1.先端設備リースの会計処理が決定
【リース活用による先端設備導入促進補償制度】
・手術支援ロボット、介護ロボット、3Dプリンターなどが対象
・リース期間終了によるリース物件の処分(売却)について、損失の1/2を国が補填してくれる
・補填額は、リース物品の購入価額の5%が上限
・リース会社は、国へ補償料を支払う
・リースの借手が倒産した場合、二次リースした場合は補填なし
(アセットリスクにのみの保証制度)
【リース物品の借手の会計処理】
・従来のリース取引と同様
2.新規上場時の財表は2事業年度分に短縮
・金融庁は新規上場時の有価証券届出書に掲げる財務諸表の年数を2事業年度へ短縮
※従来は5事業年度だった
・非上場企業のIFRS適用会社が初めて提出する有価証券届出書に掲げる連結財務諸表は最近連結会計年度分のみで可
→これらは8月下旬に公布・施行される予定
3.“重要事実”と無関係ならインサイダーにならず
■役員でもインサイダーにならないケースを明確化
下記のような「重要事実」を知ったことと取引が無関係であることが明らかであれば、インサイダー取引規制違反にはならない。
・「重要事実が、その公表により株価の上昇要因となることが一般的に明白なときに、当該株式の売付けを重要事実の公表前に行っている場合」
・「重要事実を知る前に、証券会社に対して当該株式の買付け注文した場合」
4.支出先のイニシャル記載でも使途秘匿金
■まとめ
・販促費の支出内容等が客観的に明らかになる資料には下記の記載をする必要がある
①日付
②相手の名前(イニシャルは不可)
③金額
④支出の内容
・相手の名前を伏せる場合の相当な理由としては下記のような場合が考えられる
①不特定多数の者との取引で相手方の氏名がわからないもの
②小口の金員の贈答のように相手方の氏名等を帳簿に記載しないことが一般的な支出
③災害等による帳簿の紛失
■事例
・法人が支出した販売促進費が使途秘匿金になるかどうかが争われたもの
・原処分庁からの資料要求に対して、日付、イニシャル、金額を記載したメモを提出
・イニシャル記載となった理由は、開示した場合、取引継続が難しくなると想定したため
・法人は、社内ならメモで具体的な相手方を理解でき、かつ、第三者から見ても特定の誰かを示していることが明らかと主張
・審判所は、使途秘匿金の課税制度の趣旨、社会通念に照らして判断すれば法人側の主張は通らない、また、イニシャル記載では、相手側の氏名を帳簿書類に記載したことにはならないとして使途秘匿金に該当すると判断した
5.出向者に係る特定役員退職手当等
■事例
・親会社の従業員が子会社の役員として出向
・親会社を退職することになったので、同時に子会社の役員も退任
・出向期間中の退職金は子会社から本人に直接支給する予定
■退職所得に係る注意事項
・出向期間が5年以下の場合
→子会社から受ける退職金は特定役員退職手当等に該当する
→平成25年分以降に適用
・特定役員退職手当等に係る計算
特定役員退職手当等の収入金額-退職所得控除額=退職所得の金額
※参考:通常の退職金に係る計算
(退職金の収入金額-退職所得控除額)×2分の1=退職所得の金額
6.法人税改革案からみる課税ベース拡大の行方
政府の税制調査会において、平成27年度税制改正のベースとなり得る法人税改革案が取りまとめられた。
① 中小法人課税(中小企業のみ)
・「中小企業」の基準である1億円基準の見直し
⇒基準の引下げが検討。
・法人税率の見直し(所得800万円以下)
⇒現行の15%から19%へ
※1億円超の大企業は25.5%から変更なし
② 地方法人課税
⇒中小企業の外形標準課税の適用拡大
③ 欠損金の繰越控除制度
⇒現行9年から延長
④ 減価償却制度
⇒200%定率法を廃止し、定額法に一本化
⑤ 受取配当金の益金不算入
・株の保有が支配関係を目的⇒配当による収益を課税対象外とする。
・資産運用を目的⇒配当による収益の課税対象の範囲や益金不算入の割合を見直す。
⑥ 公益法人課税
⇒社会福祉法人の法人税非課税措置の見直し
中小企業に対する課税強化については反対意見や反発は避けられない。
最終的には平成27年度税制改正のプロセスの中で決定される。
7.アジア上場について
・主な市場
香港 シンガポール 台湾 韓国 上海
・上場の形式
プライマリーorセカンダリ
プライマリー上場・・・日本で上場していない会社が海外で初めて上場すること。
2012年8月6日に㈱ダイナムジャパンホールディングス(パチンコ業)が香港市場に上場(現時点で唯一の事例)。
セカンダリ上場・・・日本の上場企業が海外でも上場すること
2011年4月14日には、SBIホールディングス㈱が香港市場に上場。
直接or預託証券方式
直接上場・・・通常の上場
預託証券方式・・・預託証券とは、既に発行している株式を預け入れた信託銀行等が発行する代替証券のことを言う。
発行済み株式を裏づけとした預託証券の発行により、通常の株式と同様に売買できる。
ファーストリテイリング(香港)、 エルピーダメモリ(台湾)
8.消費税:国境を越えた役務提供の消費税課税制度 政府税調案
■課税の範囲
①役務提供の国内判定基準を変更する
(現行)
役務提供者の所在地で判定
(改正案)
役務を受ける者の所在地で判定
②電子書籍や音楽配信は資産の譲渡や貸付ではなく、役務の提供と整理する。
→①②により、Kindleの配信は国内取引として消費税の対象となる。
■︎課税の方式
①B to B取引 :リバースチャージ方式
役務提供を受ける者が料金支払時に消費税相当を天引し、国に納付する。
役務を受ける事業者のうち課税売上割合が高いものについては、リバースチャージ方式による納税額と仕入税額控除を同額とみなし、申告不要とする。
②B to C :国外事業者申告方式
事業者向け取引であることが明らかでないものについては、国外事業者に日本への申告納税義務を負わせる。
対象となる国外事業者は、課税対象取引が1000万円超のものに限る。
9.生産性向上設備投資促進税制QA
■概要
・対象法人・・・ 青色申告法人 ※資本金規模問わず
・特別償却額・・・取得価額-普通償却限度額(=即時償却)
・税額控除・・・5%(建物等は3%)法人税額の20%限度
・生産性を向上する対象資産を取得した場合に適用
■QAより(ポイント)
・新品の資産に限る
・建物も対象となる(ただし、本店、寄宿舎など生産に関連しないものを除く)
・補助金をもらって購入した場合には補助金を除いた額が対象
☆・A機械⇒特別償却、B機械⇒税額控除、というのも可
・繰越控除はない。
☆・中小企業者については、中小機械等の特別控除と選択適用
(資本金3000万以下⇒10%の税額控除・3000万超1億円以下7%の税額控除)
10.財務専門家に求められるスキル
1.コミュニケーション能力
コミュニケーション
専門分野(財務)
信頼関係
2.業務推進
ビジネスを知ること
業務推進の要を特定すること
改善のための機会を調べること
11.エンドースメントされたIFRS(日本版IFRS)に対峙する問題点
・ピュアIFRSと日本版IFRSの差異は
「リサイクリングと当期純利益の論点」
「のれんの非償却の論点」
に限定されそう。
・日本版IFRSはIFRSではない、IFRSの名前を使えないといったリスク
⇒結局利用者はいないのでは?
12.棚卸資産の評価
■モデルケース
消費税増税前に大量に在庫を仕入れ、一時的に在庫を多く抱えている
■在庫水準が高いことによるリスク
①資金繰りの悪化
②在庫として保有している間の陳腐化・品質低下・価格変動
⇒収益性の低下
■リスク②の収益性の低下による簿価切下を行う場合
・基本的に簿価切下額は売上原価により処理
・下記の場合は特別損失により処理
①重要な事業部門の廃止
②災害損失の発生
13.子会社が親会社から自社株を取得する場合の規制について
【事例】
日本IBM(S社)がその完全親会社であるIBMエーピー・ホールディングス(P社)から自己株式(S社)を購入し(※1)、その直後に両社が連結納税制度を利用することで所得を圧縮した件について、H22.5に当局が租税回避行為だとして約1,200万の追徴をする更正処分を行ったが、P社が原告となり当該処分を不服として争われた件について、H26.5に当局の行った更正処分が取り消された。
(※1)税務上の仕訳
株式譲渡部分
(現金) 300億 (日本IBM株) 4,300億
(譲渡損) 4,000億
みなし配当部分(譲渡対価-@資本金等の額×取得株式数)
(現金) 4,000億 (受取配当金) 4,000億
【現在(H22年度税制改正~)】
H22.10以降においては、同様の処理を行っても節税効果は生じない。
⇒「100%グループ内の法人間取引について課税を生じさせない」
今後は上記事例に当てはめると
①100%グループ内の法人からの受取配当等の益金不算入制度の見直し
⇒益金不算入
②100%グループ内の発行法人への株式譲渡に係る損益取引の見直し
⇒計上されない。資本金等の額に加減算
14.M&AのしくみとDD
1.M&Aのしくみ
事業会社にふさわしいM&Aのしくみは、シナジー効果の実現を目標に、それを目指した軸のぶれないしくみを開発すること。
① M&A戦略
② プレDD
③ 本番DD
④ M&A成立
⑤ 新しい事業計画
⑥ シナジー効果実現
2.DD
・目的 :問題点・検討点をチェックすること、データ収集
・DDの3段階 :プレDD、本番DD、クロージングDD
・種類 :ビジネスDD、法務DD、財務DD
15.楽天・エアアジア連合 仁義なき乗員奪取作戦
・新生エアアジアジャパンの設立が、7月1日に発表された。
出資はエアアジア49% 米系投資ファンド19% 楽天18%
・旧エアアジアジャパンは、ANAとエアアジアが対立し、提携解消
・新生エアアジア・ジャパンの描く成功への青写真
①パイロットを他社から高額引き抜き
→ANAと同水準の給与 経営破綻後報酬が下がったJALのパイロットには魅力的?
→他のLCCは機長不足で欠航が多い
②羽田空港発着枠を狙う
→東京五輪を控えて、近く発着枠が増える見込み
→政財界に顔のきく楽天の三木谷さんを使う
決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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