2018年7月17日火曜日

7/13 勉強会:四半期報告書 作成上の留意点(平成30年6月第1四半期提出用) 他

1.四半期報告書 作成上の留意点(平成30年6月第1四半期提出用)

■非財務情報に関する留意点
・経営者による財政状態、経営成績及びCFの状況の分析
従来の「財政状態、経営成績及びCFの状況の分析」が「経営者による財政状態、経営成績及びCFの状況の分析」になる。
 ⇒経営者の視点による財政状態、経営成績及びCFの状況に関する分析・検討内容を
具体的にかつ分かり易く記載することが求められる。
⇒事業全体及びセグメント情報ごとの経営成績の状況、CFの状況について記載が求められる。
⇒前年同四半期連結累計期間との比較よりも経営方針等との比較の方が投資家の理解を深めると判断したときは、経営方針等と比較分析して記載できる。
・大株主の状況
大株主の状況における株式所有割合の算定の基礎となる発行済株式について、事業報告と同様に自己株式を控除する。

■財務情報に関する留意点
・税効果会計基準一部改正
DTAは投資その他の資産に表示、DTLは固定資産に表示
⇒四半期B/Sにおける表示の変更のみ発生する場合は、追加情報において、表示の変更を行った旨を記載する。





2.裁量調整伴う業績連動給与の損金算入は

■業績連動給与
・平成29年改正
⇒算定の基礎とすることができる指標に株価等が追加

■裁量調整
・株価等の指標を杓子定規に適用した場合、業績連動給与が極めて低くなるおそれ
⇒役員自身の責任によるものであればよいが、外的要因等の管理不能な要因によるものだと不満につながるおそれ
⇒インセンティブ報酬としての機能が失われてしまう
・明らかに役員の責任とは言えない要因により低額になる場合、事後的に裁量で調整するケースあり
⇒恣意的になり、役員給与の損金参入要件に抵触する恐れがある(裁量部分のみでなく、業績連動給与全体が)

■対策
・裁量調整部分はあらかじめ業績連動部分から明確に区分しておくことが必要
・たとえば、裁量調整部分=業績連動給与から切り離して<第2賞与>といった形式にする
⇒業績連動給与本体も損金算入不可、という事態は回避できると思われる





3.接待交際費の必要経費算入は業務との直接関係性が必要に

■事例
・請求人は不動産貸付業を営む会社役員
・税務調査で土地の固定資産税、自動車関連経費、接待交際費が否認
⇒経費に含めるべきものとして裁判

■判決
・固定資産税等
⇒経費OK。土地の賃料収入を得るために直接の関連がある。
・自動車関連経費
⇒経費NG。不動産取引の記録に基づいた具体的な使用方法、頻度に対する証拠が不十分で業務との関係性が認められない。
・接待交際費
⇒経費NG。支出目的、相手との関係性を一部しか明らかにしておらず、業務との関係性が認められない。








4.平成30年度における所得税関係の改正

■給与所得控除の10万円引き下げ
⇒働き方の多様化に対応するため、どのような所得にも適用される基礎控除に比重を移していくことが目的
平成32年分以後の給与所得控除
給与所得控除:改正前65万⇒55万へ改正 基礎控除:38万⇒48万へ改正
上限額の変更:改正前1000万⇒850万  控除額:220万⇒195万へ改正

■基礎控除の改正(適用開始は平成32年1月1日以降に支払われるべき給与から)
⇒前述のとおり10万円の引き上げ
⇒但し合計所得金額が2500万を超える個人については適用不可

■子ども、特別障碍者等を有する者等の所得金額調整控除(給与収入850万円超の居住者のみ)
⇒自身が特別障碍者または23歳未満の扶養親族がいる場合
 (給与収入-850万)×10%を所得控除に加算(夫婦両方が適用可能)

■青色申告特別控除
⇒正規の簿記の原則に則って帳簿作成をしている個人:控除額55万(改正前65万)
⇒電磁的記録の備え付け及び保存又はe-taxで申告:控除額65万
適用開始時期:平成32年分の所得税の確定申告から

■その他改正
・居住用財産の買換え及び交換の場合の課税の特例、買換えにおける譲渡損失の損益通算 2年延長
・年末調整における電磁的記録による提出の範囲拡大など










5.第二弾! Q&Aで読み解く新固定資産税の特例措置

■平成30年度税制改正 新固定資産税の特例措置
・新たな設備投資に係る固定資産税の特例措置が6月6日より施行
→対象は中小企業者で、先端設備等導入計画の認定を受けた者
→平成32年度までの3年間に限り投資した機械装置等に係る固定資産税を2分の1から最大でゼロまで軽減するもの。

■ポイント
・先端設備等導入計画の認定を受けていても、中諸企業者に該当しない場合は特別措置は適用できない。
・一般社団・財団法人は適用対象外。
・業種・地域の制限はなし。医療業も対象。
・契約をしていても実際の取得前に認定を受ければ適用可能








6.30年分路線価、全国平均は3年連続上昇

・国税庁は7月2日に平成30年分の路線価図及び評価倍率表等を公表。
・全国平均路線価は前年(+0.4%)を上回る「+0・7%」で3年連続上昇。

【影響】
■住宅地
⇒雇用や所得環境の改善
 低金利の継続や住宅ローン減税などの施策による需要の下支え効果。
 利便性の高い地域を中心に地価が回復。

■商業地
⇒外国人観光客の増加などによる店舗・ホテル需要の高まり。
 都市中心部の再開発事業。

■上昇した都道府県
⇒昨年の13から18に増加。
 上昇率が最も高かったのは沖縄県の5.0%、次に東京都の4.0%。

■都道府県庁所在地の最高路線価
・最高路線価は33都市で、盛岡、山形、福井、徳島、長崎、鹿児島の6都市が加わった。
・上昇率10%超は11都市。
20%超⇒神戸、熊本、京都
10%超⇒札幌、仙台、さいたま、横浜、名古屋、福岡、大分、那覇
マイナス⇒水戸

■全国で路線価が最も高かったのは、33年連続で「東京都中央区銀座5丁目銀座中央通り」。
1㎡当たり「4,432万円」で路線価の最高額を2年連続で更新。










7.国税庁 馬券の払戻金の所得区分に関する改正通達公表

(まとめ)
■原則
一時所得

■例外(雑所得)
・ソフトウェアを使用
・または偶然性の影響を減殺するために,年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入している
・年間を通じての収支で多額の利益を上げている
・これらの事実により,回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合には

⇒競馬の馬券の払戻金に係る所得は,営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。







8.現行の消費税率と軽減税率で異なる8%

2019年10月1日より消費税率が10%となるが、
飲食料品等を対象に税率8%に据え置く軽減税率制度が実施される。

■軽減税率の対象品目
主に飲食料品(人の飲用又は食用に供されるもの)のうち、
お酒や外食・ケータリング等時の飲食料以外の食材等が該当する。

■軽減税率8%の内訳
消費税率6.24%、地方消費税率1.76%
※現行の8%の内訳は消費税率6.3%、地方消費税率1.7%(経過措置に該当する取引)
⇒表面上の税率は変わりないが内訳は異なる。

■2019年10月1日以降の請求書
区分記載請求書等保存方式が適用されるため、
軽減税率の対象品目であること、税率ごとに合計した税込対価の記載が必要となる。
(例)スーパーの領収書
紙パック 110円
野菜    540円※軽減税率対象品目
合計    650円
内訳(10%対象110円)、(8%対象540円)








その他有価証券の評価差額の回収可能性

・原則として個々の銘柄ごとにスケジューリング⇒回収可能性を検討
・含み益と含み損の銘柄に分けて、含み損のグループを一括してスケジューリング検討することも可能。
・スケジューリング不能な場合⇒含み益と含み損とを相殺し、純額の含み損について繰延税金資産を計上、も可能。

・減損処理したその他有価証券は、期末時価が減損前取得原価に戻るまでは、
 減損後の時価上昇による評価差額は「将来加算一時差異」ではなく、「将来減算一時差異」の戻入れとなる







10.譲渡所得の計算

・当初申告で概算取得費(収入金額の百分の五)を使った。
 ⇒ あとで、市街地価格指数などによって推定計算した取得費に変える、更正の請求は可能か?

・不可。
 ⇒更正の請求の一般的なケースは「間違い」を前提にしており、概算取得費の採用は「間違い」ではないため。

・では、推定計算ではなく、実額が分かった場合の更正の請求はどうなるのか。
 ⇒ 「証明できる実額」であれば、更正の請求が可能(平成29年12月13日に審判所が裁決)。










11.情報システムの再構築

・上場準備を進める中で、通常、上場へ向けて情報システムに対する何らかの見直しは必要
・運用体制の簡単な手直しで済むのか、あるいはシステムそのものの入れ替えや改修を行わなければならないかは、現在の情報システムがどの程度整備されているかによって異なる

・クラウドサービスも充実してきており、情報システムの一部をクラウドサービスに切り替える上場企業も増えている
・しかし、情報システムのアウトソースをしただけでは上場企業としての情報システム管理としては不十分

・アウトソース先における情報システムの管理状況を理解し、評価することまでが求められている
・多くの場合は、監査・保証実務委員会実務指針第86号「受託業務に係る内部統制の保証報告書」(以下、86号報告書)をアウトソース先から入手して評価するため、あらかじめアウトソース先の選定時に86号報告書が入手できるかを検討しておくことが重要




















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