1.セルフメディケーション税制に関するQ&A
Q:セルフメディケーション税制とは?
A:H29年1/1~H33年/12/31までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定成分を含んだOTC医薬品(いわゆるスイッチOTC医薬品)を購入した場合に所得控除を受けられる
その年中に支払った対価額の合計額が1万2千円を超えたとき、その超える部分の金額(上限:8万8千円)について所得控除可能
Q:従来の医療費控除との関係は?
A:同時に控除はできない。
対象医薬品について、従来の医療費控除orセルフメディケーション税制を選択適用
Q:対象の医薬品は?
A:約1,500品目。厚生労働省のHPで掲載あり
■その他留意事項
・控除額は税込金額で算定する
・レシートや領収書が必須(自宅のプリンターで出力した明細は不可)
2.社会福祉法人の定款変更ミスで措置法40条の非課税承認は?
・個人が土地建物などの資産を法人に寄附した場合
⇒その資産取得時から寄附時までの値上がり益に対して所得税が課される
・資産を社会福祉法人を含む公益法人に寄付した場合
⇒一定の要件を満たし、国税庁長官の承認を受けた時は非課税(措置法40条)
・社会福祉法が一部改正、H29年4月1日から全面施行
・上記非課税の特例を受ける場合、社会福祉法人において、定款変更が必要
・ただし、うっかり同特例を前提としない定款に変更しても非課税承認は直ちに取り消されない
3.法人税等会計基準は3月中に公表へ
ASBJは法人税等会計基準案に対するコメントを踏まえた検討を開始。
草案から内容での大幅な見直しはない模様。
※この草案は監査保証実務指針第63号等の内容を踏襲したものであり、あくまで表現等の整理に留まる。実質的な内容の変更は意図していない
草案の正式決定は3月中に行う予定。
実務上は平成29年3月期より反映。
(草案具体例)
・外税控除の適用を受けない税額は、法人税・地方法人税・住民税及び事業税に含めて表示など
4.再編税制改正、大綱と法令の用語に違い
■平成29年度税制改正で、下記の適格要件が緩和
・グループ内の分割型分割に係る関係継続要件
・共同事業を行う為の合併等に係る株式継続保有要件
■グループ内の分割型分割に係る関係継続要件
・分割法人とこれを『支配する者』との間における完全支配関係は不要に。
・改正大綱の文言では、『支配する者』を「支配法人」としているが、法人に限定しているのか?※現行法令の文言では、「同一の者」(個人も含む)
⇒法人に限定せず、個人も含むと解釈していい。
■共同事業を行う為の合併等に係る株式継続保有要件
・合併等の当事者に、『他の者』に50%超保有される者がいなければ、株式の継続保有は不要に。
・改正大綱の文言では、『他の者』を「企業グループ」としているが、法人に限定しているのか?
⇒法人に限定せず、個人も含むと解釈していい。
5.最高裁、歩道状空地の相続税評価で弁論
私道に供されている宅地の評価は通達で2パターンある。
・路線価で計算した価額の30%相当額で評価。
・私道が不特定多数の者の通行に供されている場合は評価しない。
私道の相続税評価は減額割合が大きいため、評価をめぐる税務論争が比較的多い。
■争点となる歩道状空地
・共同住宅の敷地の一部で、公道沿いに舗装された幅2mの空地。
・車道脇の歩道として居住者以外の第三者も利用可能(小学校の通学路にも指定)
■地裁判決
歩道状空地は共同住宅の敷地に含まれるため公道に接していることから、私道としての利用制限が課されない判断。
⇒納税者は敗訴し控訴
■高裁判決
地裁判決を支持し控訴を棄却
⇒納税者は敗訴し上告
■最高裁
現在裁判中だが、上告案件につき口頭弁論を開催した。
なお最高裁は上告を棄却する場合、口頭弁論を開かないことができるため、原審判決が見直される公算が高い。
6.申告期限の延長に伴う役員給与改定期限の見直し
■申告期限の延長(改正案)
29年度改正案では一定の法人の申告期限が「事業年度終了日の翌日から2か月以内」を起点に最大「4か月」延長される。
■役員給与の各種改定期限
(1)定期同額給与の通常改定
現行⇒期首から3か月以内に改定
改正⇒延長された申告期限の末日までに改定
(2)事前確定届出給与
現行⇒期首から4か月以内に届出
改正⇒延長された申告期限の末日までに届出
(3)利益連動給与
現行⇒期首から3か月以内に報酬委員会で決定
改正⇒延長された申告期限の末日までに決定
7.消費税《簡易課税制度選択届出書を提出している事業者が高額特定資産を取得した場合の取扱い》
■制度
・課税事業者が簡易課税制度の適用がない課税期間中に、高額特定資産の課税仕入れ等を行った場合
⇒3年間は免税事業者となれず、また、簡易課税制度の選択もできない
■疑問
・従来より簡易課税選択⇒一時的に基準期間の課税売上高5,000万円超
⇒翌年の基準期間の課税売上高が5,000万円以下になった場合、簡易課税は適用されるのか?
■回答
・簡易課税は受けられる
⇒新たな簡易課税選択届出の提出が出来なくなるものであり、事前に出している場合の適用制限ではない。
8.繰延税金資産の内訳開示
・税効果会計を適用した場合、「DTA及びDTLの発生原因別の主な内訳」等を注記する。
・税務上の繰越欠損金、退職給付に係る負債、減損損失、評価性引当額等を記載する
・DTAの内訳開示はIFRSや米国会計基準の方がより詳細。
・日本基準では注記不要でIFRSや米国会計基準で注記が必要な項目は下記。
①定性的な情報(経営者の判断や見積もりに関する情報等)
②DTAの認識の根拠
③DTAを認識していない将来減算一時差異の金額
④DTAを認識していない繰越欠損金額、失効日
など
⇒日本基準もより詳細な開示になる方向で検討されている。
9.分配可能額の算定
1.
分配可能額算出の流れ
(1)決算日の剰余金の算出
(2)分配時の剰余金の算出
(3)分配可能額の算出
2.
決算日の剰余金
⇒その他資本剰余金+その他利益剰余金
3.
分配時の剰余金
⇒その他資本剰余金+その他利益剰余金+自己株式処分差損益+資本金・資本準備金の減少額-自己株式消却額-剰余金の配当-会社計算規則150条に定める事項
4.
分配可能額
⇒分配時の剰余金+臨時決算損益-自己株の帳簿価額-会社計算規則158条に定める事項
※臨時決算損益 … 決算日後の期間利益+決算日後の自己株処分対価
10.企業価値評価の観点からみるのれんの減損テストをめぐる実務ポイント
・買収時VA実施時点⇒減損テスト実施時点で、パラメータの連続性や整合性が保たれている必要がある。
・株式価値に大きな影響を及ぼすことが想定される場合は、事前に監査人と協議しておくべき。
・パラメータごとに説明可能なロジックを準備しておくことが必須。
11.計算書類の関係会社注記・関連当事者注記の集計対象
・関係会社に対する金銭債権、金銭債務の金額
・関係会社との営業取引の取引高、営業取引以外の取引高
・関連当事者との取引(取引内容、金額、条件、債権債務残高等)
※有報との相違点
・有報では連結F/Sのみ注記、連結計算書類では個別注記表で注記
12.違法配当の原因と対策
■分配可能額を超過した剰余金の配当等の原因分析
(1)分配可能額を確認する責任部署や担当者が不明確
責任部署や担当者を設置する。また配当は単体で実施することに留意する※
※連結配当規制の適用を除く
(2)外部専門家がチェックしてくれていると認識
旧商法では監査対象であったが、会社法では監査対象外
(3)事務処理上のミス
非経常的な取引(自己株取得等)の失念
■分配可能額を超過して剰余金の配当等を行った場合の対応
(1)取締役等の業務執行者の責任の有無
原因が取締役の業務執行者にあるか否か、故意か過失か
(2)違法配当等の状態を回復するための措置
・当期利益が出て、違法配当の状態が早期に回復されるケース
→一時的に違法状態である開示、追加の手当なし
・資本準備金や利益準備金が潤沢なケース
→準備金をその他資本剰余金・利益剰余金に振り替えて違法状態を脱する
※ただし債権者保護が必要
・当期利益、本準備金や利益準備金が潤沢でないケース
→株主に返還を要求
※ただし株主への通知・合意が必要
(3)再発防止策
・内部統制の整備
・取締役や社員への教育徹底
13.M&Aプロジェクトチームの組成・運営ポイント
M&Aの検討・推進には社内・社外の多くの関係者の関与が必要となり、適時・適切な情報共有、適切な役割分担が必要である。加えて、高い守秘性が求められる。
■社内検討チーム
M&Aの中心部門:事業部門、企画部門
⇒M&Aの初期段階から関与
M&Aの協力部門:法務部、財務経理部、人事部、システム部、IR部
⇒DDの段階から関与
M&Aの社内検討チームの組成・運営ポイント
>役割分担
・決定権を有する者が責任者として深く関与する。
>情報共有
・買収初期段階から中心部門と協力部門間で情報共有を図る
・コミュニケーションの取りまとめ役を極力一人にする
>守秘性
・プロジェクト名など、案件名称はコードネームを設定する。
■社外専門家チーム
M&Aの全体コーディネート:ファイナンシャルアドバイザー(FA)
M&Aの各種専門家:法務アドバイザー、会計・税務アドバイザー、ビジネス/人事DD等
M&Aの社外専門家チームの組成・運営ポイント
>役割分担
・FAに社外専門家チームの取りまとめを一任することで、企業担当者は社内調整に集中することができる。
・各種専門家のサービスレベルは事務所の看板ではなく、担当チームの力量による。
・近年は法務、財務・税務以外の専門家も案件の特性に合わせて関与することが増えている。
>情報共有
・FAが社外専門家チームの取りまとめをする場合、FAと社内検討チームが密に情報共有を図る必要がある。
・FAが社外専門家チームを取りまとめしない場合、社内検討チームと各社外専門家間で情報共有を図る必要がある。
>守秘性
・社内検討チームと同様
14.法相が、会社法改正を諮問
・株主提案権の制限導入を検討。
⇒ 現行では総株主の議決権の1%以上または300個以上の議決権を6ヶ月以上前から保有する株主に、株主提案権あり。
⇒ 提案の数に制限なし。
⇒ 2012年、野村HDの某株主が「社名を野菜ホールディングスにする」など、100件の株主提案を受けた。
⇒ 株主提案が多すぎると、総会の進行が滞る。
⇒ 米国では提案を株主1人あたり1つに制限するなど、株主提案権の乱用を防止する措置あり。
15.企業内容開示制度
有価証券の発行・流通市場において、各種開示書類の提出を発行者に義務付け、適時開示し、投資家保護を図る制度
・有価証券届出書
⇒50人以上に勧誘する1億以上の有価証券の募集又は売出しを行う場合
・有価証券通知書
⇒50人以上に勧誘する1千万超1億未満の有価証券の募集又は売出しを行う場合
・有価証券報告書
・内部統制報告書
・四半期報告書
・臨時報告書
⇒一定の重要事項等が生じた場合(以下に主なもの)
1.親会社又は特定子会社の異動、子会社取得の決定
2.主要な株主の異動
3.重要な災害の発生
4.訴訟の提起または解決
5.組織再編
6.代表取締役の異動
7.BS,PL,CFに著しい影響を与える事象
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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