2011年4月20日水曜日

包括利益計算書 / 1計算書方式? 2計算書方式? どっちを採用するか?

コンバージェンスに伴い、日本でも、「平成23331日以後終了する連結会計年度の年度末」、つまりこの3月決算から、連結財務諸表において包括利益計算書が導入されることになりました。

包括利益計算書の作成方法ですが、
「1計算書方式」と「2計算書方式」のいずれかの方法が認められています。

「1計算書方式」とは、当期純利益を表示する損益計算書と、包括利益を表示する包括利益計算書を【連結損益及び包括利益計算書】として、1つの計算書で表示する方式。

「2計算書方式」とは、【損益計算書】と【包括利益計算書】と、2つの計算書に分けて表示する方式。

いずれの計算方式を取るか、それぞれの企業が決めなければなりませんが、
2つの比較を、いくつかの観点からご説明したいと思います。

■ IFRSの考え方 1計算書方式

「1計算書方式」は、IFRSの考え方である、資産負債アプローチと整合する考え方です。いずれは「1計算書方式」へ一本化する方向で議論が進んでいます。わが国のIFRSベースの有報提出第1号となった日本電波工業も「1計算書方式」を採用しています。

企業の選択 2計算書方式が多い

現在のところ、多くの企業が2計算書方式を採用しています。
理由は、従来と同じく、「当期純利益」を、計算書のボトルラインで示したいということです。
投資家にとっても、経営者としても「当期純利益」を重視するという考え方です。

会計監査の視点から 2計算書方式が多い

会社法上、監査対象として要求されている「連結損益計算書」は、売上高から当期純損益までを構成する項目を表示する計算書のことをいい、包括利益会計基準が定める【連結包括利益計算書】や【連結損益及び包括利益計算書のその他の包括利益の内訳部分】は、監査対象ではないとされています。
このため、会計監査人は、売上高から当期純損益までで構成される【連結損益計算書】のみを監査対象とします。
以上より、監査対象を明確にするため、【連結損益計算書】と【連結包括利益計算書】を分けて作成する、「2計算書方式」を採用する会社が多いのではないかと思われます。

いずれの方式も認められていますので、まずは監査人とご相談されてはいかがでしょうか。

なお、平成23年3月29日に日本公認会計士協会より【監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正について】が公表されております。
P13の(注3)連結損益計算書についてをご参照ください。

【リンク先】 ⇒「監査・保証実務委員会報告第75号「監査報告書作成に関する実務指針」の改正について」の公表について

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