2016年2月13日土曜日

2/12 勉強会:住民税:「資本金等の額」の改正、法人税割不均一課税への影響 他

1.使用人賞与の損金算入時期
・特例民法法人から公益社団法人への移行の際に未払金に計上した
 未払賞与は損金算入できるかどうか
 ⇒できない

・理由
 費用の期間配分という観点からは未払金計上が認められるが、他方で決算期における未払賞与の計上については法人税法で別規定がありそれに当てはめると損金算入できないことになるため


2.租税特別措置の見直しについて
平成283月末で適用期限が切れる主な租税特別措置法の見直し
3項目は廃止、
14項目は減縮

以下、主なものについて記載する。
・生産性向上設備投資促進税制
(廃止)当初通り平成293月末で廃止

・環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)
(延長・減縮)風力発電設備の即時償却が廃止
 太陽光発電設備については売電用は除外
 電気自動車等の税額控除の廃止

・中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例
(延長・減縮)従業員1,000人超の法人を除外

・雇用促進税制
(延長・減縮)対象は正社員のみに限定
 有効求人倍率全国平均の2/3以下の地域(雇用環境の悪い地域)に限定

・国際戦略総合特区の所得控除
(廃止)適用件数ゼロにより廃止

租税特別措置法については、
・延長したか
・廃止になったか
・対象が変わっていないか
を確認することが必要


3.固定資産の内訳書
・勘定科目内訳書の1つ
⇒記載する必要のある固定資産は、土地および建物
⇒記載内容は詳細(※)なため税務調査などで活用されやすい
※固定資産の種類・構造、用途、面積、物件の所在地、期末残高など


4.株主総会決議事項の登記時に株主リスト
■商業登記規則を一部改正する省令案が公表
…株主総会の決議を要する登記をする場合には上位10名の株主リストを添付

■株主リストに記載する内容
・氏名(名称)
・住所
・株式の数および議決権の数
・議決権に係る当該割合を証する書類の添付


5.計算書類の作成・謄本交付請求を認めず
・株主が会社に対して、会社法4423項に基づいて、B/SP/LS/S・個別注記表・事業報告・附属明細書の謄本交付を請求
⇒会社は未作成を理由に、附属明細書の一部(「固定資産の明細」)を交付せず

■地裁
株主は、
・会社には作成義務があるので、文書は存在するはず
・仮に存在しない場合であっても、作成しその謄本を交付する義務がある

裁判所は、
・会社が未作成の場合に、会社法4423項に基づいて、計算書類等を作成することまで請求できない
∴株主の請求棄却

■高裁
株主は、
・会社は確定申告用の資料として「固定資産の内訳書」(「固定資産の明細」と実質的に内容が同じ)を作成している
⇒「固定資産の内訳書」の謄本交付請求が認められるべき

裁判所は、
・「固定資産の明細」と「固定資産の内訳書」は文書の作成目的のみならず、記載事項も異なる
⇒会社法4423項に基づいて、「固定資産の内訳書」の謄本交付請求を認めず
・会社法4423項は会社が実際に作成していることを前提として、謄本の交付請求を認めているのみ
(会社法の規定に「株主が会社に対し、計算書類等の作成を請求できる権利」を前提とするものはない)
∴株主の請求棄却


6.海外支店の特定仕入れが一部不課税に
■電気通信利用役務提供に関する消費税の内外判定
・改正前⇒役務提供者の所在地
・改正後⇒役務提供を受ける者の所在地

H27101日以降、
国内事業者が国外事業者より受ける事業者向け電気通信利用役務提供については、国内事業者に対し消費税が課税されている。

■国内事業者の海外支店の取扱いは?
・現行
内外判定は本店又は主たる事務所の所在地で判断。
海外支店が国外で役務提供を受けていても、国内事業者に消費税課税が発生。

H2911日以後
海外支店が国外で役務提供を受けた場合、消費税は課税対象外となる
ただし事業者向け電気通信利用役務提供に限定。


7.条文から読み解く軽減税率適用の有無
・軽減対象(8%)は以下の2つ
(1)飲食料品の譲渡 8%
 ・酒類、外食は軽減対象外(10%)
 →外食3要件(飲食業者が提供、テーブル・椅子等の設備あり、その場で飲食を前提)
 →持ち帰り用、老人ホームや学校給食は、外食には該当せず8%
 ・おまけ付きは、1万円以下 かつ 2/3以上が食品なら8%

(2)新聞(2回以上の定期購読)の譲渡 8%
 ・売店販売は軽減対象外(10%)


8.所得税:相続税額の取得費加算(土地特例)
■相続税額の取得費加算(土地のケース)
相続により取得した土地を一定期間内に譲渡した場合、支払った相続税額の一部を取得費(譲渡原価)に加算できる。

相続時期により、それぞれ下記算式で加算額が計算される。
(1)261231日までに相続があった場合
相続税額×土地の課税価格/相続財産の課税価格

(2)2711日以後に相続があった場合
相続税額×譲渡した土地の課税価格/相続財産の課税価格

■具体例
・相続税額 100
・相続財産の課税価格(合計10,000
 土地A 5,000
 土地B 3,000
 土地以外 2,000
のケースで土地Aを譲渡した場合、

(1)では
100×8,000/10,00080が加算対象
⇒譲渡していない土地B部分も計算対象となる

(2)では
100×5,000/10,00050が加算対象
⇒譲渡した土地Aのみが計算対象となる

■留意点
相続時期により計算方法が異なるので注意が必要


9.住民税:「資本金等の額」の改正、法人税割不均一課税への影響
■地方税法の改正により、【均等割】の税率判定に使用する「資本金等の額」について、下記の改正が行われている。(2741日以後開始事業年度)

1)資本金や資本準備金を欠損てん補に充てた場合等に、その金額を法人税法上の「資本金等の額」から減算等できる。
2)「資本金等の額」と「資本金と資本準備金の合計額」を比較し、いずれか大きい金額が均等割の税率区分の基準となる。

■上記の【均等割】に関する改正を、条例により独自に【法人税割】の不均一課税の適用基準にも反映させている自治体がある。パターンは下記の4とおり。
 A:上記[1] [2]の改正をいずれも反映
 B:上記[1]の改正のみ反映
 C:上記[2]の改正のみ反映
 D:いずれの改正も反映しない

ABのパターンはほぼ同数。ついでDCの自治体はわずか。


10.オペレーティングリース
1/13に公表されたIFRS16号「リース」ではリースをファイナンス・リースとオペレーティング・リースとに区分せずすべてのリース取引を原則オンバランス処理するとされた
・現状の日本のリース会計基準では
  ファイナンス・リース:オンバランス
  オペレーティング・リース:費用処理
 ⇒日本基準に導入された場合、実務への影響が大きい


11.ふるさと納税 トップは宮崎県都城市
2015年のふるさと納税寄付額トップ5は以下のとおり
1位 宮崎県都城市 35.3億円
2位 静岡県焼津市 34.9億円
3位 長崎県平戸市 26.8億円
4位 山形県天童市 26.8億円
5位 長崎県佐世保市 24.9億円

2014年はトップの平戸市が13億円だった。
・減税対象寄付額が2倍に増えたことで各自治体とも大幅増。
・都城市では、宮崎牛・地元の焼酎などの特典が好評でリピーターが多い。
・焼津市はマグロなど500種類の特典あり。


12.自己株式の活用方法
(1)自己株式
取得:定時および臨時株主総会の決議をもって剰余金の分配可能額の範囲内で取得可能
保有:期間、数量等の制限なく保有可能
処分等:売却等の処分については新株発行に準ずる手続(1)、償却については、取締役会設置会社にあっては取締役会で決定

(1)例えば会社法上の未公開会社の場合は株主総会特別決議

(2)資本政策への活用方法
・経営権確保、安定株主対策
⇒大株主が株式を手放したいが、適当な相手先が見つからない場合
・資本政策上の自己株式の処理
⇒例えば、新株予約権を上場前の役員に付与し、
 上場後にそれを行使することによって既存株主に自己株式を移動させることで解消


13.今週の新規上場会社
なし










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