2018年3月3日土曜日

3/2 勉強会:株式譲渡代金の調整条項で支払われる代金の収入時期 他

1.二次再編でも従業者従事要件等が緩和

■要約
・従業者従事要件及び事業継続要件が緩和され、二次再編があった場合にも適用される
・平成30年4月1日以後に行われる組織再編(合併、分割、現物出資、株式交換、株式移転)から適用される

■説明
A社:被合併法人
B社:合併法人
C社:二次再編先
D社:C社との間に完全支配関係がある法人

・B社がA社を合併(A社の従業者や事業がB社に移転)
・B社が二次再編としてC社に適格合併
⇒現行法人税上は、従業者従事要件や事業継続要件はC社において満たす必要あり
・さらにA社の従業者や事業がD社に移転
⇒改正後は、引き続き従業者従事要件や事業継続要件は満たされることになる



2.株式譲渡代金の調整条項で支払われる代金の収入時期

■事例
・アーンアウト条項による支払代金の収入時期を争った事例
■原処分庁の主張
・段階的な支払であっても、収入の原因たる権利が確定した場合に所得が実現したものとして課税所得計算
⇒収入の原因たる権利の確定時期=株式譲渡契約締結時期
⇒アーンアウト条項が付されていても譲渡契約上の金額の満額に対して契約時点で課税
■請求人の主張
・調整額=将来の業績の計画値の達成度合いにより毎年変動しうる不確実なもの
⇒収入の原因となる権利があっても、計画達成により実際に受領するまでは未確定
⇒契約時点で一括課税ではなく、受領時点で所得実現とすべき
■決定
・譲渡契約締結時に満額に対して課税
⇒譲渡前に3年連続右肩上がりの利益となっており、それを踏まえれば達成が容易な計画値だったといえる
⇒交渉の過程で当初想定された達成ラインよりも1億から3000万円程度下方修正された値でFIXしていたことも加味。
⇒アーンアウト条項も最初から達成できるように設定されていた、という主張



3.馬券払戻金の課税関係めぐり、国税庁が所基通を再び改正へ

■馬券の払戻金の課税関係
・営利を目的とする継続的行為から生じたもの
※年間通してほぼすべてのレースで馬券を購入しているような場合
※年間通しての収支で回収率が100%を超える場合
※ソフトウェアの使用の有無は問わない(これまではソフトウェア利用に限定)
⇒雑所得。外れ馬券は経費にできる

・上記以外の一般の競馬愛好家
⇒一時所得。外れ馬券は経費にできない

■遡及
遡及適用あり。更正の請求で所得税の還付を受けることができる。(5年以内)



4.従業員の出向・出張に伴う税務~出向編~

■法人税基本通達9-2-47
出向元が出向先との給与条件の較差を補填する為に支払った金額は出向元の法人の損金に算入する。
・出向先が経営不振で出向者に賞与を出せないために出向元が出向者に対して支払う賞与の額
・出向先が海外なので出向元が支払う留守宅手当

■通達の創設理由
・出向元法人にとって「現実に勤務しない」使用人に対する支出は損金と考えるのか?
⇒雇用契約に基づく
出向元―出向者であるため出向先が払えない事情がある(出向元も強制はできない)のであれば、出向元が支給するのが当然であるという考えから。
⇒対価性の有無
出向元法人の都合によって行われることが多く出向させることにより何らかの利益を得ている。

■給与条件の補填とは
⇒「給与」のみを指しているわけではない。「給与以外」の福利厚生等の較差の補填も通達の適用となる
(給与条件の較差補填以外の負担 ⇒ 合理的な理由があれば課税上の問題は生じない)

■税務調査での留意点
・出向者に対する費用は出来るだけ出向先の負担にするように努める
・出向元が出向者の費用負担をする場合、メリットがあるのかどうか
・雇用契約書、出向契約書(費用負担割合も明記)に基づく支払が行われているかどうか



5.実務対応報告36号の解説

「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い」

■「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引」
→会計処理の取扱いが明確ではなかった。(SO会計基準制定時に想定してなかった。)
→ストックオプションor複合金融商品
→実務対応報告36号が公表。

■「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引」の性格
→従業員が一定額の金銭を払い込むため、資金調達や従業員への投資機会の提供としての性格を有する。
→企業は勤労意欲の増進等、インセインティブ効果を目的として付与することが大半であり、報酬の性格も併せ持つと考えられる。
→SO会計基準は自社株式オプションを従業員等に付与する取引等を整理した基準である。
有償ではあるが、引受先が従業員等に限定されていることや権利権利確定条件が付されているという特徴は、基準が想定している取引と類似。
⇒ストック・オプション会計基準第に定める報酬としての性格を有していると整理



6.裁判例:役員給与と役員退職慰労金における限度額

■概要
酒造メーカーAは役員4名に対し役員給与を、退職した代表取締役に役員退職慰労金を
支給したところ、それぞれ「不相当に高額な部分」の金額があるとして国税当局から更正処分を受けた。

■役員給与について
国税当局は類似業種における役員給与の「最高額」を判断材料として提示。
A社よりも業績がよい他社の最高額を上回る部分については「支給の妥当性」がないとして否認した。
⇒その後、最高裁でも同様の判決があり確定

■役員退職慰労金について
※功績倍率法により算定⇒ここは両者に争いなし
国税当局は類似業種における退職役員の最終月額給与の「平均額」を判断材料として提示。

高裁の判断:
退職した代表取締役の功績は高く、類似業種における最高額と同額とすることに何らの違和感も
ないと判断。「平均額」に妥当性がないとして国税当局の判断を退けた。

結果、役員給与についてはA社敗訴、役員退職慰労金については国税敗訴となった。



7.2018年問題 慰労金の退職所得への該当性は勤務実態で判断

■2018年問題
2013年4月に施行された改正労働契約法で、
同一の使用者との間で「有期労働契約」が通算で5年を超えて繰越更新された場合、
5年目以降は本人の申し出によって「無期労働契約」に転換できることとされる問題。
⇒要件を満たす者すべてが対象で、企業側は対象者を選別できない

■対象者に慰労金を支払った場合の所得は?
結論:対象者の勤務実態で判断する。

(例)3/31付で慰労金を100万円支給

(1)3/31付で契約満了し転職する場合
⇒退職所得に該当。
退職に起因し一時金として支給を受けるため

(2)3/31付で契約満了であるが、4/1付で正社員登用となる場合
⇒給与所得に該当する可能性があり。
勤務関係は終了しておらず、単に「雇用形態」が変わった判断されるため。


8.ICOの会計処理 一部は四半期末の時価評価に変更

・メタップス社
・ICOの会計処理をめぐり監査法人と協議していたが、自己所有の仮想通貨のうちの一部を四半期末時点で時価評価する
・以下の点が追加的レビューが必要な項目とされた
  ①仮想通貨残高の実在性の確認
  ②今回のICOは韓国で実施したもののため、韓国における法律上の見解の入手
・取引記録をブロックチェーンと照合するなどして実在性を確認。
・「当第1四半期においては取引量が少なく複雑性が低いため、結論表明の基礎を得た」
 ⇒将来、取引量が増加し、会計処理が複雑になると、
 十分かつ適切な証拠を適時に入手することが難しくなる可能性がある。



9.条件付取得対価の会計処理

■日本基準
対価の交付または引渡が確実で、対価を合理的に算定可能となった時点で追加計上し、のれんで調整
→例えば20を追加した場合で、償却期間10年、経過年数2年の場合は2×2年=4を追加取得分から費用化する
(参考)今後の日本基準の改正案(返還時)
対価返還とのれん減額の差額を利益計上

■IFRS
条件付対価は取得日の会計処理にあたり、取得の対価に含めて取得対価の一部として公正価値で測定し、認識する
→当初ののれんに変動はなく(減損除く)、追加取得分は費用処理
※IFRSでは日本基準と異なり、取得日以降の事象により生じた公正価値の変動については、
企業結合によるのれんの金額を増減させない



10.第2回 連結決算体制の整備、連結パッケージ

■連結財務諸表作成までの流れ
(1)決算前に行われる親会社から子会社への必要事項(スケジュールや会計方針の変更等)の伝達
(2)親会社、子会社における個別TB等の作成
(3)親会社、子会社での連結PKGの作成と親会社連結決算担当者への提出
(4)親会社での子会社の連結PKGの個別修正
(5)連結精算表の作成
(6)連結TBの作成(表示科目組替)
(7)連結TBの注記の作成

■子会社における連結PKGの作成とチェック体制
・正確な情報が記載され、所定の期限内に提出されることが最も重要
⇒作成者、チェック担当者、承認者等を定めておく
 上記担当者において綿密な期限設定を行う
⇒親会社がチェックリストを作成し、子会社に配布するケースも多い

■親会社における連結PKGのチェック体制
・作成の元データを保有していないことや時間的な制約から、整合性や前期比較などの概括的な分析を効率的に実施することが重要
・定量的な側面及び定性的な側面から「異常」を発見できる体制としておく必要がある



11.条件付取得対価の税務上の留意点

※税法上の取扱いは定められていない(実務慣行に基づく整理をするしかない)ことに注意

■株式取得の対価に、条件付取得対価が含まれるケース
取得対価の調整である限り、(損益ではなく、)株式の取得価額の増減とする⇒会計と同じ

■非適格合併等の対価に、条件付取得対価が含まれるケース
資産調整勘定とされれば、5年間で均等償却⇒会計に合わせる(資産調整勘定≒のれん)


12.のれんの償却年数を決定する際の実務ポイント

日本基準:資産計上し、20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって規則的に償却する
IFRS:毎年、減損テストを行うことが求められる(償却なし)

「効果の及ぶ期間」をどのように解釈し、見積るかがのれんの償却期間を設定する際のポイントとなる・
企業結合に係る投資の予想回収期間を償却期間とすることが最も多い。
※リサーチ・ペーパー1号「のれん償却」より

投資の回収期間を算出方法として、
・当期純利益と取得原価を比較する方法
・FCFと企業価値を比較する方法
等があげられる。

監査上は「効果の及ぶ期間」を定量的に説明する必要がある。


13.条件付取得対価のメリット・デメリット

■メリット
①双方
・買収価格に合意できない場合でも、事業買収取引の実施が可能
②買主側
・買収後の事業計画の達成というリスクの一部を売主側にも負ってもらうことができる
・売主側への買収時に支払う対価を限定できる可能性あり
③売主側
・条件付取得対価を定める条項の達成により、
当初の見込み買収金額よりも高い金額が受け取れる可能性あり

■デメリット
①双方
・買収後に不測の事態が発生した場合や経営状態が変化した場合、
 追加の買収対価の支払いをめぐる問題が発生する可能性あり
②買主側
・対象会社の株主がそのまま経営陣として経営に関わる場合、
 経営方針の相違が生まれる可能性があり
③売主側
・定めた条項によって、買収時の買収対価取得額が限定される場合あり
・条件未達成の場合、最終的に買収時に見込んだ売却金額よりも対価取得額が限定される可能性あり



14.今3月期決算の実務ポイント 「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正

・非財務情報の改正
 →経営者視点から見た、「経営成績に重要な影響を与えた要因」、「長期的な目標に照らして経営成績をどう分析しているか」など、より詳細な記述を求める方向へ。

・新株予約権等
 →一部簡略化(事業年度末の情報から変更なければ、有価証券報告書提出日の前月末現在の記載は「変更ない」で可 など)

・大株主の状況
 → 株式所有割合の算定の基礎となる発行済み株式総数から、自己株式を控除する(改正前は控除しない)。
 → 記載時点は原則議決権工事基準日(改正前は事業年度末)



14.反社会的勢力に関する確認書の提出

・顧客や関係会社との契約書面の中に、反社勢力との関与が疑われる場合は解除できる条項を入れておくことが必要
・申請時には「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」の提出が求められる
・日頃からに日経テレコンやGoogle検索による反社チェックを行う必要あり

■ネットベンチャーは事業の適法性に注意
・目新しいビジネスモデルほど、法律に照らして適法であるか審査される
・関連法令の順守は必須(個人情報保護法、景表法や下請法など)
・自社の商品名やサービス名は商標を取る










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2018年2月26日月曜日

2/23 勉強会:金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン 他

1.金融庁の考え方から読むフェア・ディスクロージャー・ルールガイドライン

■フェア・ディスクロージャー・ルール(FDルール)とは
・上場会社等が公表されていない「重要情報」をその業務に関して証券会社、投資家等に伝達する場合、
 速やかに情報をホームページ等で公表することを求めるもの
・平成30年4月1日から導入

■Q&A
・株主総会で重要情報を伝達した場合はFDルールの対象か?
⇒未公表の確定的な情報であって、公表されれば有価証券の価額に重要な影響を及ぼす可能性がある場合は対象

・証券会社の営業担当者に重要情報を伝達する場合はFDルールの対象か?
⇒守秘義務や有価証券売買禁止に係る義務が課されることが説明され、適切な法人関係情報管理が実施されれば対象外


2.のれんと耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト

■前提
・IFRS
■償却
・いずれも償却をしてはならない
■減損テスト
・減損の兆候がある場合にはいつでも行わなければならない
■減損損失
・回収可能価額まで落とす(公正価値or使用価値のいずれか高い方)
・戻入れあり
■開示内容
・減損損失の認識又は戻入に至った事象及び状況
・認識又は戻入をした減損損失の金額
・個別資産について(性質、所属セグメント)
・資金生成単位について(生産ライン、工場、事業、地域等)
・当該資産の回収可能額+回収可能額の定義
・回収可能額=公正価値のケース
⇒評価技法、算定の基礎に用いた主要な各仮定(現在価値技法を用いて測定しているなら割引率も)
・回収可能額=使用価値のケース
⇒見積に用いた割引率


3.マンション販売事業者への消費税追徴課税相次ぐ

■事例
・販売用に購入した賃貸マンションの仕入税額控除の区分判定に関して、国税局の更正処分が増加

【事業者の主張】
・販売目的で仕入れているので、課税売上対応仕入に区分
⇒仕入れに係る消費税額を全額控除

【国税局の主張】
・販売するまで賃貸しているので、共通対応仕入に区分
⇒課税売上割合に応じた額だけを控除

※消費税課税区分
・マンションの販売⇒課税売上げ
・マンションの賃貸⇒非課税売上げ

■共通対応にした場合の問題点
・賃貸マンションの販売時には全額課税売上に計上されるが、仕入時には一部しか仕入税額控除できなくなる
⇒消費税の納付額がかなり増加



4.重加算税、審判所の事実認定にて原処分庁の主張が斥けられる

収入を申告していなかったことが重加算税の賦課要件に該当するか否か?

≪ 概 要 ≫
請求人は医師、重加算税の処分を課した理由として、①請求人が関与税理士に計算の根拠となる預金通帳を提示しなかった、②調査担当職員からも申告漏れを指摘されるまで預金通帳を開示しなかったことが、当初から所得を過少に申告する事を意図し、その意図を外部からも伺いうる行為をしたと指摘。仮想隠ぺいにあたるとして重加算税の賦課処分を課した。
≪ 裁 決 ≫
原処分庁の主張は斥けられた。
理由:重加算税を課すには納税者のした過少申告そのものが隠ぺい、仮装に当たるというだけでは足りず、これとは別に隠ぺい・仮装と評価すべき行為が存在しこれに合わせた過少申告がなされたことを要する。つまり架空名義の利用や資料の隠ぺいなどの積極的な行為があったとは認められないと結論付けられた。
≪過少申告を意図していた行為とは≫
本件の場合、確定申告書作成時に関与税理士に通帳を開示しなかったことが意図していたかどうか?
①口座を開設し支払先に振込先として指定いたものの、生活の為に引き出している形跡がなく、メインの通帳には多額の収入があったので、当該口座には振込まれた以外の入出金が一切なかった。
②医師・産業医として極めて多忙であり、売上の集計や記帳を自ら行わず、保険会社の担当職員に行わせていた程である。
①、②等の理由により適正に申告していると誤解していたと考える余地が残る、過少申告を意図していたとは推認させるものとまでは言えないと判断した。




5.連結で要件充足できなければムチ税制

平成30年度の税制改正で導入されるムチ税制

■ムチ税制=租税特別措置の適用制限
→一定の要件をクリアできなければ、研究開発税制、地域未来投資促進税制、IoT投資減税の適用が停止される。なお研究開発税制は、「総額型」「オープンイノベーション型」「高水準型」の全てが適用停止になる。

→要件としては、大企業で所得が前期比より増加しているにも関わらず、平均給与が増加、又は国内設備投資が一定金額以上されていない。

■連結納税企業は、連結ベースで判定される。
→個別の連結法人が、平均給与要件、国内設備投資要件等をクリアしても、連結べースでクリアできなければ、連結法人への租税特別措置が適用停止となる。





6.法人所有の仮想通貨と期末評価

■企業会計基準委員会(ASBJ)の見解
現時点において私法上の位置づけが明確でないが、「会計上の資産として取扱い得る」
としている。ただし、外国通貨・金融資産・棚卸資産・無形固定資産のいずれの会計基準
も妥当ではないと整理されている。

■法人税法上の取り扱い
短期売買商品や売買目的有価証券については期末時点において時価評価を行うことと
されている。しかし、時価評価の対象資産は法令上で限定列挙されており仮想通貨は
これにあたらない。

■実務対応
・取得時に取得価額をもって資産計上(表示区分は未定)
・会計上、時価評価した場合には別表で加減算調整をする

なお、最終基準は3月中に公表される予定



解約した電話加入権は除却損の計上を

■電話加入権の税務上の取扱い
・非減価償却資産に該当
・償却費計上×
・評価損計上×

■評価損計上できない理由
「1年以上利用休止(遊休)状態」であれば、
法人税法において固定資産の評価損計上が認められる。

電話加入権は以下理由により評価損計上ができない
・ネット普及に伴い市場全体が大幅に下落した
・1年以上利用休止していた事実によって下落していない

■費用計上するには
今後利用見込みがないのであれば解約して除却することが望ましい。




8.主要株主の異動

・「主要株主」=議決権比率が10%以上の株主
・上場会社は「主要株主の異動」が生じた場合
  ⇒遅滞なく臨時報告書を提出すること
  ⇒直ちに適時開示を行うこと
 が求められている。
・「主要株主の異動」とは
 ①主要株主の議決権比率が10%未満となったとき
 ②議決権比率が10%未満だった者が主要株主となったとき

臨時報告書は不要だが、適時開示が求められる事象
 ・「主要株主である筆頭株主の異動」
  ⇒開示ミスが生じやすい
  ⇒ストックオプションの行使によって発行済株式数が増加し、
   既存の主要株主が10%を下回ったが、所有株式数に変動がないことから
   適時開示を行わなかった例がある



9.労働時間管理

・労働時間の管理は会社に義務あり
・時間管理方法は、ICカード、PC使用時間の記録などの客観的な方法が原則
・自己申告の記録は例外的な措置
・その場合でも会社が実態調査を行い、乖離が生じている場合には補正する必要あり
・労働時間の記録は3年間の保存義務あり

















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2018年2月19日月曜日

2/16 勉強会:平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A 他

1.平成29年度改正 外国子会社合算税制に関するQ&A

■外国子会社合算税制とは
・外国子会社を利用した租税回避を抑制するために、一定の条件に該当する外国子会社の所得を、
 日本の親会社の所得とみなして合算し、日本で課税する制度

■改正前の制度の問題点
・外国子会社の租税負担割合が20%以上の場合、実体がない場合でも制度が適用されなかった
・外国子会社の租税負担割合が20%未満の場合に、実体のある事業を行っている場合であっても、
 所得が親会社の所得に合算されてしまう場合があった
⇒租税回避リスクを、外国子会社の租税負担割合により把握する制度から、
所得や事業の内容によって把握する制度に改正

■改正内容
・外国子会社の租税負担割合が20%以上の場合、明らかにペーパーカンパニーであるときは
 外国子会社合算税制の対象となった
・経済活動の実体のある事業から得られた所得は、外国子会社の租税負担割合にかかわらず合算対象外とされた

■適用年度
・平成30年4月1日以後開始事業年度より適用




2.IoT投資促進税制、リースも適用可

■IoT投資促進税制
・革新的情報産業活用設備(※)を取得した場合、30%の特別償却または3%の税額控除の適用を受けられる
(一定の賃上げ※を行った企業は5%の税額控除OK)

※対象設備
・データ収集機器、ロボット、工作機械、データ分析システム(サーバー、AI、ソフトウェア)、サイバーセキュリティ対策製品など
・設備全部の合計で5,000万円以上であること
・H33年3月31日までに取得すること
・ファイナンスリースの場合も適用可能
・所有権移転外ファイナンスリースの場合は税額控除のみ可能(特別償却は不可)

■固定資産税の特例措置(中小企業のみ対象)
・対象設備(※)を導入した場合、課税標準が最初の3年間は最大でゼロから2分の1以下に軽減される

※対象設備
・労働生産性を年平均3%以上向上させるものとして認定を受けた先端設備等導入計画に従って取得した設備
・ファイナンスリース(移転外含む)の場合も適用可能




3.赤字法人と所得拡大税制

■当初申告要件あり
確定申告書(中間申告書)に「雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の
特別控除に関する明細書」を添付したときのみ税額控除を適用できる。
⇒修正申告書や更正請求書に明細書を添付したとしても適用できない

■事例
当初申告時に赤字のため「特別控除に関する明細書」を添付しなかったが、
その後の税務調査で所得(法人税額)が生じることとなった。修正申告書において適用を
受けようとしたが、「当初申告要件」が付されているため適用ができなかった。

■対策
税務調査により赤字が黒字に変わる可能性がある場合には、保険的に「特別控除に関する
明細書」を添付しておくことも検討する




4.原材料に使う飲食料品への軽減税率の考え方

売手が食品(酒を除く)として販売しているか否かにより、軽減税率の摘要可否を判断する。
仕入側の目的は考慮しない。

■例
・食品にも化粧品にも使用可能な添加物を販売するケース
・売手は化粧品に使用することを想定したパッケージ等をして販売している。
・仕入側は食品の原材料として使用する。
⇒このケースでは売手は『食品』として販売していないので、
売手側&仕入側の双方で10%の税率を用いる。(軽減なし)




5.取締役会の書面決議の活用

■社外取締役の選任の進展と書面決議の積極的な利用
(1)審議の活性化
社外取は全社の業務に精通している訳ではなく、個別具体的な事項は可能な限り書面決議に回して、
重要性の高い事項について議論する時間を確保する
(2)出席率の向上
本業を有しているのが通常で一般的に多忙。また遠隔地や外国人取締役の日程調整は難しい
社外取締役の出席率は75%が一つの目安
■書面決議と取締役の善管注意義務の関係
実開催と書面決議のいずれの場合も取締役の責任の在り方に何ら変わりはない
十分な情報収集のもと、適切に判断する必要がある





6.第1回 連結の範囲、会計方針の統一、決算日

■連結の範囲
(子会社の範囲)
・連結の範囲には、原則すべての子会社が含まれる
・子会社=持株基準ではなく実質支配力基準による
(子会社に該当しない会社)
・議決権の過半数を所有していても子会社に該当しないケースあり
(連結の範囲に含まれない企業)
・子会社に該当しても支配が一時的等の理由から含まれないケースあり

■会計方針の統一
・原則は親子で統一する
(必ずしも統一が求められない会計方針)
・資産の評価方法
・固定資産の減価償却の方法
・退職給付会計における退職給付見込額の期間帰属方法
・退職給付会計における未認識項目の費用処理方法
(在外子会社における取扱い)
・在外子会社がIFRSまたは米国会計基準によっている場合、一定の修正(のれんの償却等4項目)を加えればそのまま利用可

■決算日
(子会社の決算日が連結決算日と異なる場合)
・原則=連結決算日に正規の決算に準ずる合理的な手続きによって決算(仮決算)を行う
・例外①:決算日の差異が3か月以内の場合
⇒親3月末決算、子12月末決算であれば1/1~3/31に生じた重要な連結会社間取引の調整をすればそのまま利用可
・例外②:決算日の差異が3か月超の場合
⇒親3月末決算、子9月末等の場合、原則は連結決算日に仮決算を行う必要がある
 相当の理由(3か月以内の四半期決算日に合わせて等)があれば、3か月を超えない範囲の日に仮決算を行い、取り組むことも可能だが①の調整は必要




事業譲受時の税効果会計

前提:現金対価による非適格組織再編

■用語
のれん/負ののれん:会計上の時価と取得原価との差額
資産調整勘定/差額負債調整勘定:税務上の時価と交付した金銭の差額

■のれん、資産調整勘定が計上される場合
・会計上は合理的な期間で償却
⇒のれんは取得原価配分の残余項目のため、税効果会計を適用すると循環計算となるため、税効果会計を適用しない。
・資産調整勘定は5年で損金算入するため、将来減算一時差異に該当
・資産調整勘定に係る繰延税金資産を認識した上で会計上ののれんを算定
 ※資産調整勘定に係る繰延税金資産分、のれんが減少

■負ののれん、差額負債調整勘定が計上される場合
・会計上は一括で費用処理
・差額負債調整勘定5年で益金算入するため、将来加算一時差異に該当
・差額負債調整勘定に係る繰延税金負債を算定した上で、負ののれんを算定する
 ※算定フローは資産調整勘定と同様
 ※差額負債調整勘定に係る繰延税金負債分、負ののれんが減少



8.日本商工会議所が、消費税軽減税率制度のチラシを公表。

・会議でのお弁当、お茶や定期購読の新聞が軽減税率対象。
・8%と10%の税率を分けて記載する必要があるため、請求書や領収書の様式の変更が必要に。
・レジの買い換え、タブレット型POSレジの導入、システム改修のための国の補助制度あり。2019年9月30日までに事業完了を要する。



9.月次決算の早期化

・5営締め、10営役会資料作成
・15日前後で取締役会に報告

ポイントは主に以下。
(1)スケジュール管理の徹底
⇒経理部への請求書等の締切日の設定
⇒必要なデータをどの部署からどのタイミングで入手するか
⇒経理部及び経理部以外の部署も視野に入れたスケジュールの作成

(2)決算業務の標準化
⇒経費精算の入力作業を各部署で分散など。

(3)日常業務の精度向上
⇒作業の分散化

(4)概算計上等の簡便的手続きの採用
・5営締め、10営役会資料作成
・15日前後で取締役会に報告

ポイントは主に以下。
(1)スケジュール管理の徹底
⇒経理部への請求書等の締切日の設定
⇒必要なデータをどの部署からどのタイミングで入手するか
⇒経理部及び経理部以外の部署も視野に入れたスケジュールの作成

(2)決算業務の標準化
⇒経費精算の入力作業を各部署で分散など。

(3)日常業務の精度向上
⇒作業の分散化

(4)概算計上等の簡便的手続きの採用



















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