2015年8月9日日曜日

8/7 勉強会:中小規模事業者(マイナンバー) 他

1.D&O保険料の会社負担可も給与課税対象

DO保険
 以下の2つがある
 ・普通保険約款
  第三者訴訟における役員の損害賠償責任をカバー
  保険料を会社負担した場合、給与課税なし

 ・株主代表訴訟補償特約
  株主代表訴訟における役員の損害賠償責任をカバー
  保険料を会社負担した場合、給与課税あり
  …会社法:忠実義務違反に抵触しかねないと指摘あり
   税務上:源泉所得税の個別通達に規定あり

■政府の方針の明確化
 ・株主代表訴訟補償特約の保険料の会社負担を問題なしとするよう会社法の解釈を明確化する方向
  …犯罪や法令違反を認識しながら行った行為等に基づき生じた損害をDO保険では免責としているため

 ・ただし個別通達があるため、保険料を会社負担とすると税務上は給与課税されてしまう

 ⇒個別通達の改正を求める声が上がることが予想される

DODirectors and officers


2.無対価株式交換の会計処理の明確化を求める声

・無対価の組織再編の取扱いについて
⇒「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」において合併と分割の場合を規定。
 株式交換の場合の処理が規定されていない。

よって実務対応専門委員会に今後のテーマとするよう依頼中。


3.中小規模事業者(マイナンバー)

【原則】事業者のうち従業員が100名以下の事業者のこと
 該当する会社はマイナンバーの安全管理対応が特例で軽減される

【例外】下記に該当する場合は中小規模事業者にならない
 (1)行政機関等
 (2)税理士事務所、社会保険労務士事務所
 (3)金融系事業者
 (4)個人情報取扱事業者


4.税効果指針、控除対象外消費税を明記へ

■企業会計基準審議会は日本公認会計士協会の税効果に関する実務指針等の内容に相当するものを会計基準として別途策定することを検討

■「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」も検討対象の一つ
 (具体的に検討している内容)
・新基準の適用対象となる税金の範囲をどうするか
・控除対象外消費税に関する会計処理及び表示の取扱いを明記するか
・固定資産税等の認識時期について明記するか
・固定資産税や不動産取得税の処理の定めを置くか


5.マイナンバー制度

H27105日より国民1人ずつに付与される。
・一度付与されたマイナンバーは、原則として生涯変更されることはない。
・利用目的を明示した上でマイナンバーの提出を求める必要あり。
 目的を明示していない業務等にてマイナンバーを使用することはできない。

■Q&A
(1):マイナンバーの本人確認につき通知カードが手元にない場合は?
  A:住民票の写しに加え運転免許証等を提示してもらう。
   マイナンバー施行後、住民票にマイナンバーが記載されることとなるため。

(2):マイナンバー取得にあたり独自の届出書を提出してもらうが、扶養親族に記載してもらう際の注意点は?
  A:独自の届出書を使用する場合は、扶養親族等の委任状が必須である。
   「扶養控除等申告書」への記載については、従業員が扶養親族等の本人確認をすれば問題なし。
   この手続きがいち早く収集することが可能である

(3):不動産使用料の支払調書が不要となる場合(個人に対する年12万円の使用料)のマイナンバーは?
  A:不要である場合はマイナンバーを取得する必要はない。
   次年度以降提出する可能性がある場合は、契約締結時に取得しても構わない
   ※個人へ15万円超の家賃支払いは支払調書の提出が必要となる
     ⇒マイナンバーを記載して提出する必要あり

(4):取引先が法人の場合の本人確認は?
  A:確認する必要はなし
   なお国税庁のHPに掲載されるため、検索が可能であるから。

(5):非上場会社が支払う配当につき、株主からマイナンバーを取得する必要はあるか?
  A:H281月以降、配当を行う前に既存株主のマイナンバーを取得する必要あり(本人確認も必須)
ただし、3年間の経過措置があり、H311月以降の配当よりマイナンバーが必要となる。
   またH281月以降に新たに株主になった者は、その時点でマイナンバーの提供を求める必要あり

(6):個人カードを身分証明書にする際の注意点は?
  A:源泉徴収票の作成事務等以外で使用することは認められていない。
   身分証明書としてコピーされる場合は、番号をコピーされていないことを確認する必要あり

(7):従業員が退職した場合のマイナンバーが記載された書類はどうするか?
  A:事務処理を行う必要がある場合に限り保管し続けることができる。
   扶養控除等申告書は法令で7年間の保存義務があるため、従業員の退職後も保存しておく必要あり。

(8):マイナンバーのデータの廃棄等について
  A:法令等で保存期間を経過した場合は、速やかに復元できない手段等で削除・廃棄する必要あり。
   中小規模事業者は責任者が廃棄等の確認をすれば問題なし。

(9):PC上のマイナンバーを見られないための対策は?
  A:必ずしも別室にて作業を行う必要はなし。
   社内の事情にあった対策をとれば問題なし(フォルダにPWをかける等)


6.米国LPS訴訟

外国事業体の法人該当性で最高裁が判断基準を示す

■概要
・日本の居住者が海外不動産へ投資した。
・銀行を通じて、米国デラウェア州のLPS契約により設立した会社へ現金を拠出。
LPSが日本の法人でないと判断し、LPSの事業から生じた損失をパススルー課税として給与所得と損益通算した。

()LPSとは投資事業有限責任組合のこと
  組合員により構成され、組合員へ財産の分配がされる。

■争点
LPSが日本の租税法上において「法人」に該当するか否か

■判断基準
(1)外国事業体(海外の法人)が該当国の法令で、日本法上の「法人」に相当する法的地位を付与されているか。
  または付与されていなくても疑義のない程度で明白であるか。

(2)(1)が確認できない場合は、その外国事業体が権利義務の帰属主体であると認められるか。

■最高裁の判断
(1)はデラウェア州の法律を参照しても、日本法上の「法人」に相当するか明白であるとはいえない。

(2)については以下の点より帰属主体と判断できる。
・法律行為の当事者となることができる。
 ⇒外国事業体名で財産等の所有、法律行為を行うことができる
・法律の効果が帰属する。
 ⇒外国事業体が法律行為により発生する債権を有し債務を負う。
 ⇒外国事業体が訴訟上の当事者能力を有する
 ⇒債権債務が帰属されているのであれば、損益の帰属すべき主体も外国事業体である。

LPS事業により生じた所得は、外国事業体に帰属するため、納税者はLPSより生じた損失を損益通算することはできないと判断した


7.馬券払戻金の所得区分の判断、最高裁事案と異なり一時所得に

・独自のノウハウにより、5年間で約72.7億の馬券を購入し、5.7億円の利益を計上
・雑所得として、ハズレ馬券を必要経費に計上できるか?

【東京地裁】
・一時所得であり、ハズレ馬券は必要経費に計上できない。
PCソフトで自動的に馬券購入していた訳ではなく、独自要素を使ってレースごとに予想している。
⇒偶発的利益が積み上がったもので、継続的行為による利益ではない。
・規模が大きい=継続的行為 ではない。
※控訴中


8.医療費控除:医師の指導に基づくサプリメントの購入について

■医療費控除の対象となる医療費
・医師又は歯科医師による診療または治療
・治療又は療養に必要な「医薬品」の購入
 など

■「医薬品」とは
・薬事法第2条第1項に規定する医薬品を言う

■サプリメントの取り扱い
・通常、厚生労働省の承認を受けていない(薬事法に規定されていない)
⇒たとえ、医師の指導により購入しているものであっても「医薬品」に該当しないため、医療費控除の対象とならない。

なお「医薬品」に該当するものであっても健康増進等のために購入するものは医療費控除の対象とならない。


9.所得税:事業関連者からの開業祝金 ⇒所得税?贈与税?

個人事業主が受け取る開業祝金は、どの税目で課税されるのか。
 ①売上ではなく個人間の贈与なので、贈与税の対象?
 ②事業上の収入であるため、所得税(事業所得)の対象?
 ⇒②所得税の対象とすべき

■考え方
・資産の譲渡や役務提供の反対給付として受け取るもの(売上)であるか、単に貰うものであるかは判断基準とはならない。
・事業に付随して受領するか否かがポイントとなる。単に貰うケースでも、事業関連性があれば事業所得の収入とする。
 ⇒開業祝金は事業に関連するものであるため、贈与税ではなく所得税の範疇で課税される。


10.多重代表訴訟制度

・最終完全親会社等の株主が、子会社の取締役等の責任について代表訴訟を提訴できる制度。
・議決権の1%以上を保有する株主に限定
・訴訟の対象は「重要な子会社」の取締役等の責任
 ⇒対象子会社の株式の帳簿価額が最終完全親会社等の総資産額の1/5を超えている必要がある。


11.会社法上で、会計監査人監査が必要な場合の諸論点

1. 会社法上、会計監査人監査が必要なケース
 ・大会社(資本金5億以上 or 負債200億以上の会社)
 ・指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社
 ・会計監査人を任意に設置した会社

※会社法上、監査を求めている理由は、適正な計算書類を作成し、開示することにより、株主や債権者の保護を図るため。

2. どのタイミングで大会社に該当するのかを判断し、いつから会計監査人監査が必要となるのか。
 ⇒ 定時株主総会で承認された貸借対照表で大会社かどうかを判定
 ⇒ 該当することとなった場合、翌事業年度から会計監査人監査が必要となる。


12.土地を売却した結果、消費税計算で課税売上割合が低下した場合の対処法

1. 課税売上割合が低下するとどうなるか
 ⇒ 仕入税額に課税売上割合を乗じた金額を、仮受消費税から控除できる。
 ⇒ 課税売上割合が低下すると、控除できる金額が減り、納付すべき税額が増える。

2. 土地の売却により、課税売上割合が低下した場合の対処法
(1) 対処法
 ⇒ 課税売上割合に準ずる割合の適用を検討
 ⇒ 課税売上割合に準ずる割合とは、過去の課税売上割合を基に算出されるもの
 ⇒ 土地の譲渡を考慮しない割合で消費税計算が出来る。
(2) 課税売上割合に準ずる割合とは
・土地の譲渡が単発
・従来と事業の実態に変化がない
⇒ 上記をすべて満たした場合、下記のいずれか低い割合を課税売上割合に準ずる割合として、課税売上割合の代わりに使うことが出来る。

(1) 土地の譲渡があった前3年の通算課税売上割合
(2) 土地の譲渡があった期の直前期の課税売上割合

3. 留意点
・仕入税額控除の計算において、個別対応方式を採用していないと使えない。
・税務署長の承認が必要なため、決算日の3か月前には、申請することが望ましい。


13.カーブアウト型M&A特有の検討事項

・カーブアウト型M&A
 企業から一部(部門・工場と人員・特定の製造ラインなど)を切り出し、それを他の企業が買い取る形のM&A

・特性・留意点
 (1) 財務諸表の作成方法や前提に起因する特性
 ・M&A用に「急いで」作成されたものであることが多いため、事業部門の範囲にズレが生じる場合あり
 ・部門別に分けられていても本社費が一定の方法で配賦されているような場合は留意が必要

 (2) BSに関する特性
 ・対象部門に係る負債の把握
 ・事業部門間で共有する資産の振り分け

 (3) CFSに関する特性
 ・無理やり切り出したBS・PLをもとに作成したCFSの信頼性 → 資金繰り問題ないか

 (4) PLに関する特性
 ・スタンドアローン費用の把握


14.キャッシュ・アウト手法選択上のポイント

【キャッシュ・アウトとは?】
 対象会社の支配株主が、少数株主の株式全部を承諾を得ることなく金銭を対価に取得し、締め出すこと

・手法の検討・判断が必要に
 ⇒今までは、全部取得条項付種類株式を活用する手法が一般的
 ⇒改正会社法により、2つの手法が加わった。
①特別支配株主の株式等売渡請求を用いる手法
特別支配株主(90%以上保有株主)は、個々の売渡株主等の個別承諾を得ることなく、売渡株式等の全部を金銭を対価として取得することが出来る。
②株式併合を用いる手法
キャッシュアウト実施者以外には、株式併合後には端数しか残らないような併合比率で株式併合を行う

・どれを選択するか?
A 保有議決権割合が90%以上 
→①の特別支配株主の株式等売渡請求を用いる手法を検討。時間と手続きの負担が軽い為。

B 補修議決権割合が90%未満
→②の株式併合を用いる手法を検討。財源規制違反に伴うリスクを回避できる点等。


15.監査等委員会設置会社のメリット・デメリット

■メリット
(1)取締役会付議事項の削減による経営判断の迅速化
・取締役の過半数が社外 または 定款の定めがある場合
  重要な財産の処分と譲受
  多額の借財
  支配人その他の重要な使用人の選任と解任
  支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止  等
  (※一定の法定事項を除き)
 重要な業務執行の決定の全部または一部を取締役に委任OK

(2)社外取締役の重複感の解消
・監査役設置会社は社外取締役2名+社外監査役2名=社外役員4
・監査等委員会設置会社は監査等委員会を3名で内社外を2名でOK

(3)海外投資家、機関投資家からの指示
・監査等委員会設置会社では、監査等委員会は議決権を有する取締役により構成され
・取締役人事・報酬等に関して株主総会に意見陳述権を有する
→海外投資家への説明がしやすく指示を得やすくなる


16.【会社法】⇒ 社外取締役の要件が変更。

・(従来)
× 会社や子会社の業務執行取締役、従業員およびその経験者

・(変更後)
× 会社や子会社の業務執行取締役、従業員およびその経験者(直近10年間)
× 親会社の取締役
× 兄弟会社の業務執行取締役
× 会社の取締役・重要な従業員・支配株主の2親等以内の親族

【証券取引所規則】⇒「独立」社外取締役 原則2人以上、1人以上必須
「独立」社外取締役とは、社外取締役のうち下記を満たす人物


・重要な取引先でない










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2015年8月1日土曜日

7/31 勉強会:非流動性ディスカウント/最高裁判例について 他

1.平成27年度改正(1)

■国際電子商取引に対する課税の見直し
・国内向け電気通信利用役務の提供の内外判定
 現行法:役務提供者の役務提供に係る事務所等の所在地
 改正後:役務提供を受ける受益者の住所等

・電気通信利用役務の提供の定義
 該当するもの:電子書籍、音楽などの配信、クラウド上のソフトウェア等を利用させるサービスなど

 該当しないもの:電話、インターネット回線の利用など他社間の情報伝達を媒介するもの、ソフトウェアの制作等、著作権の譲渡、貸付など

・事業者向け電気通信利用役務の提供の定義
 役務提供を受ける者が通常の事業者に限られるものをいう
 よって、電子書籍や音楽配信のように役務提供を受ける者が事業者に限定されない取引は該当しない

・リバースチャージ方式となるもの
 「国外事業者」が行う「電気通信利用役務」の提供で、「事業者向け」電気通信利用役務の提供

 →「事業者向け」以外の電気通信利用役務の提供の場合は国外事業者申告納税方式が採用される

・免税事業者
 国内事業者である受益者が免税事業者の場合
 :受益者にリバースチャージ方式による納税義務は生じない

 国外事業者が免税事業者で国内事業者である受益者が課税事業者の場合
 :受益者にリバースチャージ方式による納税義務が生じる
 ※課税売上割合95%以上の場合や簡易課税制度の適用を受ける場合はリバースチャージ方式の適用はない


2.変わる役員報酬と税制・会社法

6/1から実施されているコーポレートガバナンス・コードには、中長期の業績と役員報酬の連動を求める原則が盛り込まれている。
しかしそのような役員報酬は現行法人税法上損金に算入されない可能性大。

■損金不算入と想定される理由
ガバナンスコード=中長期的な業績と役員報酬を連動
法人税法=利益連動給与を損金算入するには、事業年度の数値が確定した後、1か月以内に支払う必要がある
⇒法人税法では、複数年度の業績ベースにて算定することは損金算入の要件を満たさないと考えられる

他にも株式報酬が普及する可能性もあるが、いずれも法人税法上の損金算入要件を満たすことは困難と考えられる。

余談
※企業を短期的な思考に走らせないようEUでは201311月、四半期開示廃止を決めており、英国では201411月に廃止された。


3.著作権は電気通信利用役務を構成せず

■インターネットを介して行われるソフトウェア等の販売は、平成27年度税制改正で「電気通信利用役務の提供」に位置付け
⇒消費税の判定は「役務の提供を受ける者の住所等」

■著作権
 販売者が国内事業者であっても、そのソフトウェアは国外事業者から著作権の「貸付や譲渡を受けている」ケースがある
⇒その場合は「著作権の貸付、譲渡」「ソフトウェアの販売」に分解され、独立した「著作権の譲渡」取引と判断される
⇒国外事業者が著作権を持っている場合「国外取引」となる


4.留守手当、出張者の源泉で当局が確認

【前提】
海外子会社に出向している社員に対して、出向元である日本企業から支給される留守宅手当の取扱い
⇒海外勤務によるものであるため、源泉徴収の対象外

【疑問】
非居住者である海外出向者が一時的に出張で帰国した際に支給される留守宅手当はどうなるのか?

(短期滞在者免税制度)
租税条約締結国であれば、以下の要件をすべて満たせば、国内勤務による報酬についても、例外的に源泉徴収の対象外

(1)日本における滞在期間が年間183日以内(短期)であること
(2)報酬を支払う雇用者が日本の居住者ではない(ex.外国子会社)こと
(3)報酬が日本国内に雇用者が有する支店などのPEにより損金計上されない

【結論】
要件(2)に該当せず、短期滞在者免税制度は適用されないため、源泉徴収の対象となる


5.債務免除益の所得区分で納税者が勝訴

【前提スキーム】
・任意組合を利用した航空機リース事業
 ⇒(節税目的で)組合員が任意組合へ出資
 ⇒任組は、出資金と借入金で航空機を購入し、外部へリース
 ⇒任組には、リース収入と減価償却費・支払利息が発生
 ⇒これらの収入・経費はそのまま組合員の不動産所得になる(パススルー課税)
 ⇒当初は、減価償却費・支払利息が多額となり、不動産所得はマイナスとなるため、給与所得などと損益通算して節税できる

【今回事例】
・組合事業が終了
 ⇒借入金残高、任組の業務執行者に対する手数料ともに免除された(債務免除益)
 ⇒免除益について、各組合員は何所得を計上すべきか?

(国)
・借入についての免除益は「雑所得」
・手数料についての免除益は「不動産所得」

(判決/東京地裁)
・免除益はともに「一時所得」
・どちらも、一時所得要件である、非継続要件、非対価要件を満たす
※国は控訴を検討中


6.消費税:未登録国外業者からの課税仕入れについて

■消費者向け電気通信役務の提供
・登録国外事業者から受けたもの⇒仕入税額控除できる
・登録国外事業者以外から受けたもの⇒仕入税額控除できない

■仕訳
未登録国外事業者からデジタルコンテンツ1,000円を購入した場合

(仕入時)
仕入    926  現金 1,000
仮払消費税 74
⇒一旦仮払消費税を認識する

(期末時)
租税公課 74 仮払消費税 74
⇒期末に租税公課に振り替える

<結論>
仕入税額控除はできないが、控除対象外消費税として損金算入できる。


7.判例:米国デラウェアLPSは「法人」に該当と判断

海外の法律を元に組成された組織体を、日本の税制上どう取り扱うべきかを争った事例。

■争点
納税者はパススルーして申告したところ、課税当局はパススルー不可として損益通算を否認した。
LPSが日本の税制上法人であれば
 ⇒LPSは法人税課税、出資者は損失の取り込み不可

LPSが日本の税制上組合であれば
 ⇒LPSでは課税なし(パススルー)、出資者は損失の取り込み可

■最高裁判決
・米国デラウェアLPSは「法人」に該当し、パススルー不可。

■最高裁の判断基準
組織体がパススルーエンティティか否かの判断は、
 ①日本法上の法人に相当する法的地位を付与されていることが疑義のない程度に明白であるか否か
①で判断できない場合は 
 ②当該組織体が権利義務の帰属主体であると認められるか否かを基準として判断すべき。

本件は②の基準を元に判断し、デラウェア州法のLPSは,『(1)いかなる合法的な事業,目的,活動をも実施でき,(2)全ての権限・特権等を保有し行使できる』とされているため、法人として扱うべきとされた。


8.非流動性ディスカウント/最高裁判例について

 ※DCF法に非流動性ディスカウントを加味して良いかどうかの論点。
・サイズプレミアムに関して参照可能な情報に乏しいことを理由にイボットソンを用いて資本コストを計算したことは、十分に合理的
 ※イボットソンは米国の統計データであり日本のVAに適用がOKかどうか疑問がある

・「退出を選択した株主には企業価値を適切に分配する」
 ⇒全体の株主価値を算出し、持ち株割合で分配
 ⇒非流動性ディスカウントもマイノリティディスカウントも考慮しない

・上記は「反対株主の株式買取請求」に限定。
 ⇒売却を希望しないのに売却を余儀なくされた長期保有の均衡状態を会社の意思決定で破壊された


・自発的な売買ではない株式買取請求権の場面において、公正な価格を算定するために設けた投資家に関する一定の前提の結果、非流動性ディスカウントを考慮しないという結論が導かれたに過ぎず、当事者間の一般的な株式売買の交渉においては本決定の影響は無いと考えて差し支えない










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2015年7月24日金曜日

7/24 勉強会:平成27年度における所得税関係の改正について 他

1.平成27年度における所得税関係の改正について

■国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等の創設
⇒国外転出時点の含み益について課税する制度
(1)国外転出をする場合の譲渡所得等の特例
(2)贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例
(3)上記にかかる納税猶予 など

■国外居住親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
⇒非居住者の親族に係る扶養控除等についての改正
下記に該当する場合は一定書類を添付する
(1)確定申告において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
(2)給与等の源泉徴収において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
(3)年末調整において国外居住親族に係る
  扶養控除、配偶者控除等を受ける場合
※一定書類…親族関係書類及び送金等関係書類

■貸倒引当金制度の改正
⇒簡便法による実質的に債権とみられない金額の計算に用いられる
 基準年が平成27年及び平成28年とされた
※平成27年分以後の所得税について適用
 平成26年分以前の所得税については従前どおり

■ジュニアNISA制度の創設
(1)配当所得の非課税
(2)譲渡所得の非課税

NISA制度の改正
(1)限度額の引上げ(120万円)

■住宅ローン控除適用期間の延長
⇒平成31630日まで延長


2.経営判断の原則とは

⇒取締役に善管注意義務違反があったかどうかの判断基準

経営判断の原則の下では、たとえ会社が損害を受けたとしても、「取締役の意思決定の過程と内容に著しく不合理な点」がない限り、取締役に善管注意義務違反に問われない。
⇒損害賠償責任を免れることができる


納税通知書の郵便事故めぐる判決相次ぐ

■納税通知書の郵便事故(不達や遅延)を理由に納税者が地方公共団体を訴えたが、敗訴となる事例が相次いでいる

 (1)納税通知書が到達しなかった
 (2)納税通知書が遅れ、期限内納付が出来なかった

⇒・不達や誤送が相当数発生していた等の事象が無い
 ・郵便事故が発生したとは伺えない

  等、どれも証拠が弱く納税者敗訴となっている


4.税効果開示、294月適用を目途に検討

■回収可能性の判定のみならず、開示項目や税効果に適用される税率(公布日基準)等の見直しも行っている。

■開示項目の見直し
 平成303月期からの適用を検討
∴場合によっては、海外子会社の所在地国における税制を把握するための調査やシステム対応等が必要
 ⇒一定の準備期間を要する

■税効果に適用される税率(公布日基準⇒実質的確定基準)
 平成283月期から適用を検討
∴平成263月期、平成273月期と問題が浮上したのを受け、早期の適用を検討


5.賃貸用建物の取得と借入金の計上、相続税の行為計算否認めぐり裁決

■事例
(1)X氏がA社よりA社所有の建物を3.7億円で購入する売買契約を締結。
(2)X氏が購入資金としてA社より3.7億円を借り入れる契約を締結。
(3)X氏の死亡により相続人Y氏は建物・借入金を相続し申告。
(4)税務当局は上記行為につき「行為計算否認」を適用し、Y氏へ更正処分等を行った。

()相続税における行為計算否認とは同族会社等が行った行為(契約等)につき、相続税等の負担を不当に減少させる結果となる場合には、税務署長が行為等に関わらず再計算して更正を行うことができる。

■争点のポイント
Y氏が納付した相続税につき、上記(1)(2)の行為が相続税を不当に減少させる結果になるか否か。
⇒一般的な面からみて経済的な合理性があるかないか争点

■審判所の判断
・抵当権は設定されているが権利金の授受がない。
・根抵当権の存在を考慮せず売買金額を算定。
・借入金の弁済期は20年後であるが、その支払いの担保がない。
・X氏が死亡した2ヶ月後にA社が買い戻しした。

上記に事実より
(1)の売買契約は一般的な取引と比較して不自然かつ不合理であることから、「行為計算否認」の適用を認める裁決を下した。
⇒売買契約はなかったものとして、税務当局主導による課税価格の再計算をすることとなる。


6.国境を越えた消費税、特定課税仕入れで通達改正

H27.10.1以後、国外事業者から受けた「事業者向け」電気通信利用役務の提供については、国内事業者が消費税等の申告・納税義務を負う(リバースチャージ方式)
・経理上の取扱いが、通達で示された
例)外国企業に、広告配信サービス(税込み10,800円)を依頼した。

⇒原則の仕訳例
 広告宣伝費 10,800 / 現預金 10,000
               / 預り金   800

⇒その他の仕訳例(個人事業者等)
 広告宣伝費 10,000 / 現預金  10,000
 仮払金等   800 / 仮受金等  800


7.受取配当益金不算入 前期末帳簿価額の計算について

■対象⇒関連法人株式等(1/3超・100%未満)
・控除負債利子の計算が必要
283月期においては原則法の計算が必要

※原則法
前期末及び当期末の関連法人株式等の帳簿価額を計算に使用

■設例
前期末 A株式 30%保有 帳簿価額30
      B株式 40%保有 帳簿価額40
当期末 A株式 40%保有 帳簿価額40(買増)
        B株式 40%保有 帳簿価額40
の場合、

前期末の関連法人株式帳簿価額 40
当期末の関連法人株式帳簿価額 80
で計算

※あくまで前期末において1/3超保有していたものだけが対象となる


8.相続税:自民党が『遺言控除』の検討に着手

■概要
・自民党内で『遺言控除』の創設が検討されている。
・相続税の基礎控除に上乗せする形で控除枠を設定する。
・控除額や遺言の形式要件等を検討中。
H29年度以降の税制改正要望となる見込み。

■目的
遺言の作成にインセンティブを与え、作成を促す。
・遺産分割をめぐる紛争の防止
・介護の貢献に見合った遺産相続を促す  等...


9.非流動性ディスカウント

・非流動性ディスカウントは、その投資にどれほどの流動性を要求するかという投資家側の主観的事情や保有形態によって左右される

カネボウの地裁決定(H20.3.14
・定数株主は譲渡を余儀なくされたのであるから、
 株主が進んで株式を売却することを前提とした非流動性ディスカウントを考慮すべきでない


10.平成283月期第一四半期の四半期報告書作成の留意点

1. 企業結合会計基準等の改正に関する留意点
(1) 主要な経営指標等の推移
・『四半期(当期)純利益 ⇒ 親会社株主に帰属する四半期(当期)純利益』へと変更
・当該基準を過年度に遡及して適用している場合 ⇒ その旨を注記

(2) 本表(BSPLSS
・表示の変更
  ※『少数株主持分 ⇒ 非支配株主持分』 へ変更など

(3) 会計方針の変更に関する注記
 a) 遡及して適用
 ・表示を変更した旨を注記
 ・期首残高が、当該会計方針を遡及適用することにより変動した金額を注記
 b) 当期首から将来に渡って適用
 ・表示を変更した旨を注記
 ・当第一四半期において、会計方針を変更したことによる影響額を注記

(4) 追加情報
 ・当該基準を早期適用した場合には、その旨を追加情報に注記
   ※当該会計基準の適用年度 :平成27年度41日以降開始する事業年度

(5) 一株当たり情報
 ・表示の変更

(6) 四半期連結CS
 ・連結範囲が変わらない場合の、子会社株式の取得、売却の表示区分の変更
  『投資CF ⇒ 財務CF
 ・比較情報(前年同期のCS)の科目の組換は不要(『-』表記)

2. 非財務情報に関する留意点
 ・役員の男女別人数と女性比率を記載


11.国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直しの概要

■概要
(1) 適用対象・適用時期
  適用対象:電気通信利用役務
  適用時期:2015101日以後

(2) 内外判定基準の見直し
  現状:役務の提供を行う者の所在地
     ⇒役務の提供を受ける者の住所等

(3) 課税方式の見直し
  事業者向けの役務提供⇒申告義務を役務提供を受ける国内事業者に転換

■趣旨
 同一の取引について、国内事業者による提供は消費税が課税されるのに国外事業者による提供は消費税が課税されない
 ⇒課税の不公平


12.平成27年度税制改正における法人税関係の改正について

・法人税率の引き下げ(平成2741日以後開始事業年度より)
 25.5%→23.9%に引き下げ

・欠損金の繰越控除(中小法人以外)
 -平成2741日~平成29331日までの間に開始する事業年度
 所得の65

 -平成2941日以後開始事業年度
 所得の50

・受配の益金不算入の対象となる配当額を4つに区分
(平成2741日以後開始事業年度より)
① 完全子法人株式等(保有割合100    →不算入割合100
② 関連法人株式等(保有割合1/3超)    →不算入割合100%△負債利子
③ その他株式等                        →不算入割合50
④ 非支配目的株式等(保有割合5%以下) →不算入割合20


13.キャッシュ・アウト

(1) キャッシュ・アウトとは
 ・株主の個別の同意なく株式を取得すること
  →例)上場企業のMBOにおいて、全ての株式を取得するためにTOB1段階目)を実施し、残りの少数株主をキャッシュ・アウト(2段階目)するのが一般的

(2) キャッシュ・アウトと似た制度:特別支配株主による株式等売渡請求制度
 ・総株主の議決権の10分の9以上を有する株主は、他の株主全員に対して全株の売渡を請求できる
 ・異なるポイント
  →株式等売渡請求制度は株主総会を開催しないでキャッシュ・アウト出来る点
  →株式等売渡請求制度は株式だけではなく、新株予約権も対象と出来る
  →株式等売渡請求制度は対象会社の承認が必要(取締役会)、仮に十分な検討が無ければ、取締役の善管注意義務違反の可能性あり


14.中国人 マンションも爆買い ホテル利用目的で

・東京湾岸エリアでは1割強、新宿・六本木などでは2割の部屋を外国人が購入。
・「投資用ホテル」としての購入目的が増えている
・新築マンションを普通に貸しに出せば、利回りは4% 対してホテル利用だと15%
・世界的に利用されているホテルマッチングサイト「Airbnb」を活用
・住民にとっては不特定多数の人間がマンションに出入りし、騒音や犯罪の温床にも
・法律的にはマンションのホテル利用は黒に近いグレー(旅館業は地方自治体への許可申請が必要)
・ただし規制改革で「イベント開催時など、宿泊施設の不足が見込まれる場合は許される」方向に(2016年中に最終結論)

・ホテル管理組合の総会特別決議で禁止にすることもできるが、4分の3以上の賛成が必要










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