2014年11月8日土曜日

11/7 勉強会:商品券・カタログギフトに係る消費税の取り扱い 他

1.民法(債権関係)の見直しに関する重要ポイント

■まとめ
・民法の債権関係の規定が約120年ぶりに改正される
・消滅時効の取扱いが大幅に変わる
・売上債権を担保に融資を受けることが可能になる

■消滅時効
①現状(起算時点:権利行使をすることができるときから)
 ・原則 :10年 
 ・職業別:1~3年
 ・商事 :5年
②改正案
 ・原則 :5年(起算時点:知ったときから)
       :10年(起算時点:権利行使をすることができるときから)

■売上債権を担保に融資を受けることが可能になる
①現状
 ・債権者と債務者の間で「債権譲渡禁止特約」がある債権の譲渡は原則無効
②改正案
 ・「債権譲渡禁止特約」がある債権の譲渡も原則有効
  …これにより、中小企業は売上債権を担保に金融機関から融資を受けることが可能になる
 ・債権が担保に供された場合も、債務者は本来の債権者に弁済すれば免責


2.実地調査の件数が通則法改正前の4割減

・国税通則法改正の影響で所得税・消費税の実地調査の件数が2年連続(H24,25年)で減少
⇒改正前と比べ4割減

・要因は?
⇒実地調査以外の多様な手法の活用
⇒1件に要する調査日数の増加

ただしH26年4月~6月の件数は前年比129%となり回復傾向にある。


3.システムキッチンの取替費用は資本的支出

■事例
 システムキッチンとユニットバスの取替費用は修繕費か資本的支出か
 ⇒審判所は全額が「資本的支出」と判断

■判断基準
 ①台所と浴室は、建物と機能的に一体不可分な内部造作であること
 ②定期的に行っている取替工事ではない
 ③既存の台所設備・浴室設備を補修・交換したものではない

 ※請求人は建物の基礎や柱に影響を与えない程度の工事なので、
  現状維持費(修繕費)として主張をしていた。

⇒維持管理の工事ではなく、建物の価値を高めた工事と判断


4.繰越欠損金の控除限度割合、所得の50%も

【現行】
・繰越欠損金のうち、当期の所得と相殺できる限度は、
 -大法人(資本金1億円超)   所得の80%(20%部分は必ず課税)
 -中小法人(資本金1億円以下) 所得の100%
・欠損金を繰り越せる期間は、9年

【27年度改正】
・大法人の控除限度割合が、50%(所得の50%が必ず課税)となる可能性あり
・中小法人については、現状維持(100%)の可能性高い
・欠損金の繰越期間は、現状維持(9年)の可能性が十分ある
 ※期間を延ばすと、帳簿の保存期間も延長しなければならなくなるため


5.被災雇用者等の税額控除と当初の申告要件

■被災雇用者等の税額控除とは
復興産業集積事業を実施する法人が被災雇用者へ給与を支給した場合、被災雇用者への給与支給額の10%(法人税額の20%を限度)の税額控除が受けられる。
また申告書提出時に、給与支給額の明細書及び被災雇用者に該当する旨の書類(別表)を添付して提出する必要がある。

■Q&A
1.確定申告時に失念をしており、更正の請求書を提出することで受けられるか
 ⇒受けられない。
  
 確定申告時に、税額控除の適用要件でもある給与を記載した別表の添付がないため、更正の請求をしたとしても、税額控除の基礎となる給与額が存在しない。
 ただし宥恕規定はあり

2.被災雇用者への給与支給額の集計漏れ(少なかった)による納付税額過大に伴い、更正の請求をすることで当初の税額控除額の是正を受けられるか
 ⇒受けられない
  
 確定申告時に提出した別表の給与記載額を基礎として算定するため、集計ミスがあっても、当初の税額を是正することはできない。

■注意事項
上記の税額控除に限らず、添付書類(別表や明細書)が要件とされる税額控除については注意が必要である。
 
 ・雇用促進税制 ⇒雇用促進計画書


6.繰延税金資産の回収可能性は先行で移管

【論点】企業会計基準委員会が税効果会計に関する実務指針等(全7本)の移管を検討

全体的な整合性を確保するため、同時に全ての移管を予定していたが、
①すべての実務指針等を検討するには相当の時間が必要であり、
また、
②繰延税金資産の回収可能性に関する問題意識が強いため、繰延税金資産の回収可能性に関する部分を先行して移管し、その後、その他を一括して移管する方向で検討

最終的な体系として、「税効果会計に関する会計基準」の下に以下①~④(全て仮称)の適用指針を予定
①税効果会計に係る会計基準の適用指針
②繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
③中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針
④「法人税、住民税及び事業税」等の会計処理に関する適用指針


7.民法改正で個人保証に制限

・改正のポイントは次の二点。
①個人保証を原則として禁止した上で、主債務者が法人である場合のその理事、取締役、執行役又はこれらに準ずる者については例外的に個人保証人とすることを認める。

②保証契約の締結に先立って民法が定める方式に則って公正証書が作成された場合には、個人保証禁止の例外とする。

経営者の親族であっても当該企業の役員として登記をしていない場合、民法改正後には①による経営者保証は認められなくなる。

そこで、「公正証書の作成」という手続を契約締結前に要求することにより、取締役等の登記がされていない者を保証人とする余地を認めている。

・まとめ
仮に個人保証人を立てることを検討する場合には、登記簿上、役員とされているかによって方式が異なることに留意する。


8.商品券・カタログギフトに係る消費税の取り扱い

■仕入税額控除
商品券   ×(非課税物品のため)
カタログ  ○(相手方が何を選択するかは関係ない)

■仕入税額控除の時期
商品券 -
カタログ⇒カタログ購入時(相手方の注文時ではない)

■販売(デパートなど)
商品券 ・自社発行のもの⇒不課税
    ・他者から購入したもの⇒非課税

カタログ 受注時に資産の譲渡を認識
    (注文商品の発送時の認識でもOK)


9.法人税:来料加工取引を巡るTH税制事案で納税者の主張を認めた事例(審判所)

来料加工取引を巡る事案で不服審判所が納税者の主張を認めた初の事例があった。
審判所の判断なので、確定事例ではない。

■来料加工取引(らいりょうかこうとりひき)とは
・【香港子会社:日系子会社、TH税制対象】が【中国本土の企業】に対して原材料等を無償で供与し、加工を委託する取引。発注者は製品を加工料相当で買い取る。
・TH税制の適用除外規定の要件充足を巡り、【香港子会社】の主たる業種が『卸売業』なのか『製造業』なのかが度々論点になる。
・税務当局の従来の立場は、一貫して『製造業』に該当するというもの。

■TH税制の適用除外規定
・①事業基準、②実体基準、③管理支配基準、④非関連者基準 又は 所在地国基準 の4つ全てを充足すれば、TH税制の適用はされい。
・④について 『卸売業は非関連者基準』、『製造業は所在地国基準』が用いられるが、【香港子会社】は香港で製造していないため、後者が用いられると要件を充足し得ない。
・適用除外がされないと【香港子会社】の所得が【親会社:日本企業】の所得に加算されて、グループとして日本での税負担が増える。

■本件における審判所の判断基準(定説的な基準よりも納税者寄り)
・【香港子会社】が製造業を行っているとされる為には、【中国本土の企業】が行っている製造業務に対する実質的なコントロールを誰がしているかがポイントとなる。
・契約や運用の実態に鑑みて、本件では【香港子会社】がコントロールしているとは言えない、とされた。


10.例示区分の見直し(税効果)

・DTAの回収可能性は「5つの例示区分」を用いて判断(委員会報告66号)
 区分1から3:フローで判断
 区分4と5 :ストックで判断(繰越欠損金など)

⇒将来業績が好転し、十分な課税所得の発生が見込める場合でも、繰越欠損金の存在という形式要件で区分するのは「会社の実態を反映していない」との指摘あり

⇒ASBJが見直しを検討中。「フロー」への統一を提案


11.退職給付会計に係る税効果の基礎

1.税効果会計
 ①税務上の益金・損金(資産・負債)と会計上の収益・費用(資産・負債)の差異で一時的なもの(期ズレ)
 ②DTAについては、回収可能性が論点 ⇒ 監査委員会報告66号が判断基準

2.退職給付会計
 ①会計上は費用でも、税務上は損金とならない(確定債務でない為)
⇒ 一時差異
 ②他の一時差異とは異なり、長期間に渡って解消されるもの 
⇒ 回収可能性について、判断基準が異なる。(回収可能性ありとなる余地が大きい)

3.実務上の論点
 ①前払年金費用(年金資産>退職給付債務)となる場合の取り扱い
(1)  税務上は拠出時に損金だが、会計上はPLに計上されない
⇒ 一時差異
(2)当該一時差異の解消方法
  ・退職給付債務が増加 ⇒ 退職給付費用の計上 ⇒ 税務上否認 ⇒ 所得増加
  ・拠出額の返還 ⇒ 税務上は益金だが、会計上はPLインパクトなし ⇒ 所得増加
   いずれにせよ、将来的に所得が増加する ⇒ DTLを計上
 ②確定給付から、確定拠出へと移行
  (1)従来の退職給付制度は終了 ⇒ 退職給付債務と年金資産の差額がPLインパクト
  (2)確定拠出制度による、必要な拠出額を未払金計上。一方、税務上は拠出時に損金。
  ⇒ 一時差異となる。
  ⇒ 未払支払い期間は7年以内という規定がある 
  ⇒ これまでのように、長期間にわたって解消される一時差異とはならない
  ⇒ 他の一時差異の回収可能性の判断基準と同様となる点に留意が必要。


12.DD最終契約書の表明保証について

表明保証とは:一定の時点においてある事実が真実かつ正確であることを表明し保証すること

・一定の時点とはいつか
 ⇒通常は契約締結時点だが、クロージング時点とする場合が多い


13.財務諸表の表示区分を超える表示方法の変更

(論点)
 従来重要性の乏しさから営業外収益と販管費の両建て処理
  →販管費のマイナスで処理し、同一損益区分内で表示するようにしたい

(問題)
 会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準
  →毎期継続適用が原則だが、以下の場合に表示方法の変更が認められる
  ①表示方法を定めた会計基準又は法令等の改正により表示方法の変更を行う場合
  ②会計事象等をより適切に反映するために表示方法の変更を行う場合

(結論)
 上記②に該当しているという点を合理的に説明できれば変更可

(留意点)
 最終損益への影響はないが、各段階損益は変動する。
各段階損益に与える影響という観点からの検討が必要


14.連結財務諸表でオンバランスされる未認識項目の税効果

→退職給付会計の数理計算上の差異に関する税効果ついて

(未認識項目は連結でオンバランスされる)
・回収可能性の判断
 連結の会社例示区分に従って判定(ただし、個別と変わらないものと考えられる)

・回収スケジューリング
 退職給付引当金に係る将来減算一時差異と同様、長期のものとして取り扱う

・回収可能性の見直し
 個別財務諸表における退職給付引当金に係る将来減算一時差異の解消に劣後する
 (個別の退給に係る部分が先に解消し、残った部分で未認識項目の回収可能性を検討する)


15.使える補助金・助成金vol.6「中小企業活路開拓調査・実現化事業」

※要件さえ満たせば、非常に採択されやすい。

・(要件)
経営基盤強化、地域振興、社会的要請への対応等の課題解決のため、複数の中小企業が組合を結成し、1年以上活動していること。

・(金額)6/10以内 上限11,588千円

・(補助内容)販路開拓のための旅費、会議費、資料費、外注費等

・(募集期間)2月中旬-4月中旬

・(採択数)平成25年度:44件応募、36件採択








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2014年11月1日土曜日

10/31 勉強会:所得税:H27年度税制改正で出国税の創設を検討(財務省) 他

1.[事業用資産の買換え特例」と「小規模宅地等の特例」との接点

■用語のまとめ
・事業用資産の買換え特例(所得税)
 事業用の土地建物等を譲渡し、その後一定期間内にその事業用の土地建物等を取得、事業の用に供した場合は一定要件のもと、最大その譲渡益の80%に対する課税将来に繰り延べることができる制度

・小規模宅地等の特例(相続税)
 相続人が被相続人の事業に供されていた宅地等を取得した場合、一定の要件を満たせば、その土地の評価を最大80%減額できる制度

■事例
 ・医者であるA氏は生計を一にする孫B氏(同居・大学病院勤務)から個人で病院の開業をしたい旨の相談を受けた
 ・そこでA氏は、町の中心部に病院を移転することを考えた
  現在A氏の所有する土地建物を使用して病院経営を行っている
 ・この場合、新たに取得する土地建物の所有関係をどのようにしたら買換え特例、小規模宅地等の特例の使用が可能になるか

■例示
 ・パターン1 土地建物をA氏が所有、B氏が病院経営
  ①建物はA氏から無償で借りる
  →買換え特例○、小規模宅地等○(自用地評価、80%減額)
  ②建物はA氏から有償で借りる
  →買換え特例○、小規模宅地等○(貸家建付地評価、50%減額)

 ・パターン2 土地はA氏が所有、建物はB氏が所有しB氏病院経営
  ①土地はA氏から無償で借りる
  →買換え特例○、小規模宅地等○(自用地評価、80%減額)
  ②土地はA氏に相当の地代を払う
  →買換え特例○、小規模宅地等○(一定の土地評価、50%減額)
  ③土地について借地権設定
  →買換え特例○、小規模宅地等○(底地評価、50%減額)


2.株主総会の分散化、最大のネックは税務申告

経産省が、株主総会の時期の分散化を検討中
平成27年3月頃を目途に報告書をまとめる
⇒時期の分散化を図りたいが、実務上、後ろ倒しは難しい

■株主総会
…3月決算の会社が多いため、6月に株主総会が集中してしまう
 ※決算日(基準日)から3ヶ月以内に開催しないとならないため

■分散方法①
 基準日≠決算日にする ※米、独、英風
 ⇒決算日の株主に対して計算書類の報告をする慣行
 ⇒基準日の変更は、実現が難しい

■分散方法②
 会社法:基準日株主が行使可能期間を3ヶ月以内から4ヶ月以内に変更
 ⇒税務申告期限(延長込で3ヶ月以内)よりも後の開催となる
 ⇒株主総会後に数値が動くことになった場合の処置が必要
 ⇒税法上、実現が難しい


3.有価証券の譲渡と課税売上割合の計算

【論点】課税売上割合の計算における有価証券の譲渡の取り扱いについて
①株式、持分などの譲渡
(1)株式など流通性のある有価証券・・・譲渡対価の5%のみ非課税売上高に含める
∴株式の売買を繰り返すことが想定されるため

(2)合同会社の社員の持分など流通性のない有価証券・・・全額、非課税売上高に含める
∴一般に売買されないため

②売掛債権の譲渡
(1)ファクタリング・・・譲渡対価は考慮しない
∴売上高の二重計上を防ぐため

(2)再ファクタリング・・・譲渡対価の5%のみ非課税売上高に含める
∴課税売上割合が急激に減少するのを防ぐため

③有限会社の社員の持分の譲渡・・・譲渡対価の5%のみ非課税売上高に含める
∴会社法の施行に伴い、社員の持分が株式とみなされるようになったため

④証券投資信託
(1)解約請求(運用会社に対して)・・・元本の返還金は考慮せず、解約時の収益分配
金を非課税売上高に含める。
∴元本の返還金はそもそも課税対象ではないため

(2)買取請求(販売会社に対して)・・・譲渡対価の5%のみ非課税売上高に含める
∴受益証券の譲渡に該当するため

⑤先物取引
(1)売現先取引(国債等の「譲渡」→購入)・・・譲渡対価は考慮しない
∴取引の実態は有価証券を担保にした借入であるため
また、譲渡対価と購入対価の差額も考慮しない。 ∴支払利息であるため

(2)買現先取引(国債等の購入→「譲渡」)・・・譲渡対価は考慮しない
∴取引の実態は有価証券を担保にした貸付であるため
ただし、購入対価と譲渡対価の差額については、
購入対価<譲渡対価・・・全額、非課税売上高に含める
購入対価>譲渡対価・・・全額、非課税売上高から控除する。
∴貸付利息であるため

⑥国債等の償還損益
(1)償還差益(額面金額>発行金額)・・・全額、非課税売上高に含める
(2)償還差損(額面金額<発行金額)・・・全額、非課税売上高から控除する
∴利息の受取に準ずるため


4.買替資産を譲渡した場合の取得の日

・土地・建物の譲渡所得(所得税)は、取得日~譲渡日までの期間によって税率が異なる
(5年以下:短期譲渡所得 30%、5年超:長期譲渡所得 15% ※復興税は除く)

⇒土地・建物の取得日は? 

【原則】
・土地・建物を購入した日

【例外】交換などにより取得した資産を譲渡した場合
・交換前の資産(以前所有していた資産)の取得日を引き継ぐ

【特例による扱いの違い】
・固定資産の交換特例 ⇒例外(取得日引継ぎ)
・収用等の場合の代替資産取得特例 ⇒例外(取得日引継ぎ)
・事業用資産の買換特例 ⇒原則(購入日)

→「買換特例」を適用して取得した資産を5年以内に譲渡すると、原則どおり短期譲渡所得(30%課税)となる
→「買換特例」により繰延べられた利益(買換前の資産の譲渡益)も、30%課税対象となる
→買換前の資産が5年超所有(15%課税対象)なら、「買換特例」を適用しない(譲渡益を繰延べない)
ほうが有利なケースあり


5.出国時の株式"含み益"が課税対象に

■背景
 ・巨額な株式の譲渡益を抱えて出国する
 ・出国に伴い非居住者となる
 ・非居住者後に株を売却する
  ⇒非居住者は日本に恒久的施設がない限り課税対象とならない。
   日本人富裕層によるキャピタルゲインの租税回避行為が横行していた。
   (出国先での課税対象となるが、シンガポール・香港は株式の譲渡益課税制度がない)

■H27年度税制で実現予定
 ・日本から出国する(非居住者となる)時点で特例的に課税させる。
 ・課税対象は、一定規模以上の金融資産を保有する出国者に限定。
 ・対象となる資産規模は諸外国の基準を参考に検討。
  (アメリカ:純資産200万ドル以上、フランス:80万ユーロ超の金融資産)
 
 なお出国時課税が導入された場合には、延納や納税猶予制度も設けられる予定。


6.先端設備リース、契約内容変更した場合の会計処理案が明らかに

実務対応報告第31号「リース手法を活用した先端設備等投資支援スキームにおける借手の会計処理等に関する実務上の取扱い」の改正案の概要が明らかとなった。

①契約内容が変更された場合のリース取引の再判定については、当初のリース取引開始日に遡って再判定を行う。
②オペレーティング・リース⇒ファイナンス・リースに変更した場合は、契約変更日より通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う。
③②による場合、契約変更日にリース資産及びリース負債を計上し、原則として、両者の差額を損益として処理することとしている。
④ただし、実務上の負担を考慮した簡便的な方法として、リース資産の価額をリース債務の価額と同額とし、差額を発生させない方法も認める。


7.判例 法人の役員が行った仮装行為と重加算税について

■概要
・X社の役員であるAが架空の請求書を作成し架空外注費を計上
・Aは社長Bの実弟。役員ではあるが代表権はない。社長Bは関与せず。
・調査により指摘され、重加算税が課された。

(重加算税について)
・納税者が仮装行為により所得を隠ぺいした場合には重加算税の対象となる。
・納税者とは法人の場合、代表者を指すものと解される。

■争点
仮装行為を行ったのは代表権のない役員であり、「法人が行った」仮装行為に該当しない。
よって重加算税の対象にはならないのではないか?

■広島高裁
役員Aは代表権を有さないが、実質的に代表者と同等の権限を有している。
よって役員Aの行為は納税者たるX社自身の行為と同視できる。
⇒「法人が行った仮装行為」と判断するのが適当


8.所得税:H27年度税制改正で出国税の創設を検討(財務省)

■出国税とは
 居住者が他国に移住して非居住者となるタイミングで、保有する資産の含み益に課税する税制。

■導入背景
 ・含み益のある資産を保有した状態でキャピタルゲイン課税の無い国の居住者になり(出国)、その後資産の譲渡をすることによる租税回避を防ぐ。
 ・例えばシンガポールではキャピタルゲイン課税が無く、日星租税条約では資産
(不動産等除く)の譲渡益には譲渡者の居住地国『のみ』が課税できると定められている。
 ・OECDから導入を促されている。日本以外のG7諸国、その他主な先進国では導入済み。

■課題
 ・課税時点では納税資金が無い 等


9.受注契約に係る引当金

・工事契約や受注製作ソフトウェアで、「損失の発生可能性が高い、金額を合理的に見積もれる」場合は引当計上が必要。
 建設業:工事損失引当金
 SIer :受注損失引当金

・通常は引当金繰入額は売上原価計上。
・重要性によっては区分計上もありえる

■(事例)特別損失計上
「客船事業関連損失引当金」として特別損失計上し、「受注工事損失引当金」とは別に計上。

通常の事業サイクルの中で発生するものではなく、また、金額的重要性が高いため、通常の受注工事損失引当金とは区分した適切な名称の引当金として表示


10.使える補助金・助成金vol.5 「ものづくり補助金(取引環境改善型)」

・前回の、「ものづくり補助金」の別バージョン。
・正式名称「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業
(取引環境改善型需要開拓支援事業)」

・要件(下記の両方満たすこと)
(1)過去3年以内に事業所閉鎖、または生産規模縮小、または売上高10%減少見込
(2)補助金申請から、補助事業終了まで、雇用を維持

・補助対象事業
新事業開拓のための市場調査、試作開発、販路開拓、設備投資

・補助金額:対象となる経費の3分の2(上限 1,000万円)

・募集時期:2014年は、3月14日~8月31日

・採択数
H25年度予算 50件採択(応募数不明)

・採択例
顧客ニーズに応じた衣料品製品開発、販売紙加工ワンストップ生産力を活かした取引先開拓事業

・備考:
→ものづくり補助金と重複申請可。

→認定経営革新等支援機関の協力を得ていると、審査の際、加点。








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10/24 勉強会:使える補助金・助成金vol.4 「ものづくり補助金」 他

1.事前照会のリスクと活用

■まとめ
 ・事前照会を経たからと言って否認を行わないことを確約するものではない
 ・聞き方によっては意図しない回答が出てくる場合がある
 ・事前照会でOKをもらった場合、スキームの変更がしづらくなる
  …照会後のスキーム変更は、新たな事実を税務調査で把握することになり   事前照会とは異なる回答が出る場合があるため
 ・事前照会でNGとなったスキームを実施した場合、税務調査で是認されることはまずないと考えて問題ない
  …事前照会での回答は、調査担当部署に回覧されるため

 ・事前照会では保守的な回答となりがちなので、あえて事前照会を行わないという選択肢もあり


2.相続税時精算課税の説明怠り税理士が一部敗訴した事件

■事案
・原告は祖父から土地の贈与を受けた
・税理士は「相続税時精算課税」について適切な説明を怠り、「贈与税(暦年課税)」を選択すべきと意見を述べた
・原告は贈与税納付額相当の943万1千円及び遅延損害金の支払いを求めた

・なぜ税理士は、「相続税時精算課税」を勧めたのか?
→原告は過去に相続で揉めたことがあり、他の相続人に贈与の事実を知られて新たな紛争は避けたいと希望
→「相続税時精算課税」の場合、他の相続人に贈与の事実が判明してしまう
→上記を踏まえ、原告は贈与税申告業務を依頼した

■東京地裁の見解と判決
・2つの選択肢によって、いずれが節税として有利であるか比較検討できるように説明義務がある。
・本件では「贈与税(暦年課税)」を選択したとしても、他の相続人が登記簿を閲覧すれば贈与の事実は判明できた。
その旨を説明しなかったのは、説明として不十分である。
→税理士は100万円とそれに対する遅延損害金の支払い義務を負う。


3.ライブチャットで認められる必要経費は

■審判所事例
 インターネットでライブチャットサービスを行っていた請求人が、雑所得金額の計算上、衣服費や化粧品費が経費に入れられるか

■判決
<必要経費として認められるもの>
 …パソコンやウェブカメラの購入費、ネット接続費

<必要経費として認められないもの>
 …衣服費、化粧品費、部屋の装飾費(自宅)

■判決理由
・認められる費用は業務上必要なものに限られる
 ⇒客観的に見て「必須」と解るもののみ


4.受取配当課税改正がJV出資比率に影響も

★受取配当の益金不算入額
【現状】
<持分比率>      <益金不算入>
①100%                    ⇒  配当全額
②25%以上100%未満  ⇒  配当 ▲ 負債利子
③25未満                ⇒ (配当 ▲ 負債利子)× 50%

【27年度税制改正の検討案】
①100%               ⇒ 配当全額
②33%or50%以上100%未満     ⇒ 益金不算入額縮小?
③少数株主持分以上33%or50%未満  ⇒ 益金不算入額縮小?
④少数株主持分未満         ⇒ 益金不算入不可?

★上記改正が、JV(ジョイントベンチャー)の投資傾向に与える影響
【現状】
・出資比率 51:49 ← 過半数確保 目的
・出資比率 34:66 ← 特別決議の拒否権確保 目的
を選択することが少なくない。

【②の区分が、50%以上~ へ改正される場合】
・出資比率51:49の案件が減り、50:50 の案件が多くなるかも
※50%未満となると配当の益金不算入額が縮小し、税務デメリットとなるため

【②の区分が、33%以上~  へ改正される場合】
・あまり影響ないのでは
※出資比率34:66の案件の区分は変わらないため


5.税効果の例示区分1・2号は見直さず

【論点】
「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」の見直しが検討されている。

【「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」とは】
・繰延税金資産の回収可能性を検討する際の判断指針
・過去の業績等に基づいて会社を5つの区分に分類して、その区分に応じて回収可能性を判断する。
1号から5号へ行くに従って、業績が悪く課税所得を生み出す能力に乏しい会社とされ、一時差異が解消した際に税金負担を減少させる効果が見込めない(回収可能性がない)ものとされる。

【見直しの経緯】
・従来より「会社を5つに区分し回収可能性を判断するという手法は画一的である」という批判あり
・回収可能性を判断する際、課税所得を「おおむね5年」しか見積らず、税制改正(繰越欠損金の繰越期間が9年に延長)を考慮していない
 
【見直し内容】
 全体的な見直しはせず、一部見直し
「1号・2号」といった相対的に回収可能性が高いとされるケースの見直しはせず、「3号~5号」といった相対的に回収可能性が低いとされるケースについて見直し

具体的には、
・回収可能性を判断する際、課税所得の見積可能期間を「おおむね5年」を上回る期間とすることを許容する規定を設ける。(3号)
・会社を分類する際、ストックの事象(重要な税務上の繰越欠損金があるかどうか)だけでなく、フローの事象(例えば、将来も連続して業績が赤字となる可能性が高いかどうか)も判断基準に含める。(4号)


6.先端設備リースの「契約内容変更」における会計処理が明らかに

リースを活用した先端設備等投資支援スキームとは、リース期間満了後1年以内にリース物件売却に伴う損失が生じた場合に、損失額の2分の1(購入額の5%を限度)として国が補償するスキーム

契約内容が変更された場合はどうするか
①ファイナンスリース取引の再判定については、契約変更時に変更後の条件に基づき、当初のリース開始日に遡って再判定する。
②再判定における借手の割引現在価値は、契約変更時の条件でリース開始日に追加借入が適用されたであろう合理的に見積もられる利率を用いて算定

再判定による契約変更により、オペレー ティング取引からファイナンスリース取引になった場合
⇒契約変更日より売買取引に準じた会計処理を行う

原則:リース資産とリース負債を計上して、差額を損益認識させる
実務上の負担を考慮して、リース資産とリース負債を同額計上して損益認識させない簡便法も可能となる


7.繰延税金資産の回収可能性、例示区分は廃止せず

企業会計基準委員会では「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」について、見直しを行っている。

・見直しの背景
税制改正により繰越欠損金の繰越期間は当初の5年から現在は9年に延長されているが、繰延税金資産の回収可能性を判断する見積可能期間は“おおむね5年”とされているままで、整合性を欠いている。

・今後の方向性
繰延税金資産の回収可能性が高いとされている区分①及び②については、当面は見直さない。
区分③~⑤で、将来の合理的な見積可能期間についておおむね5年といった年数を上回ることを許容するかについては、見直しが検討されている。
仮に延長を許容する場合は、将来も連続して業績が赤字となる可能性が高いかどうかなど検討することなどが挙げられている。


8.美術品等の減価償却見直し案

■現行通達
・書画・骨董は原則減価償却資産にあたらない
・美術年鑑に登載されている作者の作品は書画・骨董に該当する
・判別できない場合は金額(20万円未満、号2万円未満)要件で判定

■改正案
・古美術品等で歴史的価値を有し代替性のないもの以外の美術品については 100万円未満であれば減価償却資産とする。
⇒年鑑基準廃止

・時の経過により価値が減少することが明らかであるものは減価償却資産とする。
⇒会館ロビーの展示用として購入し、転用が困難であるものなど

■適用時期
 平成27年1月1日以後開始事業年度において有する美術品等につき適用


9.研究開発費の処理

・1998年に「研究開発費等に係る会計基準」が制定されるまではノールール
・本当に効果があるかどうかは不確実=発生時費用処理
 ⇒保守主義の発送
・IFRSは研究開発を2つに分けた
  研究=不確実性が高い=発生時費用処理
  開発=実現に近づいている=以下の6要件をすべて満たせば資産計上

①無形資産を完成させ、これを使用または売却することが技術的に可能
②無形資産を完成させ、これを使用または売却する意思を有している
③無形資産を使用または売却する能力がある
④無形資産が将来の経済的便益を創出することを示すことができる
⑤開発完成のための技術上、財務上及びその他の資源を十分に有している
⑥無形資産の開発局面に係る支出を信頼性をもって測定する能力を有している


10.逆取得となる吸収合併の会計処理

①逆取得とは
⇒消滅会社の株主が、合併後の存続会社を支配する合併のこと

②会計処理
(1) 個別財務諸表
 ⇒ 法的に、存続会社が主体
 ⇒ 消滅会社の株主は、消滅会社の資産・負債を合併後も支配
 ⇒ 投資は継続している
 ⇒ 存続会社は、消滅会社の資産・負債を帳簿価額で引き継ぐ(持分プーリング法)

(2) 連結財務諸表
 ⇒ 企業グループを主体とする
 ⇒ 法的には消滅したが、実態は消滅会社が存続会社を吸収合併し、存続した場合と違いはない
 ⇒ 存続会社の資産・負債を時価で取り込む(パーチェス法)


11.重要業績評価指標(KPI)の分析・管理におけるポイント

①ポイントとなる事項
(1) 指標の構造化
(2)  モニタリングとアクションの明示

②指標の構造化の主な手法
(1) バランススコアカード
 ⇒ 企業戦略を財務、顧客、業務プロセス、学習と成長の4つの視点で分類し、戦略を決定する手法
(2) 財務指標分解
 ⇒ 戦略より決定された指標をトップとし、これを分解していく手法

③モニタリングとアクション
 ⇒ 指標をモニタリングし、どのようなアクションをするかを明示


12.情報を漏洩させない経理アウトソーシングの心得

・アウトソーサー(会計事務所等)における内部統制の実践
→経営トップのリーダーシップが重要

・内部統制の重要性の認識
→経営トップが重要性を認識して内部統制を強化することにより、相当程度リスクを軽減

・当事者意識の醸成
・研修の重要性
→情報セキュリティに関する定期的な社内研修
→個人的・主観的な事情の抑制に貢献

 ∴事前の対策と環境づくりが重要


13.法人税:国庫補助金等で複数の資産を取得した場合の圧縮記帳に留意

■圧縮記帳と特別控除の併用
・国庫補助金等を受領して資産を取得した場合には圧縮記帳の適用を受けることができる。
・法人税法上の圧縮記帳は租税特別措置で定められた特別控除と併用することができる。
(措置法上の圧縮記帳と租税特別措置の特別控除は併用不可)
例)[国庫補助金の圧縮記帳]と[生産性向上設備投資促進税制の税額控除]は併用可能

■併用を行うケースでは、圧縮記帳の順番により有利不利が生じうる。
・国庫補助金1000万円を取得
・税額控除の対象資産Aを700万円で取得
・税額控除対象外の資産Bを800万円で取得

した場合、
①  Bについて800万円の圧縮記帳を適用
②  Aについて残り200万円の圧縮記帳を適用
③  Aの残額500万円について特別控除を適用
と圧縮記帳の適用順を工夫することで、プロラタで圧縮するよりも税額控除の額を有利にできる。


14.業績連動型新株予約権が増加傾向に

(背景)
これまで中長期インセンティブ・プランとしてストック・オプション(以下SOとする)が導入され、税制適格SOが主流であった。
税制面から優遇されている一方で、下記のようなインセンティブ機能を向上に対するデメリットがあり、効果が限定的なことが多く、近年は導入件数が減少傾向にある。
・年間権利行使総額の上限(1,200万円)
・費用計上が求められる
・社員間や不要対象者の平等感に配慮して、薄く広く付与
・株価が権利行使価格を上回らなくても損失が出る訳ではない

①退職型の株式報酬型SO
・役員退職慰労金制度は廃止傾向にある(上場企業の約7割は廃止済み)
・役員退職慰労金制度に替わる制度として定着
・SOの行使価額は1円に設定=実質的には株式を受け取ったのと概ね同じ効果
・条件は退職時まで権利行使不能(業績・株価条件の追加はほぼない)

⇒退職までという期間から長期インセンティブ・プランとして一般化
⇒中期インセンティブ・プランとしては、在職型の株式報酬型SOが増加傾向にある

②在職型の株式報酬型SO
・在職中の固定報酬の一部を株式報酬に切り替える
・業績や株価に連動した権利行使条件を加える事例が多い
・新株予約権を時価発行されるため、行使条件が未達の場合は払込相当額の損失がある
・業績・株価への意識づけ効果が高い
・在職要件は必ず付される
・従業員を対象とする事例は約10%とすくない(労働法上の問題)

③時価発行新株予約権(有償SO)
・在職型の株式報酬型SOとの違いは、職務執行の対価(報酬)として付与を受けるものでない
・投資として自由意思で引き受けられるので、報酬の切り替えとしての制度よりも条件設定の範囲が広い


15.社長交代DDのススメ

・必要性
 社長DDにより前任者、後任者、利害関係者が現状認識を共有すべきと考える為効果的。

・社長交代DDツール
 以下の3つのチェックが有用。
①  マーケティング力:顧客や市場の立場から自社を総点検する
②  イノベーション力:社会的な存在価値を高める
③  コーポレートガバナンス力:ヒトの心のベクトルを結集する


16.使える補助金・助成金vol.4 「ものづくり補助金」

・正式名称「中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業」

・要件(下記のいずれか)
(1)特定の基礎技術を活用した革新的なものづくりを行っている
(2)革新的なサービスの提供(⇒付加価値額年3%向上+経常利益率年1%の向上)

・補助金額:対象となる経費の3分の2(上限 700~1,500万円 業種等の分野、企業規模による)

・採択数
H25年度予算 2.2万件応募 9千件採択

・採択例
高齢者ひとりひとりに寄り添ったクラウド型生活見守りサービス
ライフライン自立型水洗式トイレシステム







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