2016年11月13日日曜日

11/11 勉強会:スキャナ保存制度 他

1.マイナンバーの提供が受けられない場合

■報酬にかかる支払調書
⇒年5万円を超える場合には提出が必要
⇒マイナンバーの記載が必要

■マイナンバーの提供が受けられない場合
⇒提供を求めた経過等を記録、保存すればよい
⇒会社側の過度な事務負担にならない範囲でよいとされる
※明確な規定がないため弾力的な取扱いになるものと思われる

2.課税事業者選択届出書提出失念による過大納付

■概要
・平成26年に新規クライアント(1期目、資本金100万、12月決算)と契約
・設立初年度より課税事業者を選択するため年末に電子申告により手続きをしようとした
・しかし、e-taxが停止中であったため、再開された平成2715日に送信した
・税務署より15日の送信は無効(期限切れ)であるとして不受理となった
⇒還付を受けることができず訴えられた

■解説
年末においてe-taxが停止中であったとしても提出期限は延長されない
⇒停止中の場合は紙ベースで提出すること


3.持株会社体制移行による相続税対策の否認リスク

■自社株対策否認の判断基準(取引相場のない株式が前提)
・財産評価基本通達通6項では、「著しく不適当」な評価の場合には国税庁長官による評価となる
⇒裁判例等からの判断基準
 (1)評価通達を形式的に適用することの合理性が欠如
 (2)他の合理的な時価が存在する
 (3)評価通達と他の合理的な時価に大きな差がある
 (4)納税者の行為が(3)に関連する
(例えば)
・持株会社を設立し、類似業種比準価額方式で評価している
(3)に該当するケースがあり、否認リスクを招く

■国税庁の対応
全国国税局長へ、評価方法に疑義のある事案については、評基通6項の適用を含めた上で検討するように指示している


4.顧客関連の無形資産

IFRSでは識別可能な場合には、M&A等の企業結合時に「顧客との関係」や「顧客関連資産」等の無形資産を計上する。
・資産計上後はその効果の及ぶ期間に渡って償却する
IFRSではのれんは非償却なので、可能な限り無形資産を識別する
・ソフトバンクグループがスプリントを買収したケースでは認識した無形資産簿価は5.3兆円
・約7,000億円が「顧客基盤」。
・償却方法は定額法ではなく級数法。解約数で償却。


5.真正DESと疑似DESの税務上の違い

1. 真正DESと疑似DES
(1) 真正DES
⇒債権を現物出資
(2) 疑似DES
⇒第三者割当で増資後、会社はその資金で債務を弁済

2.税務上の取扱
(1) 真正DES
⇒適正な譲渡価額(時価)と債権の価額との差額が譲渡損
※譲渡価額が適正でない場合は、寄付金課税される可能性あり
※適格現物出資の場合は、債権の価額が譲渡価額となるため譲渡損は発生しない
(2) 疑似DES
⇒課税関係は生じない


6.私的整理の税務上の留意点

■民事再生と同様の税務上の特例が認められる一定の要件を満たした私的整理
・要件
(1) 一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則※にしたがって再生計画が策定されていること
(2) 公正な価額による資産評定が行われ、その資産評定に基づく実態BSが作成されていること
(3) (2)の実態BSに基づく債務超過の状況等により債務免除等をする金額が定められていること
(4) 2以上の金融機関が債務免除等をすることが定められていること(政府関係金融機関等は単独法規でも可)

※一般に公表された債務処理を行うための手続についての準則
私的整理に関するガイドラインに基づくもの
中小企業再生支援協議会および中小企業再生支援全国本部の中小企業再生スキーム、RCC企業再生スキームに基づくもの
特定認証紛争解決手続に基づくもの
地域経済活性化支援機構の支援するもの

・債権者側の課税関係
貸倒損失の計上が可能

・債務者側の課税関係
債務免除益が生ずる<問題>
資産評定に基づく資産の評価損益の計上が可能
債務免除等を受けた場合は期限切れ欠損金も損金算入が可能

・債務者側における損益の相殺順
(1) 資産の評価損益を相殺
(2) 債務免除益と(1)の残額を相殺
(3) 期限切れ繰越欠損金と(2)の残額を相殺
(4) 青色欠損金と(3)の残額を相殺
※資産の評価損益がない場合は(3)(4)の順序が逆転<問題>
(4)(3)の順だと、翌年度に課税所得が発生した場合に即納税が発生してしまう


7.外貨換算で内部取引消去額が一致しない場合の留意点

■在外子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行う場合
(連結決算日と在外子会社の決算日の差異は3ヶ月超えない)
B/S項目の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒その他流動資産又は流動負債
P/L項目の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒為替差損益

■在外子会社が親会社等に対して債権を有し、貸引を設定している場合
・債権債務残高の相殺に伴う貸引と貸引繰入の減額修正額の差異
⇒為調

■親会社等と在外子会社間で前渡金又は前受金が発生している場合
・前渡金と前受金の相殺に伴い発生する相殺消去額の差異
⇒その他流動資産又は流動負債


8.スキャナ保存制度

■平成27年度税制改正
(1)保存対象書類の金額基準の撤廃
・記載金額3万円未満に限定が撤廃
(2)スキャナ保存の要件の緩和
・電子署名を不要
・ただし電子データの改ざんを防ぐため、タイムスタンプは付す必要あり

■平成28年度税制改正
(1)スマホ画像使用可能
(2)小規模企業者の特例の創設
・経理担当者の内容確認不要で、税理士等が事後検査でOK

■申請時期
・申請書の受付は平成28年改正の受付は930日から
・申請書は電子データの保存を開始する3ヶ月前の日までに提出


9.仮想通貨の会計上の取扱い

■論点
・現在600種類以上、日本ではH28.5から改正法施行による規制
・仮想通貨を想定した会計基準はなく、どれを適用すべきか?

※改正法上における仮想通貨の定義(一部略)
1号通貨:単独で支払手段として流通させられる財産的価値
2号通貨:1号通貨と相互に交換が可能な財産的価値

■適用が考えられる会計基準
①金融商品基準?
NO(金融商品の定義(現金or権利)に含まれない)
※現金:法定通貨建が前提

②棚卸資産基準?
⇒可能性あり(トレーディング目的の棚卸資産)
・「取得後に加工や販売努力なく、時価変動により利益を得る」目的に該当
・時価評価+売上高総額表示+約定日基準
※トレーディング目的に区分する会社は現状限定的

■新基準設定に向けた動き
・設定を望む声はあるものの、具体的にはまだ
⇒性質を一意に決めにくいため、既存の資産の概念には当てはめられないか
⇒金融投資or非金融投資の観点から検討するのが必要か


10.DCF法の特徴

DCF法には以下のような特徴がある。
1.企業が事業活動から生み出すキャッシュフローの現在価値から、企業価値を求める。
  株主価値を求める場合には、そこから有利子負債の残高を差し引く。
2.有利子負債の金利から発生する節税効果の価値は、キャッシュフローに加算するのではなく、割引率(WACC)の減算で、算定結果に反映させる。
3.資本構成比率については、算定期間中の長期に亘って一定という仮定を置くことが多い。


11.市場変更基準(マザーズから一部、二部)

1.マザーズ⇒一部
主に以下の(A)又は(B)に適合すること。
A
・株主数:2,200人以上
・流通株式:数⇒2万単位以上、かつ時価総額⇒20億円以上、かつ比率⇒35%以上
・時価総額⇒40億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近5年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、直近5年間「無限定適正」または「除外事項を付した限定付適正」

B
・株主数:2,200人以上
・流通株式:数⇒2万単位以上、かつ時価総額⇒10億円以上、かつ比率⇒35%以上
・時価総額⇒250億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、過去2年間(直近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」、直近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」

2.マザーズ⇒二部
・株主数:800人以上
・流通株式:数⇒4,000単位以上、かつ時価総額⇒10億円以上、かつ比率⇒30%以上
・時価総額⇒20億円以上
・純資産額⇒(連結)10億円以上、かつ、単体純資産の額がマイナスでないこと
・利益の額⇒直近2年間の利益の額の総額が5億円以上
・虚偽記載又は不適正意見等⇒直近2年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし、過去2年間(直近1年間を除く)の財務諸表等の監査意見が「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」、直近1年間の財務諸表等の監査意見が原則として「無限定適正」

3.市場変更銘柄(10月、11月)
・ファーストブラザーズ(株):マザーズ⇒一部
・BEENOS(株):マザーズ⇒一部
・(株)ビューティ花壇:マザーズ⇒二部
・日本社宅サービス(株):マザーズ⇒二部
・アウンコンサルティング(株):マザーズ⇒二部
・(株)パシフィックネット:マザーズ⇒二部









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