2019年9月2日月曜日

8/30 勉強会:ポイント還元制度 他

1.令和2年度税制改正の論点

■連結納税
・現時点では、開始、加入時の時価評価課税、欠損金の切捨て、グループ調整計算に関する議論は膠着状態。
■国際課税
・電子経済に対する新たな課税(デジタル課税)の国内法改正が実現する可能性は低い。
■租税特別措置法
・法人実効税率の引き下げが議論される可能性は低い。
■税務手続きの電子化
・個人住民税の特別徴収税額通知の電子化が検討されている。




2.収益の表示、従来どおり「売上高」も可

■収益認識会計基準
・2021年4月1日以後開始の事業年度から強制適用
(2018年1月1日以後開始する事業年度からも早期適用可)
・表示・注記は強制適用時期まで検討する、となっていた。

■表示方法
・明確化、統一化すべきとの意見があった
・が、これまでも実態に応じて適切な表示科目が用いられてきたので一定の科目に統一することのコンセンサスを得るのは難しい
・企業の実態に応じて決める方向に。






3.令和2年改正で消費税の申告期限延長も

 消費税の申告期限の延長が令和2年度税制改正議論の対象となる可能性がある。

■消費税には申告期限の延長制度はないため、業務負担や「働き方改革」に反するのではないかとの指摘が、消費税の申告延長論を後押ししている。
「業務負担」:消費税の申告を済ませた後、法人税の申告プロセスで新たな調整項目が見つかった場合には、消費税の修正申告、更生の請求を行わざるを得なない。
「働き方改革」:3月決算法人ではGWを返上して5月中に申告を行わなければならいとういう実態が生じている。




4.軽減税率制度

■飲用後、回収される空びんの取扱い
空びん回収時に飲食店に支払うびん代は飲食料品の対価ではない。
⇒飲食店から容器保証金を受領していない場合、びん代には標準税率が適用されるが
びん代を飲料の売上値引として処理することも認められている。
容器保証金は単なる預け金であり、課税の対象にはならない。

■製作物供給契約による飲食料品の販売
取引が製造販売or賃加工により適用税率が異なる。
製造販売⇒飲食料品の譲渡として軽減税率の対象
賃加工⇒役務の提供として標準税率の対象





5.税金費用、損益計上から変更へ

■論点
「その他の包括利益に対する課税」に関しては、
連結納税加入時にその他有価証券が税務上時価評価された場合などにおいて、
所得等に対する法人税、住民税及び事業税等が課される場合があるが、
当該税金費用について、その他の包括利益から控除して表示することが適切ではないか。

■考え方
税金費用は税金の発生源泉となる取引等に起因して生じるものであり、
当該取引等の処理と整合させ、所得を課税標準として課される税金については、
損益、その他の包括利益及び資本の各区分に計上すべき

■結論
現行の損益に計上する取扱いから、
当事業年度の所得等に対する税金費用を、
当期純利益、その他の包括利益及び株主資本項目に区分して計上する取扱いに改正する方向




6.Google広告が仕入税額控除の対象に

■請求業務の住所が変更に
Google広告の請求業務に係る拠点が海外⇒国内に変更(2019年4月より)
※Google広告は事業者向け電気通信利用役務の提供に該当

■変更前
リバースチャージの対象
※ただし、課税売上割合95%以上の場合は経過措置により当面適用なし
⇒結果的に不課税仕入れで処理

■変更後
取引相手が国内事業者のため通常の国内取引に該当
⇒課税仕入れで処理





7.消費税:電気通信利用役務の提供に再確認

■ポイント
「事業者向け」か「消費者向け」か正確に把握することが重要
・事業者向け
インターネット上での広告の配信やゲームをはじめとするアプリケーションソフトを、
インターネット上のWEBサイトで販売する場所を提供するサービスなど
主にFacebook広告など

・消費者向け
事業者向け取引以外のものが該当
⇒国外事業者からの請求書に消費税が課されているか確認
⇒相手側が日本において登録をうけている事業者か否か確認

■フロー
(1)事業者向けか消費者向けかの判断を行う
(2)事業者向けの場合
・課税売上割合が95%以上⇒課税対象外
・課税売上割合が95%未満⇒リバースチャージ方式の適用
(3)消費者向けの場合
・登録国外事業者である⇒課税対象
・登録国外事業者でない⇒課税対象外




8.一体的開示と表示方法の変更

・金融庁と法務省で、有価証券報告書と事業報告等の一体的開示を行いやすくする環境整備について議論。
・その一環として、表示科目の名称の共通化の考えを示した。
・ヒーハイスト精工は、従来、
計算書類では「原材料及び貯蔵品」
有報では、「原材料」「貯蔵品」を区分掲記していたが、
上記の動きを受け、有報でも「原材料及び貯蔵品」とした。




企業会計基準第30号「時価等に関する会計基準」等の概要

・企業会計基準委員会(ASBJ)は、7/4、上記基準を公表。

■概要
・時価算定に関する詳細な規程なし。
⇒IFRS、US-GAAPとの整合性、国内外のF/Sの比較可能性を高める。
・基本的にはIFRS13号「公正価値」を踏襲している。
⇒金融商品・トレーディング目的の棚卸資産が対象。
・時価の定義
⇒売却価額(購入価額ではない)
・時価の算定
①レベル1のインプット⇒企業が入手できる活発な市場の資産・負債の相場価格(例:株価)
②レベル2のインプット⇒資産・負債について直接又は間接的に観察可能なインプット(例:金利)
③レベル3のインプット⇒資産・負債について観察できないインプット(例:ボラティリティ)

・「時価を把握することが極めて困難と認められる」の文言削除
⇒上記の有価証券・デリバティブ取引であっても、入手できる最良のインプットに基づいて時価を算定。
⇒一方で、市場価格のない株式等については、何らかの方法で算定したとしても、それを時価とはいわない。

・投資信託
⇒時価会計基準公表後、1年をかけて検討を行う。

・開示
⇒時価のレベルごとの残高、評価技法、インプットの説明を注記。

・適用時期
⇒2021/4/1以後開始する事業年度(早期適用は、2020/4/1以後開始する事業年度)。




10.香港デモ長期化、8月の新規上場1社どまり

・6月に始まった香港の「逃亡犯条例」改正案をきっかけとする大規模デモは80日以上続いているが、収束の兆しが見えない。
・香港は18年の新規株式公開(IPO)が世界1位だった。
・それが8月は27日時点でわずか1社であり、約6年ぶりの低水準になる可能性がある。
・6月以降、不動産開発の易商紅木やビール最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブのアジア子会社などが大型上場を取りやめた。
・8月中にも上場するとの観測があった中国電子商取引大手、アリババ集団は秋以降に仕切り直す方向。




11.IFRSと日本基準の相違点_ヘッジ会計

■ヘッジ会計モデル
IFRS:ヘッジ関係(公正価値ヘッジ、キャッシュフローヘッジ、在外持分に対するヘッジ)に対するヘッジあり
日本基準:相場変動を相殺またはキャッシュフローを固定するヘッジあり
→特別な処理として金利スワップの特例処理(時価評価しない)、為替予約の振当処理(ヘッジ対象を固定)あり

■非金融商品に関するヘッジ
IFRS:非金融商品に関してもヘッジ対象に指定できる。
日本基準:外貨による予定取引の為替リスク以外に、非金融商品に関するリスクをヘッジ対象にできない。

■外貨建債権債務に関するヘッジ
IFRS:外貨建債権債務もヘッジ適用可能。
日本基準:外貨建債権債務は振当処理を除き、ヘッジ対象とできない



12.ポイント還元制度

■概要
消費者が中小店舗で商品やサービスを購入する際に、キャッシュレス決済(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済など)にて代金を支払った場合、購入額の最大5%のポイントが付与される制度

■仕組み
①政府がクレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者を募集し選定
②店を経営している中小企業は、キャッシュレス決済事業者に登録を行い、キャッシュレス端末などのキャッシュレス手段を提供してもらう
③消費者が対象の店舗でキャッシュレスで支払いをすると、クレジットカード会社などのキャッシュレス決済事業者などが、いったん消費者にポイントを付与し、その負担分を後から国が補助

■期間
現状、制度実施期間は増税後9ヶ月間(2019年10月1日~2020年6月30日)。

■還元率
5% ⇒ 中小企業や個人が経営する小売、飲食、宿泊など
2% ⇒ コンビニ、外食、ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーン
還元なし ⇒ 上記以外の店舗、大手スーパー、百貨店など

■還元対象金額
実際に支払う税込金額に対して還元

















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