2014年9月6日土曜日

9/5 勉強会:上場時の四半期連結P/Lは現行通りに 他

1.海外出向者に係る現物給与課税

・海外出向者の子供が現地で通う日本人学校の授業料、通学費用を
 会社が負担した場合
 →現物給与として給与課税される
  学校に通うための費用は個人が負担すべきもののため

・現物給与課税される場合、日本で源泉徴収が必要かどうか
 →出向者の出国時における出向期間による
  1年未満の場合…日本で源泉徴収が必要
  1年以上の場合…日本で源泉徴収不要

・出向期間が1年以上で、
 支給される給与について日本で源泉徴収が必要になる場合
 →出向期間中に国内において行う勤務があったとき


2.循環取引を巡る裁決、税務上の取扱いはどうなる?

■審判所の判断
①架空取引によって得た現金や売掛金を益金の額に算入するかどうか
 架空取引により得た「現金」が無償により得た資産なので、「無償による資産の譲受け」に該当するため益金の額に算入する必要がある

②重加算税の賦課対象となるか
 事実の隠ぺいと仮装があったかによる
 ある場合:重加算税の対象になる
      →青色申告の承認の取消要件にも該当

 「事実の隠ぺい」とは、課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実を隠したり脱漏することを言う
 「事実の仮装」とは、所得、財産、取引上の名義などについて、それがあたかも事実であるかのように装うこと、故意に事実をわい曲することを言う


3.遺贈による登録免許税は法定相続人の負担

■事例
 Aさん(被相続人)の遺言に従い、Aさん名義の土地を財団法人に贈与
 土地の名義変更に係る登録免許税は誰の負担になるか

■判決
 登録免許税は法定相続人が負担するべき

■理由
 ①遺言執行費用は法定財産の負担とする規程がある
  …土地以外のAさんの財産から執行費用は支払うべき
  ⇒法定相続人が負担するべき

 ②Aさんの遺言では財団法人の負担とするべき意思がない


4.上場時の四半期連結P/Lは現行通りに

・企業内容等開示布令が820日に公布・施行
→新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数が2事業年度分に短縮
 ※従来は5事業年度分

→非上場会社が初めて提出する有価証券届出書にIFRSに準拠した連結財務諸表を掲げる場合、最近連結会計年度分のみの記載で足りる

→四半期連結B/Sを掲げた場合には四半期連結P/Lも合わせて掲げる


5.福祉車両の非課税措置悪用事例が横行

身体障害者用物品を譲渡した場合消費税は課されないので、一部の税理士の間で「節税」のひとつとして租税回避行為が行われている。

※身体障害者用物品とは電動車いすや特殊寝台、車いすの設置に伴う改造費など、障害者にとってかかせないもので厚労省の指定をうけたもの
 ⇒改造費のみならず車両本体価格もあわせて非課税となる

具体例
通常の車両に手でアクセルペダルを操作できる手動装置をつけて(改造して)売った

改造した場合
⇒本体価格100万円+改造費10万円 計110万円 
∴消費税はかからない

改造しない場合
⇒本体価格100万円+消費税 8万円 計108万円 
8万円の消費税が課される

改造して売った場合、2万円高く売れているが消費税は課されない。
高級車であればあるほど消費税の差額は多くなる

税務当局は平成27年度税制改正案として、改造部分のみ非課税対象とし、車の本体部分については非課税対象から外すことを検討している。


6.役員給与の業績悪化改定事由、裁判所の着眼点が明らかに

【事例】
A社(業績堅調)→ <手数料売上> → B社(債務超過)→ <借入返済>
A社、B社の代表者は共にX

・銀行から、A社における代表者Xの役員報酬を減らし、その分、B社の返済原資である手数料売上を増やすようにと指導を受けた
⇒役員報酬の減額は、「業績悪化改定事由」に該当するか

【判決】
・該当しない
A社に業績悪化の事実なし

A社、B社が実質同一企業であり、銀行からの強い要請のもと行われた減額改定であっても、あくまでも自社(A社)に業績悪化の事実がなければ該当しない
⇒現在、控訴中


7.連結納税適用の場合の地方法人税に係る税効果の取扱いを明らかに

企業会計基準委員会は、平成26年度の地方法人税法の施行を踏まえ、「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」などの見直しに入った。

改正案の概要
・連結納税制度を適用している場合、地方法人税の課税標準である基準法人税額は、連結事業年度の連結所得の金額から計算した法人税の額。

・地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性の判断は個別所得見積額だけでなく、他の連結納税会社の個別所得見積額も考慮。

・連結納税制度を適用した場合の地方法人税に係る税効果会計の考え方は、法人税と同様の取扱い。

・よって、連結納税主体の連結財務諸表において地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性は、連結納税主体を一体として判断する.


8.所得拡大促進税制 設立初年度の取り扱い

■適用要件(原則)
①基準年度の給与等支給額に比し当期の支給額が2%以上増加
②当期の支給額が前期の支給額以上
③当期の平均支給額が前期の平均支給額超

☆設立初年度は
(1)基準年度がない
(2)前期がないため特例がある。

■設立1期目の取り扱い
①基準年度の給与等支給額を当期の支給額の70%とする。
基準年度70 当期100 →30/70=0.422%
②前年度の給与等支給額はゼロとする。
③前期の平均支給額はゼロ、当期の平均支給額は1とする

よって、設立1期目は給与等の支給があれば必ず適用ありとなる。


9.消費税:任意の中間申告

H26/4(個人はH27/1)から、消費税の中間申告、納付義務の無い法人も任意で中間申告ができることになった。

留意点は以下のとおり。
•任意の中間申告をする場合は、課税期間開始後6月以内に届出を提出する。
•届出を提出すると、税務署から前年実績による中間申告書と納付書が送られてくる
•通常の中間申告では申告書を提出しなくても前年実績による申告があったものと見做されるため納付だけすれば良いが、任意の中間申告では提出が必須。納付のみを行うと、過誤納扱いされる。
•年1回のみ


10.税効果会計の注記

税効果会計の注記
DTADTLの発生原因と内訳
・法定実効税率と税引前当期純利益に対する法人税等の比率との間に差異がある場合の原因と内訳
・税率変更によりDTADTLの金額が修正された場合、その旨と修正額
・決算日後に法人税率等の変更があった場合、その内容と影響

拡充が検討されている内容
IFRSや米国基準が要求する開示事項のうち、有用と思われるものを取り込む予定
①定性的な情報開示
DTAの認識の根拠
DTAを認識していない一時差異の額
DTAを認識していない税務上の繰越欠損金


11.ヤフー事件・IBM事件の捉え方と今後の対応

1. 概要
①ヤフー事件
 適格合併かつ欠損引継ぎ可能となるように、形式的要件を満たす様なスキームを取った。
 ⇒租税回避行為だとして、国側は否認を主張 ⇒ 国側勝訴

IBM事件
 ・100%子会社の株式を子会社に取得させ、譲渡損失を計上し、損金算入
・加えて、受取配当金を益金不算入とした。
 ・さらに、連結納税制度により、欠損金の引き継ぎを行った
⇒租税回避行為だとして、国側は否認を主張 ⇒ 国側敗訴

2. 今後の対応
 ヤフー事件とIBM事件ともに、租税回避行為として国は否認を主張
 ⇒ヤフーは国側勝訴、IBMは国側敗訴と結果が異なる
 ⇒違いは、事業目的があっても、否認できるか否か(法132条と1322条の違い)
 ⇒形式的要件に合うように、後付けで事実を作り出すスキームは否認されるリスク
 ⇒条文の趣旨から解釈を行うという対応がより求められる。


12.外貨建取引等に関する会計~為替変動リスクに対処する施策

・体制の構築
 -外貨建資産負債の残高を把握する管理体制を構築
 -為替相場が変動することによりどれほどの影響があるのかについて把握し、定期的に取締役会に報告するなど

・施策
 -為替予約の利用
 -ヘッジ会計の適用など
 -在外子会社化
-現地においてビジネスを完結


13.DD口座「企業活動の骨組みの分析」

・ビジネスサイクルアプローチ
 ⇒内部統制評価の為の業務プロセス機能分析を活用して分析する手法。
   
・バリューチェーンアプローチ
 ⇒取引先も含めた包括的な企業活動分析手法。
   開発、公告宣伝→調達→加工→流通→販売→アフターサービス

・経営資源アプローチ
 ⇒企業が保有する経営資源を
「ひと、もの、かね、システム、知財等」に分けて分析する手法。

ひと           :年齢、職能、給与水準、収益対比等
もの           :固定資産、棚卸資産等
かね           :預金、借入金、有価証券、保険等
システム    IT技術
知財           :特許権、商標権


14.議決権種類株式スキームを用いた上場事例(サイバーダイン社)

・サイバーダイン社が東証マザーズに上場
・創業者の保有割合は約43
・ただし普通株式の10倍の議決権を有するB種類株式を保有するスキームにより議決権ベースで約88
⇒日本発。米国ではグーグルやフェイスブック等にIT企業、
ニューヨークタイムス等のメディア企業が採用

【サイバーダイン社の普通株と種類株の相違点】
1単:普通株100株、種類株10
・譲渡制限:普通株なし、種類株あり
・取得請求権(※1)・取得条項(※2):普通株なし、種類株あり
・種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定め:普通株あり(※3)、種類株なし

(※1)取得請求権は種類株主が保有するス類株式を普通株式に転換する権利
(※2)取得条項は一定の事由が生じたことを条件として種類株式を普通株式に転換するもの
(※3)ある種類株主に損害が生じる恐れがある時は、当該種類株主を構成員とした
当該種類株主総会の決議が必要(原則)
ただし例外として、ある種類株主総会決議を要しない旨を定款に定めることも可能。


15.エビリファイ特許切れ 大塚HDが示す処方箋

・エビリファイは、大塚製薬にとって会社全体の売上の3分の1を占める薬(抗精神病薬)

1512月、大塚製薬のエビリファイが特許切れになる。
→後発薬の価格は格安。一気に売上が減るおそれも

・大塚製薬の株価は8/265カ年中期経営計画を発表後急上昇。
①既にエビリファイの特許切れは織込み済
②会社の事業計画が堅実
→エビリファイによる減収、それに伴う研究開発費等のコストカットが説得力ある形で示されている

③増配も発表










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2014年9月1日月曜日

8/29 勉強会:連結手続上の税効果 他

1.税制改正で連結納税時の税効果を見直し

地方法人税創設に伴う改正案

・地方法人税に係る繰延税金資産の回収可能性は、連結納税会社全体で判断

・地方法人税に係る繰延税金資産・負債の金額計算は、連結納税会社別に計算


2.検証・IBM事件

■まとめ
①みなし配当と株式の譲渡損を両建てで計上し欠損金を発生させ、税負担を減少させることを容認することを、立法側は想定していないし、そのような行為を容認すべきでないと考えて税制改正を行っている

②みなし配当と株式の譲渡損益の規定特有の趣旨・目的を無視したIBMの行為については、課税の減免を認める必要はないのではないか。

③みなし配当の規定(241項の平成13年改正)と租税回避行為の包括的な防止規定である132条の趣旨・目的を正しく理解し、行為の「結果」を今の「社会通念」や「常識」に照らして適切に判断することで、IBM事件について正しい判断ができるのではないか。


3.中小企業のための改正法案Q&A

対象は大企業だけではない!
①会計限定の監査役、定款の定めを登記事項に
※経過措置あり
改正会社法が施行後、最初の監査役が就任、または退任するまでの間は登記不要

②公開会社になる場合には4倍規制の対象に
※会社法373
設立時発行株式の総数は、発行可能株式総数の4分の1を下ることができない。
ただし、設立しようとする株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

③中小企業でも監査等委員会設置会社の採用が可能
条件を満たせば、大企業or中小企業に関わらず可能。
※主な条件(取締役3人以上で構成され、そのうち過半数は社外取締役、会計監査人を設置すること)


4.連結子法人からの多額配当に課税リスク

・連結子法人から連結親法人へ多額の配当を行った場合、
連結子法人の株式を売却した際に譲渡益が発生する可能性あり

・連結子法人の株式を売却する場合、
連結納税上、子法人の損益が株売却による譲渡損益に反映されるため、二重課税回避として投資簿価を修正する必要あり

⇒売却する連結子会社株式が、
 連結適用前の利益積立金に食い込んで配当を行っていた場合、配当控除後の金額が簿価になる。

 控除後の投資簿価<投資簿価 ∴差額は譲渡益が課される

ただし、以下の問題点から今後改正する可能性がある
①投資簿価の修正は、連結納税制度における二重課税防止の観点から設けられたため、そもそも連結前の利益積立金からの配当を考慮する必要はないのではないか

②この仕組みがあるため連結子会社株式の売却に伴う、連結グループの投資資金の確保ができない障害となっている


5.営業権計上事案での青色取消処分は違法か

■事例
 A社が関係法人X社から営業権を取得し、営業権の償却費を損金算入
 契約書上は関係法人X社⇒Y社⇒A社の流れで譲渡されている

■論点
 <原処分庁の主張>
 実際の営業権の取得の流れと譲渡契約書上の流れが異なっている
 青色申告の取消事由の「取引を隠ぺい又は仮装」に該当するのではないか

■結論
 「取引を隠ぺい又は仮装」に該当せず

■理由
・契約の内容の通り、経理処理や従業員の転籍等はY社を経由して行われた
・一連の流れが、特段不合理であったり異常なものではない


6.所得拡大促進税制 出向者の給与負担金

対象となる給与
⇒雇用保険の一般被保険者に支給する給与

在籍出向者・・・雇用関係があるのは出向元法人との間であり、出向先法人において「一般被保険者」とならない。

原則⇒出向先法人においては所得拡大促進税制の対象外
特例⇒賃金台帳に出向者に関する記載があれば対象となる


7.連結手続上の税効果

連結特有の一時差異
①資本連結、子会社の資産・負債の時価評価による評価差額
②グループ取引における未実現利益消去額
③グループ間の債権・債務消去による貸倒引当金の減額修正
④連結上の会計方針の統一を連結手続上で行った場合の影響額
⑤連結上の簿価(子会社の純資産の親会社持分額+のれんの未償却残高)と親会社の個別上の投資簿価との差額


8.市中免税店、沖縄以外では初 銀座三越に

・免税店の問題は受け渡し→空港運営会社と連携 
銀座のお店はショールームとして活用
・タックスフリー(消費税のみ免税)ではなく、デューティフリー(関税、たばこ税、酒税も免除)


9.保険業界と税理士業界の不都合な真実

・加入者が中途解約した際に受け取る「返戻金」と、代理店が契約の際に受け取る「手数料」の合計が、払込保険料を上回る時点がある。

・この仕組を利用して、名義借り契約を行い、稼ぐ会社も現れたが、その際に名義借りのルートになったのが税理士法人だった。

・保険代理店業は、税理士にとって最も稼げる副業。

TKC全国会は関与先の加入有無を推進状況リストで管理。









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2014年8月22日金曜日

8/22 勉強会:売上高は総額か純額か 他

1.売上高は総額か純額か

マザーズ上場のラクーン社は「会計方針の変更に伴う業績予想(売上高のみ)の修正に関するお知らせ」を公表し、EC事業に係る売上高の表示方法について、総額表示から純額表示に変更した結果、売上高が約5分の1に減少することになった(利益は変わらず)。

◆情報の整理
・経営者は総額表示により売上高を大きく見せたい
・日本基準においては総額・純額の選定のための明確な基準がない(そもそも収益認識に関する基準が無い)。
IFRSでは代理人取引であれば純額表示と明記されている。

◆判断の分岐点は
・仕入及び販売に関して通常負担すべきさまざまなリスク(瑕疵担保、在庫リスクや信用リスクなど)を負っているか?
・価格決定権があるか?
・顧客に対し役務提供の履行義務を直接的に負っているか?
等の点を勘案し、決定。

◆今後
IFRSや修正国際基準の適用会社が増加するにつれ、
総額⇒純額
に変更する企業が増加すると考えられる。
また同業他社との比較可能性の観点から、投資家から純額表示への変更を求められるケースもありうる。


2.マンション管理組合の収益事業

マンション管理組合⇒法人税法上「人格のない社団」に該当
人格のない社団⇒収益事業のみ課税対象

<マンション管理組合の収益事業>
①駐車場の居住者以外への貸付
②屋上のアンテナ設置料収入
※アンテナ設置料収入については申告漏れが多いので注意
 注意喚起のため国税庁HPに質疑応答事例が追加された。
⇒法人税率255%(所得800万以下は15%)で課税
なお、課税売上が1000万以上の場合には消費税の課税事業者になる。

<参考>
駐車上の貸付について
①空き駐車上について居住者・外部者問わず貸し付ける場合⇒居住者分も含めて全額収益事業収入
②空き駐車上について居住者を優先して貸し付ける場合⇒外部者部分のみ収益事業収入
③一時的に建設業者に貸し付ける場合⇒収益事業収入にならない。


3.所得税:店頭バイナリーオプションと所得税

・店頭バイナリーオプションによる所得は店頭FXによる所得と同様に『先物取引に係る雑所得等の特例』の対象され、申告分離課税が適用される。

FXの所得と通算して引ききれない損失があれば、確定申告により3年間繰り越せる。


4.改正企業結合基準の適用

20163月期から適用 早期適用可能
・適用初年度の処理について、選択肢あり
 ①:すべて遡及した場合の適用初年度期首時点の
   累積的影響額を資本剰余金、利益剰余金に加減
 ②:遡及せず、適用初年度の期首から将来に渡って新基準を適用

⇒早期適用した事例では①はなし。


5.混めば混むほど早くなる? 開発者は現役東大生

・アクセスが増えるほど、サーバーに負荷がかかり、コンテンツ配信が遅くなるのが常識。

・これを解決する技術を開発したのが、現役東大生がメンバーの会社、ミストテクノロジーズ。

・サーバーではなく、同じコンテンツを視聴している最も近いPCからコンテンツを引き出す仕組み。
 →コンテンツ配信業者は、使った分に応じてミストに利用料を払うため、サーバ投資額の変動費化が可能に。

・ミスト経営陣は、将来は会社を売却する予定。
 →上場、資金調達して自分たちで事業を進めるより、大手企業に任せた方が技術の発展・浸透が早いと思っている。






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2014年8月21日木曜日

8/15 勉強会:社外取締役を選任予定でも「相当でない理由」を説明する必要があるか? 他

1.保証債務履行のための土地譲渡と認めず

【事例】
A社(業績悪く国税滞納中)が土地を所有
 ⇒債権者からの取立てを免れるため、土地の名義をB氏へ変更(登記上はA社のまま)
 ⇒国から土地が差押に
 ⇒B氏は土地を売却し、売却代金でA社が延滞していた国税を納付

【争点】
B氏が土地売却した際の譲渡益について、所得税法642項の規定は適用できるか?

所得税法642項・・・経営が傾いた会社に対して保証人が私財を売却して保証債務を履行した場合、その売却益のうち会社に求償できない部分は譲渡所得がないものとできる
B氏は、土地が差押えられた時点で、強制的に債務保証させられたものと同等と主張

【審判所判断】
・適用できない(通常通り譲渡所得がかかる)
A社が登記上正しい名義人であって、B氏の土地所有権は虚偽の権利である
・そもそも、国とB氏の関係において、B氏に債務履行義務があるわけではなく、保証人としての立場でもない


2.検証・IBM事件

■まとめ
132条は同族会社等に関する包括的な租税回避防止規定
 適用対象を「同族会社等」に限定しているだけで 「個別的な事象に対する租税回避防止規定」ではない

・今後は、課税逃れのテックニックの中身について検討することが必要
 経済的合理性(行為の理由、目的)がしっかりしていても結果として租税回避になっている行為は問題とすべき

IBM事件における税法の解釈と適用は、「社会通念」「常識」「正義」「公平」などが非常に重要になる

・過去の社会通念と今のそれは、違って当然。

・規定が制定されたときには考えられなかった行為が増えているが、規定の適用における「制度の目的」と「社会通念」に照らして行為の問題点を判断すればよい。


3.ベンチャー投資税制、未だ認定ファンドゼロ

※ベンチャー投資促進税制とは
会社が経産省認定のファンドを経由してベンチャー企業へ投資した場合に投資額の80%を損金算入することが認められる優遇措置

経産省が定めた認定要件が厳しいため、ファンドが税制適用の認定をうけられない。

原因として
・無限責任組合員による株式上場やM&Aの実務経験が乏しいこと
・実務経験はあるが上場やM&Aを成功させた確率が低いこと

投資者の投資促進に支障をきたす可能性があるため、ファンドへの認定要件のハードルを下げることも検討している。


4.社外取締役を選任予定でも「相当でない理由」を説明する必要があるか?

会社法の改正により、社外取締役がいない上場企業は、株主総会で社外取締役を置くことができない理由を説明する必要がある。

選任が予定されている場合はどうするか?
⇒選任予定がある場合は株主総会での承認が必要となるため、その際に「相当でない理由」を説明しなくてもよいと思われがちであるが、社外取締役がいるかいないかは事業年度の末日で判断することとなる。

従って選任予定の有無にかかわらず、社外取締役が事業年度にいない場合には「相当でない理由」を説明しなければならない

※補足
「相当でない理由」とは、社外取締役を置かない理由のほか、置くことによって会社にマイナス影響を及ぼす恐れがあるといった事情説明をする必要がある
適任者が見当たらないといった説明は×


5.株式譲渡と配偶者控除

≪事例≫
奥さんが昨年株で損をして確定申告。
今年は株で益が出て確定申告。
配偶者控除は大丈夫か?

①口座
・特定口座…通年の取引で源泉税を計算
・一般口座…都度の取引で源泉税を計算
※特定口座の場合は確定申告しなくても良い

②損益通算
・株の損失は、三年間損を繰り延べられる
※確定申告をしないと繰り延べできない
※翌期に益と相殺したい時も確定申告必要

→損益通算で損益をぶつけたとしても、配偶者控除の計算時は昨年の損は考慮しない
→今年の益が基礎控除の38万円を超えてしまうと配偶者控除に影響あり


6.IPO関連

アジア上場③
台湾証券取引所(TWSE

◆市場の構成
・台湾証券取引所・・・日本でいう東証1部・2
・台湾証券取引所グレタイ売買市場ト・・・日本でいうジャスダック・マザーズ

◆主な特徴
・電子部品、半導体関連企業の比率が高い
・個人株主比率が高い
・上場コストが低い
・外国からの投資比率が高い

◆上場に関する形式基準
・直近3事業年度分の財務諸表
・取締役会は5名以上の取締役で構成
・台湾会計基準、USGAAPIFRSが認められている
・台湾公認会計士による監査報告書への署名

◆上場している日本企業
SUMCO
ファミリーマート
セコム
ヨドコウ


7.財務デューデリジェンスに必要なスキル

()財務リスク分析力
※継続性のチェックが重要
)・営業損失、営業C/Fが継続していないか
   ・含み損の大きい資産を抱えていないか
   ・仕入先から不利な条件への変更要求がないか
   ・キーパーソンの退職はないか
   ・特定の部門、人物に重要な権限の集中がないか等

()その他
・ヒアリング技術
(ヒアリング対象者のタイプによって聞き方を工夫)
・無形資産の洗い出し
・コミットメントチェック


8.電子記録債権とは

2008年に電子記録債権法により制度化
・手形、売掛債権等に並ぶ新たな金銭債権
・電子債権記録機関が電子データにより管理
 (債権者及び債務者の名前、支払額、支払期日等)
・紛失や盗難リスクがない
・手形の作成、交付、保管コストがかからない

※手形債権の代替として機能することが想定
 ⇒ 会計処理は、手形債権に準じて取り扱う
※普及状況(20146)
 ⇒ 月末残高 約1,5兆円/月間件数 約5万件


9.組織再編等の株式買取請求制度の改正ポイント

・株式買取請求に係る撤回制限の実効化
 (現行)株主は会社に買取or市場で売却を選択可
 (改正)対象となった振替株式について、買取口座への振替申請を強制
・株式買取請求の効力発生時点の統一
 (現行)代金支払いの時まで、反対株主は株主としての権利を主張できる
 (改正)組織再編等の効力発生日に統一(代金支払いよりも早い段階)
・買取価格決定前の支払制度の創設
 (現行)裁判所が決定した価格により支払い
 (改正)会社自らが公正な価格と認める額を裁判所の価格決定前に支払うことができる
・簡易組織再編、略式組織再編等における株式買取請求
 (現行)簡易組織再編の要件を満たす場合、すべての反対株主に株式買取請求権が認められる
 (改正)簡易組織再編等に反対の株主に対しては株式買取請求権を付与しない

■組織再編の差止請求の改正ポイント
 (現行)略式再編以外の組織再編については、株主に差し止め請求権は付与されていない
 (改正)簡易再編の要件を満たす場合を除く組織再編の場合でも差止請求が認められる


10.詐害的な会社分割等の債権者保護の改正ポイント

 詐害的な会社分割等が行われた場合、残存債権者がどのように保護されるか?

  改正前:承継会社に詐害行為取消訴訟が出来る    →間接的な保護
  改正後:承継会社に債権の履行請求が出来る       →直接的な保護


11.キャッシュ・アウトの改正ポイント

 キャッシュ・アウト・・・現金を対価とする少数株主の締出し
 
 キャッシュ・アウトの手法
  現行会社法:主に全部取得条項付種類株式の取得が用いられている
        →常に株主総会決議が必要であり手間
  改正会社法:特別支配株主が他の株主に対して株式を売渡すよう請求することでCO可能
        →取締役会決議等で出来るようになった
        →法令違反等の場合は取得の差し止め請求が出来る等の株主保護がある


12.ライツ・オファリングによる新株予約権取得者の会計

①ライツ・オファリングとは
・基準日における全ての株主に対して、保有株式数に応じて無償で新株予約権を割り当てる
・割当てた新株予約権を金融商品取引所に上場する
※過去にも無償割当のケースはあるが、譲渡制限が設けられるなど上場を伴わないものでライツ・オファリングとは異なる

②ライツ・オファリングの種類
(コミットメント型)・・・欧州メイン
・証券会社が全て買取
(ノンコミットメント型)・・・日本メイン
・買い取り契約はなく、期限が過ぎれば失効する

③メリット
(取得者)
・割当を受けた株主は払込
⇒新株取得のみならず、市場で売却可能(希薄化による不利益を補填)
(発行者)
・希薄化効果による不利益を補填する機会を与えられる。
・売却されることで、市場を通じて資金調達が可能
⇒資金調達の目標達成。

④会社処理
(取得時)
・既存株主 
  仕訳なし
・市場で有償取得
  新株予約権        ×××  現預金                 ×××
  売買目的有価証券    ×××
orその他有価証券)

(期末時)※予約権時価<取得価額
・その他有価証券として保有
  その他有価証券評価差額金 ×××  新株予約権    ×××
  繰延税金資産             ×××
or
  投資有価証券評価損     ×××  新株予約権     ×××
・売買目的有価証券として保有
  有価証券評価損        ×××   新株予約権      ×××
(行使時)
  A社株式           ×××   新株予約権        ×××
                                                現預金                ×××
(株式売却時)
  現預金             ×××  A社株式                     ×××
                                               有価証券売却損益 ×××
(新株予約権売却時)
  現預金             ×××  新株予約権          ×××
                                              有価証券売却損益  ×××
(新株予約権失効時)
  新株予約権失効損     ×××  新株予約権       ×××


13.混迷のスカイマーク 苦境脱出のスターフライヤー

・スカイマークは、第一四半期決算で「継続企業の前提に関する注記」が加わった

・スターフライヤーは、第一四半期決算で「継続企業の前提に関する重要事象等」が外れた

・スカイマークは秋口の需要減シーズンに備えてリストラとキャッシュ確保(部品、機材を売却、今後は自社所有からリースの割合を増やす)に急ぐ

・スターフライヤーは前期からリストラを進め、かつ18%株主のANAとの共同運行で収益回復

・大手の後ろ盾がなく回復が遅れるスカイマーク
 ANAの助けを得て回復基調のスターフライヤー

・規制緩和によって生み出された「独立系」エアラインは結局うまくいかなかったのか…






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