2015年6月21日日曜日

6/19 勉強会:平成27年度税制改正に係る税効果会計のポイント 他

1.オリンパス社の粉飾決算事件で同社に損害賠償を命じる初判決

■事例
・個人投資家がオリンパス社に対し、虚偽記載がなければ同社株式を取得していなかったと主張して株式の売却損相当の1億円の損害賠償請求をした事例

■経緯
・個人投資家が、オリンパス社の株式を10万株式購入
 (オリンパス社の英国人社長の解任決議があった日前後)
 平成23年10月14日のオリンパス社の株価…2,045円

・その後、オリンパス社が虚偽記載がある四半期報告書を提出していたことを公表し、この影響で株価が下落
 平成23年11月8日のオリンパス社の株価…734円

・個人投資家が保有株式を売却
 譲渡損失は約1億1千万円
 平成23年11月11日のオリンパス社の株価…460円

■裁判所の判断
・虚偽記載がなければオリンパス社株式を購入しなかったという個人投資家の主張は却下
 ⇒粉飾決算を行っていたオリンパス社が上場廃止に抵触する債務超過状態ではなかったため
・虚偽記載のある書類の提出者の賠償責任に基づきオリンパス社に損害賠償を命じる判断
・計算された一株当たりの推定損害額のすべてが虚偽記載と相当因果関係があるとは認められないことから、その一部を減額することが相当とした


2.社外取締役選任、相当でない理由

改正会社法(327条の2)では、定時株主総会における口頭の説明に加え、
①事業年度末日に社外取締役を置いていない場合には事業報告に、
②株主総会に提出する取締役選任議案に社外取締役の候補者が含まれない場合には株主総会参考書類に、
それぞれ社外取締役を置くことが相当でない理由を記載しなければならないとされた。

■改正会社法における社外取締役を置いていない場合の「相当でない理由」に関する事例
・ユニマットそよ風
⇒社外取締役の選定にあたって、企業経営への理解に加えて介護業界に関する知見を有することなどを要件としているが、現時点で適任者の選定ができなかった旨を記載

・中越パルプ
⇒経営規模等を総合的に勘案すると、自社のガバナンス体制が適正に構築されていることを詳細に説明した上、社外取締役の重要性を認識しつつも、経営規模等を総合的に勘案するとガバナンスは適正に運用されている旨を記載

・エンチョー
⇒社外監査役に加えて社外取締役を置くことは職務遂行上の重複感と費用の負担増を生じさせ企業価値を損なうおそれが懸念される旨を記載


3.計算ミスで給与計算代行会社に賠償命令

■概要
・給与計算代行会社が、給与計算ミスをした
・約3年に渡り、従業員1人の残業代を二重計上していた
・合計133万円過払いしていた
・給与計算代行会社に過払い分の損害賠償請求した

■争点
・会社は従業員から過払い給与の返還請求権を持っている
・本当に損害を被ったと言えるかどうか

■給与計算会社の主張
・会社には損害が無い(返還請求権を持っているため)

■結論
・給与計算代行会社には損害賠償命令が下った

■理由
・返還請求権を持っていたとしても、実際お金は会社から流出してしまっている

・そのお金が実際に補填されたことが証明されない限り、会社には損害が生じていると考えられるため


4.取締役会決定で売掛金認容処理は認めず

(事案)
某企業:社内調査しても解明できなかった売掛金の不明残について、取締役会決議を経た上で、減額し損金算入

原処分庁:損金算入できないと更正処分
⇒損金算入の事由である法人税法22条3号(原価の額、費用の額、損失の額)のいずれにも該当しないと主張

(審判所の判断)
 損金算入できない
⇒金銭債権の簿価を減額した場合、当該金額を損金算入するには、貸倒損失または評価損計上の要件を満たす必要あり
⇒本件の場合、
 ・売掛金の不明残について社内調査しても解明できなかったこと
 ・内部的意思決定である取締役会決議を経たことに基づいて売掛金を減額し損金算入しているが、これらは上記要件を満たさないと主張


5.事業者向け電気通信利用役務の提供とは

・電子書籍、音楽の配信などネットを介するサービス
・クラウドサービス等
(主な例)Yahoo・Google広告、Kindleでの購入、AmazonWebServiceなど

■消費税
(1)現状:役務提供者の所在地で判定
  配信した事業者が国内事業者⇒課税取引  (例)Yahoo広告
  配信した事業者が国外事業者⇒課税対象外 (例)Google広告、Kindleでの購入等

(2)H27年10月1日以降:役務提供を受ける事業者の本店所在地で判定
  配信した事業者が国内であろうが国外であろうが、役務提供を受ける事業者の本店が日本にあれば課税対象となる。
  上記例を使用している場合は、課税取引として処理する必要あり
※消費者向けの電気通信利用役務提供は、(1)のまま継続される

■納税義務
役務提供を受ける事業者に納税義務を転嫁させるリバースチャージ方式が導入される。


6.事業者免税点は消費者向け売上高で計算

・H29/4/1以後、国内向けに電気通信利用役務の提供を行う国外事業者が課税対象に

・国外事業者にも免税点制度が適用できる
 (基準期間の課税売上高が1000万円以下なら納税義務なし)

・課税売上高の計算からは、「事業者向け電気通信利用役務の提供」が除かれる
 ※事業者向けは、役務の提供を受ける国内事業者に納税義務あるため
 ⇒「消費者向け」に係る売上高で免税点を判定する


7.裁決事例:分掌変更に伴う分割支給退職給与の損金算入

∇概要
(1)A社は分掌変更(代表取締役⇒非常勤取締役)した役員退職金につき、資金繰りの問題から当期及び翌期で分割支給した

(2)国側は分掌変更による退職給与には分割支給が認められない(翌期支給分は役員賞与である)として更正処分を行った。

∇争点
(1)役員退職金については通達により、支給時に損金算入することが認められているが、分掌変更の場合でも適用されるのか

∇東京地裁
分掌変更による「退職」であっても役員退職金の通達は適用できるとして国側の主張を退けた。

(参考)分割支給の役員退職金の損金算入
(1)企業がよく採用している
(2)多数の税理士がHPで紹介している
(3)通達が存在する
ことから公正妥当な会計処理基準に従っていると認められた

但し、総額と終期が定められていない場合は否認の可能性がある


8.消費税:土地収用法の規定に基づき補償金を受ける場合の課税関係

■店舗の土地が収用される場合の、補償金収入について消費税の課税関係はどうなるか?
①土地の所有権が収用されることによる補償金の支払い
 ⇒ 非課税

②建物の移転に係る補償金の支払い
 ⇒ 不課税(対象外)

③休業に伴う収益補償金の支払い
 ⇒ 不課税(対象外)

※収用の目的物の対価としての性質が有る保証金は、『事業として対価を得て行われる資産の譲渡』に該当するので消費税の対象となる。


9.コーポレート・ガバナンスコード(CGコード)

・補充原則3-1②
 「合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである」
⇒他の原則は「行うべきである」に対し、「進めるべきである」との記載に混乱が生じている。
⇒どうすれば原則を実施(Comply)したことになるのか。

・英語版のHP、各種資料の英訳版の公表
⇒「進めるべきである」との表現から、すべての英訳が終わっている必要はなく、英訳を進める意思があればComplyしたことになるとの見解もある。


10.その他有価証券評価差額金の税効果

1. その他有価証券の評価差額に関する税効果の会計処理
(1) 個別法 … 銘柄ごとに税効果を認識
(2) 一括法 … 全てのその他有価証券を一括としてとらえて、税効果を認識

2. 回収可能性評価の流れ
(1) 個別法
個別銘柄ごとに、
 ・評価益 ⇒ 繰延税金負債を認識
 ・評価損 ⇒ 繰延税金資産を、回収可能性のある範囲内で認識
※ただし、一般的にその他有価証券は、簡単に売却できないケースが多く、スケジューリングは困難として、繰延税金資産を認識出来ないケースが多い。

(2) 一括法
スケジューリング可能なものと不可能なものに分類し、それぞれで回収可能性を判断。
イ)スケジューリング可能
 評価益と評価損となるものに区分し、
 ・評価益 ⇒ 繰延税金負債を認識
 ・評価損 ⇒ 繰延税金資産として、回収可能性のある範囲内で認識
ロ)スケジューリング不能
 評価益と評価損となるものを区分せず、評価益と評価損の純額について税効果を認識
 ・評価益>評価損 ⇒ 評価益と評価損の差額に対して繰延税金負債を計上
 ・評価損>評価益 ⇒ 評価損と評価益の差額に対して、回収可能なものについて繰延税金資産を計上
※評価損の部分も評価益と相殺されるため、個別法では回収不能とされる部分も、実質、回収可能性ありとして処理されることになる。

【設例】
評価益100と評価損50のその他有価証券があり、回収可能性がない場合
 ※実効税率を40%とした場合
(1) 個別法
 ・評価益100 ⇒ 評価益100に対し、繰延税金負債40(100×40%)を認識
 ・評価損  50 ⇒ 評価損50があるが、スケジューリング不能として繰延税金資産認識しない
⇒ 繰延税金負債40を認識
(2)  一括法
 ・評価益と評価損の差額(100-50)の50に対し、繰延税金負債20(50×40%)を認識
⇒ 繰延税金負債20を認識


11.平成27年度税制改正に係る税効果会計のポイント

1.平成27年改正
 ・法人税率の引き下げ
   2016/3期決算時/2016/3期:33.06%、2017/3期以降:32.30%

 ・欠損金の繰越控除制限
   2016/3期、2017/3期 65%
   2018/3期以降    50%
  (例外)
   (1) 更生手続、更生手続開始の決定等があった場合
   ⇒更生計画認可の決定等の日以後7年間は100%控除可能
     ただし、その間に再上場した場合は通常の取扱に戻る
   (2) 新設法人
   ⇒設立の日後7事業年度については、100%控除可能
     ただし、5億円以上の親会社・グループからの100%支配を受けている場合は通常の取扱になる。

 ・欠損金の繰越期間
   2018/3期以降 10年
   ※ただし、当該期間延長によりはじめて消滅が問題となるのは2028/3期

 ・受取配当金の益金不算入制度の見直し


2.税効果への影響(第1四半期決算)
 ・年度決算と同様に取り扱う場合
  一時差異の集計 → 会社区分の検討 → 回収可能性の検討 → 繰延税金資産の算定

【一番の問題は繰越控除限度額の縮小!】
 例:期末時点1,000の繰越欠損金がある大会社
   毎期250の課税所得が発生する見込
   会社区分は3(5年間スケジューリング可)
   毎期の繰延税金資産回収額:
    改正前(限度額80%):
     16/3以降毎期200(250×80%)回収され、向こう5年で回収しきるスケジュール
    改正後(16/3、17/3は65%、18/3以降は50%)
     [16/3]162、[17/3]162、[18/3]125、[19/3]125、[20/3]125 合計699
     ⇒繰延税金資産のうち、回収できない部分が出てきてしまう。

 ・四半期特有の処理による場合
   (四半期税前利益 ± 簡便的な税務調整)× 見積実効税率
   ⇒この場合でも回収可能性の検討は行う必要がある。


12.法定実効税率と法人税等負担率の個別F/Sでの主な差異原因

※法人税等負担率=(法人税等+法調)÷税前利益
・永久差異
・住民税均等割
・評価性引当額の増減額
・税額控除
・税率変更
・繰越欠損金の期限切れ


13.インサイダー取引について

■インサイダー取引規制
(1)内部情報に関するインサイダー取引禁止
・「会社関係者」または「情報受領者」が
・「重要事実」を知った場合は
・当該事実が「公表」されるまでの間
・関係する「特定有価証券等」の
・「売買等」を行うことを禁止

(ポイント)
・役員等の会社関係者も退職後1年は規制対象
・インサイダー取引は形式犯
→未公表の重要事実を利用したかを問わず、また利益の有無を問わず、未公表の重要事実を知ったうえで取引しただけで処罰対象

 (2)外部情報に関するインサイダー取引禁止
・公開買付や株式買い集めに関する重要事実について、買付者と一定の関係にある者による取引禁止

(3)未公表の重要事実の伝達等の禁止
・重要事実を知る会社関係者がそれを他人に伝達したり、伝達せずに取引を推奨する行為が禁止

 (4)制裁
・5年以下の懲役、500万円以下の罰金、またはその両方
・インサイダー取引で得た財産は没収

 (5)包括的禁止規定
・インサイダー取引に限定せずに市場における不公正な取引を規制する
→新しい形態の不公正取引も処罰できるようにするため


14.税制優遇基準「資本金1億円」見直しへ

・「中小企業」の基準見直し検討が開始に
・意図的に抑えることができる「資本金」ではなく、「売上高」「所得」を基準にする方向で2017年度にも基準変更を目指す
・アイリスオーヤマ、ジャパネットたかたなど著名な大企業が資本金を1億円にして優遇を受けている
・シャープが1億円への減資を検討したことで、見直しへの機運が高まった
・米国⇒大企業と中小企業の分けなし 所得水準による累進課税

・仏国⇒売上金額を基準に法人税率を区分









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  

2015年6月13日土曜日

6/12 勉強会:関係会社株式の低額譲受け(譲渡)と当該株主に対するみなし贈与課税 他

1.関係会社株式の低額譲受け(譲渡)と当該株主に対するみなし贈与課税

■事例
・同族会社A社の株主aが、A社に関連する他の同族会社B社の株式(B社株式)をA社に低額譲渡した場合、そのA社のa以外の株主は対価なしで利益を受けた(みなし贈与があった)とされるかどうかが争われた事例
 (同族会社が受けた利益は、その同族会社の株主が受けた利益とするかどうか)

■結論
・A社はB社株式を低額で譲り受けた…時価との差額が利益となる
 ⇒A社の純資産が増加する
 ⇒A社株式の価値が上がる
 ⇒A社の株主の各持分が増加している
 ⇒A社の株主は無償で利益を享受している…みなし贈与が成立する

※今回の事例でA社が同族会社でなかったら、A社の株主に対してみなし贈与課税は成立しない


2.馬券の払戻金の所得区分で国税庁が所基通を改正も

■平成27年3月10日の最高裁判決を踏まえた改正
・競馬の当たり馬券の払戻金に係る所得区分
⇒営利を目的とした継続的行為から生じたもの=雑所得
⇒それ以外のもの=従来通り、一時所得

ただし今回の事案は中央競馬の全レースをソフトにより自動的に数年に渡って大量かつ網羅的に1年当たり10億円前後の馬券を購入し続けていたものであるため、雑所得に該当する事案は限定的であることが想定される。


3.所得税や相続税の節税策を当局に開示も

■アグレッシブ・タックスプランニング
・税理士法人等が、どんなタックスプランニングをして、それをどこの企業に提供したか税務当局に開示すること

・最も早ければ平成28年度税制改正で国内法で整備される

・開示の対象は法人税以外にも波及する可能性有り
 【例】英国…所得税、相続税も対象
    米国…所得税、遺産/贈与税も対象


4.特定支出控除の適用要件緩和

■特定支出控除の適用要件緩和(平成24年度税制改正)
趣旨・・・給与所得者の負担軽減と実額控除の機会拡大

内容・・・(1)対象となる支出範囲や(2)適用判定の基準が緩和

(1)資格取得費(公認会計士・税理士など)、勤務必要経費(図書費・交際費など)も対象に追加

(2)支出合計が給与所得控除額の1/2を超える場合、適用あり
 ⇒超過額を給与所得控除額に加算できる
 (改正前は、給与所得控除額の総額を超える場合、適用あり)


5.相続増税前の駆け込みで高額贈与が発生

■H27年1月以降の相続税・贈与税の最高税率
 50%⇒55%へ引上げ

■H26年分の贈与税の申告状況
・申告者 47万人(前年比約3万人増)
・納税者 36.3万人(前年比約3.7万人増)
・納税額 2,584億円(前年比1,071億円増)

最高税率の適用をさけるため、駆け込みの生前贈与が行われた結果、納税者の増加幅と比べ申告納税額の増加幅が大きく上回った。


6.消費税率10%引上げ時の平成29年経過措置通達

・H29/4/1以後、行われる資産の譲渡等、課税仕入等 ⇒ 10%に
・経過措置は8%増税時と基本的に同じ
・経過措置例↓
 -旅客運賃等
 -電気料金等
 -工事の請負等
 -資産の貸付け
 -役務の提供
       に関する経過措置
・経過措置判定の基準となる、指定日は「H28/10/1」


7.リース資産と圧縮記帳

∇質問概要
(1)A社は県から農業用機械購入用の補助金を受けた
(2)(1)の補助金によりリース契約(所有権移転外リース)で農業用機械を取得した場合に圧縮記帳は適用できるのか?

∇検証
(1)保険金等の圧縮記帳
代替資産からリース資産が除かれている…NG

(2)収用があった場合・特定資産の買い換えがあった場合の圧縮記帳
買換資産からリース資産が除かれている…NG

(3)国庫補助金等の圧縮記帳(本問)
<要件>
・国庫補助金により交付目的に適合した固定資産を取得すること
(リース資産に関する記載なし)

税法上のリース取引に該当する場合、その資産を売買により取得したものとされるため要件を満たす。

■まとめ
国庫補助金の圧縮記帳に限り、リース資産でも圧縮記帳できる。


8.税務:スキャナ保存とタイムスタンプ

H27年度税制改正にて、領収書や契約書のスキャナ保存制度の要件が緩和された。
スキャナ保存をするには、スキャナで読み取る際にタイムスタンプを付さなければならない。
 ・タイムスタンプを付すには市販のソフトを使用する。(15万円程度か)
 ・タイムスタンプのデータ(ハッシュ値)は専門機関に保存される。
 ・スタンプに残っているデータと専門機関に保存されたデータとを照合し、改ざんの有無が確認される。


9.会計監査人コーポレート・ガバナンスコード(CGコード)

・CGコードには会計監査に関する原則もあり
 原則3-2「外部会計監査人」
・コーポレート・ガバナンス報告書は、
 監査の対象外。
 ⇒監査人が記載の仕方等を指導する必要はないが、実際は相談を受けることが多い。


10.倒産処理(処理方法の比較)

 ・私的整理の際の留意点
   期限切れの欠損金を損金算入できない
   資産の評価損を損金算入できない

 ※破産特別清算や会社更生法・民事再生法等の法的整理の場合は、
    資産の評価損⇒青色繰越欠損金⇒期限切れ欠損金
    の順で清算益に充当することができる。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供  


2015年6月6日土曜日

6/5 勉強会:消費税の内外判定に関するQ&A 他

1.検証・IBM事件高裁判決[第3回]

■IBM事件にある違和感
・1千億円以上ともなる税金に全く関心なく組織再編や資本等取引を行ったという主張
 ⇒法務・税務・会計の取扱いに注意深く検討するはず
  税務は税務調査があるので慎重に検討することが実務での通例

・中間持株会社を設けた上で自己株式取得を行った
 ⇒法人税法24条1項の改正が行われた以降は不自然なほど通常配当が行われなくなっている


2.繰延税金資産計上可能な合理的説明とは

■企業会計基準委員会が「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」を公表した。
⇒遅くとも年内には正式決定する方針

■監査委員会報告第66号等の内容を踏襲しつつ、下記①~③を大きく見直し
①分類2に該当する企業におけるスケジューリング不能な将来減算一時差異に関する取り扱い
⇒スケジューリング不能な将来減算一時差異に係る繰延税金資産でも将来のいずれか時点で損金算入される可能性が高いと見込まれるものについて、当該将来のいずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合には回収可能性があるとされている。

②分類3に該当する企業における将来の減算一時差異等加減算前課税所得の合理的な見積可能期間に関する取り扱い
⇒5年を超える見積可能期間であっても回収可能であることを合理的に説明できる場合は回収可能性があるとされている。

③分類4に係る分類の要件を満たす企業が分類2又は分類3に該当する場合の取り扱い
⇒企業側が合理的に説明できる場合には、分類2あるいは分類3に該当するものとして取り扱うこととしている。


3.土地持分の評価損めぐり更正処分取り消す

■事例
・不動産販売会社が土地持分を棚卸資産に計上
・当該棚卸資産の棚卸資産評価損を計上
・・・この評価損が損金として認められるかどうか争われた事例

■論点
・元々会社は土地持分を固定資産に計上していた
・販売用不動産に出来ると判断した時点で棚卸資産に振替、評価損を計上
・税務署側は「固定資産」であるから評価損不可と指摘

■判断箇所
・当初の所有目的による
・棚卸資産へ振替える前から複数社と売却交渉をしていた
 …売却意向があったと判断⇒販売目的による所有


4.ホンダの移転価格訴訟で再び国が敗訴

【事例】
 ホンダ技研工業がブラジル子会社等との間で行った取引について、国から移転価格税制を適用され課税処分を受けた。
 (取引価格が独立企業間価格に満たないと指摘された)

【地裁(H26/8/28)】
 国による課税処分を取り消し
 (独立企業間価格の算定に際して選定した比較対象法人が不適切であると判断※)

※ブラジル子会社等は税制上優遇される地域に所在し、輸入税の免除などの税恩典利益を受けていたが、国は独立企業間価格の算定上、当該地域外に所在する法人を比較対象法人として選定し、かつ、当該利益相当分の調整を行わなかった。

【高裁(H27/5/13)】
 地裁の判決を支持


5.消費税の内外判定に関するQ&A

■消費税の内外判定のポイント
貸付地や役務提供地がどこの国に該当するかで判断すること
(消費税の基本通達5-7を参照)

Q1顧客から依頼を受けた弁理士が国外の弁理士に立替払いする料金

A:課税対象とはならない
理由:国外の弁理士が行う役務の提供地で判断するため

Q2:国内における国外からの技術導入に伴い支払う技術使用料、技術指導料

A:技術使用料は課税対象、課税対象外どちらの可能性もあり。
理由:権利の使用料は権利登録された機関の所在地で判定する。
   ⇒登録機関が国内であれば課税対象
    登録機関が国外であれば課税対象外

A:技術指導料は課税対象となる
理由:国内で技術指導という役務提供を受けるため。
ただし役務提供地が不明な場合は、役務提供者の事務所等の所在地で判断する。

Q3:税関等(保税地域)で使用した外国貨物の課税関係は。

A:輸入者(購入した者)は課税対象とはならない
 使用した者(税関等)が納税義務を負うこととなる
理由:輸入取引は保税地域より引き取った場合に課税となるため

Q4:海外での工事に対する現地作業員の指導料は

A:課税対象とはならない
理由:建設や製造に必要な資材(技術や知識も含む)を調達できる場所で判断するため

Q5:外国企業A社からのソフトウェア(著作権等)の借入れ

A:課税対象とはならない
理由:著作権等は貸付者の住所地で判断するため。
   (支店が日本にあっても本店所在地で判断される)

※ただしH27年度改正において「電機利用通信利用の役務提供」は、役務提供を受ける者の所在地で判断することとなる。
著作権の利用等も「電機利用通信利用の役務提供」に含まれることとなるので、課税の対象となることに注意する必要あり


6.消費税の軽減税率、対象・区分経理で具体案を示す

・軽減税率制度検討委員会が5月22日に開催
・具体案(1)~(3)が提示された↓

(1)「酒類を除く飲食料品」を軽減対象とする場合
 ⇒EU型インボイス方式を導入

(2)「生鮮食品」を軽減対象とする場合
 ⇒EU型インボイス方式を導入

(3)「精米」を軽減対象とする場合
 ⇒区分経理に対応した請求書等保存方式を導入

※EU型インボイス方式
 :請求書に、適用税率別の対価の額・消費税額の記載が義務に

※区分経理に対応した請求書等保存方式
 :請求書に、適用税率毎の取引金額の記載が義務に(消費税額の記載不要)


7.所得拡大税制 新設法人の設立初年度

∇適用要件
(1)雇用者給与等支給増加額(当期)≧基準年度(H24年度)の雇用者給与等支給額×2%
(2)雇用者給与等支給額(当期)≧比較給与等支給額(前期)
(3)平均給与等支給額(当期)>比較平均給与等支給額(前期)
を満たすと、支給増加額(当期-H24)の10%が税額控除できる(但し限度額あり)

∇新設法人の設立初年度
(1)について
⇒基準雇用者給与等支給額は設立初年度の支給額の70%相当額とする…2%基準クリア
(2)について
⇒比較給与等支給額はゼロとする…基準クリア
(3)について
⇒平均給与等支給額は1、比較平均給与等支給額はゼロとする…基準クリア

■まとめ
・設立初年度に従業員給与の支給があれば必ず適用がある


8.消費税:間接支配の孫会社は特定新規設立法人に該当せず

大規模事業者の傘下の設立法人のうち,「特定新規設立法人」に該当することとなった法人は,期首資本金が1,000万円未満であったとしても,設立事業年度から消費税の納税義務が生ずる。

①H26年4月1日以後に設立された法人が対象
②他の者に支配され、当該他の者(特殊関係法人を含む)の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超えること。
の要件を満たした場合に、免税事業者にはなれなくなる。

孫会社を設立した場合には上記規定の適用の有無の判定が複雑であるため、注意が必要。


9.DTAの回収可能性の判断要件見直し

・平成29年3月期の期首から適用。早期適用はH28.3期末から。
・公開草案についてのコメントが募集されている状況

分類2に該当する企業
・公開草案ではスケジューリング不能なDTAでも、「将来いずれかの時点で回収できることを合理的に説明できる場合」に回収可能性があるものとした。
・(例)
 有税で減損した政策保有株式について、将来売却可能性があることを
 合理的に説明できた場合

分類3に該当する企業
・5年が硬直的すぎる、実態を反映していない、と指摘があった
・公開草案では、5年超でもスケジューリングされた一時差異が回収可能であることを合理的に説明できればOKとなった

分類4に該当する企業
・重要な繰越欠損金が存在する会社
・重要な繰越欠損金あっても、5年超に渡り課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できる場合
 ⇒分類2に該当
・おおむね3年から5年程度について合理的に説明出来る場合は
 分類3に該当

指針適用による影響額は利益剰余金で調整する。
※会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。遡及適用はNG。


10.マイナンバーの利用・提供、及び廃棄・削除に関する論点

1. 個人番号の利用・提供
(1) 個人番号等の利用が認められる範囲
⇒ 行政機関等が事務処理に必要な情報を、法令の規定に従って提出する際に必要な範囲のみ

※ 法定調書や支払調書等を提出するための利用等が認められる。

(2) 個人番号等の提供が認められる範囲
⇒ 行政機関等が必要とする情報を、行政機関等へ提供する場合のみ

※借入の際に金融機関に対し、源泉徴収票を使う場合には、提供が認められない。
※個人番号の提供が認められない場合は、個人番号部分を復元できない様にマスクするなどの工夫が必要。

2. 個人番号の廃棄・削除
(1) 廃棄・削除する時期
⇒ 事務手続きが不要となった場合で、法令で定められた保存期間を経過
⇒ 速やかに廃棄、又は削除しなければならない
(2) 廃棄・削除の方法
⇒ 復元できない方法で廃棄・削除

※焼却処分や、専用のデータ削除ツールの利用等

(3) 廃棄・削除を前提とした保管方法の例示
・システムで、廃棄すべき対象者がリストアップされるシステムの構築
・書類等を保管する段ボール等に保存期間・廃棄時期を記載する


11.リーディングケースにみる株式買取請求に係る「公正な価格」とは

・リーディングケース
 楽天TBS決定
  →上場会社がテレビ放送事業等を完全子会社に承継
   完全子会社から対価を何ら交付しない
   ⇒少数株主に買取請求権を認めないと著しく不公平

・公正な価格とは
 吸収合併等によりシナジー等企業価値の増加が生じるか否かの判断が重要なファクター


12.平成27年定時株主総会の直前対策(一部)

・招集通知について、前年度の安易なコピペによる誤記載をチェックする
・議事を妨害する株主への対応を考える
・役員の就任登記申請について、住民票や免許証等の写しを求める


13.非上場株式の株価算定における非流動性ディスカウントの採用可否と実務への影響

■非上場会社の収益還元法による評価の最高裁判例
(1)結論
・株式買取請求を前提とした場合に、非流動性ディスカウントを行うことが出来ない

(2)前提
・評価対象である非上場の会社を消滅会社として合併契約を締結
・消滅会社の株主から合併に反対する意思表示(通知、株主総会)
・消滅会社の株主から株式買取請求がされている

(3)最高裁の判断
 a.吸収合併等に反対する株主に株式買取請求権が付与された趣旨に従い、公正な価格を形成すべき
 b.非上場の株式評価手法はさまざまあるが、どの評価方法を採用するかについては、裁判所の合理的な裁量に委ねられる
 c.一定の評価方法を合理的としても、その評価手法の内容、正確からして考慮することが相当でないと認められる要素を考慮して評価することは×
 d.収益還元法は類似会社比準法等(マルチプル)と異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まれていない。
 e.反対株主に公正な価格での買取請求権が付与された趣旨は、会社組織の基礎に本質的変更をもたらす行為を株主総会の多数決により可能とする反面、  反対株主に会社からの退出の機会を与えるととともに、企業価値を適切に分配するものであることを念頭に置くと、収益還元法に要素として含まれていない
  市場における取引価格との比較によりさらに減価を行うことは相当ではない
 f.反対株主の株式買取請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて株式の買取価格を決定する場合に、非流動性ディスカウントを行うことが出来ない

(4)本決定に関する検討
非流動性ディスカウントを否定した理由
 1. (2)最高裁の判断d. 収益還元法は類似会社比準法等(マルチプル)と異なり、市場における取引価格との比較という要素は含まない
 2. (2)最高裁の判断e. 反対株主に公正な価格での買取請求権が付与された趣旨は、反対株主に会社からの退出の機会を与えるととともに、企業価値を適切に分配することが含まれている

(補足)
確かに収益還元法は、市場における取引価格との比較という要素は含まないという捉え方も可能である一方で、収益還元法により算定された価格で売却する際に、流動性が低いがゆえに売却価額が減額されることも可能性としては想定される以上、収益還元法と非流動性ディスカウントが両立しえないとまではいえない。
また、非上場株式の評価は様々な種類が存在し、組み合わされることもあることを踏まえると、算定の基礎にある考え方((2)最高裁の判断d)が異なっていることのみで非流動性ディスカウントを考慮することが相当でないとの評価が直ちに妥当するとは考えにくい。
⇒非流動性ディスカウントを行うことが出来ないという判断は、株式買取請求権の趣旨を踏まえたものであることが強調されるべき
=企業価値の適切な分配機能を発揮するためには、非流動性ディスカウントを考慮すべきでない

■本決定の射程と実務への影響
(1) 非流動性ディスカウントの採用可否
・株式買取請求がされた場合の公正な価格の算定には当てはまるが、M&A実務での株価算定において直ちに当てはまるものとまでは言えない
⇒個別判断が必要になる

(2)射程範囲
下記の様なケースにおいて、本決定が必ずしも当てはまるか否かは明らかではないが、各制度の立法趣旨を踏まえて慎重に判断するべき
・譲渡制限株式に関する株式会社または指定買取人により買取りに係る売買価格の決定
・全部取得条項付種類株式の取得に関する価格の決定 等


14.東芝 有報提出期限の延長申請承認 上場廃止を回避へ

・前年度の有価証券報告書の提出期限を8月31日に、今年度第1四半期報告書は9月14日に延長する申請が承認されたと発表

・有報提出期限(原則):3ヶ月以内(3月決算であれば6月末まで)

・「やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には」、「あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内」に提出すれば良い。(改正金融商品取引法 24 条 1 項)。

・「やむを得ない理由」
↓
(1)天変地異、大規模なシステムダウン等の発生
(2)民事再生手続開始の申立て等
(3)過去に提出した有報等に虚偽記載が発見され、過年度の有報等の訂正が必要であること(公表している場合に限る。)
(4)連結財務諸表等に虚偽表示の疑義が発見され、監査人がその内容を確認する必要があること(公表している場合に限る。)

(5)外国会社が、本国の法令等により提出期限までに有報等の提出ができないこと









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

決算早期化・開示支援、株価算定・財務調査、IPOのための内部統制支援
ワンストップでサービスを提供