「資本と利益の混同禁止の考え方との整合性は?」
今回は、そんな問いにお答えしたいと思います。
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【原則】
減資した場合、その金額を株主に払い戻さない(いわゆる無償減資)ケースでは、
その金額は、その他資本剰余金に移ることになります。
これは、減資差益だけでなく、自己株式処分益も同じです。
減資差益であれ、自己株式処分益であれ、両方とも払込資本としての性格をもっています。
したがって、資本金、資本準備金、その他資本剰余金のいずれかに計上することになりますが、
資本金及び資本準備金については会社法第445条の規定により定められており、
両者に該当しないため、自己株式処分益と減資差益は、その他資本剰余金に計上します。
ただし、減資差益は、株主総会の議決に基づき、準備金に積み立てることもできます(447条)。
【応用編】
では、冒頭の、資本金を減資して、欠損金を補填する(つまり、減資金額を、利益剰余金に移す)ことが出来るのか、ということですが、
それは、まさに、「欠損金を補填する場合に限り」認められています。
これは、自己株式会計基準61 に、
資本剰余金から利益剰余金への振替が認められるケースとして記載があります。
「利益剰余金が負の残高のときにその他資本剰余金で補てんするのは、資本剰余金と利益
剰余金の混同にはあたらない」「負の残高になった利益剰余金を、将来の利益を待たずにその他資本剰余金で補うのは、払込資本に生じている毀損を事実として認識するものであり、払込資本と留保利益の区分の問題にはあたらないと考えられる」
従って、利益剰余金がマイナスの時、利益剰余金がゼロになるところまでは、減資金額を利益剰余金に移すことが出来ますが、利益剰余金をプラスにする、あるいは元々プラスである利益剰余金を増やすことは出来ないことになります。
ただし、この記述を見る限り、
「資本金を取り崩して、直接利益剰余金に移す」のではなく、
「資本金を取崩して、資本剰余金増加 ⇒ 資本剰余金から利益剰余金へ振替」と、2段階で処理するのが正確な処理と考えられます。
事例:東理ホールディングス 「減資のお知らせ」
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