1.関係会社株式の低額譲受け(譲渡)と当該株主に対するみなし贈与課税
■事例
・同族会社A社の株主aが、A社に関連する他の同族会社B社の株式(B社株式)をA社に低額譲渡した場合、そのA社のa以外の株主は対価なしで利益を受けた(みなし贈与があった)とされるかどうかが争われた事例
(同族会社が受けた利益は、その同族会社の株主が受けた利益とするかどうか)
■結論
・A社はB社株式を低額で譲り受けた…時価との差額が利益となる
⇒A社の純資産が増加する
⇒A社株式の価値が上がる
⇒A社の株主の各持分が増加している
⇒A社の株主は無償で利益を享受している…みなし贈与が成立する
※今回の事例でA社が同族会社でなかったら、A社の株主に対してみなし贈与課税は成立しない
2.馬券の払戻金の所得区分で国税庁が所基通を改正も
■平成27年3月10日の最高裁判決を踏まえた改正
・競馬の当たり馬券の払戻金に係る所得区分
⇒営利を目的とした継続的行為から生じたもの=雑所得
⇒それ以外のもの=従来通り、一時所得
ただし今回の事案は中央競馬の全レースをソフトにより自動的に数年に渡って大量かつ網羅的に1年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていたものであるため、雑所得に該当する事案は限定的であることが想定される。
3.所得税や相続税の節税策を当局に開示も
■アグレッシブ・タックスプランニング
・税理士法人等が、どんなタックスプランニングをして、それをどこの企業に提供したか税務当局に開示すること
・最も早ければ平成28年度税制改正で国内法で整備される
・開示の対象は法人税以外にも波及する可能性有り
【例】英国…所得税、相続税も対象
米国…所得税、遺産/贈与税も対象
4.特定支出控除の適用要件緩和
■特定支出控除の適用要件緩和(平成24年度税制改正)
趣旨・・・給与所得者の負担軽減と実額控除の機会拡大
内容・・・(1)対象となる支出範囲や(2)適用判定の基準が緩和
(1)資格取得費(公認会計士・税理士など)、勤務必要経費(図書費・交際費など)も対象に追加
(2)支出合計が給与所得控除額の1/2を超える場合、適用あり
⇒超過額を給与所得控除額に加算できる
(改正前は、給与所得控除額の総額を超える場合、適用あり)
5.相続増税前の駆け込みで高額贈与が発生
■H27年1月以降の相続税・贈与税の最高税率
50%⇒55%へ引上げ
■H26年分の贈与税の申告状況
・申告者 47万人(前年比約3万人増)
・納税者 36.3万人(前年比約3.7万人増)
・納税額 2,584億円(前年比1,071億円増)
最高税率の適用をさけるため、駆け込みの生前贈与が行われた結果、納税者の増加幅と比べ申告納税額の増加幅が大きく上回った。
6.消費税率10%引上げ時の平成29年経過措置通達
・H29/4/1以後、行われる資産の譲渡等、課税仕入等 ⇒ 10%に
・経過措置は8%増税時と基本的に同じ
・経過措置例↓
-旅客運賃等
-電気料金等
-工事の請負等
-資産の貸付け
-役務の提供
に関する経過措置
・経過措置判定の基準となる、指定日は「H28/10/1」
7.リース資産と圧縮記帳
∇質問概要
(1)A社は県から農業用機械購入用の補助金を受けた
(2)(1)の補助金によりリース契約(所有権移転外リース)で農業用機械を取得した場合に圧縮記帳は適用できるのか?
∇検証
(1)保険金等の圧縮記帳
代替資産からリース資産が除かれている…NG
(2)収用があった場合・特定資産の買い換えがあった場合の圧縮記帳
買換資産からリース資産が除かれている…NG
(3)国庫補助金等の圧縮記帳(本問)
<要件>
・国庫補助金により交付目的に適合した固定資産を取得すること
(リース資産に関する記載なし)
税法上のリース取引に該当する場合、その資産を売買により取得したものとされるため要件を満たす。
■まとめ
国庫補助金の圧縮記帳に限り、リース資産でも圧縮記帳できる。
8.税務:スキャナ保存とタイムスタンプ
H27年度税制改正にて、領収書や契約書のスキャナ保存制度の要件が緩和された。
スキャナ保存をするには、スキャナで読み取る際にタイムスタンプを付さなければならない。
・タイムスタンプを付すには市販のソフトを使用する。(15万円程度か)
・タイムスタンプのデータ(ハッシュ値)は専門機関に保存される。
・スタンプに残っているデータと専門機関に保存されたデータとを照合し、改ざんの有無が確認される。
9.会計監査人コーポレート・ガバナンスコード(CGコード)
・CGコードには会計監査に関する原則もあり
原則3-2「外部会計監査人」
・コーポレート・ガバナンス報告書は、
監査の対象外。
⇒監査人が記載の仕方等を指導する必要はないが、実際は相談を受けることが多い。
10.倒産処理(処理方法の比較)
・私的整理の際の留意点
期限切れの欠損金を損金算入できない
資産の評価損を損金算入できない
※破産特別清算や会社更生法・民事再生法等の法的整理の場合は、
資産の評価損⇒青色繰越欠損金⇒期限切れ欠損金
の順で清算益に充当することができる。
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