2018年11月2日金曜日

11/2 勉強会:マンションの仕入税額控除で示されていた当局の見解 他

1.自社株による対価M&Aが会社法でも可能に

■会社法制の見直しに関する要綱(法制審議会会社法制部会)
・買収会社が株式交換により対象会社を買収する場合、対象会社の発行済株式すべてを取得することとされている。
 ⇒対象会社を完全子会社とすることまでは考えていない場合は株式交換ができない。
 ⇒完全子会社とまではしなくとも、株式交換と同様に、株式会社が他の株式会社を子会社とするために、自社株式を他の株式会社の株主に交付することができる制度を会社法において創設する予定。




2.改正実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」等の概要

■改正
・2018年9月14日公表(ASBJ)
・IFRSまたはUSGAAP適用の子会社の処理⇒連結にあたり、JGAAPへの修正する際の組替方法の改正

■そもそも実務対応報告第18号とは?
・親会社と子会社が採用する会計方針は原則として統一
・ただし、在外子会社の場合は現地の制度などもあり、統一が困難なため、連結上必要な修正をする必要がある
・その項目を列挙したのが本基準(のれんの処理など)

■追加された項目
・その他有価証券の取得後の時価変動
【日本基準】
(1) 通常の時価変動:包括利益で処理
(2) 著しい時価の下落:当期の損失(投資有価証券評価損)
(3) 売却による含み損益の実現:当期の損益(投資有価証券売却損益)
【在外子会社の処理/IFRS適用】
⇒上記(1)~(3)のいずれのケースでも包括利益で処理する
【親会社の連結組替/JGAAPへ組替】
⇒(2)と(3)は日本基準での処理に変更する必要あり







3.マンションの仕入税額控除で示されていた当局の見解

・H24年1月19日の国税不服審判所の採決が販売用マンションの仕入税額控除が共通対応とされる根拠となっている
・しかしH7年と9年にも同様の事案が税務当局で検討されており、課税資産の譲渡等にのみ要するものという結論が出され、全国の国税局に周知されている
⇒消費税法は改正等されていないため、取扱いが変更されたのはおかしい

■平成7年の事案
・国税庁課税部消費税課に質問があり、注意を要する事案として全国の国税局に意見聴取を実施している
【事案】「譲渡用住宅を一時期賃貸用に供する場合の仕入税額控除」の取扱い
・分譲マンションを購入して販売する予定だが、市況の状況から分譲完了するまでに数年を見込んでおり、それまでの間は一部を賃貸することにした場合、課税資産の譲渡等にのみ要するものとできるか
【回答】分譲目的で取得しており、課税資産の譲渡等にのみ要するものに該当することは明らか。一時的に賃貸用に供されるとしても棚卸資産として処理し、将来的にすべて分譲することとしているものについては、課税資産の譲渡等にのみ要するとして差し支えない

■平成9年の事案
・本事案の取扱いの判断に当たって、法律の解釈を国税庁と大蔵省主税局にも確認している
【事案】「転売目的のマンションを居抜きで買い取った場合の仕入税額控除」の事案
・賃借人が居住している状態のまま時価で購入し販売用不動産として資産計上し、賃貸収入に係る課税仕入れとして仕入税額控除の適用をしなかった
販売目的で購入したものなので仕入税額控除の適用があるとして、更正の請求を実施
【回答】賃貸収入は居抜きで購入したために副次的に得た対価であり、法人の処理や販売活動から転売目的で取得したことは明らか。よって課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当する






4.同族法人への管理委託料は必要経費に該当せず

【不動産所得の計算上、必要経費に算入されるということは】

■概要
請求人:会社役員であり不動産貸付業(個人)を営んでいる。
・自らが代表を務める法人に対して、業務管理料名目で支払った。
・この管理料を不動産所得にかかる経費として必要経費に算入して個人の確定申告を行った。
また、法人から請求人へ役員報酬として支払っており、給与所得として申告していた。

税務署側:税務調査の際に、業務管理料は必要経費ではないと指摘
修正申告後の業務管理料も必要経費ではないとして、更正処分を行った。

請求人:修正に応じるも、業務管理料を減額、法人から支払われた役員報酬は返還されるものとして修正申告を行うも、更正処分を不服として審査請求を行った。

■争点
個人から法人へ支払われた業務管理料は、不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入されるか否か

■裁決(下記の理由はあくまでも例示・実際は様々な事実を基に総合勘案している)
理由① 法人への委託に関しては必要性が乏しい。
⇒業務を行っていた事実はあったとしても、ゴミ拾いや草刈りであり、補修工事は電球交換などの軽微なものに過ぎず、補修工事や設備保守点検と評価しうるような行為と認めることはできない。
⇒苦情処理に関しても看板等に連絡先を記載するなど、そもそも近隣からの苦情を把握しようとしていたとは認められない。

理由② 実態を備えていない
⇒保守、業務管理料でありながら、設備や備品を所有していない。記帳に関しても、通帳や領収書を税理士事務所に渡すのみ。また新たな賃借人を募集していた形跡がない。

所得税法37条の1項に該当する「必要経費」と判断されなかった。






5.政府税調、連結納税制度の簡素化を検討

連結納税適用法人は、上場企業3,000社のうち、約600社
→企業側からは申告書作成の事務負担や税務調査時の負担が大きいとの指摘
→約2,200社が連結納税制度を適用可能だが、選択申請をしていない。
→未導入企業は、決算時の事務負担増により45日ルール守れなくなることを懸念
→政府税調では企業の税務申告の実務等を踏まえ、中長期的な視点から簡素化等を検討




6.取締役責任追及、和解には監査役の同意

■会社法制部会が、訴訟への補助参加同様の規定を導入
⇒取締役等の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解にするにあたり、監査役設置会社の場合は各監査役の同意が必要。

今年2月に取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」と同様の内容。

現在、監査役の同意が必要な事項
・取締役等の責任を追及する訴えに係る訴訟に補助参加人として参加する場合
・取締役(監査等委員又は監査委員を除く)及び執行役員の責任の一部免税に関する議案を提出する場合





7.過年度のKAMは改めて記載せず

KAM=「監査上の主要な検討事項」

日本公認会計士協会は「独立監査法人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」等の公開草案を公表した。

監査を実施する上で監査人が特に注意を払った事項をKAMとして決定しなければならないとし、監査人が考慮しなければならない項目として
・特別な検討を必要とするリスクが識別された事項
・重要な虚偽表示のリスクが高いと評価された事項
・見積りの不確実性が高いと識別された事項
・経営者の重要な判断を伴う事項 等

また、比較情報が財務諸表に含まれている場合であっても、KAMは当期の監査上の論点から選択することとしているほか、前年度の監査報告書に記載されたKAMの内容を当年度の監査報告書で更新することは求めていないとした。



8.給与と外注費_2

■判断基準について
・契約の有無
・代替性の有無
・拘束性の有無
・指揮監督の有無
・危険負担の有無
・用具供与の有無

■例(ホステス)
ホステスA:日給、月給、同伴手当、タイムカードによる管理、衣装代自己負担
ホステスB:売上の50%をベースとして、指名料、同伴手当を支給、売掛金の回収責任あり、衣装代自己負担

<あてはめ>A、B
・契約の有無 不明、不明
・代替性の有無 無、無
・拘束性の有無 有、無
・指揮監督の有無 有、無
・危険負担の有無 無、有
・用具供与の有無 無、無

■裁決
ホステスA:給与
ホステスB:外注費





金融機関等へのマイナンバーの届出義務

2015年12月31日以前に証券口座等を開設し、
金融機関等へマイナンバーを提出していない場合、速やかに提出する必要あり
※経過措置が2018年12月31日で終了するため。

無記名割引債など一部商品・取引について、
マイナンバーを提出していない場合は支払いを留保される可能性あり。

なお金融機関が受け取ったマイナンバーは、
税務署へ提出する法定調書へ記載されるのみで、
個人の口座残高等は税務署に通知されることはない。








10.(東証)株主数基準

・東証が定める上場維持のためのルールの1つに株主数基準がある。
・たとえば、市場一部は株主数が2,000名を下回ると指定替え基準に抵触。
 → 一定期間内に解消されないと二部に指定替え。
 → 最近ではやまやが指定替えの猶予期間に入ったが、10月10日解除された。
・その他、上場廃止基準もあり。
 → 一部、二部、マザース(上場後10年経過):400名
 → マザーズ(上場後10年未満)、JASDAQ:150名
・判定は株主等基準日(通常は事業年度の末日)で行う。





11.金融商品会計基準の改正について(基準改正の背景、動向)

■概要
・企業会計基準委員会(ASBJ)が8月30日に「金融商品に関する会計基準の改正についての意見の募集」を公表。
・検討範囲は主に「金融商品の分類及び測定」、「金融資産の減損」、「ヘッジ会計」の3つ。

■金融資産の減損
・(従来)発生損失モデル⇒(現IFRS、US-GAAP)予想信用損失モデル
・日本もこの流れの改正がありそう。
⇒ただし、金融機関に与える影響が大きいので、その準備には時間とコストがかかる。
⇒早期に基準の方向性の決定と実行可能性の検討が必要。





12ベンチャー企業の組織作り

成功企業の共通点
1.優秀なミドル層の存在
・トップと現場をつなぐ結節点
・条件として
(1)トップの考えを自分の言葉として伝えられる情報の発信力
(2)現場の情報をキャッチする受信力

2.採用段階での徹底した共感創造
・ビジョンやミッションに対する共感
・どう働きたいかといった就労感を徹底してすりあわせ
⇒労働観の多様化によって、近年はビジョンの重要性が見直されている。

(リンクアンドモチベーション 代表取締役会長のインタビュー記事より)




















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