2017年5月21日日曜日

5/19 勉強会:有償新株予約権はSOに該当 他

1.有償新株予約権はSOに該当

5/10 ASBJが「従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引に関する取扱い(案)」を公表
※意見募集中
⇒上記の有償新株予約権の会計処理及び開示を明らかにするもの
SO会計基準に定めるSOに該当する旨が明確化された
 付与に伴う従業員等からの払込金額=新株予約権
 付与に伴い企業が従業員等から取得するサービス=費用として計上
⇒なお適用範囲は、従業員等を引受先とし、市場価格がないなど典型的な権利確定条件付き有償新株予約権
・適用時期;実務対応報告の公表日以降
(公表日前に付与した取引は、注記を要件に従来採用していた会計処理を継続適用可能)


2.住宅の貸付け、再転貸借も非課税取引に

・審判所が初めて下記の判断を示した
・転貸借だけでなく、再転貸借も非課税とされる住宅の貸付に該当
・ただし、契約書その他で、住宅として転貸する事を明らかにする必要あり


3.事業承継スキームにも影響する遺留分算定方法の見直しの行方

相続関係の民法の改正項目で、遺留分の算定方法の見直しがあがっている

■用語説明
・遺留分…相続において、最低限の権利として認められている相続できる額(割合)
・減殺請求…遺言書等で遺留分を侵害された場合に、最低限度額の相続を請求すること

■遺留分算定方法
(現状)…相続開始時点から遡って「1年以内」に贈与されたものは遺留分に含む
(改正案)…相続開始時点から「10年前」に贈与されたものは遺留分に含む

■見直された場合の影響
・事業承継スキームに影響が出る
⇒自社株の生前贈与は期間に関係なく遺留分減殺請求の対象 
※特例あり
自社株の評価額が高いと、遺留分減殺請求される可能性がある
10年以上前に自社株を渡しておけば、円滑な承継が可能となる


4.収益認識、平成3341日から適用へ

・企業会計基準委員会は平成296月を目途に収益認識に関する包括的な会計基準の公開草案を公表する予定

・適用時期
平成3341日以後開始する事業年度より
※システム改修等の準備期間、経営管理の変更、開示への対応等を考慮
※平成3011日以後開始する事業年度より、早期適用可

<税効果会計、注記事項は早期適用を容認>
・企業会計基準委員会は税効果会計に係る会計基準及び同適用指針を開発中
・適用時期
平成3041日以降開始する連結会計年度及び事業年度の期首より
※改正事項のうち、表示(1)及び注記事項(2)に関しては、公表日以後最初に終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表より、早期適用可
(1)DTADTLをすべて非流動区分に表示:流動比率に対する影響は限定的
(2)注記事項の追加:財務諸表利用者に対して、より有用な情報を提供可

・従来の会計処理と異なる場合、「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更」に該当
⇒新たな会計方針を過去のすべての期間に遡及適用


5.サービス開発の四要件充足は別年度で可

H29年度改正において、
研究開発税制の対象に「サービス開発」が追加された。

適用要件として、
・情報収集、取得をしている
・分析している
・役務提供の設計をしている
・確認を行っている。
上記要件を満たすサービス開発を目的とした試験研究につき、税額控除が受けられる。

最終的に上記4要件を満たせば問題ないため、異なる事業年度で要件を充足したとしてもその事業年度で税額控除適用可。

なお税務当局は、「事例を積み上げる必要あり」とのことで、税務調査の結果、税額控除の適用が認められないケースも考えられる。


6.役員の人間ドック費用が給与になるか争われた裁決

役員のみが受診した人間ドック費用は福利厚生費?役員給与?

■人間ドックの費用を経費とするための要件
(1)費用を会社が負担すること⇒○
(2)著しく高額でないこと⇒○
(3)全従業員が対象であること⇒×
・健康診断は全従業員が対象であったが、人間ドックは役員のみ
・金額の差が大きい(人間ドックは約35万円。健康診断は最大2万円)

■裁決
本件は役員のみが対象の人間ドックであったため、損金不算入の役員給与に該当
さらに、給与所得として所得税の課税の対象にもなる


7.消費税:国外支店が購入したデジタルコンテンツの課税方式

■国外支店が国外事業者から事業者向けデジタルコンテンツを購入した場合
⇒国内取引に該当し、リバースチャージ方式の対象となる。

■平成2911日からの改正
国外支店が受けた事業者向けデジタルコンテンツについて「国外で行う資産の譲渡等にのみ要するもの」に限り、課税の対象外となる

■具体例
・国外支店がその支店だけで利用するクラウドの経理システムを購入した場合などが該当


8.<税務相談>資産税《抵当権の設定されている土地の代物弁済による譲渡》

■事例
甲は乙から8,000万円の借金あり
甲の財産はA宅地(相続税評価4,500万円、借金の担保になっている)、他は年間50万円の年金のみ
⇒債務の全額を弁済することは不可能

■質問
1.甲の生前に代物弁済(A宅地を乙に譲渡)した場合の課税関係は?
2.甲に相続が開始、債務の弁済能力のある長男がA宅地を相続し、代物弁済した場合の課税関係は?

■回答
1.について
・資力を喪失し債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合は
⇒譲渡所得は非課税所得
・債務免除益は、甲の贈与税の課税対象外
⇒贈与税対象外の債務免除益は所得税上の一時所得だが、資力喪失のケースは課税対象外

2. について
・単純承認による相続のケース
⇒譲渡所得は課税、債務免除益は贈与税の対象
・限定承認による相続のケース
<代物弁済による譲渡所得について>
⇒長男にはA宅地の(代物弁済時の時価-相続時の時価)が譲渡所得として課税
時間差が無い場合課税問題は生じない
⇒被相続人には相続時の時価による譲渡所得が発生、相続人が準確定申告し納税義務あり
ただし、納税より抵当権により担保されている債権の弁済が優先、納税は取得財産を限度とするためなし
<代物弁済による債務免除益について>
⇒債務免除益は生じないため贈与税は課税されない
⇒限定承認のケースでは、相続により取得した財産の限度で債務を弁済すれば足りるため


9.仮想通貨の勢力分布

・世界に存在する仮想通貨は数百種類
・そのうち日本で流通しているものは20種類ほど
・代表的なものは
 ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP
201758日現在の世界シェア
  ビットコイン:54
  イーサリアム:17
  リップル  :12
201741日、改正資金決済法が施行
 ⇒仮想通貨の会計処理の検討が始まっている


10.航空機リース 資産負債計上をめぐる裁判例

(事案)
JALは航空機購入にあたって、航空機メーカーから報奨金を受け取っており、それを営業外収益に計上していた。
⇒これが『虚偽の記載』にあたるかどうかが争われた。
 実質的に値引きであり、費用の控除にすべきではないか…。

(第1審、控訴審)
・営業外収益への計上については『一定の合理性』があり、また『長く業界の慣習』であり、『公にされていた』ことであることから、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従ったものといえる。

このように、会計上妥当か否かの判断に「業界の慣習」が加味されることがある。


11.内部統制報告書における開示すべき重要な不備

・自動車関連の部品を製造、販売するA社(上場会社:決算 3月決算)
・販売先にリコール対象品があることが判明
・リコール公表をあえて差し控えた結果、マスコミからその事実を2月に指摘される
内部統制報告書を開示する上での留意点は?
・内部管理体制の問題を検討
⇒リコール問題が社内でいつの時点で顕在化したか?どのような報告ルートを通じて、社内のどの職階まで報告されたかを把握
・会社の現状を把握した上で、全社的な内部統制面での問題点を検討
・会計処理の影響を検討

⇒リコール損失引当金など、引当金の計上を合理的に行うことができるか?合理的な見積が可能な場合は、適切な引当金の計上が必要









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