2015年7月17日金曜日

7/17 勉強会:マイナンバー制度 他

1.国税局の指摘を受け源泉税納付、異議を述べる義務があったか?

■論点
・税務調査で指摘を受け、修正事項に異議を述べずに指摘に応じることは不法行為に該当し、損害賠償請求が成立するかどうか。

■裁判所の判断
・税務調査での指摘内容には合理性がある
・異議を述べずに指摘に応じる行為はそれだけで不法行為になるものではない
・よって損害賠償請求は成立しない

■経緯
・外国法人日本支店(A社)に税務調査があった。
A社の副社長のBが代表を務める内国法人(C社)に対しA社は業務委託費を支払っていたが、税務署は、その業務委託費はBに対する給与と指摘した。
A社はその指摘を受け入れ、追加の源泉税を納付した。
Bは自己に対する課税処分を不服とし、異議を申し立てた。
・異議申し立ては却下されたが、国税不服審判所は業務委託費はBに対する給与ではないとしてA社に行った課税処分をすべて取り消した。
BA社に対して、税務調査の指摘に対して異議を述べる義務があったとし、 A社に対して課税処分の取り消しにかかった費用等について損害賠償請求をした。


追加積立で"積立不足なし"、掛金も損金

■企業の年金制度トレンド
⇒×確定給付型、○確定拠出型 へ

■確定給付型では積立不足問題が生じる可能性がある
⇒政府は成長戦略「日本再興戦略」改訂2015にて「将来の景気変動を見越したより弾力的な運営を可能とする措置」を検討

■具体的な検討事項
・法人税法上、本来の積立額より多く拠出した場合損金不算入であるが、損金算入を検討
・企業会計上、本来の積立額より多く拠出した場合には「積立不足なし」と取り扱うことを検討


3.個人番号関係事務実施者

・個人番号【関係】事務実施者
 ⇒マイナンバーを記載した書面(源泉徴収票等)の提出をする者のこと
  民間の企業等が該当する

・個人番号【利用】事務実施者
 ⇒マイナンバーにより行政事務を行う者
  行政機関、地方公共団体、独立行政法人、国税庁等が該当する

…両者をあわせて個人番号【利用】事務【等】実施者という


4.四半期報告書作成上の留意点(平成276月第1四半期提出用)

■企業結合会計基準等の改正(平成283月期より、原則適用)
(1)主要な経営指標等の推移
 ・四半期純利益 ⇒ 親会社株主に帰属する四半期純利益
 ・上記表示の変更に伴い、過年度分の数値の組替を行う
  (欄外に注記)
 
(2)四半期連結F/S
 ・B/S 少数株主持分 ⇒ 被支配株主持分
 ・P/L 少数株主損益調整前四半期純利益 ⇒ 四半期純利益
     少数株主利益 ⇒ 被支配株主に帰属する四半期純利益
     四半期純利益 ⇒ 親会社株主に帰属する四半期純利益
 ・I/S 少数株主に係る四半期包括利益 ⇒ 被支配株主に係る四半期包括利益

(3)会計方針の変更に関する注記
 ・遡及適用した場合
  ⇒過年度に遡及適用した場合の適用初年度の期首の累積的影響額
 ・将来にわたって適用した場合
  ⇒第一四半期において、従来の会計方針と新たな会計方針を適用した場合の差額
  
(4)追加情報
 ・前期において早期適用していたとしても、
  表示の変更(ex.少数株主 ⇒ 被支配株主)は当期より
  ⇒変更内容を注記

(5)S/S関係注記
 ・株主資本の著しい変動⇒主な変動事由を記載
  ⇒子会社の時価発行増資等により、注記の可能性あり

(6)企業結合等関係注記
 ・取得による企業結合⇒取得原価及び対価の種類ごとの内訳を注記
 ・取得に直接要した費用 注記対象⇒注記対象外

(7)1株当たり情報の注記
 ・算定上の基礎
  四半期純利益 ⇒ 親会社株主に帰属する四半期純利益

(8)連結C/S
 ・連結範囲の変動を伴わない子株の取得・売却に係るC/F
  ⇒財務活動によるC/F
 ・上記に関連して生じた費用に係るC/F
  ⇒営業活動によるC/F
 ・いずれも比較情報の組替を行わない。


5.マイナンバー制度

H27105日より国民1人ずつに付与される。
・一度付与されたマイナンバーは、原則として生涯変更されることはない。
・利用目的を明示した上でマイナンバーの提出を求める必要あり。
 目的を明示していない業務等にてマイナンバーを使用することはできない。

■Q&A
(1):従業員等のマイナンバーはいつから入手できるか?
  A:H27105日以降、各市町村から通知カードが送付されるため、11月中旬以降であれば従業員等より入手が可能となる

(2):現在、海外赴任をしているがマイナンバーは付与されるか?
  A:27105日時点で住民票のある人に付与される。(日本に住民票がなければ付与されない。)
   海外赴任者は日本に帰国し、住民票を移した時点で付与される。
なお、国籍に関係なく住民票が日本にある外国人にもマイナンバーは付与される。
   
(3):従業員がマイナンバーの提出を拒否した場合の対応はどうするか?
  A:従業員から企業側のマイナンバーの漏洩等を嫌って提出を拒まれた場合は、拒まれた理由を説明できるよう記録・管理しておく必要がある。

   (理由)H2811日以降発行する源泉徴収票等には、マイナンバーを記載する義務がある。
   未記載の場合でも罰則はないが、法令上の義務であるため、税務調査等で未記載の理由を問われる可能性がある。

(4):マイナンバー漏えいに対する罰則は?(名簿業者等の第三者に売却した等)
  A:最大4年以下の懲役又は200万円以下の罰金。
   なお執行猶予は付かない可能性あり。
   ※個人情報保護法には罰則がない点に大きな違いがある。

(5):マイナンバーの利用には従業員の同意を得る必要があるか?
  A:提出時に利用目的を通知しているため、利用の際に本人からの同意を得る必要はない。
   社内掲示板等で公表することで問題ない。

(6):従業員全員より事前同意を得ていればマイナンバーを利用することは可能か?
  A:従業員の同意を得ていたとしても、源泉徴収票や社会保険・税務署等への書面提出以外の目的で使用することはできない。
   ※個人情報保護法は、同意があれば目的外の利用も認められている。

(7):年末調整の時期のたびにマイナンバーの提出を求める必要があるか?
  A:家族構成等の変更がない限り、提出を求める必要はない。
   すなわち、施工時の今回1回限りの措置である。
   (原則、マイナンバーが必要となったときに従業員へ提出を求める)

(8):利用目的を変更することは可能か?
  A:変更前の利用目的と関連性を有する変更であれば可能。
   例)変更前 ⇒ 源泉徴収票への記載
     変更後 ⇒ 上記の他、健康保険等の保険届出事務に利用する等
   
   その都度利用目的を公表する必要があるため、事前に利用することが想定される事務の全てを明確に把握する必要あり。


6.【事前照会】租税特別措置法第42条の124の適用における給与負担金の取扱いについて

(照会内容)
A社が親会社から継続して出向者を受入
A社に出向負担金を支払い
・出向内容をA社の賃金台帳に記載
・出向者は「親会社」の雇用保険一般被保険者になっている
・『雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除』の計算に、出向負担金を含めていいか

(回答)
・含めてよい
(1)『税額控除』を計算する際の、給与増加額には、出向負担金(賃金台帳への記載が必須)を含めて良いと規定あり
(2)『税額控除』の適用判定に使う、平均給与額には、雇用保険一般被保険者のみを含めると規定されている
⇒臨時雇用者分を計算から除外するのが目的
⇒本件は、親会社の雇用保険者であるが、A社に継続出向しているので計算に含めて良い


7.消費税判例 訪日旅行ツアーに係る輸出免税

■概要
・国内旅行業J社は非居住者であるK社に国内旅行サービスを提供した。
J社は「パッケージ商品の譲渡」にあたるとして輸出免税処理をした。
・課税庁は「国内における飲食・宿泊」の提供であるとして輸出免税にはあたらないとした。

∇非居住者にかかる輸出取引等の範囲
・資産の譲渡
・役務の提供で次のもの以外
(1)国内に所在する資産にかかる運送または保管
(2)国内における飲食または宿泊

■東京地裁
J社はパッケージとしての「サービス利用権」の販売であると主張するが、契約書になんら記載がない。
・実態は「飲食の提供」と「宿泊サービスの提供」である。
・「旅行パッケージ商品」という概念自体がきわめてあいまいとしてJ社の主張を退けた。

■まとめ
非居住者に対する国内旅行サービスの提供は通常の課税売上となる。


8.所得税:朝型勤務の朝食支給と源泉所得税

■朝型勤務を推奨する企業が従業員に朝食を無料支給した場合、源泉徴収は必要か?
 ⇒必要。おにぎり等の経済的利益の価額について源泉徴収を行う。

■源泉徴収が不要となる食事の提供(所基通36382)
 下記の両方を満たした場合には昼食か朝食かにかかわらず、源泉徴収が不要となる。
  ①社員らが食事の金額の50%以上を負担していること
  ②企業が負担した食事の金額が月額3,500円以下であること

 朝食の『無料』支給に関しては①の要件を満たしていないため、上記通達は適用されず原則どおり源泉徴収が必要となる。


9.非流動性ディスカウント

H27.3.26:反対株主の株式買取請求に関する事案についての最高裁判例
・収益還元法における非流動性ディスカウントを否定する内容

・従来は非流動性ディスカウントを考慮すべきか否かは判断が分かれていた
・本件は極めて重要な意義を持つ

・「DCF法には市場における取引価格との比較という要素は含まれていない」 というのが判例の論拠。
・流動性リスクを資本コストの計算で織り込んでいても同様の論拠で否定したのか?

WACC算出時点で上場株式との比較を行っていると言えなくもない。
⇒株式買取請求の場面においては、特段の事情が無い限りは非流動性ディスカウントを考慮することが適切ではない、ということを意味していると考えることが妥当


10.平成27年度税制改正(消費税関係)

1. 消費税10%引上げ時期
・平成27101日 ⇒ 平成2941
 ※経済状況を勘案した結果、税率引き上げ時期を延期

2. 国境を越えた役務の提供に係る課税についての見直し
・対象となる役務の提供とは
 ⇒ 電気通信利用に制限
 ※アプリや電子書籍の販売等
・内外判定の見直し(課税取引か否かの判定)
 役務の提供をする者の事務所等の所在地 ⇒ 役務の提供を受ける者の所在地で判定
・課税方式の見直し
 (a) 事業者向け … 役務の提供を受ける事業者に納税義務(リバースチャージ)
 (b) 消費者向け … 役務の提供を行った事業者に納税義務(従来通り)
・仕入税額控除の制限
 国外事業者から受けた消費者向けの役務の提供による仕入税額は、税額控除できない。
 ※ただし、取引相手が登録国外事業者であれば、仕入税額控除可能

3. 国外事業者による芸能等の役務の提供に係る課税方法の見直し
 ⇒ 役務の提供を受ける事業者に納税義務(リバースチャージ)
 ※海外芸能人によるコンサート等

4. 外国人旅行者向け消費税免税制度
税務署の許可を得た事業者が、免税対象を判定し、免税手続きを実施
⇒ 特定商業施設内の免税手続カウンターで、免税手続代理業者が手続きを実施
⇒ 免税対象の判定も、複数の店舗(事業者)から購入した物品等を合算して判定。
※特定商業施設 … ショッピングセンター等など
※免税対象   … 通常の生活の用に供されるもの + 一定金額以上のもの
※一定金額とは … 物品なら購入総額(税抜)1万円以上。消耗品なら5千円以上等


11.資産除去債務の割引前将来キャッシュ・フローおよび除去時期の見積りの変更

■復習
 (1) 将来の除去時点の原状回復に要するキャッシュ・フローを見積もり、
 (2) 現時点までディスカウント
 (3) 割引後の値を資産と負債に両建て計上
 (4) 資産に上乗せした除去費用は減価償却を通じて費用化、負債側は毎期利息相当額を調整

■割引前将来キャッシュ・フローの見積りの変更
 資産除去債務 = 見積項目 = 変更は将来に向かって修正する
 ※発生時に合理的に見積もることができなかった除去債務について合理的に見積もることができるようになった場合も同様に処理

■除去時期の見積りの変更
 見直し前後の差額が異常な原因により生じたものである場合…特別損益として処理それ以外、
 (1) 割引率を変更し、変更時点以降の資産除去債務の調整額を算定する方法
 (2) 変更後の除去時期を前提とした資産除去債務を計上する方法
    1.当初計上時の割引率を用いる方法
    2.見積変更時の利子率を用いる方法


12.外国子会社配当益金不算入制度※の見直しによる連結上の税効果会計

※国際的二重課税を排除する為、外国子会社から日本の親法人に支払われる配当の95%は親会社の益金に算入しない制度(外国子会社の所在地国で配当が損金算入されていても)

【見直し内容】
平成27年度税制改正により、外国子会社の所在地国で配当の損金算入が認められる場合は益金に算入することとなった(平成28年度41日以後開始事業年度より)。

【連結上の税効果会計への影響】
・見直し前:DTL=配当等の額の5%×親会社の実効税率+配当等の額に係る外国源泉所得税額
 見直し後:DTL=上記△親会社の税負担が軽減されると見積もられる税額


13.社外取締役の意義

コーポレートガバナンス・コードは、経営陣が多数のボードメンバーを占め、そこに少数の社外取締役を参加させる
(マネジングボード)から、経営の監督を指名とする(モニタリングボード)への転換を促している。
→業務執行と一定の距離を置く取締役の活用
→社外取締役2名を原則

(1) コーポレートガバナンス・コードが社外取締役2名を原則とした背景
 ・よほどの実力者で無い限り社外から孤立無援で取締役に単身参加したのではなかなか発言しずらい
 ・社外取締役だけの定期会合の開催も、社外取締役全体のチームとしての機能を強化するに資する

(2) 投資家の視点
 ・自分に代わって企業内部から経営をきちんとモニタリングしてくれるものを欲し、必要としている。


14.持ち合い株解消 銀行は足踏み

・コーポレート・ガバナンスコードでは、持ち合い株について合理的な説明を求め、解消を促している。
・大手銀行の保有株式は、90年台後半のピーク時39兆円、今は16兆円と、ピーク時から6割減。
・ただ、ここに来て解消ペースが鈍っている。⇒「お付き合い」から「ビジネス」へ
・持ち合い株のある相手先とは、「企業間決済」「従業員向け金融サービス」などビジネス上のチャンスが広がりやすい

・持ち合い株の平均配当利回りは3%強、大企業向け長期貸出金利1%を大幅に上回る。










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2015年7月11日土曜日

7/10 勉強会:繰越欠損金控除制限の特例について 他

1.外国株式報酬の源泉義務の有無で判決

■論点
・個人(居住者)が株式報酬制度により無償取得した外国親会社株式に関してその個人の勤務先である内国法人に源泉徴収義務があったかどうか。

■裁判所の判断
・源泉徴収義務者とは、その支払について法律上の債権債務の関係に立つ債務者又はこれに準ずるような特別の関係にある者をいう。
・内国法人がその支払の委託を受けていたら、内国法人には源泉徴収義務が生じる。
・今回はA社(外国法人)が支払の委託を受けており、かつ、端株以外の外国親会社の株式は、個人の証券会社の口座に分配されているので内国法人がその支払をしたという事情がない。
・よって、内国法人は源泉徴収義務を負わないと判断。


2.修正国際基準は平成283月期から適用可能

■企業会計基準委員会(ASBJ)は630日に「修正国際基準」を公表した。
・適用時期
⇒平成28331日以後終了する連結会計年度に係る連結財務諸表から適用できる。
⇒四半期連結財務諸表に関しては、平成2841日以後開始する連結会計年度に係る四半期連結財務諸表から適用できる。

IFRSからの修正事項
⇒のれんの非償却(償却期間は20年を上限)
OCIのリサイクリング及び当期純利益に関する項目(一部事項について、ノンリサイクリングからリサイクリングへ修正)

以上より日本では、「日本基準」、「米国基準」、「IFRS」、「修正国際基準」の4つの基準が並列することになる。


3.利益連動給与の損金算入制度見直しも

■政府が6/22に「日本再興戦略」の素案を公表
・コーポレートガバナンスの強化策の1つとして、「業績に連動した報酬等の柔軟な活用を可能とするための仕組みの整理」という項目が織り込まれた。

⇒・税制については特に触れていない
 ・ただインセンティブ型の役員報酬制度が広く採用されるためには税制の整備が不可欠
 ※現状の利益連動給与はそこまで広がっていない


4.DTAの回収可能性に関する適用指針(案)(以下、適用指針案)の公表について

■平成27/5/26に企業会計基準委員会が適用指針案を公表

■適用指針案の背景
 DTAの回収可能性について定めた「監査委員会報告第66号」(以下、66)について、
(1)税制改正(繰越欠損金の繰越期間延長)に対応していない
(2)形式的な適用がなされている
 などの指摘があった

■適用指針案の内容
(1)基本的に、66号の内容を踏襲する
(2)会社分類(2号・3)の要件の変更
 「経常的な利益」ベース⇒「課税所得」ベース
(3)分類234号の内容の変更
 (a)分類2
  スケジューリング不能差異も将来、いずれかの時点で回収できることを合理的に説明できれば、DTAの計上可。
  (66号では、スケジューリング不能差異は、一律にDTAの計上不可)
 (b)分類4
  「分類4」の要件(1)を満たす企業であっても、一定の場合(2)
  「分類2or「分類3」における取扱いが容認される。
(1)過去3年又は当期において金額的に多額の欠損金等が生じている
(2)今後、5年超に渡って(「分類2)、もしくは、3年~5年程度(「分類3)
   課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できる

■適用時期(3月決算を前提とすると)
 連単ともに平成293月期より適用
 (ただし、平成283月期より早期適用可)

■適用前(公表日後~適用初年度前年の決算期)の取扱い
 未適用の会計基準等に関する注記として、適用による影響を注記

■適用初年度の取扱い
(1)適用年度の期首時点において適用指針に基づいて算定したDTADTLと前期末のDTADTLの差額を適用初年度の期首利益剰余金残高に加減

(2)会計方針の変更による影響額を注記
 会計基準等の改正に伴う「会計方針の変更」として取扱う
 (会計処理を定めた66号の内容を変更するものであるため)


5.モニタリングモデルとは

取締役会に業務執行者の監督を担わせる仕組みのこと
⇒執行役が会社の業務執行を担い、取締役会はその業務執行者を監督(モニタリング)する。

現状、日本においては「業務執行」と「監督」が明確に区分されていない。
モニタリングモデルを導入し、社外取締役が締める取締役会においては、業務執行者の監督者として、より具体的なパフォーマンス評価者としての役割が求められる。


6.メール調査に対する企業の対応

【税務調査における権利】
・国税通則法上、税務当局はメールを閲覧する権利あり。

【近年の税務調査の傾向】
・メールが否認の端緒となることが少なくない。
 (削除されたメールを調査官が復元することもある)

【重加算税対象】
・メールの削除が発覚し、隠蔽行為として重加算税を課されるケースも多い。
※項目別重課事例の上位にランクイン

【どこまでメールを見せるべきか】
・通常、調査官はメールへのフルアクセスを求めてくる。
・過去の裁判から質問検査の範囲は、「質問検査の必要があり、社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている」とある。

【閲覧制限】
・社外とのメールには、取引先とNDAを結んだ案件に係るものも多数含まれる。
※開示には取引先の了解が必要となり、無視すればNDA違反となる。
・現実に、税務調査の都度、取引先に情報開示の了解を得ることは困難。
 ⇒メールの閲覧制限をする理由の1つになりうる。

※正当な理由を示したうえで、「社会通念上相当な限度」について、調査官と認識を合わせる必要あり。


7.消費税:電気通信利用役務の提供と輸出免税

∇輸出免税
・国内取引に該当すること
(イメージ)役務の提供が国境をまたいで行われること
・課税資産の譲渡等であること(非課税取引に該当しないこと)
を満たす場合に適用がある。

■輸出免税になるか?
(例)日本法人の外国支店が国内企業に対し電気通信利用役務の提供を行った場合

・役務の提供を受ける者は国内企業か⇒○:国内取引 
・役務の提供が国境をまたぐか⇒○
・課税資産の譲渡等であるか⇒× ※

※改正により、事業者むけ電気通信利用役務の提供が「課税資産の譲渡等」の範囲から除かれているため

よって輸出免税の適用はない。


8.地方税:法人住民税 均等割の改正を法人税割に反映する自治体も

■均等割の基準の改正(地方税法、H27年度改正)
法人住民税均等割の税率区分の基準である「資本金等の額」が「資本金と資本準備金の合計額」を下回る場合,「資本金と資本準備金の合計額」を基準とすることになった。

■法人税割の不均一課税について(各自治体の条例)
 “法人税割の不均一課税”の基準となる「資本金等の額」について定めた条例に,上記地方税法の改正を反映させている地方自治体がある。

⇒自治体によって税率判定のフローが異なるため、法人税割の税率を間違えないように要チェック!


9.実効税率

H29.3期以降に適用となる東京都の事業税の超過税率
 ⇒7/1に公布された
 ⇒実効税率 32.26%

H28.3期1Qにおける取り扱い
 ⇒32.3032.262パターンあり


10.繰越欠損金控除制限の特例について

1. 原則
H27.4.1H29.3.31の間に開始する事業年度
 ⇒ 所得の65%までしか控除できない
H29.4.1以降開始する事業年度
 ⇒ 所得の50%までしか控除できない

2. 特例
以下の要件を満たす場合は、所得の100%まで控除可能
 (1) 中小法人 … 資本金1億円以下等
 (2) 経営再建中の法人 … 更正手続開始の決定があった等
 (3) 新設法人 … 設立7年以内の法人

3. 新設法人の範囲
⇒ 設立7年以内の会社をいうが、下記に該当する場合は新設法人とならない。
 (1) 中小法人
 (2) 資本金5億円以上の大会社等に発行済株式の100%を保有されている法人

4. 留意点
・新設法人に該当しても、上場した日以後に終了する事業年度以降は、特例が適用できない。
・組織再編により、設立日が被合併法人等の設立日に置き換えられる場合がある。
 ⇒ 組織再編により、新設法人に該当しなくなるケースがある。


11.「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」の解説

■実務指針公表の背景
 ・会計上の見積の介入の余地が大きい
 ・判断を誤るのみならず、意図的な原価の付け替えなどによる会計操作が可能

■何か重要か
 ⇒内部統制の構築(見る側としては理解すること)
  1.全社的な内部統制
   ・人事ローテーションなど
     なれ合いや癒着等 ⇒ 横領、粉飾などが行われる可能性

  2.業務プロセスに係る内部統制
   工事原価の計算過程の各要素が適切に見積り・決定されるプロセスを構築しているか?
   (1) 工事契約に係る認識の単位の決定
   (2) 工事収益総額の見積り
   (3) 工事原価総額の見積り
   (4) 決算日における工事進捗度の見積り
   (5) 工事損失引当金の計上


12.土地評価損計上の可否

資産の評価損は原則、損金算入できない。
一定の場合に損金算入が認められる。
 ・災害による著しい損傷による場合
 ・物損等の事実、法的整理の事実が生じた場合
 ・更生計画や再生計画の認可の決定があった場合


13.社外取締役の8つの心構え

(1) 会社を良く知る
 ・会社の戦略、製品、組織等について十分な知識を持つ

(2) 取締役会には誦分な準備をもって臨み、存在感を発揮する
 ・企業価値の向上や一般株主の利益の観点からの質問をすることが重要
  ・議事録に異議を留めなめれば賛成と推定

(3) 専門家は専門分野で力を発揮する
 ・専門性に関連する事柄については責任が重くなる可能性がある
 
(4) 株主総会での注目度も上がるものと心得る
 
(5) 情報の取り扱いに気を付ける
 ・同業他社の社外取締役になった場合は、守秘義務や目的外利用禁止に反しないように注意

(6) 責任限定契約、会社役員賠償責任保険(D&O保険)を忘れずに
 
(7) 万一に備えて資料は保管
 ・会社に返還、適切に処分、保管の場合は10年程度
 
(8) 監査等委員会設置会社における同委員会委員である社外取締役
 ・監査等委員会でない取締役の選任等・報酬等について監査等委員会の意見形成、総会での質疑対応の準備


14.東芝不適切会計 総額は?

・報道で、営業損益ベース1,500億円減益、とのニュースあり
・東芝は「現時点ではあくまで500億円」と否定。
(1)工事進行基準に係る処理
(2)映像事業の経費計上に係る処理(費用化すべきところ、一部資産計上?)
(3)半導体事業における在庫評価
(4)パソコン事業における部品取引に係る処理











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2015年7月4日土曜日

7/3 勉強会:連結納税 みなし事業年度の消費税 他

1.小規模宅地特例と財産調査義務、相続税をめぐる税賠事件で判決

■事例
・争点1
 ・東京都と千葉に自宅を保有する被相続人の相続について相続人から税理士Aが相続税の申告業務を請け負った。
 ・Aは東京都の自宅について小規模宅地等の特例適用を受ける申告書を作成したが、申告は千葉の所轄税務署Yに行った。
 ・Y税務署は税務調査で東京都の自宅についての小規模宅地等の特例適用を否認した。
 ・相続人はAが東京都の所轄税務署Zに申告書を提出していれば小規模宅地等の特例適用は認められたはず、とAに対して相続税約740万円の損害賠償請求をした。
 ・Aは被相続人の住所地について選択ミスがあったかどうか

・争点2
 ・税理士Aが作成した財産目録には一部の生命保険金が記載されておらずその部分について申告漏れがあったことが発覚した。
 ・相続人はAに対して、相続人が提出した資料が不十分な場合にはAは追加の資料提出をする必要があり、申告漏れに係る重加算税などはAの善管注意義務違反により生じた損害であるとAに対して損害賠償請求をした。
 ・Aは追加資料の開示を求めなかったというミスをしたかどうか

■裁判所の判断
・争点1について
 ・被相続人の死亡時の生活の拠点は東京都ではなく千葉県
 ・東京都の自宅の所轄税務Zに申告書を提出したとしても東京都の自宅について確実に小規模宅地等の特例適用があったとは言えない。
 ・以上より相続人の訴えを斥けた

・争点2について
 ・Aは相続人から任意に提出された資料に基づき、財産目録を作成し相続人に確認を求めていた。
 ・申告漏れがあった生命保険金はAに開示されていない通帳に入金があったためAがその入金があったことについて知ることはできない。
 ・Aが相続人から提出された資料だけで申告をしたというわけではない
  ・以上より相続人の訴えを斥けた


2.平成27年度における法人税関係の改正について

■主な改正事項
(1)法人税率引き下げ(平成2741日以後に開始する事業年度より)
・法人税25.5%→23.9%、法人事業税所得割7.2%→4.8
⇒法人実効税率31.33%へ

(2)欠損金の繰越控除
(平成2741日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税より)
・平成2741日~平成29331日までに開始する事業年度・・・欠損金額控除前の所得の金額の65
・平成2941日以後に開始する事業年度・・・欠損金額控除前の所得の金額の50
・繰越期間9年→10年へ

(3)生産等設備投資促進税制
・平成27331日をもって廃止
 なお平成2741日前に開始した事業年度については継続

(4)所得拡大促進税制
・平成2841日から平成29331日までの間に開始する事業年度4%(中小企業は3%)
※改正前5
・平成2941日から平成30331日までの間に開始する事業年度5%(中小企業は3%)
※改正前5%以上

■その他改正事項一覧
(1)受取配当金等の益金不算入
(2)退職年金等積立金に対する法人税(特別法人税)
(3)試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)及び試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例
(4)環境関連投資促進税制
(5)雇用促進税制 ※地域再生法の認定事業者に係るもの
(6)特定設備等の特別償却制度
(7)医療用機器の特別償却制度


3.審判所が初判断、霊園管理料は収益事業

■事例
 宗教法人が経営する霊園の管理料収入が収益事業として判断された
 ※審判所が公表した事例としては初めての判断

■宗教法人の事業区分
 ・(1)宗教活動、(2)公益事業、(3)収益事業に区分される
 ・基本的に(3)収益事業に区分されたものが課税対象

■判断基準
 (1)管理料は事業に伴う役務等の対価の支払いか
   …墓地供用部分の管理役務を提供するもの。対価性有り

 (2)喜捨としての性質を持つか
   …管理行為という役務に対して支払われている。喜捨では無い

 (3)管理行為は宗教法人以外の法人でも可能か
   …宗教法人以外でも可能、一般法人と競合する。

 ⇒これらを総合的に勘案して収益事業として判断


4.持合い株式に関する方針、各社の記載状況は?

■東証が6/1よりコーポレート・ガバナンスコードの適用を開始
・独立社外取締役の他、政策保有株式に関する方針が注目されている
・多くの企業で取引先との関係強化を方針とする一方、詳細な保有状況を示す企業も見受けられる。

■保有方針の記載例
NTTデータ、デンソー
 事業拡大の観点から協力関係が不可欠であれば保有
・大東建託
 業務提携の他、連結B/S計上額が総資産の5%以下などの条件を満たす範囲で保有
・みずほ銀行、新生銀行
 一定の場合を除き、原則保有しない
・ニッカトー
 方針の他、保有株式の名称、金額、取引関係を開示


5.国外転出時課税制度(H27.7.1施行)

■概要
1億円以上の有価証券等を所有している居住者が、以下に該当する場合に、有価証券等の対象資産の含み益に所得税が課される。
(1)国外転出した居住者
(2)国外居住の親族等に贈与をした居住者
(3)所有者が死亡し、国外居住の相続人等に相続をした所有者(=被相続人)

(3)については、相続人が準確定申告を行う

(3)の相続について
・対象者(=所有者であった被相続人)
 ⇒相続開始時に所有している対象資産の価額の合計額が1億円以上
   相続開始時前10年以内に、国内在住期間が5年超
・対象資産となる有価証券等
 ⇒株式、投資信託、未決済のデリバティブ取引等
・いつの時点の価額
 ⇒有価証券:相続開始時の有価証券の価額
   デリバティブ取引:相続開始時に決済したものとみなした損益額
1億円以上の判定
 ⇒保有している資産すべての合計額で判定
   ※含み損がある有価証券、譲渡により非課税となる有価証券も含める。
・いつまでに申告・納付
 ⇒相続開始があった日の翌日から4月を経過した日の前日までに、相続人が準確定申告及び納税をする。
   () H27.7.20死亡 ⇒ H27.11.20までに申告納付

そのほか一定の要件を満たせば、
「課税の取り消し」、「納税猶予」を受けることも可能である。


6.ヤフー事件のIDCFが再び税務訴訟

IDCF事件
 (1)ソフトバンク100%子会社のIDCS社が、営業部門を分割してIDCF社を設立
 (2)IDCS社は、IDCF株式をソフトバンク関連会社のヤフーへ売却
 (3) (2)の株式売却により、IDCS社は分割の適格要件である『完全支配継続見込み
     要件』を満たさないことになるため、(1)の分割は非適格となる
 (4) 非適格分割であるため、新設分割子法人IDCF社にのれんが発生し、5年間に渡り、のれん償却(損金算入)が可能となる

 ⇒裁判では、分割後の株式譲渡は、あえて適格要件を外す租税回避行為と判断され、国側が勝訴、会社側が現在上告受理申立中。
 ⇒今回、上告受理申立中の内容には含まれていない期間の、のれん償却について、IDCF社が国を相手取り税務訴訟を提起。


7.資本金基準の見直し、実現可能性は

・中小企業の定義(資本金1億円以下)の見直しが検討されている

・資本金基準を「売上基準」「所得基準」に変えるなどの案あり

・消費税率10%への引上げ(20174月~)と同時の改正だと景気ダメージが大きいため、消費税率引上げ後の改正が有力


8.連結納税 みなし事業年度の消費税

∇みなし事業年度
連結子法人の事業年度が連結親法人の事業年度と異なる場合、連結子法人の事業年度はみなし事業年度となる。

(例)
親法人 3月決算
子法人 12月決算
で、7/1より連結加入した場合
子法人の事業年度は(1)1/16/30(2)7/13/31となる。

∇消費税
連結納税制度はないため、単体での申告納付が必要
ただし、みなし事業年度を「課税期間」として計算するため注意
上記の例では(1)8/31まで、(2)5/31までに申告納付する。

なお、基準期間はそれぞれのみなし事業年度の「前々事業年度」となる。


9.源泉所得税 永年勤続表彰者に支給する旅行券

■永年勤続表彰制度により従業員に支給する旅行券について、源泉徴収が必要か
⇒個別通達(昭60直法64)で規定する要件を満たさない場合は必要
 ※要件をすべて満たすのは現実的ではない。旅行実施報告書の提出等。

■旅行、観劇への招待はOK。現金、金券は
所基通3621 により、記念品の支給、旅行観劇への招待については下記の要件を満たすものについて源泉徴収は不要とされている。
 (1) その利益の額が,役員又は使用人の勤続期間等に照らし,社会通念上相当と認められること。
 (2) その表彰が,おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし,かつ,2回以上表彰を受ける者については,おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること。

ただし、現金や金券の支給は除かれる。旅行券は金券なので、この通達では源泉徴収不要とはされない。


10.東証一部の独立社外取締役選任率 8割超え

・東証一部上場1,885社のうち、
  社外取締役を選任した会社     :92%
  独立社外取締役を選任した会社 :84.7%

・2名以上の独立社外取締役を選任した会社:46.5%


11.グループ内合併の会計・税務上の留意点

親会社と完全子会社又は完全子会社同士の合併のケース
■会計
(1) 連結
 もともと連結グループ内にいた会社同士の合併であるため、一切影響なし

(2) 単体
・親会社と完全子会社
 子会社の資産負債を連結上の簿価で受け入れる
 受入れた資産負債の差額と子会社株式の連結簿価との差額は「抱合せ株式消滅差損益」に。

・完全子会社同士
 消滅会社の資産及び負債は適正な帳簿価額で受け入れる
 対価の支払を行わない場合は存続会社の資本金は増加させない
 親会社単体BSの存続会社株式=合併前存続会社株式簿価+消滅会社株式簿価

■税務
(1) 存続会社
 金銭の交付を伴わない親子合併、完全子会社同士の合併は原則として適格合併の要件を満たす適格合併の場合、合併法人は被合併法人の合併直前の帳簿価額で引継ぎ
 別表5(1):資本金等の額と利益積立金を引継ぐ ⇒ 課税関係は生じない

(2) 株主
 適格合併であれば、課税関係生じない

(3) 論点
 適格合併&支配関係5年超 ⇒ 繰越欠損金の引継が可能


12.東芝不適切会計 パソコン事業

・取引の流れは下記の通り
(1)原材料を購入(例:100円)
(2)下請けメーカーに有償支給(例:100円+20円=120円)
(3)下請けメーカーが加工後、製品を買取(例:100円+20円+30円=150円)
(4)製品を販売

・期末に製品が在庫として残っている場合、(2)有償支給の際の「20円」は未実現利益として取り消さなければならない。

・この取消仕訳がなされていなかった。











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