1.訴訟で株主の地位確定も役員報酬は損金算入できず
・確定申告後に、訴訟等の結果により確定した決算が誤りだったことが明らかな場合
⇒更正の請求ができる
2.受取配当金益金不算入規定はこう変わる!
■27年税制改正
・現行制度(持分比率=益金不算入額)
100%=受取配当金の全額
25%以上100%未満=受取配当額-配当を受ける株式に係る負債利子額
25%未満=(受取配当額-配当を受ける株式に係る負債利子額)×50%
・27年改正後
100%=受取配当金の全額
33.3%以上100%未満=受取配当額-配当を受ける株式に係る負債利子額
5%以上33.3%未満=受取配当額×50%
5%未満=受取配当額×20%
※参考
株式投資信託の収益分配額は、全額益金算入となる。
3.税理士の妻が役員兼務で給与経費を否認
■概要
税理士が妻に支払った給与が、事業所得の必要経費に出来るか否かで争われた事例
■論点
妻が「青色事業専従者」に該当するかどうか
⇒審判所は「青色事業専従者」には該当しないと判断
■青色事業専従者
⇒該当する人への給料は事業所得の必要経費に出来る
⇒条件
・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
・専ら従事する期間が年間通じて6ヶ月以上
・他の職業に従事する期間が短い者
■「青色事業専従者」に該当しなかった理由
⇒「他の職業に従事する期間」にひっかかったため
・税理士と妻が役員の不動産管理業務の法人があった
・そこで役員として妻が業務の指揮監督を行っていた
・法人の従事する期間が短くとも、役員として常に業務を行う立場にある
4.会計基準選択の"採用理由"までを求めず
東証が平成27年3月期より、上場企業に対して
「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の開示を要請
⇒平成27年3月31日以後に終了する年度決算に係る決算短信から適用され、早期適用も可能
(1)IFRSの適用を検討している場合、検討状況や適用時期を記載
(2)現在、日本基準を採用し、今後も日本基準を利用する場合はその旨を開示すれば足り、日本基準を採用している理由の開示までは求められない。
5.平成27年度税制改正、実現するもの&見送られるもの~住宅資金贈与の非課税枠、大幅拡大へ~
■実現するもの
(1)消費税の軽減税率(適用は10%増税時)
(2)繰越欠損金の控除限度割合の縮小
(3)受取配当金の益金不算入における不算入割合の持分比率の見直し
(4)NISAの拡充
・非課税投資枠を年間100万円⇒120万円へ増額
・さらに0歳~19歳に年間80万円までの非課税投資枠を新設
(5)住宅取得等資金等の贈与税の非課税措置
・非課税枠を最大1,000万円からどこまで増額するか
(6)発泡酒に対する課税強化
■実現しないもの
(1)地方法人特別税の縮減
(2)地方特別法人税の拡充
(3)自動車取得税の廃止等
(4)中小法人改革(平成29年度税制改正で実施予定)
・中小法人の範囲、軽減税率の見直し、外形標準課税の対象拡大等
6.一定資産の内部取引価格は帳簿価額に~税務当局、PE経由による譲渡損益調整を懸念
【国際課税の現状】
・総額主義
・法人税の課税対象は、
-外国法人の日本支店(PE)の国内事業所得
-PEに帰属しない国内源泉所得
【改正】(平成28年4月1日以後開始事業年度から適用)
・帰属主義
・外国法人の本店とPEは別法人とみなす
・本店とPEとの内部取引は時価で行ったものとみなす
【改正後の問題点】
・不動産などの一定資産(現状、『PEに帰属しない国内源泉所得』を生じる資産)について、課税逃れの懸念あり。
(例)
・外国法人が、本店に帰属する国内不動産(帳簿価額80、時価100)を譲渡
⇒第三者へ譲渡した場合、譲渡益20(国内源泉所得)に対して課税
⇒日本PE経由で譲渡した場合、
-本店側では内部取引(国内源泉所得でない)ため、課税発生せず
-PE側では、時価100で本店から取得したものを時価100で第三者に譲渡したことになり、課税発生せず
・上記懸念を解消するために、一定資産の内部取引については帳簿価額で行われたものとする改正が予定(H27年度改正)
(上記例に適用した場合)
・PE側では、帳簿価額80で本店から取得したものを時価100で第三者に譲渡したことになり、譲渡益20に課税される
7.PFI事業の更新投資に係る取扱い(国税庁回答事例)
(PFI事業)
「PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティ
ブ)」とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して行う手法
■概要
・国が所有権を有する空港
・民間業者が運営権を取得
・空港施設の修理・改修・増設等(更新投資)は民間業者が行う
■照会内容
上記「更新投資」に係る支出の法人税法上の取り扱いはどうなるか
■国税庁回答
繰延資産として運営権設定対象期間×7/10で償却
(公共的施設の設置又は改良に係る費用で支出の効果が1年以上に及ぶ)
(検討)
×運営権の取得価額⇒既設の運営権に基づき支出するものであるため
×有形固定資産の所得価額⇒施設の所有権は国に帰属するため
×寄付金⇔契約に基づく維持管理義務の履行のための支出であるため
よって、運営権者の「費用」となる。
8.所得税:マイカー通勤手当の引上げと差額の追加支給
マイカー通勤者等に支給される通勤手当の非課税限度額を引き上げる改正があり、この改正はH26.4.1以後に受け取るべき通勤費に遡及適用される。
・マイカー通勤手当の支給額を税務上の非課税限度額に合わせていた会社が、
・この改正に対応して社内規定を改定してマイカー通勤手当の引き上げをH26.4.1に遡及して実施し、
・その増額分を一括して支給した場合
⇒一括して支給されるマイカー通勤手当の増額差額分についても、非課税の取り扱いが適用される。
・その一括支給がH27.1.1(翌年)以降にズレ込んだ場合には、
⇒年内に支給された場合と同様に、非課税の取り扱いが適用される。
■理由
一括して支給される増額分は遡及される社内規程に基づけば、【H26.4.1以後に受け取るべき通勤費】に該当するため。と思われる。
9.2014年のIPOは80社
・昨年よりも22社増加
・業種別では情報・通信業がトップ(全体の3割)
・市場別ではマザーズが5割超
・監査法人:トーマツが30社で最多、あずさ22社、新日本18社
・すかいらーくはIFRS任意適用会社による初のIPO事例となった
10.組織再編時の連結キャッシュフロー計算書
1.表示区分
(1) 組織再編時にCFを伴う
⇒ 投資CF
※具体例
・株式を取得して連結子会社化
・現金を対価とする事業譲渡、事業譲受
(2) 組織再編時にCFを伴わない
⇒ 現金及び現金同等物の期首残高に加算・減算
※具体例
・重要性が増して連結の範囲に含める
・現金を対価としない合併
2.実務上の留意点(間接法採用の場合)
期首と期末の連結BSの差額だと、営業CFなどに、組織再編のCFが含まれてしまう
⇒ 調整が必要
【調整方法】
(1) 期首又は期末の連結BS残高を調整
(2) 連結キャッシュフロー仕訳による調整
11.役員への利益連動型給与を損金算入できる条件の主なもの
(1) 対象法人 … 非同族の上場企業
(2) 支給対象者 … 業務執行役員
※社外取締役や監査役は対象外
(3) 算定方法 … 客観的な算定方法であり、具体的な上限額を設けること
12.税理士視点でみる会社法改正の概要と実務対応
■今回の会社法改正の全体像
・ガバナンス関係の改正
社外役員の要件や規律、監査等委員会設置会社の創設等
・親子会社関係の改正
・親子会社関係の改正
企業集団の業務適正化、特別支配株主の株式等売渡請求等
・その他のバグ取り改正
・その他のバグ取り改正
監査役の監査範囲に関する登記等
■トピック
・株式買取請求に係る株式等の買取の効力が生ずる時期
⇒組織再編成の効力発生日に統一
・特別支配株主の株式等売渡請求
⇒大株主が、お金を払って少数株主から株式を取り上げる制度が創設された
・株式の併合により端数となる株式の買取請求
⇒買取請求の制度が創設された
・子会社株式の譲渡時手続
⇒特別決議を要するものとされた(ただし、重要性基準と持株基準あり)
・監査役の監査の範囲に関する登記
⇒会計監査限定の監査役は、会計監査限定の旨の登記が必要となった
13.M&A最終契約書のコベナンツ(契約条項)の例(一部)
・事業運営
取引実行前に通常の業務の範囲を超える行為を行う場合、買主の承諾を必要とする。 (新株発行、重要な契約の締結変更終了など)
・前提条件の充足
取引実行の前提条件を充足する努力をする旨の誓約
・情報提供
売主が買主に必要な情報を提供する旨の誓約
14.業績目標連動型ストック・オプションについて
(1)内容
営業利益等の業績指標が一定の目標を超えた場合に行使可能となるような条件を設定し、経営者や従業員のインセンティブを、より直接的に企業の業績とリンクさせることが出来る制度。
(2)メリット
・税制適格SOと同様、行使時ではなく売却時課税である(売却時のキャッシュを原資に納税出来る)
・有償発行が多いが、企業にとっては費用計上がない
(3)デメリット
・目標が高すぎると権利行使できない
・有償が多いため、権利行使できない場合は対価が無駄になる
(4)業績達成条件の事例(2013年)
・会計上の利益(営業利益、経常利益、EBITDA、税前利益)…53%
・会計情報と株価…23%
・株価条件…12%
・複数の会計情報の組み合わせ(利益と売上、売上と有利子負債)…9%
・その他…3%
15.使える補助金・助成金vol.12「新製品・新技術開発助成事業」
※東京都限定
・(対象者)
東京都内で創業または創業予定または東京都で事業を営んで1年以上
・(要件)
新製品、新技術を開発したこと
※なお、自社開発だけでなく、他社に委託してもOK
・(補助内容)
事業にかかる経費を補助
(ソフトウェア開発の場合のみ、人件費も補助対象に)
・(金額)1/2以内 上限1,500万円
・(募集期間)1月中旬~5月中旬
・(採択数)平成26年度 採択58件(エントリー数不明)
・(採択事例)
中小企業と求職者の最適マッチング化を実現、骨盤歪みを矯正し腰痛を予防する装置の開発など
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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