 :実際に利子等の支払いを受けたものの帰属に
・建物付属設備、構築物の定率法廃止
-H28.4.1以後取得分から適用
・通勤手当の非課税限度額が拡大
-月額10万円が限度⇒月額15万円が限度
※H28.1.1以後適用
・給与所得控除上限の引下げ
-245万が上限⇒230万が上限
※H28.1.1以後適用
・NISAの拡大
-年間100万円限度⇒年間120万円限度
※H28.1.1以後適用
7.税制改正ポイントチェック
■法人税率
中小法人
<年800万以下部分>
:29年3月31日までに開始する事業年度⇒15%
:29年4月1日以後に開始する事業年度⇒19%
中小以外の法人
:30年3月31日までに開始する事業年度⇒23.4%
:30年4月1日以後開始事業年度⇒23.2%
■欠損金の控除限度額(中小以外の法人)
28年4月1日~29年3月31日の間に開始する事業年度⇒控除前所得の60%(繰越期間9年)
29年4月1日~30年3月31日の間に開始する事業年度⇒控除前所得の55%(繰越期間9年)
30年4月1日以後開始事業年度⇒50%(繰越期間10年)
8.29年度税制改正
事業承継税制の雇用確保要件を緩和
非上場株式等の相続税の納税猶予制度について
■雇用確保要件(要件の内の1つ)
・申告期限後5年間の平均で、相続開始時の雇用の8割の維持が必要
⇒この維持すべき常時使用従業員数の算定方法が改正
(現行)端数切り上げ
(改正)端数切り捨て
⇒改正により小規模企業の実質100%維持要件を解消
(判定例)4名が3名になったケース
(現行)4×0.8=3.2⇒4(切り上げ)>3名⇒NG 4名の維持が必要
(改正)4×0.8=3.2⇒3(切り捨て)≧3名⇒OK 3名の維持でOK
■平成29年1月1日以後の相続等に適用
9.決算短信を29年3月期から合理化へ
・東京証券取引所が改正案を公表
①監査・レビューが不要であることを明確化
②記載項目を削減
経営方針等は有報へ
③項目の限定
※投資判断を誤らせるおそれがない場合には短信開示時点で連結不要。
日本証券アナリスト協会
・様式の使用義務撤廃に懸念表明
・連結財務諸表を開示しないことを容認する点にも懸念表明
上場会社の開示担当者
・様式の使用義務が撤廃されても様式を使用する予定
・経営方針等の件は時間的余裕ができて助かる
10.事業承継ガイドラインの改正
・早期、計画的な取り組みを促す(60歳を着手の目安に)
・地域に密着した支援機関のネットワークを構築。
⇒ 行政、商工会議所、地銀、専門家(会計士、税理士、弁護士、M&A仲介業者など)
⇒ 事業引継支援センターを設置。
・2020年に数十万人の団塊経営者が引退時期にさしかかる
⇒ 60歳以上の経営者のうち、50%が廃業予定。
・廃業予定の経営者のうち4割が、「事業を続ければ少なくとも現状維持は可能」との認識。
11.内部・外部通報制度
上場にあたっては、不正や不祥事の早期発見や防止を目的として、全社的な内部統制の観点から、内部・外部通報の設置が望まれる(絶対ではない)。
・当制度に関する留意点
1.制度が従業員に周知されていること
2.通報を受け付ける部署または外部機関が適切であること
3.通報があった場合には、放置せずに対応がなされていること
4.通報者が公益通報者保護規程(※)等に基づき保護されていること
(※)通報を理由とする解雇の無効や不利益な取り扱いの禁止などを規程
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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