1.消費税率引上げ、施行日前後の留意点
(経過措置)
①指定日(H25/10/1)前に契約等が必要な経過措置
・工事の請負、資産の貸付
②施行日(H26/4/1)をまたぐ取引に適用される経過措置
・乗車券、定期券、スポーツ観戦年間シート
⇒ 3月迄に購入すれば、4月以降利用分も5%
・電気、水道、ガス、電話料金
⇒ 4/1をまたぐ分は、5%
(注)ネット料金で毎月定額となっているもの⇒ 経過措置適用なし
※多段階定額は、経過措置適用あり
2.新設法人の納税義務判定
■平成25年度改正
・新設法人の消費税の納税義務免除の特例規定
・平成26年4月1日以後適用
■概要
・新設法人を設立
・(新設法人の発行済み株式数の50%超を保有する)親会社がいる
→新設法人の消費税の納税義務判定は次で判定する
①新設法人の資本金額…資本金の額が1,000万円以上か未満か
→以上なら納税義務あり、未満なら②へ
②親会社の基準期間に相当する期間の課税売上高…5億円超か以下か
→5億円超なら納税義務あり、以下なら納税義務なし
■例示
・前提
A社:資本金1億円 H25年3月期の課税売上高6億円
B社:A社の100%子会社 平成26年4月1日設立、3月決算
①B社の資本金が2,000万円の場合の納税義務判定
B社の資本金で判定
H27年3月期 2,000万円≧1,000万円 よって課税事業者
②B社の資本金が300万円の場合の納税義務判定
B社の資本金が1,000万円未満のためA社の基準期間に相当する期間で判定
H27年3月期 6億円>5億円 よって課税事業者
3.反面調査で非違発覚、無予告調査移行リスクも
①
反面調査→実地調査のケース
Q:反面調査を受けた結果、当社に不正所得などがあった場合、
日を改めて事前通知等が行われるのか?
A1:反面調査を実施した税務署=当社の管轄税務署の場合
原則=改めて事前通知
例外=事前通知なく実地調査が可能であり、
反面調査からそのまま当社の調査に移行するケースも考えられる。
A2:反面調査を実施した税務署≒当社の管轄税務署の場合
管轄部署の統括官に対して早期着手を依頼される。
②
行政指導→調査のケース
Q:行政指導の結果、実地調査が必要となった場合、事前通知等が行われるのか?
A:改めて事前通知がされる。
4.IFRS任意適用のポイント
◆任意適用要件の緩和
従来の要件から、
・上場していること
・国際的な財務活動又は事業活動を行っていること(資本金20億円以上の連結子会社を有している事など)が削除された。
結果、任意適用可能会社が600社→4,000社に増加
◆現在の適用状況と今後の展望
・適用及び適用予定企業 28社
・製薬業、商社が多い
・ある業界における1社が口火を切れば、他社が追随するケースが多い
◆IFRS適用会社において2014年3月期より強制適用される会計基準
①従業員給付
・数理計算上差異の即時認識
・過去勤務費用の即時費用処理
・期待運用収益の廃止
・年金資産の開示
②連結FS 共同支配の取決め 他の企業への関与の開示
・支配が一時的な会社、SPCの特例→IFRSでは連結対象
・JVの比例連結の廃止
③公正価値測定
・測定に用いるインプットに応じて、レベル1(市場価格等)~3の階層に分けられる(レベルが大きくなるにつれ主観性が増す)。
・経常的に公正価値で測定される項目(公正価値で測定される金融資産・負債、投資不動産等)と非経常的に公正価値で測定される項目(減損が生じた場合等)それぞれに開示の規定を定めている。
④公表済未適用の会計基準の開示
⑤ヘッジ会計の改訂
・ヘッジの有効性の数値基準(80-125%)廃止
→ヘッジ手段と対象の経済的関係、信用リスクによる影響度合等、客観的指標で判断する
・金融項目だけでなく、非金融項目もヘッジ対象とできる。
・ヘッジコストもその他包括利益を通じて、純損益に按分。
5.機関投資家の受託者責任原則が明らかに
■『日本版スチュワードシップ・コード』決定
※スチュワードシップ・コードの発祥は英国
【内容】
・機関投資家の適切な受託責任を果たすため
・機関投資家と企業間の『建設的な対話』を可能にすることを重視
【今後の動き】
・金融庁はスチュワードシップ・コードの受け入れ表明を行う機関投資家のリスト作成
・対象は投資顧問、投資信託、信託銀行、生命保険会社
6.裁判事例:相続税と所得税の二重課税ついて
■概要
【財産A】
取得価額100 相続時の時価150 譲渡時の時価200
相続人Bは相続により取得した財産Aを譲渡し、譲渡益100に対し所得税が課された。
①
相続時⇒時価が課税対象
財産の時価150に対して相続税が課されている
⇒実質的に価値増加分50に対して課税済
②
譲渡時⇒時価と取得価額の差額に課税
価値増加分100に対して課税
⇒50は相続時に課税されているから二重課税では?
■東京高裁
二重課税ではない。
(判断理由)
相続税は相続により生じた経済的価値の移転に対して税を課すものであり、価値増加分に対して税を課す所得税とは性質が異なる。
よって譲渡益100に対する課税は同一の経済的価値に対する二重課税とは言えない。
⇒最高裁に上告中
7.法人税:債権譲渡があったときの取り扱い
例:銀行がA社に対する債権10,000円をB社に100円で売却したケース
■A社における取り扱い
・処理なし。
・当該債権についての時価(新旧債権者における回収期待額)は100円と考えられるが、これに基づいて債務者A社において債務の時価評価は行うことはしない。
※将来的に債務を時価評価する会計ルールが導入される余地はある。
ex)市場で流通している自社の社債について、市場買付にかかるコストの見込額まで債務評価益を計上する。等
■B社における取り扱い
・100円を取得価額とする。額面と取得価額の差額9,900円について取得時には収益計上しない。
・取得価額を上回る回収が実現した際に、その都度回収益を収益計上する。
・額面と取得価額の差額のうち利息相当部分については、利息法または定額法により毎期収益計上する。
8.のれんの一時償却&減損
【一時償却】
個別財務諸表上、子会社の超過収益力が減少し、同社株式の減損を実施した場合
※金融商品会計基準に従って子会社の財政状態を基礎に評価
【減損処理】
連結財務諸表上、固定資産の減損に起因してのれんの減損が認識された場合
※子会社の事業単位を基礎に回収可能性を判断して評価
9.単体開示簡素化案のポイント
(改正案の方針)
①会社法の要求水準に合わせる
②開示業務の負担軽減(二重作成の解消)
③単体開示のみの会社は改正案の対象外
(主な改正点)
①本表(BS、PL、株主資本等変動計算書)
→会社法の水準に合わせるため新様式を規程
②注記
→連結財務諸表で十分な情報が開示されている場合は免除
→免除規定を設ける
③製造原価明細書
→連結財務諸表でセグメント情報を注記している場合は免除
(適用時期)
平成26年3月期決算(予定)
(平成26年2月日本公認会計士協会は金融庁に改正案に対する意見書を提出)
10.固定資産における会計上の見積りのポイント
①減損の兆候の検討
⇒営業活動の損益又はCFが概ね過去2期マイナス(当期の見込が明らかにプラスの場合はセーフ)、又は前期と当期以降の見込が明らかにマイナスとなる場合は該当。
②減損の判定や測定に使用する将来CFの見積り
⇒過年度の見積りと実績に比して、大きな乖離はないか(ある場合は差異内容が説明可能か)?
③減損の判定や測定に際して将来CFを見積もる期間
⇒資産又は資産グループの主要な資産の経済的耐用年数
11.今期気を付けたい税効果会計のポイント
所得拡大促進税制
①平成26年度税制改正では、
・適用期限が平成28年3月期に+2年延長(結果、平成27.3期から平成30.3期まで)
・法人の雇用者給与等支給増額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が緩和
・摘要は平成27年3期~
②繰延税金資産の調整
当期(平成26.3期)の税額控除相当額について来期において実際に法人税額の控除を受けるためには、来期も改正要件を満たしている必要があるため、計上可否と回収可能性について留意する
12.有給休暇引当金の考え方
⇒決算時に日給×未消化の有給休暇日数で算出する負債性引当金。
IFRSでは有給休暇引当金が採用されている
【有給休暇引当金の計算方法】
・有給休暇年10日、うち2日使用⇒繰越8日
・日給2万円
・引当金の計算方法
(日給)2万円×(繰越日数)8日×(有給消化率)20%=32,000
【ポイント】
・「未消化の有給休暇は給料の未払い」という考え
・従業員の労働と人件費の計上のタイミングを一致させることが目的
・日本は未消化の有給休暇が多いが、消化率が低いので費用のインパクトは軽
13.ソフトバンク 綱渡りの米国市場攻略
【当初計画】3位のスプリントを買収後、4位のTモバイルを買収し、両者を統合
ここに来て問題が…
・米国当局が、現在4社ある通信大手を3社に減らすことに難色。
・その間にTモバイルの業績が急伸 → 買収総額が急上昇?
・スプリント単独でも、「米国版家族割引導入」「ソフトバンクとの共同調達による端末仕入れ価格下げ」など奮闘しているが、1位ベライゾン、2位AT&Tには遠く及ばす…
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