1.塾講師・家庭教師への報酬、給与所得か否かで判決
■給与所得と東京地裁が判断したポイント
①家庭教師等は契約で規定された単価を基礎に、
従事時間に応じて報酬の支払を受けている
→報酬は労務の提供の対価としての性質がある
②指導内容の優劣や具体的な成果で報酬の増減がない
労務の提供にあたって必要な経費負担の義務がない
→家庭教師等の労務の提供は自己の計算と危険によるものとは言い難い
③家庭教師等は業務遂行の状況を原告企業に報告することを義務付けられている
→原告企業に空間的、時間的な拘束を受けているといえる
■事業所得と給与所得についての最高裁判決
(昭和56年4月24日第二小法廷判決)
①事業所得とは
自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、
かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが
客観的に認められる業務から生ずる所得
②給与所得とは
雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した
労務の対価として使用者から受ける給付をいう
また、給与支給者との関係において何らかの空間的、時間的な拘束を受け
継続的ないし断続的に労務または役務の提供があり、
その対価として支給されるものであるかどうかを重視する
2.小規模宅地等の特例の改正
■小規模宅地等の特例とは?
相続人が自宅や会社の土地・建物などを相続する際、
一定の条件を満たせば評価額を80%減額できる制度
■平成25年度税制改正(抜粋)
限度面積→特定居住用宅地等が、240㎡→330㎡に拡大
特定事業用等宅地等と特定居住用宅地等が
合計で400㎡→730㎡まで利用可能に。
※1坪=約3.3㎡
■適用時期
平成27年1月1日以降の相続
■まとめ
改正により大きな恩恵を受けるのは、
(特定居住用宅地等と特定事業用宅地等を併用できる)
同族会社のオーナーや個人事業主、都市農家などに限定されると考えられます。
3.事業承継の雇用確保は8割平均でOK
■事業承継税制とは
⇒相続や贈与によって後継者が非上場会社の株式等を取得した場合に
一定要件を満たせば納税が猶予される制度。
■事業承継を受けるための要件(現行)
①先代経営者の親族である後継者が代表者を継続する
②先代経営者が役員を退任する
③役員を除く社員の数が事業承継時の80%以上を維持する。
■25年税制改正による要件緩和
①後継者は親族でなくてもよい
②先代経営者が代表でなくなれば役員にいてもよい
③承継後五年の平均で80%以上を確保すればよい
※資産管理会社の場合
⇒資産管理会社に該当する場合は、
事業承継税制を適用することができない。
⇒資産管理会社の判定は以下のいずれかひとつでも満たさない場合
・親族以外の従業員数が常時5人以上
・事業所を自ら所有or賃貸
・相続or贈与の日の前に3年以上継続して商品販売等の事業活動を実施
4.【所得税・贈与税】入居前リフォームと特例適用の可否
住宅を取得した際に税務上の優遇を受けられる特例として、
『住宅ローン控除』と『住宅取得等資金贈与の非課税特例』がある。
これらは住宅取得だけでなくリフォームを行った際にも適用を受けられるが、
適用範囲が微妙に異なる。
■住宅ローン控除
⇒
入居前リフォーム、入居中リフォームのいずれにも適用可能
■住宅取得等資金贈与の非課税特例
⇒
入居中リフォームにのみ適用可能
5.【所得税判例:馬券の払戻金に係る所得について】
■概要
会社員Aは平成19年からの3年間で額面総額28億円の馬券を購入し
多額の利益を得ていたが、
申告していなかったことから所得税法違反に問われた。
今回の裁判では所得区分及び必要経費性が主な争点となった。
■検察側
所得区分⇒所得税基本通達により一時所得(継続性・恒常性なし)
必要経費⇒収入を得るために支出した額=的中馬券にかかる購入額のみ
外れ馬券⇒収入と対応しないため考慮しない
■大阪地裁
所得区分⇒営利を目的とした恒常的な行為であるため雑所得
必要経費⇒収入を得る為に支出した投下資本の額
外れ馬券⇒収入と対応するため必要経費算入
<ポイント>
①購入履歴から「営利を目的とした継続的行為」であることが
客観的にあきらかであれば一時所得にあたらず雑所得となる。
②雑所得とされる場合は外れ馬券も必要経費となる
(費用収益の対応関係あり)
・大型買収を繰り返す
・普通に考えれば狂気の沙汰
・いずれも今のソフトバンクにつながる重要な決断
・一見無謀に見えるがその裏には合理的な計算がある
・3割以上のリスクは冒さない=7割以上勝てることへの100%の確証が
絶対に必要
⇒これが孫氏の合理性の超え方
・ソフトバンクは人的なリストラをやったことが一度もない
7.海外親会社の非課税設立手法
・結論
⇒三角組織再編成という手法。
・三角組織再編成
外国法人の日本子会社が外国親会社の株式を対価として内国法人を
吸収合併、吸収分割、または完全子会社にする手法。
⇒①海外にF社を設立
②国内にS社(存続会社)を設立
③国内のT社(消滅会社)株主にF社株式を交付して合併
<注意点>
租税回避防止規定がある。
・非居住者・外国法人株主に対して外国親会社の株式が交付される場合
・特定の軽課税国の外国法人(特定軽課税外国法人)の株式を対価とする場合
⇒課税が生じる。
※特定軽課税外国法人
⇒法人の所得に対して課される税が存在しない国にある外国法人。
所得に課された租税負担割合が20%以下の外国法人。
EX.香港、シンガポール、ドバイ、ニューカレドニアなど
8.卸売・小売業のデューデリジェンス留意点
①滞留在庫の評価
会計:販売不能な在庫が適切にゼロ評価されているか?
(損失計上したくない意図から、
セールで値下げすれば販売可能な在庫として処理している可能性)
税務:損金算入要件を満たしているか?
・災害により著しく損傷
・著しく陳腐化
(通常の方法では販売できないこと。物価変動や過剰生産はダメ)
②得意先に対する信用リスク
会計:与信管理態勢が適切に整備運用されているか?
税務:貸倒損失、貸倒引当金の損金計上要件を満たしているか?
・更生計画認可の決定等により切捨てられる金額
・相当期間債務超過の債務者に対し書面で明らかにした債務免除額
③ポイントの取扱い
会計:未使用ポイント残高は引当計上されているか?
ポイント使用見込額は、
過去のポイント使用実績をもとに算定されているか?
税務:ポイント引当金繰入額は損金不算入
9.建設業の財務DDのポイント
■ビジネス関連
・官民比率:バランス
・資金調達:運転資金
■財務関連
・収益認識:進行基準の適用における工事見積りの精度
・債権回収管理:特に民間工事
・工事損失引当金:原価>収益の場合、収益認識の種別なく計上
■その他
・瑕疵担保責任:工事補償損失引当金
・訴訟:支払いの可能性
10.ソフトウェア・コンテンツ産業のDD
(1)ソフトウェア
①実在性
・ソフトウェアが保管されているサーバーに接続
・ソフトウェアを確認、起動、テスト
②評価
・DCF法が多い
③ソフトウェア(資産)と研究開発費(費用)の区分
・最初に製品化したマスター作成までの費用→研究開発費
・それ以降販売までの費用→ソフトウェア
(2)コンテンツ(文章、音楽、ゲーム等)
①権利関係の確認が大事
・権利者は誰か?
・権利者の権利を違法に侵害していないか?
②評価
・DCF法が多い
・評価ポイント
→将来のキャッシュフローをどのように見込むか
→割引率どのように算定するか
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