2018年11月25日日曜日

11/22 勉強会:見積りの注記、IFRS通りに導入せず 他

1.個人事業主の後継者による消費税の免税制度利用を問題視

会計検査院が消費税の事業者免税点制度に問題があると言及している。

⇒開廃業手続きによる事業の引継ぎの場合、旧経営者が消費税の納税義務者であったとしても、
事業者免税点制度により、原則として消費税の納税義務が2年間免除される。
⇒大半の場合、新経営者による事業収入は旧経営者と同程度であり、業種は同一の業種を引き続き継続しているため、新経営者の納税義務を免除することは公平性に欠けると指摘。






2.見積りの注記、IFRS通りに導入せず

■開示要求(IASの規定をJGAAPへ)
・経営者が会計方針を適用する過程で行った判断
・見積りの不確実性の発生要因
⇒IASの開示要求通りの形で日本基準に導入することは適切でないとの結論(ディスクロージャー専門委員会)

■経営者が会計方針を適用する過程で行った判断(検討見送り)
・企業から有用な情報が提供されるとは限らない。

■見積もりの不確実性の発生要因(日本基準でも開示を充実させる方向/IAS通りではない)
・例えば、以下の情報を記載することが考えられる
(1) 見積りの概要
(2) 見積りにより財務諸表に計上された金額
(3-1) 見積りを行うにあたり企業が採用した主要な仮定等
(3-2) 異なる仮定等を採用した場合に財務諸表に及ぼす影響の説明




3.仕入時に賃借人ゼロなら全額仕入控除可

■居住用建物の消費税の仕入税額控除の区分判定
・「建物の仕入日において当該建物が住宅の貸付に供されていたこと」が共通対応の要件と判明
⇒仕入日時点で賃借人がいなければ課のみでOK
⇒仕入後に建物が賃貸されても最終的に売却なら課のみでOK

■ムゲンエステート社の裁判
・仕入税額控除が否認された根拠
1.建物の仕入日に住宅の貸付に供されていたこと
2.建物が賃借権負担付売買契約となっていたこと
3.賃借人としての権利義務を承継し、賃料を収受したこと







4.消費税10%税率適用後の資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置Q&A

■工事請負等の税率に関する経過措置の概要
①平成31年3月31日までに締結する以下の契約
・工事の請負契約 ・製造の請負契約 ・左記に類する一定の契約
②相手方へ通知
・経過措置の適用を受けた課税資産の譲渡である事を書面で通知する。
⇒10月1日以降に課税資産の譲渡が行われても旧税率8%が適用可能

■Q&A
Q:契約書の作成は必要か?
A:書面で通知する事が要件であるので、契約書などの書類の作成は要件ではないが、契約締結時期や
  工事内容が経過措置の適用要件を満たす事を明らかにしておく必要がある。

Q:経過措置の適用を受けている事の通知はどのようにするのか?
A:(例)消費税法30条9項に規定する請求書に経過措置の適用を受けたものである事を表示

Q:工事や製造は10月1日の前日までに着手する必要があるか?
A:契約を締結していることが要件の一つだが、着手していることは要件ではないので必要がない。

Q:旧税率で請け負った工事を下請け業者へ委託した場合
A:適用されるかどうかは個々の取引により判断するため、締結時期・工事内容が要件を満たせば8%







5.「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)の改訂の解説

■CGSガイドラインの改訂について
経済産業省は、平成30年9月28日に、CGSガイドラインを改訂
改訂内容は多岐にわたるが、主に以下の3点が重要な改定となっている。
・社長、CEOの指名に関する事項
・社長、CEO後継者計画に関する事項
・取締役会議長、指名委員会、報酬委員会の構成に関する事項




6.消費税課税選択の説明不足で税理士敗訴

消費税課税制度の選択における善管注意義務違反として税理士に損害賠償命じる

■概要
・税理士は納税者に対し税務署へ消費税の届出を提出する際、「消費税の簡易課税と一般課税との比較仮計算書」と題する書面を送付。
・簡易課税制度選択届出書を納税者の押印をもらって提出。
・税理士は簡易課税制度と一般課税制度とはいかなる制度であるか、簡易課税制度を選択した場合には、2年間は変更できないことについての説明をしなかった。
・仮に一般課税を選択した場合とは約140万円の差額あった。

■裁判所の判決
消費税課税制度の選択について納税者に説明を尽くしたとは到底認められないとし、税理士に損害賠償を命じる判決を下した。






7.平成30年度改正

■消費税に関する改正内容の解説
・簡易課税制度のみなし仕入率の見直し
Ex)食用の農林水産物を生産する農林水産業

軽減税率制度の実施により、食用の農林水産物を生産する農林水産業
→売上に軽減税率適用
種子や農薬、農耕工具など
→仕入れのほとんど標準税率適用

簡易課税制度においては、食用の農林水産物を生産する農林水産業のみなし仕入率を現行の70%(第3種事業)⇒80%(第2種事業)に引き上げることとした。






8.法人税等の申告書に係る電子申告義務化

2020年4月1日以降、大企業が行う申告書の提出方法が、
電磁的方式により提出することが原則となる。

■対象税目
・法人税及び地方法人税
・消費税及び地方消費税
・法人住民税及び法人事業税
■対象法人
・内国法人のうち資本金の額等が1億円を超える法人
・相互会社、投資法人及び特定目的会社など
■対象となる申告書
・確定申告書
・中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書
・修正申告書、還付申告書
※添付すべき書類のすべてをe-taxにて提出
■適用日
2020年4月1日以後に開始する事業年度から適用。
※消費税の中間納付につき毎月納付が適用されている会社は、
2020年4月30日申告・納付期限分より電子申告が必須。
■その他
・電子署名の簡素化
・勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化
・CSV形式による提出






収益認識基準に対応した法人税法基本通達のポイント

・基本的には、
収益認識基準で計算した会計上の売上=法人税法上の収益となる。

・値引き、値増し、割戻等により変動する可能性がある部分の金額の扱い(⇒見積に応じて売上額から増減)
 契約上定められているキャッシュバック(⇒売上から減額)
 
・キャッシュバックについては経過措置あり(支払った事業年度の損金としている場合は当面の間これを認める)。







10.継続企業の前提と改訂監査基準

■今年7月公表の改訂監査基準の主な改訂
(1)KAM(監査上の主要な検討事項)の導入
(2)監査報告書の記載内容の明瞭化や充実
(3)国際的な整合性を図る改訂
(4)継続企業の前提に関する事項
⇒監査報告書の「経営者及び監査役等の責任」という区分で、経営者自身が継続企業の前提に関する評価を行い、開示を行う責任がある旨の記載が求められることとなる。







11.IPO後に株主数を急増させた企業

・クロスフォー(7810)
・上場は2017年7月
・山梨県に本社のある宝飾品メーカー
・IPO後1年余りで株主数は4000名から16,000名に増加
・株価の下落が続く中で、株主優待制度に組み込んだ結果である
・株主優待としては、自社製品の4,500円相当のアクセサリーがもらえる

現在のIPO市場はキャピタルゲインを主体にした目先の利益優先の
短期投資家が潤う機会を与える場になっている感がある中で、
これだけ株主(投資家)との接点ができたことは意義のあることだと考えられる。




















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