2014年4月20日日曜日

4/18 勉強会:ネット役務提供の国外事業者に対する消費税 他

1.検証 ヤフー・IDCF事件

(共同事業要件とみなし共同事業要件)
【共同事業要件】
・(50%以下の出資関係時)合併の適格、非適格を判断するための要件
⇒①~⑤を満たすかどうか

①事業関連性要件
②事業規模類似要件
③従業員引継要件
④経営参画要件
⑤取得株式継続保有要件

【みなし共同事業要件】
・(50%超の出資関係時)適格合併があったときに、
繰越欠損金の引継ぎ可否を判断するための要件
⇒①'~④' or ①'、⑤' を満たすかどうか

'事業関連性要件
'事業規模類似要件
'被合併事業の規模継続要件(50%超出資関係の前後で規模を同じに)
'合併事業の規模継続要件(50%超出資関係の前後の規模を同じに)
'経営参画要件

【論点】
・『共同』は、合併直前の資産等を引き継ぐかどうかを判断
・『みなし』は、50%超出資関係発生直前の欠損金を引き継ぐかどうかを判断
 ※50%超出資関係後に発生した欠損金は原則引き継げる

・『みなし』は、50%超出資関係前後で、合併事業の規模が2倍超変動があると、欠損金の引き継ぎができなくなる
⇒現実と税の考え方との違いに注意


2.Q&Aで読み解く単体開示の簡素化

1 対象となる企業はどのような企業でしょうか。
→連結財務諸表を作成する会社のうち、会社法211号に規定する会計監査人設置会社が対象になります。
 また、連結財務諸表がIFRSや米国会計基準によって作成されている場合も対象になります。

2 連結財務諸表を作成しない企業については、開示軽減がなされていますか。
→連結財務諸表の作成がない企業についての見直しは行われていません。

3 単体開示の簡素化とは具体的にはどのような見直しでしょうか。
→①連結財務諸表において十分な情報開示がされている項目について、財務諸表における開示を免除する
 ②会社法の計算書類と開示水準が大きく異ならない項目について、会社法の開示水準に合わせる 等

4 税効果会計に関する注記の免除はありますか。
→税効果会計に関する注記は免除されていません。

5 その他免除されない主な項目はなんでしょうか。
→「重要な後発事象の注記」「継続企業の前提の注記」「追加情報の注記」 「有価証券の注記」 等

6 区分掲記等に関する資産の重要性基準はどのような改正が行われていますか。
→連結財務諸表に合わせて、資産の総額の「100分の1」から「100分の5」に緩和されています。


3.裁判事例:株式差押え後の新株発行に処分禁止効は及ばず

(第二次納税義務の話)
■争点
納付通知書を発した時点の株式の価額はいくらか?
増資は差押処分による処分禁止効にあたるのか?
※なぜ価額が争点となるのか?
徴収法35条によると、第二次納税義務における限度額は、滞納者が所有する株式の価額と規定。
株式の価額は、納税通知書を発する時における同族会社の「資産-負債」÷株式数で計算

■原処分庁の主張
新株発行は、株式の価値を減少させる行為。
よって増資の効果は認められず、増資前の株数とすべきである。

■審判所の判断
株式の価額が減少したのは、増資の結果、発行済株式総数と資産の額に変動が生じた結果にすぎず、株式の処分とはいえない。


4.事業税が「損金不算入」になる可能性

■法人実効税率引き下げの財源として事業税が損金不算入の可能性
【事業税が損金不算入の影響】
・法定実効税率が上昇
→外形標準課税の強化が行われれば影響なし

●現行
法人税率×(1+住民税率)+事業税率/(1+事業税率)

◎事業税の損金不算入が実現した場合
法人税率×(1+住民税率)+事業税率

※外形標準の強化(所得割及び資本割・付加価値割の見直し)が実施されれば法定実効税率に影響なし


5.二重課税裁判、納税者敗訴相次ぐ

■相続した土地の値上がり益の所得課税は二重課税か
○①取得価額100 ②相続時の時価150 ③譲渡時の時価200

A【相続時】
相続時の時価(150)に対して相続税が課税

B【譲渡時】
価値増加(例 200-100100)に対して譲渡所得が課税

①取得価格から②相続時の時価へは相続税が課せられているため所得税は二重課税ではないか(200-150)

○東京高裁⇒二重課税ではない
【判断理由】
  相続税の課するべき価値の移転と所得税の課する価値の増加分との性質が異なる
⇒現時点で最高裁へ結論は委ねられる。


6.IPO関連:新規上場会社分析

サイバーダイン㈱ (326日)
市場:マザーズ
事業内容:
医療・介護福祉・生活支援分野等で活用される
ロボットスーツの研究開発・製造・販売及び製品を利用したサービスの提供。
備考:筑波大学発のロボット開発ベンチャーで、代表者は筑波大学の現役教授。

今回の上場で特徴的なのは、持株比率と議決権比率である。
同社は普通株とB種株の2種類を発行しており、普通株が100株1単元なのに対し、B種株は10株で1単元。すなわち、B種株は10倍の議決権を持っている。
そのB種株のほとんどを代表の山海氏が保有しているため、保有割合が持株ベースで49%なのに対し、議決権ベースでは9割近い水準となる。
このような手法はグーグルやフェイスブックでも用いられているが、今後、日本でも増える可能性があります。


7.決算着眼点 広告宣伝費編

①損金算入時期に広告掲載(雑誌・テレビ・インターネット)
⇒広告掲載日に費用計上(掲載日前に支払っている場合は前払い処理)

②資産計上か
<ホームページ制作費用>
⇒一般的には当期の費用となるが、プログラムが組み込まれている場合はソフトウエアとして資産計上。

CM用フィルム>
⇒資産計上し原則2年で償却。
ただし特定の商品をPRするものである場合は取得時に損金とできる。

③広告宣伝用資産を贈与した場合
贈与側⇒繰延資産として資産計上
受贈側⇒経済的利益が30万円超の場合は受贈益として収益計上


8.消費税:ネット役務提供の国外事業者に対する消費税

現在消費税が課税されていないインターネットを通じて国内に役務を提供する国外事業者に対して、消費税を課すことを検討している。

■趣旨
•国外事業者によるネット役務提供は、国内で消費されているものであっても税関を通らないため輸入消費税を課すことができない。
•競合するビジネスを行う国内事業者が、競争上不当に不利な現状を是正する必要がある。

■課税の方法(政府税調による検討)
①国内の利用者がフィーを支払う際に消費税相当を差し引いて支払い、国外事業者に代わって納税する。
[リバース チャージ方式]

②日本にネット役務提供を行う海外事業者に、日本の消費税の確定申告を義務づける。
[国外事業者申告納税方式]

①はB to B 向き。②はB to C 向き。と、ビジネスの性質に応じて使い分ける案が検討されている


9.重要な後発事象

・決算日後に発生する、決算に重要な影響を及ぼす事象
・火災等による損害、増減資、多額の社債発行、合併、事業譲渡、係争事件、取引先の倒産、株式併合・株式分割等
・重要な後発事象の注記と継続企業の前提に関する注記については、単体開示簡素化の対象外とされた
 ※極めて重要な情報なので連結と同じ内容でも免除しない


10.経理・財務業務に役立つビッグデータ

(1)ビッグデータ
= 収集・記憶・管理・分析が困難なサイズのデータ

(2)ビッグデータ活用が脚光を浴び始めている
・情報のデジタル化により分析容易性が向上
・分析技法の一般化、簡易化
・経営者の意識変化

(3)主な活用先
・予算の作成
・業務見通し作成


11.会社法改正

・今年の通常国会期間中(2014/6/22まで)に成立見込み
・主な改正項目
 ①監査等委員会設置会社制度の創設
  ⇒監査役は置かない
  ⇒代わりに監査等委員会(3人以上の取締役、過半数社外)を設置

 ②社外役員の社外要件の見直し
  ⇒親会社等の一定の関係者、子会社等の一定の関係者、取締役等の一定の親族は社外役員とは認めない
  ⇒その会社・子会社の役員退任後10年経過すれば社外としてOK
(現行は過去になったことがある場合ダメ)

 ③特別支配株主(※1)の株式等売渡請求制度の創設
  ※1総株主の議決権の90%以上を有する株主
  ⇒特別支配株主は、その他の全株主に対し、全部の株式を売り渡すことを請求できる。会社の承認必要


12.当期税金(法人税等)の会計処理

原則:法人税等→法人税、住民税及び事業税でPLの税引前当期純利益の次に記載

例外:連結財務諸表上、法人税等に表示されないものがある

①連結子会社が有する親会社株式の売却損益に係る当期税金
連結子会社が有する親会社株式→自己株式
連結子会社が有する親会社株式の売却損益→自己株式処分差益(ただし法人税等を控除した後の金額)

②子会社株式の一部売却(支配継続)の際の売却損益に係る当期税金
減少する持分と売却価額との差額→資本剰余金として処理(ただし法人税等を控除した後の金額)
※平成2741日以後開始する連結会計年度の期首から原則適用


13.役員給与の税務

■定期同額給与
⇒規則的に同額を報酬として支給する場合に損金算入可
 途中で金額や期間の変更を行えない

⇒役員報酬の金額を変える場合
 ・通常改定…期首から3ヶ月を経過するまでに改定
 ・臨時改定…やむをえない場合に改定  ※業績悪化、役員の不祥事等

⇒従業員給与のような日割り計算は行わない

■事前確定届出給与
⇒事前に届け出ることで臨時の報酬でも損金算入可
⇒届け出た内容から少しでも違う支給をしたら算入出来ない
 ※届け出た金額よりも少ない役員報酬でも全額不算入


14.本業消失 そのとき富士フィルムは

利益の7割を稼ぎだしていた「写真フィルム」事業が、
2000年をピークに急激に市場縮小
2004年から構造改革を断行、2007年には創業以来過去最高の売上・利益

ポイント
①担当部長が、将来予測データを正確に作り、経営陣に訴え続けた
②特約店から営業権を買い取り、人員圧縮などの構造改革を断行
③社長自ら、新規事業のタネを掘り起こし(液晶フィルム、化粧品、サプリメント)
→既存の技術をヨコ展開

※古森社長
「過去に、ビデオテープの市場縮小を経験していたことが役立った」







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