2017年4月29日土曜日

4/28 勉強会:収益認識会計基準、連単で同一の会計処理を適用へ 他

1.収益認識会計基準、連単で同一の会計処理を適用へ

ASBJ6月を目途に収益認識に関する包括的な会計基準の公開草案を公表予定
・個別財務諸表の取扱いが焦点だった
⇒連結財務諸表と同一の基準とする方針
 同一企業で連単の比較可能性、財務諸表間の比較可能性を避けられる
※包括利益の表示や退職給付に関する会計基準に関しては連単分離となる
・いずれにせよ今回の提案により、多くの取引で申告調整が必要になると想定される
 ASBJでは「重要性に関する事項」等を定める予定

IFRS関連の基準のため中小企業への影響はなし


2.業績が没収要件でも事前確定届出給与に

H29年度税制改正関連の話題

・利益等に応じて「段階的」に株式を没収するタイプの譲渡制限付株式報酬
⇒損金不算入に
・事前に定められた業績未達の場合、付与した株式を「全て」没収するタイプの譲渡制限付株式報酬
⇒これまでどおり、事前確定届出給与として損金算入可


3.税効果、単体での注記は一部省略

■税効果会計の開示事項
・連結財務諸表
(1)DTA及びDTLの発生原因別の主な内訳
(2)税率差異の注記
(3)税率変更によりDTADTLの金額が修正された時はその旨と修正額
(4)決算日後に税率変更があった時に、その内容と影響の注記事項
(5)評価性引当金の内訳
(6)税務上の繰越欠損金に関する事項

・単体財務諸表
(1)(5)連結と同様に開示する
(6)不要
⇒単体での開示で影響が生じるのは限定的であるため、連結でのみ開示


4.有価証券報告書作成上の留意点(平成293月期提出用)

■今回の有価証券報告書作成上、留意が必要な事項
・経営方針等の記載
・繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
・平成28年度税制改正に係る減価償却方法の変更に関する実務上の取扱い
・リスク分担型企業年金
・平成293月に公表された会計基準等
(1)法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準
(2)連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い
(3)債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い

■繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針
・実務指針等(主に、監査委員会報告第66)における取扱いを基本的に引き継ぎ ※一部見直しあり
・平成293月期より原則適用
・適用初年度における開示
(1)適用初年度の期首において、所定の定めを適用することにより、これまでの会計処理と異なる場合
→会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取扱う
(2)上記以外の場合
→本適用指針を適用している旨を追加情報として注記


5.所得15億円超でも中小交際費特例適用可

H29年度改正により、中小企業で直近3事業年度の課税所得金額の平均が15億円超であれば、中小企業向けの措置法の適用を受けられない。
H31.4.1以後開始事業年度より適用

■主な中小企業の特例(主に資本金1億円以下の法人等が適用される)
・試験研究費等の税額控除
・貸倒引当金の特例
・所得拡大促進税制の上乗せ
・法人税の軽減税率
・少額減価償却資産の取得価額の損金算入
・欠損金の繰越控除の制限なし
・欠損金の繰戻し還付
・留保金課税なし
・交際費は800万円まで損金算入

H31.4.1以後に適用されない措置(H29.4.28時点)
・法人税率の特例、少額減価償却資産の特例
⇒他の規定で適用期限があるため、
・欠損金の繰戻し還付、交際費の損金算入
⇒適用除外とする改正が行われないため。

なお設立後3年以内の中小法人は平均所得金額に関係なく、中小企業向けの措置法が適用可。
ただし適用制限逃れを防止するため、判定する法人が合併等により設立された場合等については、被合併法人の所得金額等を加算する措置が手当てされている。


6.認定経営革新等支援機関、制度の見直しの方向性

■認定経営革新等支援機関とは
・中小企業に経営革新等支援業務(事業計画の策定、指導等)を行う機関として、国に認定された個人、法人
・約26千件が認定を受けており、税理士、税理士法人が全体の77%を占める

■見直しの背景
・直近1年間に経営革新等支援業務を行っていない支援機関が約3割もあり、認定基準の能力を満たしているか疑問視されている

■見直し案
(1)認定水準の維持
35年の有効期間を設定し、更新制を導入する
・国が行う調査への回答を複数回行わず、改善もない場合には認定取り消し
(2)能力向上
・中小企業大学校での研修や異業種間の連携促進
(3)制度普及
・申請手続きの簡素化(提出書類の削減)の実施

56月に見直し案の中間報告が取りまとめられる予定


7.所得拡大税制 29年度改正

■改正内容
前事業年度より2%以上賃上げした企業に税額控除を上乗せする

■控除額
(大企業)通常の10%に2%上乗せした(12%)
(中小企業)通常の10%に12%上乗せ(22%)

■留意点
大企業は前事業年度より2%賃上げしないと所得拡大税制そのものの適用がないこととされた(=適用がある場合は12%の税額控除となる)

中小企業は前事業年度より賃上げがあれば10%の税額控除が受けられ、2%以上の賃上げがあればプラス12%(計22%)の税額控除が受けられる。

※賃上げ⇒前年の平均給与と比較して判定


8.iDeCoと源泉徴収事務

iDeCo(個人型確定拠出年金)の対象
・平成2911日以降
20歳以上60歳未満の者
※ただし、会社員の場合は一定の要件が必要

■会社員の源泉事務について
・事業主振込又は個人振込のいずれかから選択
事業主振込⇒企業側は毎月の源泉徴収に係る事務を行う必要があり
個人振込⇒年末調整時が必要(毎月の源泉徴収に係る事務は不要)


9.意見不表明

・監査報告書において監査意見を表明しないこと
・意見を形成するに足る基礎を得られないときは意見を表明してはならない。
・意見不表明で監査報告書を提出するケースは意見表明が出来ないほど監査証拠が入手困難な場合や会計記録が不十分な場合に限定
・東芝の2016年度第3四半期の四半期連結財務諸表について、結論を表明しない旨の四半期レビュー報告書となった


10.平成291月以降の電気通信役務の提供に係る課税関係

1. 従来、リバースチャージされる取引
・役務提供する事業者が国外事業者
・役務提供者を受ける者が国内
・役務提供の内容が事業者向け
⇒課税対象(リバースチャージ方式)

2.H291月以降
・従来の課税関係に加えて、PEの所在地によっても課税関係が変わる
⇒従来は、役務提供を受ける者が国内にいれば課税対象となったが、国内にいても、国外のPEに帰属する部分は不課税
⇒同様に、役務の提供を受ける者が国外であっても、国内のPEに帰属部分は課税対象


11.M&AにおけるMAC条項の概要と使い方

■MAC条項
・「重大な悪影響」
・M&A契約締結後の事情によって、M&A取引を中止できるための条項

■契約書の条文にどのように含めるか
・表明保証に含めるケース
⇒クロージング後にMACが判明:売主側に対して保証を求める根拠
⇒クロージングまでにMACが判明:クロージングしない根拠
⇒一方で、売主側にとっては「重大な」と定義することによって微小な影響しか与えない項目を排除できる

・クロージング条件に含めるケース

■MACの例外
・契約書上、例外を設けるケースもあり。
・一定の重大な事情であってもMACではないとし、M&Aの中断や解除事由にならなくすることができる
例:
・市場における変動(金利の変動、為替の変動等)
・不可抗力(戦争、テロ、天災等)
・法律の修正等
・従業員関係(従業員数の減少、レイオフ等)
・通常の業務上の変更(取引先の減少、重要な取引先の倒産等)
・その他(収益目標未達、会計基準の変更等)


12.清算法人の株主における税務上の取扱い

■連結子法人株式の簿価修正
・連結子法人が解散による残余財産の分配をする場合、みなし配当が生じるため連結子法人株式の簿価修正を行う

■みなし配当と株式譲渡損益
・残余財産の分配額が資本金等の額を上回る場合、みなし配当が生じ、全額益金不算入となる
・株式譲渡損益については、資本金等の額から増減される

■欠損金の引継ぎ
・連結子法人の残余財産が確定する場合、欠損金は連結法人に引き継がれる

■残余財産の分配が現物分配である場合
・適格現物分配に該当する為、直前簿価が取得価額となる
・株式譲渡損益相当額は、直前簿価を残余財産の分配額として計算する
・みなし配当は益金に算入せず、連結個別利益積立金の増加として処理する
・源泉徴収は不要


13.連結納税を前提とした、連結子会社が清算する場合のみなし事業年度と申告方法

■ポイント
連結子会社の残余財産が確定した場合、その翌日に連結納税の承認が取り消されるため、連結事業年度開始日~残余財産の確定日までの期間について「みなし事業年度」の設定を行う

■同一事業年度内に解散および残余財産の確定が行われた場合
(1)期首~解散日~残余財産の確定日
⇒単体申告

■解散事業年度の翌事業年度に残余財産の確定が行われた場合
(1)期首~解散日~期末
⇒連結申告
(2)期末~残余財産の確定日
⇒単体申告


14.グループ会社間等で資金融通する際の貸金業者登録の要否

■前提:業として貸付を行う場合、原則登録必要

■本論:資金需要者保護・国民経済の観点から問題ない場合、登録不要
Grp内での資金効率アップ、金利負担の軽減措置等、経済活動に有用な場合
具体的には:
(1)企業Grp会社間での貸付け
(2)共同出資会社から合弁会社への貸付け
(3)企業グループ内の会社が、当該Grpに属さないことになった会社への貸付け
(4)合弁会社株主の100%子会社(金融子会社)から当該合弁会社への貸付け

■参考:その他登録不要の場合
(5)国・公共団体が主体となる貸付け(例:中小企業向けの貸付制度)
(6)銀行・質屋が主体となる貸付け
(7)卸売業者や運送、倉庫業者が主体となる貸付け
(8)事業者がその従業員に対して行う貸付け


15.退職給付信託の返還に伴う会計処理

■退職給付信託
退職給付信託は企業が保有する有価証券を退職給付にあてるために信託したもの
⇒年金資産用に自社の有価証券を信託会社に委託したもの

■退職給付信託の返還
・退職給付信託の返還をした場合、年金資産が減少。
⇒返還された有価証券を認識するとともに、退職給付引当金を増加させる。

・退職給付信託から生じていた未認識数理計算上の差異を即時認識。
⇒退職給付引当金の算定上、退職給付信託が除外されるため、
退職給付信託から生じた未認識数理差異を遅延認識する理由がなくなる。

■返還時の留意点
・退職給付債務に対して、年金資産が積立超過の状態であり、超過分が退職給付に使用される見込みがないことを合理的に予測できる。
⇒退職給付信託設定時に、信託財産が退職給付に充てることに限定したものであるといった要件があり、返還するには、信託財産が退職給付とは完全に切り離される必要がある。


16.世界の会計士事情

・カナダでは、会計士のうち会計事務所に勤務しているのは約20%。その他の大多数は企業、政府、NGOなどに勤務。
・間もなく多くの会計士が退職年齢に差し掛かり、人材の不足が懸念されている。
 会計士協会として、人材確保のため、先住民社会の教育水準向上を支援。


17.IPO実務検定試験

IPO準備の実務能力をまんべんなく、総合的に問う試験
・標準レベルと上級レベルがあり、合格するとそれぞれに対応する資格が付与
・合格率は60%程度
・合格すると会費は月1,500
・日本IPO実務検定協会(2007年設立)が主催

・上場準備を担える人材を育成することにより、ベンチャー企業の上場を促進することが目的









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