2017年9月25日月曜日

9/22 勉強会:組織再編税制の大改正ほか

1.セルフメディケーション税制に関するQ&A

Q1:どんな税制か?
・平成2911日~平成331231日までの間に、OTC医薬品の支払対価合計が12千円を超えるとき、その超
えた金額(上限:88千円)について所得控除が可能

Q2:従来の医療費控除との関係はどうなっているか?
・同時利用は不可。ご自身で選択適用

Q3:対象の医薬品は?
OTC医薬品(約1,500品目)、厚生労働省のHPで掲載

Q4:「健康の保持増進及び疫病の予防への取組として一定の取組」の「一定の取組」とは?
・申告対象の1年間に申請者本人が、対象の健診や予防接種等を受けること
対象例:人間ドック、各種健診、インフルエンザ等の予防接種、勤務先で実施の定期健康診断、メタボ健診
対象外例:市町村が住民サービスとして実施する健診、任意で受診した健診(全額自己負担)

Q5:「一定の取組」の証明方法に必要な証明書類は?
・領収書または結果通知表(氏名・取組実施の年・事業者もしくは市町村の名称または医療機関の名称が記載さ
れたもの)
※結果通知表はコピー可、健診結果部分は不要
※必要事項の記載がない場合、勤務先または保険者に別途証明書の発行を依頼する必要あり

Q6:控除対象額は税込or税抜?
・税込金額


2.収益認識基準適用なら延払基準は使えず

・収益認識に関する会計基準では、割賦販売に関して、「商品又は製品の販売時」に収益を認識することを要求
※従来より、割賦金の回収期限の到来の日、又は、入金の日に収益を認識する、割賦基準が認められてきた

・収益認識に関する会計基準の導入に伴い、「延払基準の方法による経理」が不可
※法人税法上、割賦販売に関して、延払基準で処理する場合、「延払基準の方法による経理」が必要

・収益認識に関する会計基準の導入後に行う割賦販売に関しては、
法人税法上も「商品又は製品の販売時」に収益(益金)の全額を計上する必要あり


3.有償新株予約権の行方

2017/5/10付で有償新株予約権の会計処理の草案を公開したが、
パブリックコメントとして約250件超の問い合わせあり。

■公開草案による有償新株予約権の会計処理
SOに関する会計基準」で規定された無償発行の新株予約権と同様に、
従業員から払い込まれる金銭の対価や労働のサービスの対価として付与されると整理され、
役職員等への報酬として費用計上される

上記の会計処理方針に対し反対コメントが203件。
うち70件近くが有償新株予約権の発行企業からの意見

■主な反対意見
・有償新株予約権は金銭を対価とし損失が発生する可能性のある投資制度。
⇒新株予約権者が公正価値について金銭により対価を支払っていれば報酬性はない
IFRSとの兼ね合い(両会計基準間にギャップあり)
公開草案:勤務条件がなく業績条件がある有償新株予約権を報酬として費用計上
IFRS:権利確定条件として勤務条件がある場合に限定し報酬を費用計上

■今後
パブリックコメントによる反対意見を考慮せざる得ないため、
当初10月に想定されていた正式な会計処理案の公表が遅れる可能性があり


4.監査部会で「監査報告書の透明化」を検討へ

・現行の監査報告書は財務諸表適性性の表明以外の監査人の見解の記載は限定的
・英国では監査人が着目した虚偽表示リスクなど、監査上の主要な事項を監査報告書に記載
EUでも同様の制度を今年から導入予定


5.CFC税制を巡る課税取消しも納税者による国家賠償法の訴えは斥けられる

■概略
CFC(ControlledForeignCompany)税制を巡って、所得税の更正処分等の取消を勝ち取った納税者が、この
更正処分等は税務署長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽さず漫然と行った違法な課税処分であるとして国を
相手に国家賠償法により損害賠償を請求する民事訴訟を提起した。
■納税者の主張
調査官らは、納税者が取消訴訟においてCFC税制が適用されない要件を満たすことを証明する文書や、その文書
に記載された情報を把握・認識していたにも関わらず、不十分で不適切な資料に基づき課税要件を満たさない違
法な課税処分を行ったと主張。
■結果
納税者の訴えは斥けられる(東京地裁)
理由:国家賠償法上の適用上違法とされるのは、CFC税制の適用除外要件の有無に関する資料の調査・収集に
おいて(税務職員の権限等の)一定の限界はあることを前提に、納税者の税務調査に対する協力状況などの諸状況
に照らして「通常遂行することが期待される税務調査」をすることなく更正処分等をした場合であるべきと判断
された。
■上記、東京地裁の判断について
調査官らは調査の際に、納税者の具体的な事業活動の内容・程度・管理体制や運営等の実態に関する各種資料の
提供を受けるとともに、納税者の周辺から事情聴取し回答を得ていた。適用除外要件の有無を判断材料となる事
項について多岐にわたる調査を行っていたことから通常遂行されることが期待される税務調査をしており、また
決算書等の情報から総合勘案して適用除外基準を満たしていないと認定判断したことは合理性を欠くものではな
いと指摘した。
一方、納税者は調査に対し、自ら積極的に資料を収集し提出することをしていないなど調査官の調査に協力せ
ず、適用除外要件に係る具体的な事情を明らかにしようとはしていなかったと指摘された。


6.ビットコインの課税関係

■ビットコインに係る利益
原則:雑所得
(事業として継続的に行う場合は事業所得)

■概要(いずれも値上り益に課税)
・日本円等に換金⇒換金時に雑所得として課税
・資産を購入⇒購入時に雑所得として課税
・他の仮想通貨とのトレード⇒トレード時に雑所得として課税
(参考)
採掘(PC上で一定の作業をする見返りに交付される)も原則として雑所得として課税

■損益通算等
・総合課税の雑所得内でのみ内部通算が可能
FX所得との通算不可(FXは申告分離課税のため)

7.大改正の組織再編税制 押えておきたい実務ポイント〈3

■株式継続保有要件の見直し(共同事業を営むための適格合併等に該当するための要件)
・改正前の概要
株主等の数が50人未満の被合併法人(特定被合併法人)の場合
⇒持株割合80%の継続保有要件あり

・改正の内容
支配株主(被合併法人等を支配する株主)が対価株式の全部を継続して保有すれば良い
⇒例えば持株割合70%の支配株主が継続して保有する見込みで、それ以外の株主が譲渡を予定していても要件を
充たす、改正前は×

・適用時期
平成29101日以後に行われる合併等について適用

■分割型分割における完全支配関係継続要件・支配関係継続要件の見直し
・当事者間の完全支配関係がある場合の分割型分割
⇒分割後に分割法人と分割承継法人との間に完全支配関係が継続する見込みが不要となった

・同一の者による完全支配関係がある場合の分割型分割
⇒同一の者と"分割承継法人"との間に同一の者による完全支配関係が継続する見込みは必要、分割法人との間に
同一の者による完全支配関係が継続する見込み不要とされた

・効果
継続したい事業あるいは買収先が引き受けたくない事業を適格分割により他の会社に切り出した上で(自社グ
ループ継続)、子会社株式を売却できる

・適用時期
平成29101日以後に行われる分割について適用


8.原価回収基準

・収益認識基準ではステップ5にあたる「履行義務の充足」で履行義務が一定の期間にわたって充足されると判
定された場合、履行義務の進捗に応じて収益を認識する
・合理的に進捗度を見積もれない場合はどうするか?
⇒回収が見込まれる費用の額で収益を認識する取り扱いを定めている=原価回収基準
(例)
・サービスの提供が期限より遅延して完了するケース
⇒遅延したら報酬減額=収益の額が確定できない
⇒現時点までの発生原価=収益として認識する
・原価回収基準に懸念の意見あり
⇒日本の工事基準では工事の進捗度を合理的に見積もれないのに収益を認識するのは合理性が無いとして原価回
収基準は採用されていない。
⇒この工事基準の考え方と反する



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