1.事業承継税制の要件緩和と厳格化
■緩和されたもの
①雇用確保要件…「5年間8割以上」から「5年間平均で8割以上」
②後継者親族承継要件
…後継者は「親族のみ」から「親族外」も適用可能に
③役員退任要件…「役員を退任」から「代表を退任」
■厳格化されたもの
資産管理会社の判定要件が厳格化
次のすべての要件を満たせば、
資産管理会社でも事業承継税制の適用が可能
①常時使用する従業員数が5人以上※1
②常時使用する従業員が使用する事務所等が
自社所有または第三者からの賃貸
③相続開始等の日の前3年間以上継続して事業活動等を行っている※2
※1:相続人と生計一の親族を除いて判定することになった
※2:相続人の親族に対する貸付は事業活動とみなさないことになった
■資産管理会社とは
①資産保有型会社
特定資産の合計額 ÷ 総資産価額 ≧ 70%(相続開始直前期の簿価を基に判定)
②資産運用型会社
直前期の特定資産の運用収入 ÷ 直前期の総収入金額 ≧ 75%
※特定資産
①有価証券等
②遊休地、賃貸用不動産など
③ゴルフ場を利用する権利
④絵画など
⑤現預金(代表者、その親族に対する貸付金、未収入金を含む)
2.大会社の株特基準、5月27日から50%に
A社株式(非上場、大会社)の相続・贈与時の評価額は?
■改正前
①通常
→類似業種比準方式を使用可能
②A社が、株式を総資産の25%以上持っていた場合
→株式保有特定会社に該当
→類似業種比準方式は使えない
■改正点
・②の判定基準が、「50%以上持っていた場合」へと変更
→類似業種比準方式の使用可能範囲が拡大
■適用日等
・H25年5月27日以後の相続・贈与から適用
・過去に遡っての適用も可能
※下記要件を満たす場合、更正の請求可能
・期間制限(相続税は法定申告期限から5年、
贈与税は法定申告期限から6年)以内の相続・贈与であること
・取扱の変更を知った日の翌日から2月以内に請求すること
3.少人数私募債使った節税封じ込め措置の適用対象者
■平成25年度税制改正(※1)における適用対象者
① 特定個人(※2)
② ①の親族
③ ①と事実婚の関係にある者
④ ①の使用人
⑤ ①から受ける金銭等で生計を維持する者
⑥ ③~⑤と生計を一にする③~⑤の親族
※1平成25年度税制改正
平成28年1月1日以後に発行された少人数私募債に係る利子は、
総合課税が適用(現在は、15%の源泉分離課税)
※2特定要件を満たした役員
4.小規模宅地、二世帯住宅にかかる政令判明
■小規模宅地の特例
小規模宅地等を相続したときに、
その土地が特定居住用宅地等に該当した場合、
240㎡まで80%の評価減可能となる制度
■特定居住用宅地等の要件
⇒被相続人と同居の親族(配偶者は除く)が取得する場合という要件がある。
■二世帯住宅は同居とみなされるのか?(改正前)
⇒同じ建物で、内部に階段があり自由に行き来ができる等の構造の場合、同居とする。
⇒同じ建物でも外部階段のみで行き来など各家庭が独立している場合は同居とならない。
■改正後
⇒二世帯住宅であれば、内部で行き来なくても同居とする。
■主な改正点
・適用期限が平成29年12月31日まで延長
・平成26年4月1日~平成29年12月31日に居住した場合は下記の通りとなる
消費税率5%で取得した場合⇒年間控除限度額 20万円
消費税率8%以上で取得した場合⇒年間控除限度額 40万円
※消費税負担の増大に伴う影響を平準化するための措置が講じられた
<例>
借入金額4,000万(10年間の平均残高3,000万)、購入本体4,000万の場合
【消費税額】
5% 200万
8%
320万
10%
400万
【住宅借入金控除額(10年間合計)】
5% 200万
8% 300万
10%
300万
⇒10%になってからの購入は明らかに不利
・多くの企業はメリット感じず
・日本基準はIFRSとほぼ同等の基準となっており、
異なる部分についてはIFRSの改善項目として問題提起している
・グローバルに活動する企業以外の多くの企業はメリットを感じていない
①会計方針、表示方法の変更
→事業年度を通じての首尾一貫性が求められる為、第1四半期から検討
②連結の範囲
→第2四半期以降に重要性が高まるか否かを考慮し検討
③セグメント
→第1四半期に重要性がなくとも、一時的な場合は開示対象
→管理手法、事業セグメント利益は第1四半期以降で変更することも考えられる
④キャッシュフロー計算書→第1四半期に作成した場合、
原則第3四半期も作成するため慎重に作成要否を判断
8.複数税率の影響を考慮した税効果会計
■税金費用の計算方法
①年度決算の同様の方法
・DTA及びDTLは、回収または支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算
・スケジューリングが不能な一時差異については、一律に復興特別法人税額を含まない税率で計算
②四半期特有の会計処理
(1)見積実効税率を用いる方法
・基本的な取扱い(複数税率の影響を考慮した見積実効税率)
・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い(従来の見積実効税率)
(2)法定実効税率を用いる方法
・基本的な取扱い(複数税率の影響額を各四半期に合理的な方法で配分)
・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い(影響額の配分を行わない)
■見積実効税率の算定方法(上記②(1))
・基本的な取扱い
見積実効税率=
予想年間納付税額(年間の課税所得×当期税率)+予想年間法人税等調整額(DTA・DTLの増減から予想)
予想年間税引前当期純利益
・複数税率の影響が重要ではない場合の取扱い
見積実効税率=
予想年間税金費用(予想年間税引前当期純利益±一時差異に該当しない差異×法定実効税率-税額控除額)
予想年間税引前当期純利益
9.子会社等の業績悪化、子会社清算に関するポイント
■業績不振の子会社を解散・清算により整理する場合
・税務上、100%完全支配関係にある法人同士を一体ととらえる考え方が適用
(完全子会社か否かは、残余財産確定時で判定)
・完全子会社に該当する場合
⇒会計上は、子会社整理損が計上される。
税務上は、子会社整理損の損金算入はできない。
⇒欠損金は、親会社が引き継ぐことができる。
※要件 ①残余財産確定日の時点で完全支配関係あり
②残余財産確定日以前の最低5年間、支配関係が継続
・完全子会社に該当しない場合
⇒税務上も子会社整理損は損金算入できる。
⇒欠損金は、引き継ぐことができない。
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