2016年11月13日日曜日

11/11 勉強会:スキャナ保存制度 他

1.マイナンバーの提供が受けられない場合

■報酬にかかる支払調書
⇒年5万円を超える場合には提出が必要
⇒マイナンバーの記載が必要

■マイナンバーの提供が受けられない場合
⇒提供を求めた経過等を記録、保存すればよい
⇒会社側の過度な事務負担にならない範囲でよいとされる
※明確な規定がないため弾力的な取扱いになるものと思われる

2.課税事業者選択届出書提出失念による過大納付

■概要
・平成26年に新規クライアント(1期目、資本金100万、12月決算)と契約
・設立初年度より課税事業者を選択するため年末に電子申告により手続きをしようとした
・しかし、e-taxが停止中であったため、再開された平成27年1月5日に送信した
・税務署より1月5日の送信は無効(期限切れ)であるとして不受理となった
⇒還付を受けることができず訴えられた

■解説
年末においてe-taxが停止中であったとしても提出期限は延長されない
⇒停止中の場合は紙ベースで提出すること


3.持株会社体制移行による相続税対策の否認リスク

■自社株対策否認の判断基準(取引相場のない株式が前提)
・財産評価基本通達通6項では、「著しく不適当」な評価の場合には国税庁長官による評価となる
⇒裁判例等からの判断基準
 (1)評価通達を形式的に適用することの合理性が欠如
 (2)他の合理的な時価が存在する
 (3)評価通達と他の合理的な時価に大きな差がある
 (4)納税者の行為が(3)に関連する
(例えば)
・持株会社を設立し、類似業種比準価額方式で評価している
⇒(3)に該当するケースがあり、否認リスクを招く

■国税庁の対応
全国国税局長へ、評価方法に疑義のある事案については、評基通6項の適用を含めた上で検討するように指示している


4.顧客関連の無形資産

・IFRSでは識別可能な場合には、M&A等の企業結合時に「顧客との関係」や「顧客関連資産」等の無形資産を計上する。
・資産計上後はその効果の及ぶ期間に渡って償却する
・IFRSではのれんは非償却なので、可能な限り無形資産を識別する
・ソフトバンクグループがスプリントを買収したケースでは認識した無形資産簿価は5.3兆円
・約7,000億円が「顧客基盤」。
・償却方法は定額法ではなく級数法。解約数で償却。


5.真正DESと疑似DESの税務上の違い

1. 真正DESと疑似DES
(1) 真正DES
⇒債権を現物出資
(2) 疑似DES
⇒第三者割当で増資後、会社はその資金で債務を弁済

2.税務上の取扱
(1) 真正DES
⇒適正な譲渡価額(時価)と債権の価額との差額が譲渡損
※譲渡価額が適正でない場合は、寄付金課税される可能性あり
※適格現物出資の場合は、債権の価額が譲渡価額となるため譲渡損は発生しない
(2) 疑似DES
⇒課税関係は生じない


6.私的整理の税務上の留意点

■民事再生と同様の税務上の特例が認められる一定の要件を満たした私的整理
・要件
(1) 一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則※にしたがって再生計画が策定されていること
(2) 公正な価額による資産評定が行われ、その資産評定に基づく実態BSが作成されていること
(3) (2)の実態BSに基づく債務超過の状況等により債務免除等をする金額が定められていること
(4) 2以上の金融機関が債務免除等をすることが定められていること(政府関係金融機関等は単独法規でも可)

※一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則
私的整理に関するガイドラインに基づくもの
中小企業再生支援協議会および中小企業再生支援全国本部の中小企業再生スキーム、RCC企業再生スキームに基づくもの
特定認証紛争解決手続に基づくもの
地域経済活性化支援機構の支援するもの

・債権者側の課税関係
貸倒損失の計上が可能

・債務者側の課税関係
債務免除益が生ずる<問題>
資産評定に基づく資産の評価損益の計上が可能
債務免除等を受けた場合は期限切れ欠損金も損金算入が可能

・債務者側における損益の相殺順
(1) 資産の評価損益を相殺
(2) 債務免除益と(1)の残額を相殺
(3) 期限切れ繰越欠損金と(2)の残額を相殺
(4) 青色欠損金と(3)の残額を相殺
※資産の評価損益がない場合は(3)(4)の順序が逆転<問題>
⇒(4)(3)の順だと、翌年度に課税所得が発生した場合に即納税が発生してしまう


7.外貨換算で内部取引消去額が一致しない場合の留意点

■在外子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行う場合
(連結決算日と在外子会社の決算日の差異は3ヶ月超えない)
・B/S項目の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒その他流動資産又は流動負債
・P/L項目の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒為替差損益

■在外子会社が親会社等に対して債権を有し、貸引を設定している場合
・債権債務残高の相殺に伴う貸引と貸引繰入の減額修正額の差異
⇒為調

■親会社等と在外子会社間で前渡金又は前受金が発生している場合
・前渡金と前受金の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒その他流動資産又は流動負債


8.スキャナ保存制度

■平成27年度税制改正
(1)保存対象書類の金額基準の撤廃
・記載金額3万円未満に限定が撤廃
(2)スキャナ保存の要件の緩和
・電子署名を不要
・ただし電子データの改ざんを防ぐため、タイムスタンプは付す必要あり

■平成28年度税制改正
(1)スマホ画像使用可能
(2)小規模企業者の特例の創設
・経理担当者の内容確認不要で、税理士等が事後検査でOK

■申請時期
・申請書の受付は平成28年改正の受付は9月30日から
・申請書は電子データの保存を開始する3ヶ月前の日までに提出


9.仮想通貨の会計上の取扱い

■論点
・現在600種類以上、日本ではH28.5から改正法施行による規制
・仮想通貨を想定した会計基準はなく、どれを適用すべきか?

※改正法上における仮想通貨の定義(一部略)
・1号通貨:単独で支払手段として流通させられる財産的価値
・2号通貨:1号通貨と相互に交換が可能な財産的価値

■適用が考えられる会計基準
①金融商品基準?
⇒NO(金融商品の定義(現金or権利)に含まれない)
※現金:法定通貨建が前提

②棚卸資産基準?
⇒可能性あり(トレーディング目的の棚卸資産)
・「取得後に加工や販売努力なく、時価変動により利益を得る」目的に該当
・時価評価+売上高総額表示+約定日基準
※トレーディング目的に区分する会社は現状限定的

■新基準設定に向けた動き
・設定を望む声はあるものの、具体的にはまだ
⇒性質を一意に決めにくいため、既存の資産の概念には当てはめられないか
⇒金融投資or非金融投資の観点から検討するのが必要か


10.DCF法の特徴

・DCF法には以下のような特徴がある。
1.企業が事業活動から生み出すキャッシュフローの現在価値から、企業価値を求める。
  株主価値を求める場合には、そこから有利子負債の残高を差し引く。
2.有利子負債の金利から発生する節税効果の価値は、キャッシュフローに加算するのではなく、割引率(WACC)の減算で、算定結果に反映させる。
3.資本構成比率については、算定期間中の長期に亘って一定という仮定を置くことが多い。


11.市場変更基準(マザーズから一部、二部)

1.マザーズ⇒一部
主に以下の(A)又は(B)に適合すること。
(A)
・株主数:2,200人以上
・流通株式:数⇒2万単位以上、かつ時価総額⇒20億円以上、かつ比率⇒35%以上
・時価総額⇒40億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近5年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、直近5年間「無限定適正」または「除外事項を付した限定付適正」

(B)
・株主数:2,200人以上
・流通株式:数⇒2万単位以上、かつ時価総額⇒10億円以上、かつ比率⇒35%以上
・時価総額⇒250億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、過去2年間(直近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」、直近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」

2.マザーズ⇒二部
・株主数:800人以上
・流通株式:数⇒4,000単位以上、かつ時価総額⇒10億円以上、かつ比率⇒30%以上
・時価総額⇒20億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、過去2年間(直近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」、直近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」

3.市場変更銘柄(10月、11月)
・ファーストブラザーズ(株):マザーズ⇒一部
・BEENOS(株):マザーズ⇒一部
・(株)ビューティ花壇:マザーズ⇒二部
・日本社宅サービス(株):マザーズ⇒二部
・アウンコンサルティング(株):マザーズ⇒二部
・(株)パシフィックネット:マザーズ⇒二部









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2016年11月5日土曜日

11/4 勉強会:CFC税制改正の行方 他

1.外国子会社配当金益金不算入制度

・日本の親法人が外国の子会社から受け取る配当の95%を益金不算入とする制度
・持株割合25%以上、保有期間6か月以上のものに適用される
・外国子会社にて損金になる配当は適用対象外
⇒オーストラリア:優先株式の配当、ブラジルなど
⇒国際的二重非課税を防止するため


2.中小会計指針案、資産除去債務は不要

「中小企業の会計に関する指針」の改正案が公表
検討中であった資産除去債務に関連し以下が追加された。

敷金は取得原価で計上する。
ただし、
返還されない部分⇒税法上の繰延資産に該当し、賃借期間で償却
返還される部分⇒原状回復義務の履行で回収が見込まれない部分は費用計上


3.任意の指名・報酬委員会の存在意義

■近年、取締役等の人事や報酬などを議論する”任意”の指名・報酬委員会を設置する企業が急増
・コーポレートガバナンス・コードにおいて、独立社外取締役を活用した任意の指名・報酬委員会の設置について言及していることが背景
・取締役会の下部機関として、適切な関与・助言により客観性と透明性を確保することが目的

■任意の指名・報酬委員会とは?
・会社法の指名委員会等設置会社とは異なる
・委員を開示する義務はなく、委員会が答申した事項に対する法的拘束力もない
※ちなみに法定の設置機関である指名委員会と報酬委員会の決定は、取締役会でも覆せない

■法的拘束力がなく、委員の開示義務もないのに公正性や客観性および透明性を確保できるのか?
・少なくとも、委員を開示し、その審議の過程を一定の基準を設けて透明化する必要がある
・任意の機関であるだけに、会社の実情に応じて役割はさまざまであり、創意工夫が必要


4.タワマンの固定資産課税を見直しへ

自民党税制調査会が平成29年度税制改正の主な検討課題を確認
そのうちの1つが、タワーマンションの固定資産税課税の見直し

・現状:タワーマンションの固定資産税は、低層階も高層階も同じ
・改正案:固定資産税を高層階は高く、低層階は低くする

ちなみに、土地と建物に対する固定資産税評価額の次の評価替えは平成30年度


5.クレカのショッピング枠の現金化に係る消費税の取扱い

消費者が利用するクレジットカードのショッピング枠を利用した現金化が、実際に現金化した際に消費税が課せられるか争われた事例

■現金化の方法
(1)商品を購入時に現金を渡すキャッシュバック方法
(2)購入した商品を転売し現金を渡す買取屋方式

今回消費税が課せられるかどうかで争われたのは(1)の方法

■争点
現金化するという行為が「金銭の貸付」に該当するかどうか

■判旨
金銭の貸付けの定義は消費税法上にない。
民法で判断すると、(1)金銭の授受(2)返還の合意を要件とする。
今回のケースは(2)の返還の合意が認められず、役務の提供に該当すると判断された(=課税取引)。


6.会計方針の変更(出荷基準から検収基準への変更)

■過年度遡及会計基準の適用と申告調整について
会計方針の変更をした場合、会計上、遡及適用する
⇒会計上の利益剰余金期首残高をそのまま別表五(一)に反映した場合、前期の期末利益積立金額と当期の期首利益積立金額が不一致
⇒当期の期首利益積立金額を組替表示して申告調整

(設例)
・売上の計上基準を当期より出荷基準から検収基準へ変更
・前期、出荷済み+未検収の商品あり(利益10含む)

五(一)                   
利益積立金額       前期末   当期首 
売掛金(過年度遡及)             10
繰越損益金          350       340 
差引合計額          350     350

(会社処理)
なし

(税務処理)
売上利益認容10/売掛金(過年度遡及)10

(修正処理)
売上利益認容10/売掛金(過年度遡及)10

(別表調整)
別表四    減算(留保) 売上利益認容10
別表五(一)Ⅰ 減算    売掛金(過年度遡及)10


7.富裕層PTは平成29年7月から全国展開

国税庁が富裕層に対する取組みを重点課題とした、重点管理富裕層プロジェクトチームを発足。

・東京、大阪、名古屋等の国税局に設置済み。
・H29年7月以降、全国の国税局等にプロジェクトチームを拡大。
・富裕層でも多額の資産を保有している納税者を重点管理富裕層とし、関係者や関連法人を管理対象グループとして一体に管理、情報収集分析する。

既に導入されている国外財産調書や財産債務調書をもとに、未提出者に対し、「お尋ね」を送付するなどの対応を行う予定。


8.CFC税制改正の行方

・29年度税制改正で、CFC税制(外国子会社合算税制)に関する租税回避スキームの封じ込め強化と、企業要望を反映した改正が同時に行われる可能性あり

(1)出資持分を保有せずにSPCを実質的支配でCFC税制の適用を回避するスキーム封じ込め
・日本企業が、ブローカーを介して租税回避地にSPCを設立
・日本企業はSPCと資本関係をもたず、その代わり、ブローカー(SPCの出資持分を保有)との間で、日本企業が実質的にSPC事業をコントロールする旨の契約を締結
・現在は、日本企業⇔SPCの資本関係がないため、CFC税制の適用対象外

⇒改正で、実質的に支配している場合は、資本関係なくてもCFC税制の適用対象へ

(2)航空機リースがCFC税制の適用除外へ
・航空機リースは、CFC税制の適用対象とされていた
※航空機リース事業は、国内ではなくあえて租税回避地の子会社を通じて行う合理性が希薄なため

⇒大手商社や銀行グループが、実態を持って海外で航空機リース事業を展開するケースが多くなり、CFC税制の適用対象か否かは実質により判断する方向へ


9.税務の動向:タワーマンションの固定資産税

■現状
タワーマンションは上層階ほど市場価格が高騰するが、固定資産税は部屋の面積が同じであれば同額。
⇒一棟の固定資産税評価額を基に各戸の専有面積に応じ按分して算出するため

■改正案(検討中)
・高層階,中層階,低層階ごとに実際の取引価格を踏まえて固定資産税額の按分をする
・H30年以後建築のものを対象とする
・20階以上の建物を想定

■相続税評価額(タワマン節税)への影響
今回の改正案は「固定資産税の負担額」の補正のみを想定
相続税評価額の改正には言及していないため影響はない模様


10.簡易課税制度選択不適用届出書提出失念による過大納付

■概要
・平成22年度に簡易課税制度選択届出書を提出
・その後、基準期間の課税売上高が5,000万を超えたため原則課税適用が続く (選択の効果は継続)
・H26年度、クライアントが太陽光発電事業をすることとなり、税理士にも事業計画を説明
・H27年度に太陽光発電設備を取得
・確定申告により税額控除を受けようとしたが、簡易課税選択の効果が生きていたため税額控除を受けられなかった(基準期間の課税売上は5,000万以下だった)
⇒消費税の過大納付となり税理士が訴えられた。

■解説
税理士はH26年度において「簡易課税制度選択不適用届出書」を提出すべきであったにもかかわらず、その提出をしなかった(原則課税が続いていたため簡易課税を選択していたことを忘れていた)。
基準期間における課税売上高が5,000万以下であったため簡易課税が強制適用され、還付を受けることができず過大納付となった。


11.ストックオプションの税効果

・付与した会社側は、法人税法上、個人の所得税に対応して給与所得とすべき場合にのみ損金算入が認められる
・税制適格の場合、永久差異となり税効果の対象外。
・税制非適格の場合、税効果の対象。

税制非適格ストックオプション
・権利行使時点で「給与所得として課税⇒発行企業で損金OK」
⇒付与時点で一時差異が生じる
⇒DTAを計上

税制適格ストックオプション
・付与時、権利行使時に給与課税は非課税(譲渡時のみ譲渡益課税)。
・発行会社側でSO費用が損金にならない
⇒税効果の対象にならない


12.BEPS 最終報告書

・軽課税国に、実質的な経済活動を行わない、「キャッシュボックス」と呼ばれる事業体を作り、所得を蓄積する課税逃れを防止するためのフレームワークを検討。
・「リスクの負担」「無形資産の保有」「資金の提供」の3つの論点について、事業体に所得が移転することが合理的とされるための要件について論じている。
・要件を一言で言うと、「独立企業間で同じような取引が成立するかどうか」。


13.上場廃止基準(1部、2部市場)

1.主に以下に抵触すると上場廃止となる。
・株主数⇒400人未満
・流通株式数⇒2,000単位未満
・流通株式時価総額⇒5億円未満
・流通株式比率⇒5%未満
・時価総額⇒10億円未満となった場合で、9か月以内に10億円以上にならないとき
・債務超過⇒1年以内に解消すればOK
・有報等の提出遅延⇒法定提出期限の経過後1か月以内に提出しない場合
・虚偽記載又は不適正意見
・その他⇒銀行取引の停止、破産手続 ・再生手続・更生手続、完全子会社化など

2.上場廃止銘柄の例(11月)
・ノバレーゼ⇒株式等売渡請求(※)による取得
・アキュセラ・インク⇒アキュセラ・ノースアメリカ・インク(非上場)に合併
・クスリのアオキ⇒クスリのアオキホールディングスの完全子会社化
・日本合成化学工業⇒株式等売渡請求による取得
・シーエスロジネット⇒株式等売渡請求による取得
・モジュレ⇒有価証券報告書提出遅延
・サハダイヤモンド⇒株価が所要額未満

(※)株式等売渡請求

対象会社の総株主の議決権の90%以上を有する株主(特別支配株主)が、対象会社の承認を受けた上で、他の株主(少数株主)等が有する対象会社の株式等の全部を強制的に取得できる権利









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2016年10月30日日曜日

10/28 勉強会:業種別税務調査の対策ポイント 運輸・交通・通信業 他

1.公益法人に財産を贈与した場合の非課税課税制度の留意点

■非課税課税制度
・一定の法人に対する寄付について贈与税を課税しない制度
・外国法人、人格のない社団等は除外

■適用が認められない場合
・町内会や自治体への寄付(対象法人ではないため)
・自己の作品の寄付(事業所得の対象のため)
・寄付をした土地の上に建物を建設して居住(寄付者の私的利用)
など


2.顧問先の不正資金流出めぐり、税理士法人に損害賠償命じる

【事案】
会社よりA社に対する仮払金を縮小したい旨の相談を受ける
税理士法人は以下の処理を実行
【期末】未払金(×社)/仮払金(A社)⇒他社に対する未払金と相殺
【期首】仮払金(A社)/未払金(×社)⇒期首に洗替えで復活
⇒これにより資金流出を見逃し、隠ぺいに加担したと損害倍所を請求される。

【東京地裁】
税理士法人は適正な財務書類を作成する義務ありと判断。
本ケースでは義務違反あり、ただし、資金流出との因果関係なしと判断。

【東京高裁】
東京地裁同様、適正な財務書類を作成しなかった点、義務違反あり
⇒不適正な財務書類が提出されて、総会で不正の兆候を把握する機会を逸した
 加えて、税理士法人による財務書類の適正さを表明する書類あり
 義務違反との因果関係ありと判断

結論⇒総会後1ヶ月の資金流出額×2割(8割は過失相殺)を税理士法人へ損害賠償を命じた。
なお、会計操作が税額に関係しない、という言い訳は通用しなかったとのこと。


3.ディスクロージャーワーキング・グループとは?

・企業と投資家の建設的な対話促進の観点から企業の情報開示のあり方を検討する金融庁の審議会
■4/18の報告書では
・決算短信について、「経営方針」の開示を不要とすることなどを提言
・四半期決算短信の廃止は実現せず
⇒ただし今後見直しが行われる可能性が高い


4.所得拡大促進税制の適用失念に救済なし

期限内申告書に必要書類を添付していなかった原告法人が更正の請求による特別控除の適用を求めた税務訴訟

■(参考) 所得拡大促進税制の適用を受けるために必要な手続き
・雇用者給与等支給増加額及び控除を受ける金額を確定申告書等に記載
・金額の計算に関する控除明細を申告書に添付

■判決
当初申告書に控除明細の添付が無い場合、法人税額の特別控除は適用できない。


5.5年・8割雇用維持要件、見直しの可能性

事業承継税制適用の要件が平成29年度税制改正で見直される見込み

■事業承継税制の継続要件
・「5年間にわたり、雇用を平均8割維持しなければならない」という要件が達成出来ず事業承継税制の適用の見送っている企業が多い
・「5年間」要件は変わらないまま、「8割」要件が引き下げられる見込み

【参考】事業承継税制の継続要件で厳しいと回答されたものTop4
(1位)従業員数8割を5年間平均で維持すること
(2位)すべての対象株式を継続保有していること
(3位)資本金等を減少することが出来ないこと
(4位)資産管理会社に該当していないこと


6.会計方針の変更(先入先出法から総平均法への変更)

■過年度遡及会計基準の適用と申告調整について会計方針の変更をした場合、会計上、遡及適用する
⇒会計上の利益剰余金期首残高をそのまま別表五(一)に反映した場合、前期の期末利益積立金額と当期の期首利益積立金額が不一致
⇒当期の期首利益積立金額を組替表示して申告調整

(設例)
・棚卸資産の評価方法を当期から先入先出法から総平均法へ変更
・前期の評価額:先入先出法の場合 550、総平均法の場合 500
・総平均法に変更した場合、当期における棚卸資産期首残高50減少⇒売上原価50過少⇒利益50過大

五(一)                   
利益積立金額       前期末   当期首 
棚卸資産(過年度遡及)           50
繰越損益金          650     600
差引合計額          650     650

(会社処理)
なし

(税務処理)
売上原価認容 50 / 棚卸資産(過年度遡及) 50

(修正処理)
売上原価認容 50 / 棚卸資産(過年度遡及) 50

(別表調整)
別表四    減算(留保) 売上原価認容50
別表五(一)Ⅰ 減算    棚卸資産(過年度遡及)50


7.フェア・ディスクロージャー・ルール導入へ

証券の発行企業等が重要かつ未公表の内部情報を、第三者に選択的に開示することを禁止するルール
※欧米では既に導入済み

・金融庁がタスクフォースを設置し検討中。
・罰則も含め、規制を法令か証券取引所の規則で定めるのか。
・上場企業と機関投資家との建設的な対話が重要視されるなかで、導入にあたり企業が委縮することのないような制度設計にする予定


8.高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例

・高額特定資産…税抜きの取得価額が1000万円以上の固定資産&棚卸資産
・高額特定資産を取得等した事業年度後の2年間は、免税や簡易課税の適用ができない(原則課税が強制)
※H28.4.1以降に取得等した場合に適用
※ただし、H27.12.31までに締結した契約分は適用しない

(1)自己建設のケース
・原材料、経費などの課税仕入の累計が1000万円以上となった期間で、高額特定資産を取得等したとなる
・上記取得等した期間の翌期から、完成日を含む3年の期間は、原則課税が強制適用

(2)建設中に簡易課税適用期間があるケース
・建設中の簡易課税期間は、課税仕入の累計には加算しない

例)
H29年 原則 材料等600万
H30年 簡易 材料等600万
H31年 原則 材料等600万 (累計が1000万を超え、取得等したと判断)
H32年 原則強制 建物完成
H33~H34年 原則強制


9.所得税:ディスカウント債の課税関係

H28年1月1日以後の譲渡から課税関係が変更されているので注意

■ディスカウント債とは
通常よりも利率が低く、発行価額が額面金額より低く設定されており、償還時には額面で償還されるといった特徴を持った公社債。世界中で発行されている。

■課税関係
・H27年12月31日以前譲渡
⇒譲渡益は非課税、損失の場合は損益通算不可

・H28年1月1日以後譲渡
⇒譲渡益は申告分離課税、損失の場合は損益通算可


10.【法人税】非適格分割による資産調整勘定の発生の有無とその処理

■事例
 ・分割法人から、ある事業に係る資産時価10億円および負債は12億円を引き継いだ。
 ・負債の方が多いため、対価はゼロとしていた。
 ・[ゼロ円]と[10億-12億=△2億円]の差額[2億円]は会計上営業権とし、10年で償却していた。
 ・税務上は会計処理を是認しているが、問題はあるか?

■問題点
 ・差額2億円は資産調整勘定なので、税務上は5年強制償却が必要。
 ・過年度で償却不足の状態なので、更正の請求が必要。

■寄附金認定のリスク
 ・2億円が分割法人に対する寄附に該当する旨の指摘を受ける可能性がある。
 ・単なる救済ではなく、事業の対価として妥当であったことの裏付が必要。


11.無償取得事由

・特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)
・条件を満たせば譲渡制限が解除される株式
・条件を満たさない場合、株式没収
 株式没収の要件を「無償取得事由」という
・「無償取得事由」を定めることが税務上損金算入の要件
「無償取得事由」
 ・勤務条件:在籍年数等
 ・業績条件:中長期的な業績目標の達成等


12.種類株式の税務上の評価

1. 種類株式が上場しているケース
⇒通常の上場株式と同様に評価
※普通株式とは異なる銘柄の株式として取り扱う

2. 種類株式が非上場のケース
国税は、非上場株式の原則的な評価方法として、下記の方法を示している。
・類似会社比準方式(財基通183)
・純資産価額方式 (財基通185)

上記の原則的な評価方法を基に、種類株式の内容に応じて、下記のように評価を行う。

(1)配当優先株式
・類似業種比準方式を用いて評価する場合
⇒配当優先の影響を評価の際に考慮する。
※計算要素の一つである「一株当たり配当金額」にて、配当優先の影響を反映
・純資産価額方式を用いて評価する場合
⇒配当優先の影響を評価の際に考慮しない。

(2)無議決権株式
⇒原則として、議決権の有無は考慮しない。
⇒ただし、同族株主が相続、遺贈する場合には、納税者の選択により下記の方法で評価可
・議決権株式 …  原則的な評価方法の105%
・無議決権株式 … 原則的な評価方法の95%
※議決権の有無で株式の価値に差が生じると考えられるため。

(3)社債類似株式
⇒利付公社債と同様に評価(財基通197)

(4)拒否権付株式
⇒通常の普通株式と同様に評価


13.業種別税務調査の対策ポイント 運輸・交通・通信業

■資本的支出の調査
固定資産の保守関連費用⇒異常に増加⇒資本的支出に該当するものがないか確認が入念になされる

■貯蔵品の調査
保守費用に関連して調達した部品等で未使用なものは貯蔵品として資産計上する必要あり

■営業所の調査
・運送収入関係、原価関係
・人件費
・事故費

■運輸・交通・通信業によくみられる指摘事項の例
・完了していない修繕工事費用の繰上計上
⇒税務調査対策よりも営業所、部門のために費用化(予算消化)を急ぐインセンティブあり
⇒内部統制の整備⇒無理な予算消化をしなくても担当者の責任にならないような体制に。
・貯蔵品の除外


14.親会社が過年度に減損した土地を子会社に譲渡した場合の税効果

(前提条件)
・P社の取得価額100
・過年度減損額△20(税務上否認)
⇒会計上の簿価80、税務上の簿価100
・S社への譲渡価額110
 ⇒会計上の売却益30、税務上の売却益10(課税関係完了)
・法定実効税率30%

■グループ法人税制適用なし
(連結仕訳)
固定資産売却益30/土地30

税効果①:課税関係が完了している一時差異について税効果(10×30%)
DTA3/法調3

税効果②:課税関係が完了していない一時差異について税効果(20×30%)
DTA6/法調6

■グループ法人税制適用あり
(P社単体仕訳)
現金預金 110 / 土地80
          / 固定資産売却益30

税効果①:課税関係が完了している一時差異について税効果(10×30%)
法調 3 / DTL 3

(連結仕訳)
固定資産売却益 30 / 土地 30

税効果②:個別上計上した税効果を消去
DTL 3 / 法調 3

税効果③:課税関係が完了していない一時差異について税効果(20×30%)
DTA 6 / 法調 6


15.機関設計ごとの監督体制

■指名委員会等設置会社における監督体制
(1)取締役会
・業務執行の監督機関
※取締役は業務執行×、執行役が業務執行をする
※ただし執行役と取締役の兼務◯(監査委員にはなれない)
(2)職務執行の監督
・執行役の監督は取締役会+各委員会

■監査役設置会社における監督体制
(1)取締役会
・重要な業務執行の決定を取締役に委任
(2) 職務執行の監督
・監査役の監査→業務執行の適法性
・取締役会の監督→業務執行の妥当性
※監査役設置会社における取締役会は業務の執行と監督をするため、モニタリング方にはなじまない


16.種類株式の会社法上の基本ポイント

■種類株式(9種類、各種説明は省略)
剰余金配当※、残余財産分配※、議決権※、譲渡制限、取得請求
権、
取得条項、全部取得条項、拒否権、取締役・監査役選解任
※非公開会社:株主ごとに異なる取扱いを認める属人的定めOK

■手続
①定款変更
総会特別決議(+種類総会決議)
場合によっては株主全員同意

②種類株式の発行
非公開会社:総会特別決議
公開会社:総会特別決議(有利発行)、取締役会に委任可(非有利発行)
※実務上は全て総会特別決議を経ることが多い

③反対株主の株式買取請求
譲渡制限、全取得条項の場合のみ
予め反対の意思表示+実際に総会で反対


17.(相続税)取引相場のない株式の評価

相続開始「直後」の決算書を評価に使えるか?

(純資産価額方式の場合)→使える。
・原則は、相続開始時点で仮決算。
・ただし、直前期決算から、著しい変動がないことを前提に直前期決算を使える。
・時期が近い等の理由から、相続開始「直後」の決算書も使える。

(類似業種批准方式の場合)→使えない。
・直前の決算書を使うことが原則。
・国税庁が毎年6月に発表している「比準要素」は、過年度の決算書を基に計算されているため。
・相続開始「直後」の決算書を利用することは、意図的な操作となりうる。


18.従業員持株会

1.概要
・従業員から会員を募り、給与から天引きされた拠出金によって株式を共同購入
・会員の拠出額に応じて持分を配分

2.運営上の留意点
(1)設立時期
株価が低い上場準備の初期段階で設立することが有利

(2)運営方式
多くは証券会社に委託(組合方式)

(3)会員の範囲
自社従業員○、子会社(50%超保有)従業員○
関連会社×、役員×

(4)株式の割当て
上場前は、既存株主からの移動、第三者割当増資などの資本政策を考慮し、計画的に行う必要がある。

(5)非弾力性
ストックオプションのような個人の貢献度に応じた弾力的な調整ができない。

(6)金商法との関連
株主数を一人株主とするため、以下の要件が必要。
・株主名簿に持株会の理事長名義で登録
・議決権行使は持株会の理事長が行使
・配当金は持株会でプールし、株式購入資金として再投資する仕組みとする。

(7)株価
一般的に、未上場会社の従業員持株会での株式移動価格は、配当還元価額方式あるいは他の方式との併用による低廉な株価を採用。

2.関係会社管理の具体的方法
(1)関係会社管理部署の明確化
特定の部署にて一元的に管理する方法がある。
ただし他の各部署のサポートを受けていく必要はあり。
関係会社の重要性の度合いに応じて決定。
申請会社の内部監査の対象に関係会社を含めることも重要。

(2)関係会社管理規程の作成
規程には、関係会社の範囲、管理責任者の権限と責任の範囲、申請会社の承認事項および申請会社への報告事項等を定める。
月次ごとに報告書を入手し、適切にフォローできる体制を確立する必要がある。

・承認事項
中長期計画
年度予算
重要な契約・取引など

・報告事項
月次BS,PL(予実対比)
月次資金繰り表(予実対比)
年度決算書

税務申告書など









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