1.一人会社の取締役に対して第二次納税義務の追求可能
■前提
・株式会社Xは、取締役Aによる一人会社。
・XはAへの報酬を支払っていたが、源泉税を滞納している。
・差押えるほどの財産はない。
→この場合、Aに源泉税の納付義務(第二次納税義務)はあるのか?
■審判所の判断
・役員報酬支払いについても、
納税ができない資産状態になった場合は無償譲渡等に該当するとした。
→少なくとも役員報酬に係る源泉所得税の滞納分については、
Aが支払うべきである。
2.非上場株価に複数の算定方法、最も低い価額を採用できるか?
■事例
親会社が非上場子会社株式を譲渡した場合の
譲渡対価(子会社株式評価額)についての裁判事例。
■争点
会社側は、最も低い価額となる非上場株式評価の特例
(類似業種比準価額と純資産価額併用方式)を採用したが、
課税当局は原則評価(純資産価額方式)しか認めなかった。
■判決
特例採用不可(課税当局勝訴)
■理由
①子会社が直後に合併した際、原則評価で合併比率を算定しており、
この価額が時価と認めるのが妥当。
②特例の規定上「課税上弊害がない限り」特例を採用できるとされているが、
子会社が直近に業種変更しており、
これが、類似業種比準価額を併用する上での課税上の弊害とされた。
3.PFI事業に係る融資手数料は共通仕入
■論点
消費税の仕入税額控除について個別対応方式を採用した場合、
大手銀行に支払った融資スキームの構築手数料は、課税売上対応か共通対応か
■結論
調達した資金が、「施設の建築代金(課税資産の譲渡等)」及び「PFI事業活動全
体のために使用される資金」に使用される
→融資スキームの構築手数料は事業活動全体のために要した費用と認定。
融資返済の原資:公民館の譲渡等の対価と受取利息からなっている。
⇒共通対応に区分されるべき
■補足
施設は官庁が長期にわたり借り上げて、その後、官庁に無償で譲渡される。
借り上げ期間に渡り、官庁が支払うサービス料が
①施設の取得費と②支払利息相当
③その他必要経費からなっている。
4.特定期間中の課税売上高による納税義務の判定(その2)
■6か月判定に使う特定期間はいつですか?
①01年1月10日設立 当期02年1月1日から12月31日(第2期)
→01年1月10日から6月30日までの期間
②01年1月10日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
→01年1月10日から6月20日までの期間
③01年5月1日設立 当期01年12月21日から02年12月20日(第2期)
(決算期を01年12月31日から変更した場合)
→01年5月1日から10月31日までの期間
④01年4月25日設立 当期02年4月1日から03年3月31日(第3期)
(前々期01年4月25日から02年1月20日、前期02年1月21日から02年3月31日)
→01年4月25日から10月20日までの期間
5.注文建築工事未完成でも課税仕入れ可能なケース
⇒アパートの引渡しを受けたときに、
課税仕入れとして認識するのはどのタイミングか?
原則:アパートが完成して、引渡しを受けたとき
例外:使用収益することができることとなったとき
事例:アパートの手すりの補修工事が済んでいない状態で
アパートの建築代金を支払った。
⇒原則で言えば手すりの完成時がアパート完成時
⇒手すりが完成していなくても使用収益はできるという判決
結論:使用収益ができるようになったタイミングで課税仕入れを計上してもOK
6.簡易課税のみなし仕入率見直しへ
⇒過去1~2年の調査で簡易課税を選択している業種の
実際の仕入れ率がみなし仕入れ率と大きく乖離
Ex.金融保険業 みなし仕入れ率:60%、実際仕入れ率33.8%
結論:今後、一部業種でみなし仕入れ率の引き下げ公算が高い。
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7.【消費税】事業者免税点制度の改正のポイント
・H25年1月以降に開始する事業年度より、改正が適用される。
・前年上半期(12月決算法人の場合、H24年1月~6月)の課税売上高
又は給与等支払額【※】が1000万円を超える場合、課税事業者になる。
【※】給与等支払額の範囲
・正社員のみでなく、派遣やパート等の給与も含まれる。役員報酬も含まれる。
・発生額ではなく、支給額で判定する。
(ex.過年度の未払残業代を支給した場合は、その額も算入して判定する。)
・退職手当は算入せずに判定する。
■サービス付き高齢者向け集合住宅(サ付住宅)とは、
⇒高齢者向けに介護サービスなどを提供する賃貸住宅のこと
指定介護老人福祉施設などの居住費等は医療費控除の対象となるが、
サ付住宅の賃貸費用は医療費控除の対象とならない。
(あくまで住宅であり、介護施設ではないため。)
ただし、サ付住宅のサービスの一環で、介護サービスを受けた場合領収書をつけて
申告することで医療費控除の対象とすることができる。
なお、家賃・介護保険サービス等の費用を親族が負担している場合には、
その親族が医療費控除を受けることができる。
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9.実質リース
実質リース:法的形態がリースでなくても実質的にリースと判定される取引
2要件
①契約の履行が特定の資産の使用に依拠
②契約により、当該資産の使用権が移転する
(例)
・A社(購入者)がB社(ガス会社)とガス供給契約を締結
・B社がガス供給施設をA社敷地内に建設
⇒このガス供給施設がA社だけのための施設であれば2用件を満たす
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10.連結財務諸表作成にあたり子会社の範囲
連結の範囲から除外することができる小規模子会社の考え方について
・子会社の範囲
意思決定機関を支配している会社
→議決権比率で判断
【原則】
・すべての子会社を連結の範囲に含める
【例外】
①子会社であっても連結の範囲に含めない場合
・支配が一時的
・連結することにより利害関係者の判断を誤らせる
②連結の範囲から除外することができる子会社
・重要性の乏しい子会社は連結の範囲に含めないことができる
→連結財務諸表に重要な影響を与えない会社
11.IFRS四半期報告書の開示規定のポイント
【作成される財務諸表及び表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書
→期間の末日と直近事業年度の末日
・純損益及びその他の包括利益を表示する要約計算書
→期間と累計ならびに直近事業年度の期間
・要約持分変動計算書
→累計と直近事業年度の累計
・要約キャッシュ・フロー計算書
→累計と直近事業年度の累計
・精選された説明的注記
→累計
※期間=該当報告期間
※累計=期首から該当報告期間の末日まで
【年度末との違い】
・5種類の構成は変わらない
・「要約」や「精選された」という意味で省略されている
【表示が求められる期間】
・要約財政状態計算書
■四半期注記について
四半期報告書における注記情報は「精選された注記」であり、
年度に比して開示が要求される項目は少ない。
大きく分けて以下の2つに分けられる
・「重要な事象及び取引」…年度末以降の財政状態の変動及び経営成績を理解
・「その他の開示」…中期に含めなければならない
12.企画業務の生産性向上
(1)企画業務⇒「会議」と「会議のための資料作成業務」
(2)企画業務の可視化を進める
非定型・一過性のため可視化は難しいと考えがち
※「情報収集」「資料作成」「報告」は一緒
(3)施策例
①「情報収集」
・社内用語を統一(用語確認時間を削減)
②「資料作成」
・過去資料を活用
・レビュープロセスの見直し
・不要な資料作成を削除
③「報告」
・ペーパレス化
・Web会議、電話会議(移動時間の削減)
・長時間会議の廃止
・会議中に議事録作成
・資料の事前配布
13.輸出取引におけるポイント
1.物品販売の収益認識(いつ所有権が移転するか?)
◎船積時点
→船荷証券発効日で認識。実務上最も多い
△出荷時点
→倉庫等からモノが出荷された時点で認識。輸出取引の場合は、
納品までの期間が長い為限定的
△通関時点
→通関手続が完了した時点で認識。
通関時点で所有権が移転する契約は稀であり、事例は少ない
×荷為替取組時点
→船荷証券を銀行に持ち込み、
荷為替手形を銀行で買取ってもらう時点で認識
買取り時期に恣意性がある為、非現実的
・受渡時点
→納品場所へモノが運び込まれた時点で認識。
そのような契約であれば
2.役務提供の収益認識(国内取引と同様)
・役務提供完了時点で認識
・時の経過に応じて認識
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