2019年3月25日月曜日

3/8 勉強会:祖父会社株を対価の三角合併等も適格に 他

1.関連基準に関係なく注記の詳細は定めず

・企業会計基準委員会は「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」
に関する注記情報の会計基準を開発中。

・関連会計基準等の定めの有無に関係なく、会計方針の開示における重要性の判断基準及び注記事項に
関する詳細は会計基準には記述しない方針。





2.祖父会社株を対価の三角合併等も適格に

■今回の税制改正
・祖父会社株式を対価とする三角合併等が適格組織再編に。

■例を使った説明
・上場A社⇒100%⇒非上場B社⇒100%⇒非上場C社のグループ
・C社が三角合併をしようとすると、現状はB社株式しか使用不可・・・流通性低く、現実的でない
・改正後:A社株式を対価にした三角合併が可能に
・分割や株式交換なども同様の改正が行われる




3.コーポレート・インバーション対策税制

■コーポレート・インバーションとは
・実態のある会社が軽課税国に外国法人を設立し、その外国法人が最終的な親会社になるように組織再編を行う租税回避行為
・三角合併解禁(2007年)に伴って対策税制が導入された

■三角合併におけるコーポレート・インバーション対策税制の例
・外国企業(A社)が日本に子会社(B社)を作り、その子会社を媒介して日本企業(C社)を買収(←三角合併)
・C社には合併対価としてA社の株を譲渡
⇒A社にもB社にも事業の実態がない場合、非適格合併として取扱い、株主に対して譲渡益課税が行われる




4.旧広大地に通達に構造的瑕疵は認められず

■広大地とは
 その地域における標準的な宅地の地積に比べて「著しく地積が広大」な宅地で開発行為を行おうとした場合、
 「公共公益的施設用地の負担」が必要な土地
 ⇒広大地は評価額の算出及び計算がかなり簡単であるが、適用可能かどうかの判定が非常に難しい。

■東京地裁平成30年9月判決
土地の相続評価を巡り、納税者が広大地には構造的な瑕疵があることから不動産鑑定士による
鑑定評価額により評価すべきと主張した税務訴訟
・納税者側の主張
 地積を適切に評価できない構造的な瑕疵があり、H29年の税制改正では、この構造的瑕疵があった為
 改正したものだから、旧広大地通達による評価ではなく不動産鑑定士による評価額にて評価すべき
■判決:納税者側の敗訴
 旧広大地通達の改正は実際の取引価額と相続税評価額の乖離を解消と要件の明確化を図るもの
 構造的な瑕疵があったという前提での納税者の主張を斥け一般的な評価方法で評価すべきと判断







5.個人版事業承継税制、担保の“みなす充足”規定はなし

平成31年税制改正で創設される予定の個人版事業承継税制(H31.1/1-H40.12/31)
 相続等により特定事業用資産を取得し事業を継続していく場合、認定相続人の相続税額のうち特定事業用資産の課税価格に対する相続税の納税を猶予される。
⇒担保適用を条件に納税猶予の適用が認められる。

■特定事業用資産の対象
土地(400㎡まで)、建物(800㎡まで)
機械・器具備品、車両・運搬具、生物、無形償却資産など

■個人版事業承継税制に「みなす充足」の規定がない理由
⇒法人同様にすべての特定事業用資産を担保に提供してしまった場合には事業を継続することが困難になってしまう可能性がある

■個人の担保提供
不動産、国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券・保証人の保証など
※担保として提供する財産の価額は、納税猶予の相続額及び猶予期間中の利子税額の合計額に見合うことが求められる。

■法人の場合のみなす充足
対象非上場株式等のすべてを担保として提供した場合、必要担保額に見合う担保の提供があったものとみなされる。提供している非上場株式の価額が下落しても追加で担保提供をもとめられることはないが、全部又は一部に変更があった場合には適用されなくなる。




6.見えてきた新たな連結納税制度

■概要
・来年度の税制改正では、連結納税制度が抜本的に見直されることが既定路線となっているが、2回の「連結納税制度に関する専門家会合」を経て「個別申告方式」の採用が示唆されている。

■背景
・経団連のアンケートによれば、申告の事務負担や税務調査等の事後の修正事務負担が増えたという回答が多かった。
⇒本来の目的である損益通算による節税効果より、事務負担が判断材料となっていることから企業にとっていかに重いものであるか示されている。

■個別申告方式
・個別申告方式が導入されると、連結納税制度開始又は連結納税グループ加入時の時価評価や欠損金持込制限も不要ないしは大幅緩和が必要になる。また、修正申告や更正が連結グループ一部で発生した場合にその影響が他のすべての法人に及ぶという企業を悩ませてきた現行制度の問題点も解消することになる。





7.賃上税制:中小企業向け まとめ

■賃金要件
(1)当期の雇用者給与総額(A)>前期の雇用者給与総額(B)
(2)当期の継続雇用者給与総額が前期の継続雇用者給与総額に比し1.5%以上増加

■税額控除額
上記の(A)-(B)×15%(法人税額の20%を限度とする)

■控除上乗せ
当期の教育研究費が前期の教育研究費に比し10%以上増加している場合は税額控除を
15%⇒25%に上乗せ

■用語
<継続雇用者>
⇒前期及び当期のいずれの給与支給月においても給与の支給をうけている者で
そのすべての期間において雇用保険の一般被保険者であるもの




8.所得税等の確定申告書の提出期限と留意点

■申告期限
・所得税 ⇒ 2019/3/15(金)
・贈与税 ⇒ 2019/3/15(金)
・消費税 ⇒ 2019/4/1(月)
※納付期限日も同上。振替納税を選択した場合を除く。

■各書類の提出日
・税務手続きに関する書類 ⇒ 税務官庁等に書類が到達した日
・納税申告書等 ⇒ 書類が郵送された日又は通信日付印が表示された日

■各申告による提出日
・窓口提出
⇒所轄税務署に提出した日又は時間外収受箱に投函した日
・e-tax
⇒受信通知に表示される受付日時が提出日
なお確定申告期間中であれば、土日祝日を含む24時間申告可能。
・郵便又は信書便による提出
⇒通常の封筒、レターパックや書留での提出は通信日付印が提出日
⇒ゆうパックやゆうメールでの提出は到着日が提出日






企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等

・繰延税金資産及び繰延税金負債の表示方法を改正、また注記事項について所要の改正。

・「分類1」について、「原則として繰延税金資産の全額について回収可能性があるものとされ」⇒「原則として」が加わった。
 分類1であっても、子会社株式を保有し続ける等、例外的に回収可能性がないケースがあることを明示。

・繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示、
 繰延税金負債は固定負債の区分に表示。
(関連した資産負債の分類に基づいて、流動・固定を区分表示することはなくなった)。

・注記について下記を変更。
 (1)「税務上の繰越欠損金」の額が重要な場合、「税務上の繰越欠損金」と「評価性引当額の内訳」に分けて表示。
 (2)「税務上の繰越欠損金」については、「回収可能と判断した理由」を記載。
 (3)「評価性引当額の内訳」については、重要な変動が生じた場合、変動の主な内容を記載。






10.業績連動報酬の内容説明

・金融庁が1月31日に「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」を公布・施行。
⇒有報等の記載事項について3つの改正
 (1)財務情報及び記述情報の充実
 (2)建設的な対話の促進に向けた情報の提供
 (3)情報の信頼性・適時性の確保に向けた取組

・(2)の1つとして、役員の報酬について、報酬プログラムの説明、プログラムに基づく報酬実績等を記載することが求められている。

・具体的に記載が求められる事項(例示列挙)
 ①業績連動報酬と業績連動報酬以外の報酬等の支給割合の決定方針がある場合は、その方針
 ②業績連動報酬に係る指標
 ③②の指標を選択した理由、報酬額の決定方法(役職ごとに異なる場合は、その内容も記載。)




11.株主総会に関する規律の見直しのポイント
■株主総会資料の電子提供制度
(現行法)
・招集通知、株主総会参考書類、計算書類および事業報告は、原則書面で株主へ提供しなければならない
 例外でインターネットによる提供方法が認められているが、株主個別の承諾が必要
(新設予定の要綱)
・自社HP等にて掲載することにより、株主個別の承諾を得ることなく、株主総会参考書類等を株主に提供したものとみなす
⇒定款の定め、登記が必要(電子提供措置をとる旨) ※上場企業は原則として義務となる
⇒招集通知は書面での提供が必要
⇒電子提供措置の期間は、株主総会の日の3週間前の日または招集通知を発した日のいずれか早い日から総会の日後3ヶ月を経過する日まで
 ※現行の2週間前より早くなる
⇒株主の書面交付請求権は設けられる

■株主提案権の制限

・議案は10に制限(10超の場合、会社は拒絶可)





12改正会社法のポイント~役員報酬関連~

①取締役個人別の報酬等の内容の決定方針を決定する必要
対象:一定の監査役会設置会社および監査等委員会設置会社の取締役会
趣旨:企業価値向上のインセンとしての有効性を検証させる

②取締役の報酬として株式(SO)を発行(行使)する場合は、金銭の払込みなしでもOK
対象:上場会社
趣旨:現行の実務がまわりくどく※、これを明瞭化させる
※現行の株式報酬⇒払込に金銭必要⇒報酬支払請求権を現物出資させている
※現行のSO報酬⇒行使に金銭必要⇒行使価額を1円として付与している

③1名以上の社外取締役の選任が義務付けられる
対象:一定の監査役会設置会社





13.用語から読み解く収益認識会計基準

取引価格の算定(ステップ3)
「変動対価」、「返済負債」「重要な金融要素」

■変動対価
・変動対価とは、顧客と約束した対価の内、変動する可能性がある部分
→取引価額に変動対価が含まれる場合、顧客から得られる対価を見積もる必要がある。
・見積方法
→最頻値又は期待値による方法(より適切に予測できる方法)

■返金負債
・返金負債とは、顧客から受け取った又は受け取る対価の一部あるいは全部を顧客に返金すると見込む場合、受け取った又は受け取る対価の額のうち、企業が権利を得ると見込まない額
→返金負債が取引価額に見込まれる場合、返金負債を認識する必要がある。例えば、商品を10個販売し、2個の返品が見込まれる場合、売上計上8個、返品負債2個を認識する。

■重要な金融要素とは
・契約に重要な金融要素がある場合には、対価の額に含まれる金利相当分の影響を調整する必要がある。




14.IPO準備会社の会計監査の要否

■会社法上の大会社に係る取扱い

(1)大会社とは
・以下のいずれかに該当する株式会社をいう。
①最終事業年度に係る貸借対照表の資本金が5億円以上
②最終事業年度に係る貸借対照表の負債の部の合計額が200億円以上
⇒大会社においては、会社法に基づき、会計監査人の設置が義務づけられている。
※最終事業年度とは、株主総会で承認または報告された計算書類のうち、最も直近の計算書類に対応する事業年度をいう。
(2)期中に大会社の金額要件を満たした場合における実務対応
 当該事業年度に係る定時株主総会において、会計監査人の設置に係る定款変更及び会計監査人の選任を同時に決議するケースが多くみられる。

■会計監査人を任意設置した場合の取扱い
・会社法上、会計監査人の設置が義務付けられていない会社でも、IPOに備えて事前に会計監査人を任意設置する場合があり、会計監査の要否に係る取り扱いが問題となる。

(例)IPOに備え、3月決算の会社が、2019年2月における臨時株主総会で定款変更を行い、会計監査人を任意設置する場合
⇒任意設置の場合についても、会計監査人設置会社に該当するため、2019年3月期から会計監査人の監査が必要。
 また、株主総会の招集通知において、会計監査人の監査報告を提供することが必要になる。





15内部監査実施上のポイント

(1)内部監査の対象部門
⇒社内全部署および全関係会社(実質的に支配の及ばない会社を除く)を対象。
⇒監査サイクルは原則として1年を1サイクルとして全監査対象部門の監査を実施。

(2)業務監査を中心とした内部監査の実施手続
⇒一定の品質確保のため、監査手続書を作成。
⇒監査項目は、経理業務、人事総務業務、職務権限等、 内部牽制上必要な項目を網羅する必要がある。

(3)財務報告に係る内部統制報告制度のモニタリング
⇒上場会社に求められ、従前の業務監査・会計監査を主体とした 内部監査に内部統制評価におけるモニタリング機能を追加。
⇒内部統制の整備・運用状況を検討、評価し、必要に応じて、その改善を促す。




16IFRS16号:リースの条件変更

不動産リースにおいては下記の条件変更が行われる可能性がある。
・範囲の増加
・期間の延長
・対価の変更

■範囲の増加
オフィススペースの拡張(同じビルの別フロアを借りる等)の場合、拡張スペースのリース料が独立価格で決まっている場合は、
拡張スペースを新たなリースとして会計処理する
⇛新たなリース資産(使用権)として会計処理する
⇛当初の契約は調整しない。

■期間の延長、対価の変更
契約期間を延長した場合、当初契約の契約満了日ではなく、契約期間延長に合意したタイミングで会計処理をすすめる
対価の変更時はリース料の支払時ではなく、対価の変更に合意したタイミングで会計処理をすすめる
⇛両方とも条件変更前後のリース債務の差額分、使用権資産の調整をする(損益は生じない)











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