2016年12月24日土曜日

12/22 勉強会:平成29年度税制改正:配偶者控除の見直し 他

1.改正CFC税制の全貌

CFC税制とは
・外国子会社合算税制のこと(タックス・ヘイブン税制)
・現在:特定外国子会社等が軽課税国(20%未満)に所在する場合に適用

・平成29年度税制改正で見直し
 外国関係会社を経済活動基準に照らし、
(1)すべての基準を満たし、かつ、税負担割合が20%未満の場合
⇒受動的所得が合算対象とされる
(2)いずれかの基準が満たされず、かつ、税負担割合が20%未満の場合
⇒会社単位で全所得について合算対象とされる

・現行制度との違い
(1)現行制度はまず税負担割合が20%未満か以上かを基準としていた
⇒税負担割合が20%以上の場合実態がなくても合算されない
(2)見直しでは、経済活動があるかないかを最初の基準としている
⇒税負担割合が20%未満でも実態があるものについては合算されない


2.自己創設のれんの時価評価が不要に

・従来、自己創設のれんの評価方法は通達等で明確になっていなかった
(平成29年度税制改正)
⇒連結グループへの加入等に伴う資産の時価評価の対象から、帳簿価額が1,000万円未満」の資産が除外
⇒税制改正大綱に明記はないが、そもそも簿価が存在しない自己創設のれんは時価評価の対象外に

これによって連結納税制度導入を後押しする可能性がある。


3.平成29年度税制改正:配偶者控除の見直し

■居住者自身の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除の適用なし

■居住者の合計所得金額と控除金額:
合計所得金額900万円以下
⇒配偶者控除38万円/老人配偶者()控除48万円
合計所得金額900万円超950万円以下
⇒配偶者控除26万円/老人配偶者控除32万円
合計所得金額950万円超1,000万円以下
⇒配偶者控除13万円/老人配偶者控除16万円

※老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年1231日現在の年齢が70歳以上の方


4.積立NISAは現行制度との選択制で平成301月に導入

原稿のNISAに加え、積立NISAが平成301月より導入

■積立NISAの概要
・年間投資上限40万円⇔(現行NISA120万円)
・非課税保有期間20年間⇔(現行NISA5)
・投資可能期間20年間⇔(現行NISA10)

また、長期投資に適した一定の投資信託を想定している
※具体的な話は今後検討されていく

■注意点
・現行NISAと選択制となる
・暦年単位で切替えは可能


5.業績連動の退職給与は損金算入に制限

■平成29年度税制改正で役員給与税制に大幅な見直し
⇒課税緩和・強化いずれもあり

■課税緩和:平成2941日以後の付与決議等から適用
(1)利益連動給与の指標
・株価及び売上高を追加
※売上高のみを指標とした場合、損金不算入
(損金算入するには、利益や株価と併用する必要あり)
・指標が対象とする年度:単年度⇒複数年度
上記改正により、役員在任時の「信託型株式報酬」は利益連動給与として損金算入可

■課税強化:平成29101日以後の付与決議等から適用
(1)業績に連動する退職給与
・利益連動給与に該当するもののみ、損金算入可
(2)新株予約権
・事前確定給与又は利益連動給与に該当するもののみ、損金算入可
※改正前:税制非適格であれば、損金算入可
(3)譲渡制限付株式報酬
・没収要件が「利益その他の指標」を基礎としているものは事前確定届出給与から除外


6.固定資産税の軽減、平成313月で終了

■固定資産税の軽減の特例措置とは(H28年度税制改正)
H28.7.1H31.3.31までに機械装置(1:160万円以上)を取得。
・販売開始後10年以内の資産。
・旧モデル比で年平均1%以上向上している
・固定資産税を3年間、2分の1に軽減
※中小企業者に限定

H29年度税制(H29.4.1施行)
・適用期限はH31.3.31で終了(延長なし)
・地域や業種を限定した上で、
新たに器具備品、建物附属設備が追加対象(償却資産の課税対象に限る)

■まとめ
(1)機械装置
⇒地域・業種に問わず軽減の対象
(2)器具備品、建物附属設備等
・最低賃金(H28年度823)が全国平均未満の地域((2)以外の地域))
⇒全業種の上記資産が軽減の対象
・最低賃金が全国平均以上の地域(東京、大阪等の主要都市)
⇒労働生産性が全国平均未満の業種の上記資産のみ軽減の対象
主に飲食料品の小売業、飲食店、宿泊業、自動車整備などの業種


7.平成29年度税制改正 法人課税

(1)競争力強化のための研究開発税制等の見直し
・税額控除率の計算基準を変更(試験研究費割合⇒試験研究費の増減割合へ)
※研究投資を増加させる企業にメリットあり

(2)賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し
・平均給与が前年度より2%以上増加した場合、上乗せ控除が可能に
今までの控除額:24年度からの増加額×10%
+上乗せ控除額:前年度からの増加額×12%
※毎年給与を上げる会社にメリットあり

(3)コーポレートガバナンス改革
・会計監査人を置いている会社で、期末後3か月以内に定時総会を開催できない常況にある場合
⇒延長手続きを取ることで確定申告書の提出期限を期末後4か月以内とすることが可能に
(現在は、最大3か月しか延長できない)

(4)中堅・中小事業者支援
・中小企業経営強化税制が創設
⇒経営力向上計画の認定を受けると、
特定の設備について即時償却等の優遇措置が受けられるように


8.NPO法人が行う障害福祉サービスの課税関係

■公益法人等が行う事業
収益事業に該当する場合のみ課税される
⇒法人税法上34種の事業を「収益事業」として規定

■障害福祉サービス(医療保険業)の課税関係
NPO法人が行う場合
34種の収益事業のうち「医療保険業」に該当する
⇒課税される

②社会福祉法人(公益法人に該当)が行う場合
34種の収益事業のうち「医療保険業」に該当する。
ただし、法令上、「社会福祉法人」が行う医療保険業は法人税法上の収益事業に該当しないこととされている。
⇒課税されない

(まとめ)
障害福祉サービスはその事業を行う法人について種類が限定されていないが、社会福祉法人が行う場合には課税されず、NPO法人が行う場合には課税されることに留意する。


9.平成29年度税制改正のポイント〈2〉資産課税関係

■取引相場のない株式の評価の見直し
・類似業種の株価に「課税時期の属する月以前2年間平均」を追加
・類似業種の比準要素に連結決算を反映して株価表作成へ(今までは単体ベース)
・比準要素の比重
 配当:利益:簿価純
(現行)131⇒(H29より)111
・「大会社」と「中会社」の範囲を拡大⇒内容は現在検討中
・株特はずしに制限、判定基準に「新株予約権付社債」を追加


10.オンラインゲームと収益認識

①ゲーム内でのみ利用可能な通貨の購入
②引き換えにアイテム入手
③アイテム使用
⇒どの時点で売上計上するか。

・日本では①や②での売上計上が多い。
・アイテムが使用された時点で役務提供が完了したと捉え、③とする考え方もある。
⇒実務負担重い。使用するとすぐ無くなる「薬草」のような消耗性アイテムならわかりやすいが、「剣」のように半永久的に所持・利用できるものはどの時点で役務提供完了とするか?が悩ましい。
 そしてそれをユーザーごとに把握することは非常に困難で負荷が重い。


11.取引参加者の概要

東京証券取引所、または大阪取引所で有価証券の売買取引等を直接行うことができる、金融商品取引業者(証券会社)、取引所取引許可業者及び登録金融機関(銀行等)
取引参加者となるためには、取引資格の取得の申請を行い、承認を受ける必要がある。

・取引参加者の種類
1.総合取引参加者
東京証券取引所が開設する取引所金融商品市場で、有価証券の売買を行うことのできる取引参加者

2.先物取引等取引参加者
大阪取引所が開設する取引所金融商品市場で、国債証券先物取引、指数先物取引、有価証券オプション取引、国債証券先物オプション取引、指数オプション取引を行うことのできる取引参加者

3.国債先物(※)等取引参加者
大阪取引所が開設する取引所金融商品市場で、国債証券先物取引及び国債証券先物オプション取引を行うことのできる取引参加者

(※)実際に発行されている日本国債ではなく、国債の「標準物」を取引対象とした先物取引
標準物とは、取引円滑化のため証券取引所がクーポンレート(利率)、償還期限などを標準化し、設定したもので、実在しないため、最終決済では受渡適格銘柄と呼ばれる国債の授受が行われる。


取引範囲は、23









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