1.D&O保険料の会社負担可も給与課税対象
■D&O保険
以下の2つがある
・普通保険約款
第三者訴訟における役員の損害賠償責任をカバー
保険料を会社負担した場合、給与課税なし
・株主代表訴訟補償特約
株主代表訴訟における役員の損害賠償責任をカバー
保険料を会社負担した場合、給与課税あり
…会社法:忠実義務違反に抵触しかねないと指摘あり
税務上:源泉所得税の個別通達に規定あり
■政府の方針の明確化
・株主代表訴訟補償特約の保険料の会社負担を問題なしとするよう会社法の解釈を明確化する方向
…犯罪や法令違反を認識しながら行った行為等に基づき生じた損害をD&O保険では免責としているため
・ただし個別通達があるため、保険料を会社負担とすると税務上は給与課税されてしまう
⇒個別通達の改正を求める声が上がることが予想される
※D&O=Directors and
officers
2.無対価株式交換の会計処理の明確化を求める声
・無対価の組織再編の取扱いについて
⇒「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」において合併と分割の場合を規定。
株式交換の場合の処理が規定されていない。
よって実務対応専門委員会に今後のテーマとするよう依頼中。
3.中小規模事業者(マイナンバー)
【原則】事業者のうち従業員が100名以下の事業者のこと
該当する会社はマイナンバーの安全管理対応が特例で軽減される
【例外】下記に該当する場合は中小規模事業者にならない
(1)行政機関等
(2)税理士事務所、社会保険労務士事務所
(3)金融系事業者
(4)個人情報取扱事業者
4.税効果指針、控除対象外消費税を明記へ
■企業会計基準審議会は日本公認会計士協会の税効果に関する実務指針等の内容に相当するものを会計基準として別途策定することを検討
■「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」も検討対象の一つ
(具体的に検討している内容)
・新基準の適用対象となる税金の範囲をどうするか
・控除対象外消費税に関する会計処理及び表示の取扱いを明記するか
・固定資産税等の認識時期について明記するか
・固定資産税や不動産取得税の処理の定めを置くか
5.マイナンバー制度
・H27年10月5日より国民1人ずつに付与される。
・一度付与されたマイナンバーは、原則として生涯変更されることはない。
・利用目的を明示した上でマイナンバーの提出を求める必要あり。
目的を明示していない業務等にてマイナンバーを使用することはできない。
■Q&A
(1)Q:マイナンバーの本人確認につき通知カードが手元にない場合は?
A:住民票の写しに加え運転免許証等を提示してもらう。
マイナンバー施行後、住民票にマイナンバーが記載されることとなるため。
(2)Q:マイナンバー取得にあたり独自の届出書を提出してもらうが、扶養親族に記載してもらう際の注意点は?
A:独自の届出書を使用する場合は、扶養親族等の委任状が必須である。
「扶養控除等申告書」への記載については、従業員が扶養親族等の本人確認をすれば問題なし。
この手続きがいち早く収集することが可能である
(3)Q:不動産使用料の支払調書が不要となる場合(個人に対する年12万円の使用料)のマイナンバーは?
A:不要である場合はマイナンバーを取得する必要はない。
次年度以降提出する可能性がある場合は、契約締結時に取得しても構わない
※個人へ15万円超の家賃支払いは支払調書の提出が必要となる
⇒マイナンバーを記載して提出する必要あり
(4)Q:取引先が法人の場合の本人確認は?
A:確認する必要はなし
なお国税庁のHPに掲載されるため、検索が可能であるから。
(5)Q:非上場会社が支払う配当につき、株主からマイナンバーを取得する必要はあるか?
A:H28年1月以降、配当を行う前に既存株主のマイナンバーを取得する必要あり(本人確認も必須)
ただし、3年間の経過措置があり、H31年1月以降の配当よりマイナンバーが必要となる。
またH28年1月以降に新たに株主になった者は、その時点でマイナンバーの提供を求める必要あり
(6)Q:個人カードを身分証明書にする際の注意点は?
A:源泉徴収票の作成事務等以外で使用することは認められていない。
身分証明書としてコピーされる場合は、番号をコピーされていないことを確認する必要あり
(7)Q:従業員が退職した場合のマイナンバーが記載された書類はどうするか?
A:事務処理を行う必要がある場合に限り保管し続けることができる。
扶養控除等申告書は法令で7年間の保存義務があるため、従業員の退職後も保存しておく必要あり。
(8)Q:マイナンバーのデータの廃棄等について
A:法令等で保存期間を経過した場合は、速やかに復元できない手段等で削除・廃棄する必要あり。
中小規模事業者は責任者が廃棄等の確認をすれば問題なし。
(9)Q:PC上のマイナンバーを見られないための対策は?
A:必ずしも別室にて作業を行う必要はなし。
社内の事情にあった対策をとれば問題なし(フォルダにPWをかける等)
6.米国LPS訴訟
外国事業体の法人該当性で最高裁が判断基準を示す
■概要
・日本の居住者が海外不動産へ投資した。
・銀行を通じて、米国デラウェア州のLPS契約により設立した会社へ現金を拠出。
・LPSが日本の法人でないと判断し、LPSの事業から生じた損失をパススルー課税として給与所得と損益通算した。
(注)LPSとは投資事業有限責任組合のこと
組合員により構成され、組合員へ財産の分配がされる。
■争点
LPSが日本の租税法上において「法人」に該当するか否か
■判断基準
(1)外国事業体(海外の法人)が該当国の法令で、日本法上の「法人」に相当する法的地位を付与されているか。
または付与されていなくても疑義のない程度で明白であるか。
(2)(1)が確認できない場合は、その外国事業体が権利義務の帰属主体であると認められるか。
■最高裁の判断
(1)はデラウェア州の法律を参照しても、日本法上の「法人」に相当するか明白であるとはいえない。
(2)については以下の点より帰属主体と判断できる。
・法律行為の当事者となることができる。
⇒外国事業体名で財産等の所有、法律行為を行うことができる
・法律の効果が帰属する。
⇒外国事業体が法律行為により発生する債権を有し債務を負う。
⇒外国事業体が訴訟上の当事者能力を有する
⇒債権債務が帰属されているのであれば、損益の帰属すべき主体も外国事業体である。
∴LPS事業により生じた所得は、外国事業体に帰属するため、納税者はLPSより生じた損失を損益通算することはできないと判断した
7.馬券払戻金の所得区分の判断、最高裁事案と異なり一時所得に
・独自のノウハウにより、5年間で約72.7億の馬券を購入し、5.7億円の利益を計上
・雑所得として、ハズレ馬券を必要経費に計上できるか?
【東京地裁】
・一時所得であり、ハズレ馬券は必要経費に計上できない。
・PCソフトで自動的に馬券購入していた訳ではなく、独自要素を使ってレースごとに予想している。
⇒偶発的利益が積み上がったもので、継続的行為による利益ではない。
・規模が大きい=継続的行為 ではない。
※控訴中
8.医療費控除:医師の指導に基づくサプリメントの購入について
■医療費控除の対象となる医療費
・医師又は歯科医師による診療または治療
・治療又は療養に必要な「医薬品」の購入
など
■「医薬品」とは
・薬事法第2条第1項に規定する医薬品を言う
■サプリメントの取り扱い
・通常、厚生労働省の承認を受けていない(薬事法に規定されていない)
⇒たとえ、医師の指導により購入しているものであっても「医薬品」に該当しないため、医療費控除の対象とならない。
なお「医薬品」に該当するものであっても健康増進等のために購入するものは医療費控除の対象とならない。
9.所得税:事業関連者からの開業祝金 ⇒所得税?贈与税?
個人事業主が受け取る開業祝金は、どの税目で課税されるのか。
①売上ではなく個人間の贈与なので、贈与税の対象?
②事業上の収入であるため、所得税(事業所得)の対象?
⇒②所得税の対象とすべき
■考え方
・資産の譲渡や役務提供の反対給付として受け取るもの(売上)であるか、単に貰うものであるかは判断基準とはならない。
・事業に付随して受領するか否かがポイントとなる。単に貰うケースでも、事業関連性があれば事業所得の収入とする。
⇒開業祝金は事業に関連するものであるため、贈与税ではなく所得税の範疇で課税される。
10.多重代表訴訟制度
・最終完全親会社等の株主が、子会社の取締役等の責任について代表訴訟を提訴できる制度。
・議決権の1%以上を保有する株主に限定
・訴訟の対象は「重要な子会社」の取締役等の責任
⇒対象子会社の株式の帳簿価額が最終完全親会社等の総資産額の1/5を超えている必要がある。
11.会社法上で、会計監査人監査が必要な場合の諸論点
1. 会社法上、会計監査人監査が必要なケース
・大会社(資本金5億以上 or 負債200億以上の会社)
・指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社
・会計監査人を任意に設置した会社
※会社法上、監査を求めている理由は、適正な計算書類を作成し、開示することにより、株主や債権者の保護を図るため。
2. どのタイミングで大会社に該当するのかを判断し、いつから会計監査人監査が必要となるのか。
⇒ 定時株主総会で承認された貸借対照表で大会社かどうかを判定
⇒ 該当することとなった場合、翌事業年度から会計監査人監査が必要となる。
12.土地を売却した結果、消費税計算で課税売上割合が低下した場合の対処法
1. 課税売上割合が低下するとどうなるか
⇒ 仕入税額に課税売上割合を乗じた金額を、仮受消費税から控除できる。
⇒ 課税売上割合が低下すると、控除できる金額が減り、納付すべき税額が増える。
2. 土地の売却により、課税売上割合が低下した場合の対処法
(1) 対処法
⇒ 課税売上割合に準ずる割合の適用を検討
⇒ 課税売上割合に準ずる割合とは、過去の課税売上割合を基に算出されるもの
⇒ 土地の譲渡を考慮しない割合で消費税計算が出来る。
(2) 課税売上割合に準ずる割合とは
・土地の譲渡が単発
・従来と事業の実態に変化がない
⇒ 上記をすべて満たした場合、下記のいずれか低い割合を課税売上割合に準ずる割合として、課税売上割合の代わりに使うことが出来る。
(1) 土地の譲渡があった前3年の通算課税売上割合
(2) 土地の譲渡があった期の直前期の課税売上割合
3. 留意点
・仕入税額控除の計算において、個別対応方式を採用していないと使えない。
・税務署長の承認が必要なため、決算日の3か月前には、申請することが望ましい。
13.カーブアウト型M&A特有の検討事項
・カーブアウト型M&A
企業から一部(部門・工場と人員・特定の製造ラインなど)を切り出し、それを他の企業が買い取る形のM&A
・特性・留意点
(1) 財務諸表の作成方法や前提に起因する特性
・M&A用に「急いで」作成されたものであることが多いため、事業部門の範囲にズレが生じる場合あり
・部門別に分けられていても本社費が一定の方法で配賦されているような場合は留意が必要
(2) BSに関する特性
・対象部門に係る負債の把握
・事業部門間で共有する資産の振り分け
(3) CFSに関する特性
・無理やり切り出したBS・PLをもとに作成したCFSの信頼性 → 資金繰り問題ないか
(4) PLに関する特性
・スタンドアローン費用の把握
14.キャッシュ・アウト手法選択上のポイント
【キャッシュ・アウトとは?】
対象会社の支配株主が、少数株主の株式全部を承諾を得ることなく金銭を対価に取得し、締め出すこと
・手法の検討・判断が必要に
⇒今までは、全部取得条項付種類株式を活用する手法が一般的
⇒改正会社法により、2つの手法が加わった。
①特別支配株主の株式等売渡請求を用いる手法
特別支配株主(90%以上保有株主)は、個々の売渡株主等の個別承諾を得ることなく、売渡株式等の全部を金銭を対価として取得することが出来る。
②株式併合を用いる手法
キャッシュアウト実施者以外には、株式併合後には端数しか残らないような併合比率で株式併合を行う
・どれを選択するか?
A 保有議決権割合が90%以上
→①の特別支配株主の株式等売渡請求を用いる手法を検討。時間と手続きの負担が軽い為。
B 補修議決権割合が90%未満
→②の株式併合を用いる手法を検討。財源規制違反に伴うリスクを回避できる点等。
15.監査等委員会設置会社のメリット・デメリット
■メリット
(1)取締役会付議事項の削減による経営判断の迅速化
・取締役の過半数が社外 または 定款の定めがある場合
重要な財産の処分と譲受
多額の借財
支配人その他の重要な使用人の選任と解任
支店その他の重要な組織の設置・変更・廃止 等
(※一定の法定事項を除き)
重要な業務執行の決定の全部または一部を取締役に委任OK
(2)社外取締役の重複感の解消
・監査役設置会社は社外取締役2名+社外監査役2名=社外役員4名
・監査等委員会設置会社は監査等委員会を3名で内社外を2名でOK
(3)海外投資家、機関投資家からの指示
・監査等委員会設置会社では、監査等委員会は議決権を有する取締役により構成され
・取締役人事・報酬等に関して株主総会に意見陳述権を有する
→海外投資家への説明がしやすく指示を得やすくなる
16.【会社法】⇒ 社外取締役の要件が変更。
・(従来)
× 会社や子会社の業務執行取締役、従業員およびその経験者
・(変更後)
× 会社や子会社の業務執行取締役、従業員およびその経験者(直近10年間)
× 親会社の取締役
× 兄弟会社の業務執行取締役
× 会社の取締役・重要な従業員・支配株主の2親等以内の親族
【証券取引所規則】⇒「独立」社外取締役 原則2人以上、1人以上必須
「独立」社外取締役とは、社外取締役のうち下記を満たす人物
・重要な取引先でない
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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