2019年1月5日土曜日

12/21 勉強会:平成31年度税制改正で個人版事業承継税制を創設 他

1.平成31年度税制改正で個人版事業承継税制を創設

■事業用資産の課税価格の100%に対応する相続税額等を納税猶予
・10年間の時限措置(平成31年1月1日~平成40年12月31日)
・事業用宅地や事業用建物等について、課税価格の100%に対する相続税や贈与税額を納税猶予するもの
・担保の提供や、承継計画の作成と承認が必要
・既存の事業用小規模宅地特例との併用は不可





2.D&O保険、保険給付金額等は開示せず

■会社法の見直し
・役員等損害責任保険(D&O保険)契約に関する規定を整備
・株主代表訴訟担保特約部分の保険料についても会社が負担できることに(税務要件と合わせる形での見直し)
・内容を決定するには、取締役会決議によるものと規定する予定。

■公開会社の場合(事業年度末で公開会社の場合)
・上場開示規定も設ける
⇒以下2点を開示(事業報告に含める)
(1) 役員等賠償責任保険契約の被保険者
(2) 役員等賠償責任保険契約の内容の概要





3.消費税増税対策で住宅ローン控除13年に

■H31年度税制改正
・H31.10/1~H32.12/31までの間に居住の用に供した住宅について、住宅ローン控除の控除期間が3年延長

■控除額について
・1~10年目まで
⇒ローン残高の1%を10年間所得税から控除(最大40万円)

・11~13年目まで
⇒下記いずれか少ない金額を控除
(1)建物購入価格の2/3%
(2)ローン残高の1%






4.消費税の経過措置の取扱Q&A

■公共料金に関するQ&A
 Q:月々の携帯料金について、通話量に応じて計算し一括して利用者に請求する場合、経過措置の適用可能か?
 A:検針その他類する行為に基づき料金が確定するものなので経過措置の適用対象

 Q:貸しビルオーナーが受け取る電気料金は経過措置の対象となるか?
 A:不特定多数の者に対して行う契約をいうので経過措置の対象外となります。

■請負工事に関するQ&A
Q:機械設備等の販売契約に基づく据付工事が10/1以後に行われた場合は経過措置の対象となるか?
A:3/31までに契約を締結し、本体代金と工事代金が区分されている場合は経過措置の対象となる。

Q:歯の矯正治療やインプラントの申込みを3/31までに受けた場合、経過措置の適用はあるか?
A:あり。申込み時に一括して受領(返還しない旨を定めている場合)し継続して受領した時の、
収益計上している場合には収益を計上した時の税率を適用して差支えない。

■資産の貸付け関するQA
Q:メンテナンス料金を含めたコピー機のリース代金は経過措置が適用されるか?
A:3/31までに契約を締結し、10/1より前から引き続き貸付が行われる場合、月額料金の全額について
 経過措置が適用される。(リース契約とは別に付加されるメンテナンス料金の場合は適用対象外となる)








5.のれんの計上の状況等の分析②

■日本におけるのれん計上額の上位
・ソフトバンク:4兆3,024億円
・JT:1兆9,000億円
・武田製薬:1兆円
→1兆円を超える企業は上記3社のみである。

■日米欧の主要企業ののれん計上額(1社当たり平均)
・米国:2兆211億円
・欧州:7,969億円
・日本(IFRS):1,182億円
・日本(JGAAP):476億円
→欧米が日本とひくしてM&Aに積極的と言われているが、数値の面でもその傾向が表れている。

■日米欧で業種別のれん計上額が多かった業種
・通信業
・銀行業
・たばこ/食品/飲料業界
・製薬業
→上記業種は技術革新や陳腐化が早く、研究開発に時間をかけるだけではなく、多額のM&Aを多数行うことにより、「お金で時間を買う」傾向が強いことが






6.中小企業向けの災害対策設備投資減税が創設へ

■中小企業災害事前対策設備投資税制(H33年3月31日まで)
⇒防災・減災設備への投資について課税の特例の適用。
 特別償却率20%ができる。

【適用までの流れ】
①事業継続力強化計画(仮称)の策定
⇒目標、内容、実施時期、必要資金の額及び調達方法などを記載。

②経済産業大臣の認定
⇒中小企業者の事業継続力強化に関する「基本方針」に照らし適正なものであること
⇒事業継続力強化を確実に遂行するために適切なものであること

【対象設備】
■機械装置(1台又は1基の取得価額が最低投資額:100万円)
⇒自家発電機、排水ポンプ、制震・免震装置等

■器具備品(1台又は1基の取得価額が最低投資額:30万円)
⇒照明器具、衛星電話、データバックアップシステム等

■建物付属設備(一の取得価額が最低投資額:60万円)
⇒貯水タンク、浄水装置、防火シャッター消化設備、排煙設備等





7.住宅ローン控除で摘要誤り、国税庁が是正へ

・平成25年から28年までの所得税の確定申告書を提出した納税者の内、最大で約1万4500人について申告の誤りの是正が必要であるという。
⇒申告書の誤りがあった納税者には、所轄の税務署から文書を送付する予定

■主なケース
・住宅ローン控除と贈与税の住宅取得等資金の贈与の特例を合わせて適用を受けた場合の住宅ローン控除額の計算誤り
→新居を取得するに当たり贈与を受け、その受贈額について特例を受けた場合、さらに住宅ローン控除を受ける際には住宅ローン控除額の計算上、特例の適用を受けた受贈額を住宅の取得価額から差し引く必要があるが、そのまま減額せずに申告した。





8.住宅ローン控除等 適用誤り事例

■ケース1
住宅借入金等特別控除(以下住宅ローン控除という)と贈与税の住宅取得等資金の特例を併用している
⇒贈与税の住宅取得資金贈与の特例(一定の贈与額まで非課税とする制度)の適用を受けた金額は
住宅の取得資金から差し引いてローン控除を適用すべきところ、元の取得資金をベースに計算して
しまっている

■ケース2
ローン控除と居住用財産譲渡の3,000万円控除を併用している
⇒居住年及びその前後2年(計5年)の間に居住用財産の3,000万円控除を
受けた場合にはローン控除の適用はできないが併用してしまっている

■ケース3(贈与税)
直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた一定の金額は非課税となるが、
贈与をうける者の合計所得金額が2,000万円を超える場合には適用がない
⇒受贈者の所得を確認しないで適用してしまっている





平成31年度税制改正大綱の大枠が固まる

概要は以下の通り。

■法人税
・研究開発税制の見直しに伴い、
積極的に研究開発投資を行う「一定のベンチャー企業」の税額控除の上限を増額。
現行25%⇒40%へ
・中小企業の防災・減災設備の特別償却制度を創設
・措置法の中小企業者等の特例などを延長

■資産税
・個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度を創設
・特定事業用宅地等に係る小規模宅地特例の見直し
・教育資金や子育て資金の一括贈与非課税措置について適用期限を2年間延長

■地方税関係
・特別法人事業税(仮称)を創設 ※平成31年10月1日以後開始事業年度より適用
⇒法人事業税(所得割・収入割)の一部を分離し特別法人事業税とする。
(例)
資本金1億円超の法人
法人事業税:現行3.6%⇒1%へ ※年800万円超の所得税率
特別法人事業税:事業税額(所得割)の260%

資本金1億円以下の法人
法人事業税:現行9.6%⇒7%へ ※年800万円超の所得税率
特別法人事業税:事業税額(所得割)の37%

■所得税
・ローン控除の拡充
消費税10%が適用される住宅取得等(新築の購入等)をし、H31.10.1-H32.12.31までに居住した場合、
通常10年間のローン控除の適用を3年延長して適用可能。
・仮想通貨
会計上の取扱いが公表されたため処理方法等を法令上明確化する。
・寡婦控除が見直しされる可能性も

上記の具体的な詳細については近日中に発表される大綱にて公表







10.会計方針の変更と遡及適用

・会計方針の変更の場合、過去の財務諸表が誤っていたわけではないので、過年度の財務諸表の訂正は不要。新たな会計方針を過去の財務諸表に遡って適用していたかのように会計処理を行う。

・(金商法)当期と併記する、前期の決算書は新たな会計方針に基づいて修正。それ以前の期に与える累積的影響額は、前期の期首に反映する。なお、有報の「主要な経営指標等の推移」には過去5会計期間の財務指標が記載されるが、遡及適用は前期まで(開示府令ガイドライン5-12-2)。

・(会社法)累積的影響額は当期期首残高に反映。過去に確定した分配可能額は影響を受けない。

・過去の情報が保存されておらず、遡及適用が不可能な場合は、適用可能な最も古い日以後適用する。

・重要性がないと判断される場合には遡及適用しない。






11.改正税効果基準 開示

・企業会計基準委員会(ASBJ)が2018年2月に「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」を公表。

・3月決算会社は2019年3月期首から、12月決算会社は2019年12月期首から強制適用。
⇒3月決算会社は2018年3月に終了する事業年度から、12月決算会社は2018年12月に終了する事業年度から早期適用可。

・早期適用できる項目は以下の2点

①繰延税金資産・負債の表示区分
⇒それぞれ「投資その他の資産」、「固定負債」へまとめて表示。

②評価制引当額の内訳に関する事項と、税務上の繰越欠損金に関する事項
⇒評価性引当額に重要な変動が生じている場合、変動の主な内容を記載。
⇒税務上の繰越欠損金が重要である場合、評価性引当額を、繰越欠損金に係る部分とそれ以外に区分して表示。








12過去最大のIPOファイナンス額

・ソフトバンク
公募はなく、売出しのみ約2兆6460億円(国内2兆1409億円、海外2646億円、オーバーアロットメント2405億円)であり、
想定発行価格1500円で換算したソフトバンクの株式時価総額は約7兆1807億円

1987年2月上場のNTTの2兆3750億円のファイナンス額を抜き、国内最大のIPOファイナンスとなる。
しかもNTT上場時よりも日経平均が高い環境であり、今までのIPOとしては一番恵まれた環境での上場といえる。
それでも、IPO時のNTTの時価総額は当時でも19兆円近くあり、ソフトバンクの3倍近くあった。
















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