2018年10月5日金曜日

10/5 勉強会:消費税率引上げポイントチェック 他

1.長期のインセンティブ弱いRS等に反対票

平成30年6月株主総会では、中長期インセンティブとしての機能に疑念が持たれる株式報酬には
投資家から多くの反対票が投じられた。
・譲渡制限期間が1~5年の譲渡制限付株式の付与議案
・付与日の翌日から20年間権利行使可能なSOの発行議案 etc

⇒インセンティブ型報酬の導入に際しては、投資家に長期インセンティブとしての機能に疑念が持たれないような
 制度設計を行う必要がある。






2.IoT税制の賃上げ、連結全体で判定

■IoT税制(コネクテッド・インダストリーズ税制)
・今年の税制改正で創設
・2018年6月6日~2021年3月31日に対象設備(ソフトウェア、器具備品、機械装置)
・革新的データ産業活用計画の認定
・最低投資額:5,000万円以上

■効果
・取得価額の30%の特別償却or取得価額の3%の税額控除

■オプション効果
・継続雇用者給与等の支給額の対前年度増加率が3%以上であれば上記税額控除額は取得価額の5%に

■要件の充足判定
・単体納税:単体で満たせばOK
・連結納税:連結グループ全体で満たす必要あり
⇒連結納税不利







3.従業員によるネット事業は法人に帰属

■事案
・ネットオークションによる商品の出品、販売に係る業務の収益が法人(同族会社)と従業員のどちらに帰属するか

■事実関係
・ネットオークションのIDは従業員名義
・オークションの売上は個人口座(従業員口座3件、法人の代表者の姉の口座1件)に入金
・法人の帳簿書類に本件の売上や経費は記載されていないが、商品の仕入高は計上されている

■判決
・従業員が事務所内で事務及び落札商品の発送を行っている
・法人が調達、仕入計上している商品を出品して収益を得ている
・従業員の給料は法人から支払われている
・法人の代表者は、本件業務で収益を得ている認識があった
⇒事業の経緯、業務の遂行状況、費用の支払い状況等を勘案して事業主体を判断
⇒法人の業務の一環とみるのが相当
⇒過少申告、隠ぺいと判断され、重加算税も課されることに




4.電子帳簿保存法の課題

■電子帳簿保存法~1998年に制定、2016年に改正~
国税関係帳簿書類の全部または一部を電子データによる保存を認めた法律。これにより紙媒体で保存していた総勘定元帳などの書類を、電子データを原本として保存が出来るようになった。

■データ保存とスキャナ保存
・データ保存:最初の作成記録段階から一貫してPCで作成した場合の保存方法
・スキャナ保存:既に紙媒体のものをスキャナで読取り保存する方法(ハンディスキャナやデジカメ、スマホはNG、あくまでも読取り台があるスキャナに限定していたが、H28税制改正により撤廃された。)

■課題
・データ、スキャナ保存共に「帳簿・書類単位ごと」に税務署長の承認を受ける必要がある。
◎「帳簿・書類単位ごと」ではなく「ベンダーによるシステムの申請」を認めるべきであるとの意見

・電子帳簿保存を開始するには始める前の3か月前に申請をしなければならず、承認を受けるまで間に作成された帳簿・書類は対象にはならない。つまり過去の重要書類等はスキャナ保存が認められていない・・
◎特例的に認めるべきという意見あり









5.日本企業がIFRS移行時に行った表示科目の組替~差異調整表の調査分析

■概要
・IFRSの任意適用が認められるようになってから8年が経過(2013年3月期~)
・IFRS移行時には、IFRS第1号「国際財務報告基準の初年度適用」に基づき、移行による影響を説明する必要がある。
⇒従前の会計基準からIFRS移行の影響を記載した、調整表の作成・開示が必要
⇒調整表には、「財政状態計算書」及び「包括利益計算書」の重要な修正について調整額が記載される。

■調整内容の事例
・2018年3月期までに、JGAAPからIFRSに移行し、調整表を開示した企業は149社
以下50社以上が調整した項目
・営業外損益・特別損益項目の営業費用等への組替(114社)
・定期預金を現預金からその他金融資産に組替(65社)
・持分法適用投資や持分法投資損益をIFRSでは区分掲記(64社)
・貸倒引当金をIFRSでは対応する債権残高から直接控除(60社)




6.賃貸借契約解除の精算金、収益を補償した金員と判断

■概要
・賃貸契約期間はH6.7/1~H26.6/30の20年間だが、H24.9/30で解除。
・合意解除に伴って、解除日から契約期間であったH26.6/30までの賃料を含む精算金を一括交付で受けた。

■争点
・精算金のうちいくらを不動産収入として計上すべきか。
⇒その年の貸付期間に対応する額を不動産収入として計上だと請求人は主張

■結論
不動産等の賃貸料の前払い金として認められない。
⇒精算金は、覚書により、その全額の支払日が平成24年10月31日と定めていること。
⇒入居者の変動がある場合に、その変動に応じた精算をしていない。







7.濫用的な議決権行使書面には閲覧制限

・議決権行使書面の閲覧謄写請求について濫用的な行使を制限する方向である。
⇒現行、この請求は株主名簿の閲覧謄写請求と異なり、株主が理由を明らかにする必要がなく、拒絶理由も定められていない。
・制限する理由は主に2点
⇒株主名簿の閲覧謄写請求が拒絶された時に、株主の住所等の情報を取得する目的で利用されていること。
⇒長期間に及び対応を要する閲覧謄写請求が頻繁に行われ業務に支障を及ぼす場合があること。
・このため、株主が議決権行使書面の閲覧謄写請求を行う際は理由を明らかにした上で、一定の拒絶事由を設けることとしている。




8.消費税率引上げポイントチェック

■税率の変更
8%⇒10%、軽減税率8%※
※国6.24%、地方1.76%

■経過措置適用の場合
施行日前に締結された契約に係るものなどに経過措置が適用される※
※国6.3%、地方1.7%

■施行日前に売買契約し、施行日後に購入した場合
10%(課税仕入れを行った日の税率となる)

■施行日前に予約し、施行日後にサービスを受けた場合
10%(役務の提供を受けた日の税率となる)
※納品が遅れた場合なども同様に10%

■事業者間で計上時期が異なる場合で施行日をまたぐ場合
(例)販売側:出荷基準、購入側:検収基準
8%(販売側が8%の税を納付するため、控除側(購入側)も8%に揃える)








被災者に対する自社製品等の提供

法人が自社製品を被災者支援として提供した場合
⇒寄付金又は交際費に該当せず、「広告宣伝費」に準ずるもととして損金算入可。
自社で製造した製品に限らず、
他から購入した物品であっても提供にあたり企業のイメージアップ等の実質的な宣言効果を生じさせるものは、自社製品等に含めて問題なし。

なお贈答等した場合「交際費」として取扱われるが、
災害による緊急性や被災者支援といった社会的責任をもって行う行為のため、
自社製品の提供とはいえども、特定の者に対する利益供与には該当しない





10.会社法制見直し 要綱案たたき台

・法務省が会社法改正を議論中。
 ⇒ 2018年2月 中間試案を公表
 ⇒ 2018年8月 要綱案たたき台について審議開始
・以下はその要綱案たたき台の内容。

・株主総会資料の電子提供を上場会社に義務付け。
・株主が提案できる議案数の上限は10(中間試案では4)。
 ⇒ 役員等の選任または解任は、役員数にかかわらずまとめて1とカウント。
・社外取締役の設置義務付けについてはA案・B案を併記。
 ⇒(A)監査役会設置会社かつ有価証券報告書提出会社は必須。
 ⇒(B)現行法を維持
・株式交付制度を新設
 ⇒ 他の株式会社を子会社化する際、自社株式を対価として交付する制度。
 ⇒ 株式交換との違いは部分買収、すなわち100%子会社化でなくても使えること。







11.有形固定資産の科目表示を共通化した事例(古河電池の「減価償却累計額」について)

・2017年12月に公表された「一体的開示をより行いやすくするための環境整備に向けた対応について」を受け、会社法上の計算書類と金商法上の有価証券報告書の勘定科目の表示方法を統一。

・2017年3月期
⇒有報(連結)は間接控除、それ以外(有報(単体)、計算書類(連結)、計算書類(単体))は直接控除。

・2018年3月期
⇒すべて直接控除
⇒有報の「表示方法の変更」の注記において、明瞭性を高める観点から勘定科目の表示方法を変更した旨を記載。







12第3章 収益認識基準に対応した規程類の改定の進め方

■収益認識基準導入の進め方
(1)導入のための準備
・対象とする範囲を明確にする
 原則はすべての収益が対象だが、重要な取引及びグループ会社をベースの進める
(2)現状と導入後の差異を調査
・業務プロセスやITシステムに与える課題(影響)を明らかにすることが目的
(3)導入計画の立案
・対処すべき課題を整理し、作業工数の見積りができるレベルまで業務に落とし込み、収益認識基準の適用初年度までのスケジュールを立案
(4)対応策の検討
・会計処理の変更が必要かどうかを検討し、業務プロセスやITシステムの変更が必要かどうか検討する
(5)ITシステムの改修
・最も時間と労力がかかるため早い段階で把握することが重要
(6)文書の見直し・周知徹底
・業務プロセス及び改修後のITシステムを適切に運用させるために、社内の文書の見直しを行う
(7)トライアル
・導入前年度の第3四半期および第4四半期の2回が理想
(8)導入後の対応
・運用状況の確認が必要






13.監査等委員会設置会社へ移行するメリットのある会社3パターン

■パターン①
社外取締役を選任しているが、社外監査役との重複感・負担感を解消したい会社
⇒特に監査役設置会社において、社外監査役に加えて社外取締役を選任することによる負担感・重複感を解消できる。

■パターン②
・意思決定の迅速化や重要議題の審議充実のため、取締役会決議事項をスリム化したい会社
・監督機能を重視した取締役会(モニタリングモデル※)を志向したい会社
⇒取締役の過半数を社外にor定款の定めにより、重要の業務執行の意思決定権限を取締役に委任可能。

※最近の国際的なコーポレートガバナンス論で推奨されている、取締役会の監督機能に重点を求める考え方。日常的な業務執行の決定に終始するのではなく、企業戦略等の大局について議論すべき、とする。
従来の日本における、意思決定機能に重点をおく「マネジメントボード」と対極的に位置づけられる。
なお、折衷型の「ハイブリッドモデル」もある。

■パターン③
外国人株主比率が高いor海外からの投資を呼び込みたい会社
⇒海外機関投資家にわかりやすい。





14.規程・マニュアルを運用・改訂する際のポイント

●規程・マニュアルを上手に運用するコツ
- 全社に周知徹底する
- 権限と責任を明確にする

●改訂手順
現状調査
改訂案の作成
改訂案の承認
規程類(改訂版)の周知徹底
規程類(改訂版)の施行

●改訂時のポイント
- 実務を理解している人が土台をつくる
- 実行可能性を重視する
- 法令違反は厳重に阻止する
- 他規程との整合性を持つ
- 改訂箇所の明確と周知徹底







15.表示方法の変更を行った場合

■有価証券報告書
・原則、比較情報として開示される過去の財務諸表を新たな表示方法に組替える
・注記内容
 ①財務諸表の組替えの内容
 ②財務諸表の組替えを行った理由
 ③組み替えられた過去の財務諸表の主な項目の金額
 ④原則的な取り扱いが実務上不可能な場合にはその理由

■会社法上の計算書類
・単年度開示のため、過去の財務諸表の組替えなし
・注記内容(重要性が乏しい場合、省略可)
 ①表示方法の変更の内容
 ②表示方法の変更の理由


15.在庫管理業務

・受払記録の作成
1.各棚卸資産項目は、倉庫別に受払簿(品目別・数量・金額)を作成
2.受払記録は、保管担当者以外の者によって実施
3.受払記録は、所定の責任者と承認のある証憑書類に基づいて実施
4.受払簿は、総勘定元帳と毎月月末に定期的に照合
5.販売委託品・無償支給材料等の他社預け品は、受払記録において区分管理
6.滞留品の基準を設け、受払記録により滞留一覧表を作成

・保管手続
1.保管担当者以外の者が許可なく倉庫に出入りすることは認めないようにする
2.現品は、適当な保管整備内で適切な状況で保管
3.販売委託品・加工受託品等の他社預かり品は、倉庫内で区分管理
4.不良品・陳腐化品等の物品は、良品と区分管理
5.適正在庫の基準と設定
6.現品の廃棄等については、所定の申請様式に基づき所定の責任者の承認を受けた上で実施

・実施棚卸
1.定期的(少なくとも年2回)に実施棚卸
2.実施棚卸は、棚札を使用し、実施棚卸要領(社内規定)に基づいて実施
3.受払簿と実施棚卸の結果とを照合し、差異原因の分析






















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