2014年4月10日木曜日

4/4 勉強会:従業員等の海外慰安旅行の費用負担と経済的利益の供与(給与) 他

1.従業員等の海外慰安旅行の費用負担と経済的利益の供与(給与)

【事例】
・マカオへ、23日の慰安旅行を実施
・従業員12人中10人が参加
・参加者1人当たりの費用:約24万円(会社が全額負担)
・社長企画であり、参加がほぼ強制されていた
⇒会社負担の旅行費用が、従業員に対する給与として課税されるかどうか?

【判決】
・給与課税される
・旅行内容は観光に終始していた(研修的要素なし)
 ⇒従業員に対する経済的利益の供与あり
・一流ホテルに泊まるなどしており、少額不追求(※)の適用はできない
・(審判所裁決)約57千円が妥当な会社負担額

(※)社員旅行費用の少額不追求
・下記を満たす場合、給与課税しなくても良い
 ①期間が45日以内
 ②参加人数が全体の50%以上
 ③金額が少額であること


2.不動産賃借料の適用税率と消基通の貸付時期の違い

■消費税法基本通達
 ・賃貸借契約に基づく使用料等を対価とする資産の譲渡等の時期9-1-20
 →資産の賃貸借契約に係る使用料を対価とする資産の譲渡等の時期は、契約又は慣習に基づいてその使用料を受けるべき日とする(ただし前受金を除く)
 →納税義務の成立は、使用料を受け取った日

■適用税率
 ・国税庁が公表した「適用税率Q&A」問6
 →3月分の賃借料を4月末に受領する契約の場合、4月末に受け取る賃借料は3月分
 →3月分の資産の貸付の対価なので適用税率は5

■まとめ
 賃貸借契約に基づく使用料を対価とする資産の譲渡等については
 納税義務の成立時期と適用税率の判定に係る資産の貸付時期とを区分して捉える


3.東京地裁、132条の2の適用認める

・法人税法132条の2を巡る初の司法判断で、ヤフー側が敗訴
(事例)
ヤフーが欠損金を抱えていたソフトバンクの子会社Aを完全子会社化
→その後、当該子会社を税制適格で吸収合併し、欠損金を引き継いだ
  欠損金引き継ぎの要件(みなし共同事業要件)を満たしていた。

(国税当局)
繰越欠損金を引き継ぐための「租税回避」であるとし、132条の2を適用した上で否認

(判決)
東京地裁は「租税回避目的」だったと判断


会計・IPOトピックス

①新規上場企業の内部統制監査を免除へ
金融商品取引法等の一部を改正する法律案が国会に提出 「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」が3月14日に閣議決定され、国会に提出された。
新規上場の促進のため、新規上場後一定期間に限り、内部統制報告書に対する公認会計士監査を免除するなどの見直しを行う予定。

見直しの概要は以下の通り
・新規上場後「3年間」、内部統制監査を免除。
・あくまで「監査」の免除であり、内部統制報告書の提出は求められる。
・資本金100億円以上又は負債総額1,000億円以上の企業は免除なし

②大量保有報告の対象から自己株式を除外

(現状のルール)
・株券等の保有割合が5%超となった場合に、その日から5営業日以内に「大量保有報告書」を提出。
・その後の保有割合が1%以上増減するなど重要な変更があった場合には、変更があった日から5営業日以内に「変更報告書」を提出する。

(変更後ルール)
・上記の対象から自己株式を除外

変更の理由
(1)自己株式は議決権を有しないため、経営に対する影響力は通常の株式に比べて限定的
(2)市場における需給環境に影響を与えるような自己株式の取得や処分が行われる場合には、自己株券買付状況報告書や有価証券報告書等により別途情報が開示されている


5.工場での食事の提供

○従業員に食事を提供する場合の課税の有無
■食事の評価
①購入する場合
評価額:購入価格

②自己で調理する場合
評価額:調理に要した材料費、光熱費、人件費
    ※材料費のみでも可

③外部委託する場合
評価額:A、会社は給食業者に毎月委託料を支払う
      B、会社は一食当たりの単価を給食業者に支払う
     →ABの合計額
     ※契約内容によってはBのみ

■食事の支給による経済的利益(課税の有無)
①従業員が食事の評価額の半分以上を負担していること
②一か月の会社負担が3,500(税抜)円以下であること
→①②を満たすと課税無し


6.消費税のチェックポイント 土地建物編

■土地と建物を一括譲渡した場合の課税
⇒土地部分は非課税売上、建物部分は課税売上となるため次の方法により対価を按分する。
①土地と建物の時価の比率で按分する方法
②相続税評価額や固定資産税評価額をもとにして計算する方法
③土地と建物の原価の比率で按分する方法

■事業用に建物(付随する土地使用を含む)を貸した場合
土地使用分と建物使用分を明確に分けている場合であってもすべて課税売上で計上する、
⇒土地の利用はあくまで建物の貸付に付随するものであるため、すべて建物賃貸料として扱う。

■土地取引の仲介手数料
「あっせん」の対価であるため課税仕入となる。
(一括比例配分方式による場合、仕入税額控除の対象となる)


7.税効果ルールの見直し 66号の会社5分類撤廃案も

①監査委員会報告66号における会社の5分類
見直しに積極的な発言
・将来見積もりに対する会計実務の成熟&定着
IFRSとの整合性

見直しに慎重な発言
5分類は実務に定着、見直すと実務に混乱

②情報開示
・繰延税金資産の増減等の情報を開示すべき

③その他有価証券評価差額金
・株式等の処分の時期を合理的に見積もることは実務上困難な場合もある


8.BPOの成功ポイント

(BPO=ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
()BPOを導入して成功している会社=約20

()成功の主な要因
①事業部門や地域横断での業務の標準化
 (BPO事業者に委託しなかった業務も含めて)
②コスト削減以上の効果を重視
③ビジネスに直接的に貢献する指標を設定
④事業環境の変化に応じて、業務内容や目標を適宜変更

()BPO事業者の評価
①継続的な業務改善、スコープ拡大
②コスト削減に留まらない、ビジネスにも貢献する提案
③「思い」の共有


9.株主総会想定問答(新しい論点のみ抜粋)

・不正リスク対応基準
 ⇒20143月期の会計監査から適用になる
 ⇒不正リスク対応基準に関して質問された場合の回答例
   「不正リスクを発生させないようコンプライアンス体制の構築に努めます」

・社外取締役
 ⇒会社法改正法案では、社外取締役を選任しない場合は理由を説明する必要がある
 ⇒現行会社法では、親会社取締役でも社外要件を充たす
 ⇒社外取締役を選任しない場合なぜかを質問された場合の回答例
  「当社の業務執行に従事し、当社の業務に精通している者が経営にあたるべきと考えているためです」


10.平成26年度 株主総会の実務対応ポイント

(1)会社法改正の影響
①社外取締役の選任検討
成立しても平成274月から施行→本年度は直接的な影響なし
ただし以下の懸念があり、社外取締役の選任する動きは引き続きみられる。

(改正法案)
・事業年度の末日において公開大会社かつ有価証券報告書を提出している監査役会設置会社で社外取締役選任していない場合
→社外取締役選任を置くことが相当でない理由(※)の説明義務

(※)相当でない理由
・個々の事業年度における事情に応じて記載する必要あり
・社外監査役が2名以上あることのみをもって相当でない理由とは出来ない

②社外取締役の要件見直し
 ・現在選任している社外役員が親会社等の業務執行者である場合、会社法改正後は社外役員とは認められない
 ・社外役員の経歴面は緩和が予定

  現行法:過去に一度でも経営者の指揮命令系統に属したことがある者は、社外取締役等の各要件を満たさない。
改正後:就任前10年間における株式会社等との関係に限定される。


11.企業結合における取得企業の決定

・連結会計基準に従って判断
■他の企業を支配することが明確な場合
⇒当該企業が取得企業

■他の企業を支配することが明確でない場合
⇒次の①~④の要素を考慮して取得企業を決定

 ①資産を渡すor負債を引き受ける企業
 ②株式を交付する企業が取得企業
 ※下記の要素も加えて考える
  ・議決権比率を多く占める企業
  ・最も大きな議決権比率を持つ株主がいる企業
  ・取締役等を解任できる株主がいる企業
  ・株式の時価を超えたプレミアム分を支払う企業
 
 ③相対的規模が著しく大きい企業(売上、総資産)

 ④最初に企業結合を提案した企業







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