2014年11月22日土曜日

11/21 勉強会:連結納税の範囲と連結会計の範囲の差異について 他

1.緊急インタビューヤフー事件・高裁判決

・ヤフー事件の高裁判決が115日にあり、控訴棄却となった

・高裁と地裁の判決の違いがあった
 地裁:法人税法132条の2の趣旨、目的で判断
 高裁:趣旨、目的に加えて行為の目的、性質にも目を向ける

・行為によって導き出された結果が「不当」かどうかで判断する必要がある


2.高裁勝訴がIBM二審の国の主張に影響も

・ヤフー事件は高裁でも国の勝訴という結果を受け、IBM事件の控訴審における国の主張に注目
⇒「132条は租税回避のみを目的にした行為にのみ適用」と前提を変更してくる可能性

IBM事件とヤフー事件では行為計算否認規定に関する国側の主張に大きな違いがある
⇒ヤフー・・・「個々の行為には租税回避以外の目的が含まれていたとしても法人税法132条の2の適用があり得る」

IBM・・・「租税回避のみを目的にした行為でない限り132条の適用はない」


3.自己株式取得に伴う株式譲渡損と同族会社等の行為計算の否認~日本IBM事件~

【論点】
日本にあるIBMの中間持株会社が米国IBMから資金を借り入れ、その資金で米国IBMから取得した日本IBM株式を日本IBMに譲渡した取引において、譲渡損及びみなし配当の計上が認められるか否か
(租税回避行為として否認されるか否か)

【背景】
・訴額が巨額で、訴訟当事者が先進産業であるIT関係であり、著名な外資系企業であったこと
・ヤフー事件(最近、判決が出た同様の租税回避事件)では、当局の課税処分が適法とされたが、当該判決では当局の課税処分は違法とされたことから、社会的に注目された。

【国の見解】
日本にある中間持株会社はペーパーカンパニーであり、株式の売買の必要性はなく、株式譲渡は赤字づくり(連結納税を適用しているため、日本IBMの黒字と相殺できる)のために行った経済合理性がないものであるとして、租税回避行為と主張。

【裁判所の見解】
中間持株会社はグループ内で資金を柔軟に移動させる等、持株会社としての一定の機能があったとして、ペーパーカンパニーではなく、また、株式譲渡によって赤字が発生したことについても、不合理不自然とは言えず、租税回避行為ではないとした。


4.貯玉再プレーに係る処理で留保金課税

※貯玉再プレーとは
 パチンコで遊んだ後、パチンコ玉を景品交換せずに店に預けて、次回来た時に預けておいたパチンコ玉(貯玉)を引き出して遊ぶこと

■事例
経営者が貯玉再プレーにおける会計処理について、売上・仕入処理を行った
⇒原処分庁はこの処理に対し留保金課税を適用した

■なぜ適用したか
・預け金的な性質を有するにもかかわらず、意図して計上したため売上高・仕入高が過大計上と認定

・認定された過大計上分は配当を目的とした金額ではない
 ⇒内部に留保するための金額と判断され、留保金課税の対象となった


5.QAで読み解く 27年経過措置通達

10%増税時に予定されている経過措置の内容は、8%増税時とほぼ同じ

・主な経過措置
 -旅客運賃等に関する経過措置
 -電気料金等に関する経過措置
 -工事の請負等に関する経過措置
 -資産の貸付に関する経過措置
 -役務の提供に関する経過措置


6.政府税調、配偶者控除の見直し案を示す

…政府税制調査会は配偶者控除の見直しについて、大きく3つの改革案が挙がっている。

■改革案(1)
 配偶者控除をそのまま廃止
 ※「高所得の世帯に限り廃止」も検討されている

■改革案(2)
 配偶者控除を廃止し、「移転的基礎控除」を導入
 …配偶者が自身の基礎控除額38万円を使い切れなかった場合に、残った基礎控除額を納税者本人の控除額に振り替える

 ()配偶者の収入が80万円だった場合
   80万円-(給与所得控除)65万円= 15
   15万円-(基 礎  控 除)38万円=△23万 ←移転対象額

■改革案(3)
 配偶者控除を廃止し、「夫婦世帯を対象とする新たな控除」の導入

(1)(3)に支持が集中している


7.新地方公会計基準について

【背景】
地方公共団体等は住民・納税者・各種利害関係者に対して、財務・非財務情報を作成・開示する義務があるが、統一的な地方公会計基準が作成されていなかった。
そこで総務省より「今後の新地方公会計の推進に関する研究会報告書」が公表された。

【目的】
・公表される財務数値の透明性の向上、説明責任の履行
・団体間での比較可能性の確保

【概要】
・現金主義から発生主義へ

・複式簿記の導入

・財務書類の体系
貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書

・固定資産台帳の整備
貸借対照表との突合だけでなく、公共施設等のマネジメントにも活用

【今後の課題】
・運用のための人材の育成
・統一的な基準の導入にあたり、システム面の整備


8.後発的事由による更正の請求

■更正の請求期限
通常⇒法定申告期限から5
後発的事由による場合⇒事由が生じた日の翌日から2月以内

・後発的事由とは
(1)判決や和解により計算の基礎とした事実が異なることとなった場合
 (例)和解により請求権が消滅したことで所得が減少したケースなど
(2)所得が他者に帰属するものとする国税の更正や決定があった場合
 (例)子の所得として処理していたものが更正により親の所得とされたケースなど
(3)その他やむを得ない理由がある場合

これらに該当する場合、法定申告期限から5年を超過していても更正の請求ができる


9.法人税:自己株式の取得付随費用の損金性と申告減算の可否

■自己株式の取得付随費用は支出時の損金になるか?
⇒支出時の損金になる。

自己株式の取得は資本等取引であり、有価証券の取得のように取得付随費用を取得価額に乗せる処理はしない。
支出後の複数年に渡って「自己が便益を受けるために支出する費用」とも言えないため、税務上の繰延資産にも該当しない。

■会計上取得価額に乗せられた取得付随費用を申告減算できるか?
⇒申告減算できる。

損金経理要件を課す規定は無い。


10.遡及適用の例外

・会計方針を変更した場合
 原則:過去もすべて変更
 実務:実務上不可能な場合もある
⇒遡及適用が実行可能な最も古い期間の期首時点で累積影響額を算定し反映する

H26.3期決算の上場会社
 会計方針変更は53件
 うち、「原則的遡及適用が実務上不可能なケース」は7件あった


11.連結納税の範囲と連結会計の範囲の差異について

(連結納税)
 100%完全支配関係のある子会社のみ対象とする
 重要性を問わず対象となる
 破産手続中の子会社はたとえ100%完全支配関係があったとしても対象とできない

(連結会計)
 一定の要件を満たせば、40%などの低い持株比率でも対象とできる場合がある
 「重要性の乏しい会社」「支配が一時的であると認められる会社」は連結対象外とすることができる
重要性があれば破産手続中の会社等も連結対象としなければならない


12.使える補助金・助成金vol.8「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」

・(要件)
設備導入により、ビルのエネルギー消費量を25%以上削減など

・(補助内容)
 設備・システム導入のための設計費、工事費等

・(金額)
 1/3 上限5
※削減率によっては補助率引き上げ

・(募集期間)
 5月~8

・(採択数)
 平成25年度: 97件採択(107件応募)

※前回の「エネルギー使用合理化事業者支援事業」と異なり、専門家による計算が必要。ただし要件を満たせば、採択率は非常に高い。








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