2016年1月11日月曜日

1/8 勉強会:株式報酬、事前確定届出給与に 他

1.調査手続違法で原処分の取消事由が判明
・課税庁の調査手続で取消事由になるものが判明
 国税不服審判所が初めて判断

■取消事由にならない場合
・調査結果の説明が不十分
・証拠収集の手続きに違法性はないが結果の説明に瑕疵があった

■取消事由になる場合
・課税処分の基礎となる調査が行われていないのに課税処分があった
・証拠収集の手続きに重大な違法があった


2.3万円未満の取引
(現在)
・課税仕入れに係る支払対価の合計額が3万円未満
⇒一定の事項を帳簿に記載すれば、請求書等の保存がなくても仕入税額控除が認められる

(インボイス制度導入後、H334月以降)
・金額に関わらず保存が必須となる。
ただし自動販売機などでの購入は例外として認められる。


3.市販薬を対象とした所得控除を創設
平成28年度税制改正で「スイッチOTC薬控除」を創設
■概要
・平成291月以降の購入分から適用
・スイッチOTC薬を年間12千円超購入した場合に、12千円を超える金額を総所得金額等から控除
・自己だけでなく、生計一親族分の購入費用も控除対象

■医療費控除との兼ね合い
・完全選択制(スイッチOTC薬控除or医療費控除)
・医療費控除は自己負担分10万円超から適用なため、スイッチOTC薬控除の方がハードルは低い

※スイッチOTC薬とは
・元々が医療用であり、そこから転用された医薬品
・薬局などで市販されている
・具体的な対象医薬品の範囲等はこれから明らかにされる


4.株式報酬、事前確定届出給与に
■平成28年税制改正により、「利益連動給与」の算定指標にROEROAが追加
⇒ 一方で、株式報酬は、上記指標に含まれず
(株式報酬は利益連動型報酬としての性質を持つものの、「利益連動給与」の損金算入要件()を満たさないため)
⇒ そこで、平成28年税制改正では、株式報酬を「事前確定届出給与」として位置付けし、損金算入を可能にした
(ただし、企業の事務負担を考慮し、実際の届出は不要)

() 「利益連動給与」は、一事業年度の利益指標をベースに算定しなければならない


5.軽減税率導入後の事業者の経理処理
H29/4/1 消費税10%UP と同時に軽減税率が導入される

1】請求書の書き方
H294月~ 区分記載請求書等保存方式(経過措置)
 ⇒現行の請求書に、「軽減税率の対象品目である旨」&「税率ごとに合計した対価の額」を記載
H334月~ 適格請求書等保存方式(インボイス制度)
 ⇒上記の内容に加え、「登録番号」&「消費税額」を記載

2】売上税額計算の特例
・原則は、個々の売上について 8% or 10% を把握
・中小企業者(簡易課税の5000万円判定と同様)は、売上に占める下記概算割合分を8%d上として計算可能
 -特例(1) 全課税仕入に占める8%仕入の割合
 -特例(2) 連続10営業日の全売上実績に占める8%売上の割合
 -特例(3) 50%
※制度導入から4年間限定の特例
※当初1年間は、中小企業者でなくても適用可能

3】仕入税額計算の特例
・原則は、個々の仕入について 8% or 10% を把握
・制度導入から当初1年間は、仕入に占める下記概算割合分を8%仕入として計算可能
 -特例(1) 全課税売上に占める8%売上の割合
 -特例(2) 簡易課税の適用(事後選択が可能)
※中小企業者でなくても適用可能


6.裁決事例:上場株式の低廉譲渡について
■概要
A社は所有する上場株式を1億円で親会社B社に譲渡した。
・譲渡日における東証終値ベースでの時価は1.1億円だったため国側は差額0.1億円を「受贈益」として更正した。
B社は「リーマンショック」による大幅な下落の恐れを考慮すれば、時価は1億円程度が妥当であるとして争った。

■裁決
「特段の事情がなければ、上場株式の時価は株式市場の終値を基準に決定される」としてB社の主張を退けた。

■解説
株式市場の終値はいわゆる「リーマンショック」の影響を反映したものと考えられるため、「特段の事情」として考慮するのは不適当である。
なお、「特段の事情」は明記されていないため、原則として上場株式を終値ベース以外で評価する場合、リスクが生じる。


7.所得税:ふるさと納税のワンストップ特例と確定申告
以下の要件を満たせば、ふるさと納税の寄付金控除について所得税の確定申告が不要になる。
(1)ふるさと納税の寄附金控除適用を受ける目的以外で確定申告書の提出を要しない者であること
(2)ふるさと納税を行う自治体が5以下であること

(1)について
医療費控除、住宅ローン控除、2箇所給与等で確定申告が必要なケースはこの特例は使えない。

(2)について
寄付先の自治体が5以下であれば、回数の制限は無い。
5自治体に2回ずつ、計10回寄付してもOK

■その他
・ふるさと納税先の自治体に特例申請書を送付する等、一定の手続きが必要。
・この特例は2741日以後の寄附金に適用されるため,331日までの間に寄附については確定申告が必要。


8.税効果会計の新指針、公表
2015.12.28公表
・5つに分類して管理する年表あり


9.独禁法違反 調査協力で課徴金減免
・公正取引委員会が、独禁法違反の企業への課徴金制度を見直しへ
・調査に協力した場合、課徴金を減免できるように
⇒企業に協力を促し、早期解決を目指す
・先進国では同様の制度は既に導入済み、日本だけがなかった

・製造業の場合、
価格カルテル:関連売上の10
ライバル企業の締め出し:同6
下請けいじめ:同1%
の課徴金が課される

・今後、企業がどのような協力をすればどれだけ減免措置がされるかの目安を検討。


10.株式上場に向けて、予算制度はいつまでに導入すべきか?
(1)予算制度の導入時期
2年程度運用されていることが望ましいが、最低限1年以上の運用実績が要求される。
⇒予算制度は予算の策定過程だけでなく、月次での予算統制状況も審査される。

(2)予算制度と上場審査
⇒予算制度が有効に機能しているかは、月次における予算実績の差異分析及びその後の統制状況により審査される。
⇒予算と実績の差異が多額に発生し、それが達成不可能な目標予算であれば上場審査では問題となる。

(参考)
上場会社の場合、決算短信で業績見込みを公表するが、公表された業績見込みが売上高で10%以上、利益で30%以上変動した場合、業績予想修正の公表をしなければならない。

■今週の新規上場会社
なし


11.マイナンバー関連
償却資産税の申告書にはマイナンバーの記載が必要







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