2017年2月10日金曜日

2/10 勉強会:中小企業経営強化税制のポイントを確認 他

1.株主リストに関するよくある質問

Q:株主リストは誰が作成するか。
A:原則として、登記所に印鑑を提出している代表者

Q:株主名簿を登記の申請書に添付すれば、株主リストの添付は不要ですか。
A:株主リストの添付が必要です。株主名簿と株主リストでは記載内容(例:議決権数等)が異なるため。

Q:上位10名の株主を記載する場合において、10位の株主が複数いる場合、何名の株主を記載するか。
A10位の株主を全て記載する必要がある。

Q:株主が法人の場合、住所欄はどのように記載するか。
A:本店所在地を記載する。


2.税理士以外の者の届出書提出助言義務求めず

A社は、税理士法人でないB社に会計業務を委託
A社は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出していれば消費税の還付を受けられた
B社は、届出書を提出しておらず、A社は還付を受けられなかった
A社は、消費税に関する助言義務を怠ったとしてB社を訴えた
・裁判所は、税理士法人ではないB社には会計業務以外の義務はないと判断、B社が勝訴


3.平成304月から査察監査が変わる!

国税犯則調査が平成29年度改正で各手続きが見直される。

(1)サーバのメールやクラウド保管の電子ファイルの差押え可能に
・現状、外部プロバイダのサーバは裁判所からの許可状が必要
・その間にサーバからもデータを削除されてしまう恐れがあったため

(2)強制調査の夜間執行が可能に
・現状、日没~日の出までは強制調査が出来ない
・夜間の間に証拠隠滅を図られてしまう事態が生じていたため

(3)酒税や揮発油税は重加算税の対象に
・上記の申告納税方式の国税に対して通告処分対象から除外
・過少申告や無申告に基づく重加算税の対象となる

※通告処分
・罰金制度のようなもの
・処罰ではなく行政処分のため、「前科」はつかない


4.マイナス金利の会計、来年3月期以降も

・企業会計基準委員会がマイナス金利に関する実務対応報告案を公表

・適用時期
平成29331日以後終了する事業年度から平成30330日に終了する事業年度まで
※以降の取り扱いは、引き続き、検討を予定しているが、継続の可能性もあり

『スチュワードシップ・コードを改訂へ』
・スチュワードシップ・コード
機関投資家のあるべき姿を規定したガイダンス

・改訂:個別の議決権行使結果について
前:アセットオーナー(年金基金や保険会社等)への開示のみでOK
後:原則として、一般に対しても公表


5.現金支給の株式交付信託は利益連動給与

大企業が役員向けに導入している株式交付信託(信託型報酬信託)は、「利益連動給与」または「事前確定届出給与」のどちらに該当するか。

株式交付信託はポイントに応じて株式が付与される。
ポイントは株式を付与されるまでの期間における業績や株価によって変動。
変動するもの⇒「利益連動給与」
変動しないもの⇒「事前確定届出給与」

ただし、変動しないケースであっても、報酬が現金で支給され、損金要件を満たす場合は「利益連動給与」に該当。
H29年度税制改正で「事前確定届出給与」の要件に、「所定の時期に確定した数の株式を交付する給与」が盛り込まれたが、現金で支給される株式交付信託は該当しないと考えられるため。


6.最高裁:節税目的の養子縁組に有効の判断

■概要
・被相続人Aの子であるBは、節税目的のためその子CAの養子とする手続きを行った
・同じく被相続人Aの子であるDはこの養子縁組は「当事者間に縁組をする意思がない」場合に該当し、無効であると訴えた
・最高裁は「相続税の節税の動機と縁組をする意思は併存し得るもの」であり、直ちに「当事者間に縁組をする意志がない」とは言えないとし、Dの訴えを却下した
 
■解説
(1)民法上:節税を目的とした養子縁組は合法
(2)相続税法上:節税目的での養子縁組が行いやすくなったとは言える。
但し、「不当に相続税額を減少させるための行為」とされる場合には否認(=養子はいないものとされる)の可能性がある
 ※過去に否認されたケースはない


7.中小企業経営強化税制のポイントを確認

■事業者の要件
・青色申告
・中小企業者等
・経営力向上計画の認定を受けている

■取得資産の要件
H29/4/1からH31/3/31までに取得等し、国内にあるその法人の指定事業の用に供する
・生産等設備を構成する機械装置、工具器具備品、建附及びソフトウエア
※医療機器は除外予定
・特定経営力向上設備等に該当し、一定規模以上(金額基準)

■税制優遇措置
・即時償却 or 7%(特定中小企業者等は10%)の税額控除
・控除税額は法人税額の20%が上限(1年間繰越可)
※特定中小企業者等⇒中小企業者等で資本金3,000万円以下

■特定経営力向上設備等とは
・生産性向上設備(A類型) or 収益力強化設備(B類型)
・経営力向上計画に記載されたもの
・税制優遇措置を受けるためのステップは基本的には以下の手順となる
A類型、B類型に該当するか確認⇒経営力向上計画の申請・認定⇒設備の取得


8.親会社等の情報開示

・東証では親会社の決算内容の開示を求められる
・親会社が「会社」である場合に限る
・親会社等が複数ある場合:影響が最も大きい会社に限る
・開示内容
 商号、親会社等の企業グループにおける上場会社の位置づけ
 その他の上場会社と親会社等との関係 など
・親会社が上場会社の場合には不要
・親会社と関係が希薄で東証が認める場合も開示不要


9.リスク分担型企業年金の会計処理

1.確定拠出制度か確定給付制度の会計処理かの判断
⇒実質的な追加拠出の義務の有無により会計処理が異なる
⇒具体的な判断基準なし
⇒制度設計の趣旨などを鑑みて、実質判断する必要あり

2.決算時のポイント
(1)確定拠出制度に分類
⇒掛金額を毎期費用処理
(2)確定給付制度に分類
⇒退職給付債務と年金資産の差額を負債として認識
⇒勤務費用や利息費用等より、当期に帰属させる費用を計上する。
※通常の退職給付会計の処理を実施


10.『リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い』等の解説

■復習
・確定拠出⇒簡単
⇒拠出掛金を費用処理して終了
・確定給付⇒難解
⇒PBO計算、年金資産、その他係数を用いた計算

■分類(確定拠出か、確定給付か)
(1) 企業が規約で定められた掛金相当額の他に追加的拠出義務を負わない
(2) 一定の掛金を外部に積み立てている
(1)(2)に両方あてはまる ⇒確定拠出
・いずれかにあてはまらない⇒確定給付

■開示:確定拠出制度に分類されるケースでの注記事項
・企業の採用するリスク分担企業年金の概要
・退職給付費用の額
・翌期以降に拠出することが要求されるリスク対応掛金相当額及び当該リスク対応掛
金相当額に関する残存年数


11.連結子会社及び持分法適用会社の決算日変更

・親会社の決算日:×14月~×23
・子会社の決算日:×11月~×112

子会社の決算日を3月末に変更した場合の留意事項は?
■損益の調整
決算日変更後の子会社の事業年度は15ヶ月(×11月~×23月)になる。
×11月~×13月までの損益を次のいずれかの方法で調整する。
①利益剰余金で調整する方法
 ⇒S/Sに「決算期の変更に伴う子会社剰余金の増加高等の名称」で表示
②損益計算書を通じて調整する方法

■注記
子会社の事業年度の月数と連結会計年度の月数が異なる旨、その内容を注記する。


12.コーポレートガバナンスコード 適用初年度の開示分析

CGC前提:コンプライ・オア・エクスプレイン
→原則実施、実施しないのであれば説明する

■監査役および監査役会の役割・責務
「自らの守備範囲を過度に狭くとらえることは適切ではなく、能動的・積極的に権限を行使する」(原則4-4
→「実施しない理由」の開示はほぼなし
「監査役(会)は、社外取がその独立性に影響を受ける事なく情報収集力の強化を図ることが出来るように社外取と連携を確保すべき」(補充原則4-4①)
→「実施しない理由」の開示あり
(1)社外取の選任なし:企業の特殊性、迅速な意思決定や経営判断への障害
(2)社外取を置いて間もない
(3)以前より社外取を設定しているが連携が不十分、あるいはそれぞれ独立した立場であるから均一的な情報提供にとどまる

■取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件
「監査役には、財務・会計に関する適切な知見を有しているものが1名以上選任されるべき」(原則4-11
→「選任していない」の開示あり
(1)外部監査人等の専門家に依頼できる体制を整えている
(2)監査役スタッフ等に知見者を配置している
「取締役会の実効性の分析・評価の結果の概要」(補充原則4-11③)
→「実施していない」の開示ありjCGC原則の中での説明率1位(63.6%)
(1)そもそも実施していないので今後実施していく
(2)評価を実施しているが、結果を開示していないので今後開示を検討
(3)評価は実施していないが、取締役会の実効性はステークホルダーの満足度で示されるものなので、開示予定なし


13.経理業務のBPO化事例(味の素)

■ステップ1:BPO化対象業務の選定
全経理業務の棚卸+「是非」「可否」の判断+BPO効果の高いものを選定
・是非の観点:ex.ノウハウの流失リスクのある業務は非
・可否の観点:ex.判断要素の大きい業務は否
⇒会計伝票入力業務、を選定

■ステップ2:業務・システムフローの再構築
従来:各部がそれぞれ伝票を起票
⇒「BPOセンター」(各部からの依頼をもとに、会計伝票を一括起票)の設立
従来:個別システムに入力された情報が基幹システムに集計
⇒基幹システムに直接入力

■ステップ3:ベンダー(BPOセンターの運営委託先)の選定
1次選考要素:会社・人・品質
2次選考要素:コスト・工数・取引実績・当社との相性

■ステップ4:推進メンバー・業務フロー管理方法策定
システムとの関連強
⇒情報システム部門からサポートメンバー補充
ステータス管理の徹底
⇒原本待ち・申請中・伝票入力中・レビュー中・完了

■ステップ5:内部用KPI(5つ)の設定
・重要なミス率、軽微なミス率&訂正伝票率
・納期遵守率&平均伝票入力時間

■ステップ6:業務移管準備・社内周知
⇒ベンダー社員への作業レクチャー+マニュアル作成

■ステップ7:BPO化後の業務安定化に向けたフォロー
⇒運用開始後に分かる問題点の継続的是正と改善


14.コーポレートガバナンス・コード(以下、コード)

コーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたもの。
上場準備会社も、コードに従ってガバナンスを整備する必要がある。

コードは、5つの基本原則と各基本原則に対応する30の原則及び38の補充原則で構成。

コードの基本原則
1.株主の権利・平等性の確保
2.株主以外のステークホルダーとの適切な協議
3.適切な情報開示と透明性の確保
4.取締役会等の責務
5.株主との対話


上場会社は、201561日よりコードの適用が義務付けられ、適用以後、最初に開催する定時株主総会後、準備でき次第、速やかにコードに対応したガバナンス報告書の提出が必要となった。









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