1.非上場株の評価損で損金要件を満たさず
【非上場株式の評価損の損金算入要件】
①
損金経理
②
1株あたりの純資産価額が取得時と比較して50%以上下落
③
期末の価格が簿価の50%以上下落
④
近い将来価格の回復可能性見込みなし
【事例】
・会計上、減損処理すべき事由に該当
→回収可能性が無いと判断し、損金算入処理を実施
⇒④を満たすかどうかが地裁で争われた
※①~③は満たしていた
【判決】
・④は満たさない(損金算入できない)
・「会計上、減損処理すべきかどうか」と「回収可能性の有無」は個別に判断が必要
2.課税リスクの説明不足で追徴課税、税賠事件で税理士法人が逆転勝訴
■まとめ
・税理士は、課税リスクを関与先に丁寧に説明する義務がある
・税理士は、課税当局からの指摘等を関与先に速やかに報告する義務がある
・課税リスクをわかった上で関与先が行った会計処理について、税務調査等で追徴課税があった場合、税理士に損害賠償をする義務はない
3.会計基準間の主な差異について調整表の添付は求めず
・日本版IFRSとピュアIFRS及び日本基準の間の差異について注記を行うか否か検討されている。
・それぞれの会計基準の制度の問題であるため、制度間の注記においては会計基準に盛り込まない。
・日本版IFRSとピュアIFRS及び日本基準の間の差異は、金融庁にて記載の要否を定める。
・開示を求めた場合であっても、差異に伴う調整表を添付することは考えていない
※日本版IFRSが最終化される段階で決定される
4.判例:役員への債務免除に対する源泉徴収
※原則:源泉徴収義務あり
※特例:資力喪失者に対するものである場合は源泉徴収不要
■概要
・人格のない社団(青果荷受組合)Aはその理事長であるBに55億円の貸付をしていた。
・その後Bの不動産(時価7億円)の回収をし、残額48億円を債務免除した。
国税
⇒理事長Bは自らの支配力を利用して債務免除を受けているものであるから、これは「給与」に該当する。また継続して不動産収入が27百万あり資力喪失とは言えない。
⇒理事長Bは自らの支配力を利用して債務免除を受けているものであるから、これは「給与」に該当する。また継続して不動産収入が27百万あり資力喪失とは言えない。
青果荷受組合A
⇒「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の債務免除」であるから源泉徴収義務なしを主張。
⇒「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の債務免除」であるから源泉徴収義務なしを主張。
■広島高裁
理事長Bには所有資産2.8億円に対して借入金が52億円あり、不動産収入があるとしても「債務超過」状態は明らかである。債務免除は資力喪失による返済不能に基づくものと認められ給与にはあたらない。
よって源泉徴収不要。
<国側が上告中>
5.消費税:与党税制協議会 軽減税率についてヒアリング
•軽減税率について、46団体にヒアリングを行う。
•経団連、日本税理士会連合会
等
→軽減税率導入に反対
•農業団体、水産団体
→導入に賛成
•日本百貨店協会等
→慎重な姿勢
今後も医療団体、全国知事会、商工会等にヒアリングを行う。
6.IFRS アメリカが採用しない理由
・政治的な判断に加え、税法・会社法などの周辺制度に大きな影響を及ぼす
=コスト・ベネフィットの点でコストに見合わない
・投資家の意見として、プリンシプル・ベースのIFRSでは財務諸表間の比較可能性が向上しないとの認識が強い
・プリンシプル・ルールでガイダンスも少ないため、会計処理に係る判断に難しい局面が多くなる
=経営者を訴訟から保護するうえで十分に機能しない可能性がある
■独立性違反で監査のやり直し
・Big4系監査事務所がすでに実施した監査について、過去に遡って監査報告書を無効とする対応を行った。
※前代未聞
・監査事務所の責任者と被監査会社の責任者との利害関係がありSECが決めた監査人としての独立性違反があったため
・Big4系の別の事務所が過去に遡って監査を実施する
7.M&Aのシナジー効果について
・自社の目指したいシナジー効果をイメージすることが重要。
シナジー効果の実現は、各社の事業内容、事業規模等によりさまざまであるが、因数分解すると下記のようになる。
(1)事業の選択と集中
コア事業のバリューチェーンの強化と不採算事業の縮小を行うM&Aは効果が出やすい
(2)時間を買う
人口減少社会にあっては、時間効果は経営資源を手に入れる効果だけであり1+1に過ぎない。
追加的なシナジーはこれだけでは×
(3)企業再生
経営の規律、従業員のインセンティブを原因とした経営不振の企業再生は、M&Aシナジーの宝庫。
長所を発見し、未来の方向を示せば再生企業の社員は見違えるように変化する
(4)規模・範囲の経済
規模の拡大が追加的な価値向上になるか否かが疑問が残る事例が多い。
(5)重複部分の固定費削減
コストシナジー効果と呼ばれ即効性はあるが、有能な人的資源を失うリスクもある。
(6)補完的な組み合わせ
バリューチェーンや事業ポートフォリオにおいて、補完的なM&Aは効果が出やすい。
(7)イノベーション
イノベーションを伴うシナジー効果は計り知れない
(8)交渉力
単なる規模拡大による交渉力強化はではなく、顧客にとっての価値向上を目指すことが重要。
(用語説明)
バリューチェーン:
事業活動を機能ごとに分類し、どの部分(機能)で付加価値が生み出されているか、競合と比較してどの部分に強み・弱みがあるかを分析し、事業戦略の有効性や改善の方向を探ること。
8.会計不正の調査委員会に経理部はどう対応するか
(1)会計不正対応の3つのフェーズ
①発覚のフェーズ
②調査のフェーズ
③事後処理のフェーズ
(2)ポイント
・初動対応を迅速かつ適切に行う
・風評被害や法的リスクを増大させないように注意
・会計監査人との十分な対話、正当性を適切に伝える
・スケジュール管理、開示書類訂正への対応
・「決算対応チーム」と「調査対応チーム」に役割分担
・会社側に立つ専門家の必要性(調査体制の構築、問題点の絞り込み等)
9.所得拡大促進税制の要点
■制度の要点
①青色申告法人が
②国内雇用者の給与額が
③一定以上増加した場合
④給与支給増加額の10%の税額控除が受けられる
※法人税額の10%相当額(中小企業は20%)が限度。
【一定以上増加】
(例)基準年度75万、前事業年度80万、適用年度100万、
人数は5人のまま
①基準年度の給与支給総額と比べて2~5%増加している
⇒75万×2%=1.5万≦100万-75万=25万 … OK!
②前事業年度と比べて給与支給総額が増加
⇒80万≦100万 … OK!
③一人当たりの給与額が増加
⇒80万÷5人=16万<100万÷5人=20万 … OK!
【注意事項】
・退社、入社、高齢者(再雇用)は計算時に注意
・通勤手当は含めても含めなくとも良い ※継続適用必須
・法人税額の10%までしか控除出来ないが、控除しきれなかった部分の繰越不可
・雇用促進税制との両取りは不可
・適用忘れによる修正申告は不可
10.LINE上場
・7月16日、LINEが東証に上場申請。(→順調に行けば11月に上場)
・LINEの登録ユーザー数は4.8億 世界最大のワッツアップ(5億)に肉薄
・一方で、シェアトップの国は日本、タイ、台湾のみ。
・米国ユーザーはわずか1千万。
・米国でも上場し、知名度向上を目指す
・なお、2014年1-3月期の売上は146億円。(前年同期比3.2倍)
ゲーム課金が主要部分を占める
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決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
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